アクリル系紫外線硬化型接着剤の中で,室温の弾性率が比較的高く,高いTgを特徴とする接着剤は被着体表面の形状を平坦から鋸歯状とすることで,初期の接着強度は大幅に向上する。一方,信頼性試験60℃90%RHでは強度劣化が加速して大幅に低下する傾向がある。そこで, 60℃ 90%RH環境下における接着強度の向上の一環として,被着体の表面自由エネルギーの影響について検証した。その結果,信頼性試験後の接着強度は被着体表面の形状を鋸歯状とし,かつ表面自由エネルギーを高めることで,破壊モードを凝集破壊主体のモードへと移行しながら初期の高い接着強度の維持もしくは大幅に向上できることを明らかにした。これは,接着界面の強度向上に加えて,接着剤硬化時に生じた残留応力を徐々に低減できたためと考えられる。以上より,高い接着強度で高信頼化を実現するためには,被着体表面の形状を鋸歯状とし,かつ被着体の表面自由エネルギーを高めることが重要である。