社会学評論
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36 巻, 4 号
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  • 熊谷 文枝
    1986 年 36 巻 4 号 p. 406-423
    発行日: 1986/03/31
    公開日: 2010/12/10
    ジャーナル フリー
    二重構造とは、近代性と伝統性といった、相反する二つの特質が、ひとつの社会的範疇の中に共存する社会構造を意味する。それが、最も基本的な、社会的インスティテユーションのひとつである家族に関しいえるのが、日本社会の独自性といえる。
    つまり、日本の家族を、外的および、内的両側面から分析した結果、それは、近代的とも、伝統的とも断言することはできず、むしろ、近代性と伝統性の両者が、共存していると考えるのが妥当であることが判明した。例えば、本稿で分析した、日本の家族の外的あるいは、人口学的要素のことごとくが、日本の家族の近代性を顕著に示していた。一方、今日の日本の家族の内的あるいは、構造的特質には、伝統性が失われることなく存続している事実が浮き彫りにされた。
    これらの結果は、今日の日本の家族には、外的近代性と、内的伝統性の双方の特質が共存していることを示唆しているといえる。家族の中に見られる、この伝統性と近代性の共存は、ある意味では、日本社会の近代化の歴史と同様の意味合いを持つといえよう。つまり、日本社会の近代化の過程で、西洋の先進産業技術が熱心に取り入れられた反面、日本の伝統的文化は棄却されることなく、依然として堅持されているのである。その二重構造が、とりもなおさず、日本社会の現状の、さらにまた、今日の日本の家族の独自性として特徴づけられる点なのである。
  • 家族における動機づけの危機
    山田 昌弘
    1986 年 36 巻 4 号 p. 424-437
    発行日: 1986/03/31
    公開日: 2010/12/10
    ジャーナル フリー
    近代社会における家族活動は、市場における労働とは異なった性格を持っている。Illich は支払われない労働という性格、Boulding は贈与という性格に着目した。家族活動の無償性は、打算的動機づけの排除、情緒的・規範的動機づけの付与によって維持されている。家族活動と打算的動機づけが貫徹する市場経済との分業体制が、資本主義社会の生産―再生産メカニズムを支えている。最近の家族をめぐる状況は、この分業体制を根本的に揺がしつつある。情緒的動機づけの性格が変化し、規範的動機づけが緩み、打算的動機づけが家族活動に侵入する。その結果、家族活動が十分に充足されないケース、家族活動が市場活動によって代替されるケースが増大する。現代資本主義国家は、家族の動機づけの危機を認知し、市場と家族の分業体制を維持するため家族活動に介入しようとするが、家族危機の進行を止めることはできない。アメリカの家族政策の変化を例にとって、この過程を検討する。
  • 野畑 眞理子
    1986 年 36 巻 4 号 p. 438-456
    発行日: 1986/03/31
    公開日: 2010/12/10
    ジャーナル フリー
    職場における男女平等化、女性の活用・登用が今日緊急の課題となっている。本稿では、女性役職者を取り上げ、そのキャリア形成過程を分析する。
    これまでの女性役職者研究は、女性のキャリア形成の阻害要因に関するものが主であったが、本調査研究は、促進要因の解明を目標とする。その際、主体的要因を重視するため生活史の方法を用いている。
    第一に、女性役職者がどのようにしてキャリアを形成してきたのかを、入社以降現在までの個人の職業生活史を辿ることによって、主体的要因と客観的要因との相互連関の中で明らかにする。同時に、キャリア形成過程の質的代表性に注目して、類型化を試みている。
    第二に、キャリア形成を促進した諸要因の中で、特徴的にみられたものについて検討を加える。それらは、歴史、産業、企業、人間関係、運動、意識などの諸要因である。
  • 秋山 憲治
    1986 年 36 巻 4 号 p. 457-470
    発行日: 1986/03/31
    公開日: 2010/12/10
    ジャーナル フリー
    今日、多数の職種がプロフェッション化を志向しているにもかかわらず、職種ごとにその可能性は様々であり、また大なり小なり限界が存在する。この可能性と限界は、ある職種の従事者がとり結ぶ社会的諸関係のなかでも、近接職種間関係においてもっとも明示される。しかし従来この関係は、プロフェッション化にまつわる問題としてはあまり注目されなかった。そこで本稿では日本の医療、法務、および税務の領域を参考に、近接職種間関係の態様とその規定要因を考察し、プロフェッション化の可能性と限界を展望する。
    まず、職務遂行場面において、近接職種相互にあたる一方の職種が他方の職種によってプロフェッション化を抑制されるような関係的位置を、経営体間、経営体内を含めて五種類に整理する。次にそれらの関係的位置から、固有の近接職種間関係として職務にかんする二つの性質を抽出する。そして両者の性質の原因を、その職種が保有・利用する知識の体系化の程度と、分業形態からみた技術の展開の範囲・方向という二点にもとめる。以上をふまえて近接職種間におけるプロフェッション化の条件を仮説として導き出し、各職種の現況に照らし合わせると、前述の原因を解消可能と思われる職種と、解消不可能と思われる職種との相違が明らかになる。
  • 小内 透
    1986 年 36 巻 4 号 p. 471-472
    発行日: 1986/03/31
    公開日: 2010/12/10
    ジャーナル フリー
  • 金田 弘夫
    1986 年 36 巻 4 号 p. 473-477
    発行日: 1986/03/31
    公開日: 2010/12/10
    ジャーナル フリー
  • 1986 年 36 巻 4 号 p. 489-497
    発行日: 1986/03/31
    公開日: 2010/12/10
    ジャーナル フリー
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