日本接着学会誌
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38 巻, 1 号
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総説
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研究速報
研究論文
  • 小川 俊夫, 佐藤 智之, 大澤 敏
    2002 年38 巻1 号 p. 9-15
    発行日: 2002/01/01
    公開日: 2014/08/31
    ジャーナル フリー
    ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)および低密度ポリエチレンシート(LDPE)表面にコロナ放電処理を施した後,ロール型ラミネート装置により,PETフィルムとLDPEシートを接着剤なしで接着温度100℃~170℃の範囲で接着した後,剥離試験を行って接着強度を評価した。このとき,テフロンフィルムやPETフィルムで全体を被覆し,150℃以上の高温で熱圧着すると,接着強度が飛躍的に向上し,接着温度170℃の時に最大で約2000N/mの接着強度が得られた。この値は接着剤を用いた場合の強度1200N/mを大幅に上回るものであった。また,このようにして得られたPET/LDPEラミネートシートの接着強度は,作成後大気中で1ヶ月経過してもほとんど強度低下しなかった。以上のことから,本法は接着剤を介さない接着方法として有効な方法であることが確認された。
研究論文
  • 永田 員也, 児子 英之, 日笠 茂樹, 伊藤 亮治
    2002 年38 巻1 号 p. 2-8
    発行日: 2002/01/01
    公開日: 2014/07/31
    ジャーナル フリー
    炭酸カルシウム(平均粒子径0.9μmおよび2.0μm)をオレイン酸およびマレイン酸変性ポリプロピレン(HAh-PP)で表面改質した。表面改質した粒子をポリプロピレン(PP)に40wt%まで二軸押出機を用い混練し,射出成形機で試料を調製した。複合材料の破断面走査型電子顕微鏡観察した結果,いずれの表面改質においても粒子はマトリックスに均一に分散していた。オレイン酸改質複合材料は界面接着性が良好ではないが,MAh-PP改質複合材料は良好な界面接着性であった。オレイン酸改質0.9μm粒子充填複合材料は粒子充填にともない,衝撃強度は大きく向上し,20wt%(体積分率0.08)充填で最大の値(70kJ・m-2)となったが,2.0μm粒子充填複合材料では10wt%(体積分率0.04)充填で30kJ・m-2と衝撃強度の大きな改善は認められなかった。オレイン酸改質粒子充填複合材料の降伏強度はいずれの粒子径に依存せず低下した。一方,MAh-PP改質複合材料は粒子充填にともない降伏強度ならびに弾性率は向上したが,衝撃強度ならびに破断伸びは大きく低下した。複合材料の弾性率および降伏強度をそれぞれNielsen式およびNicolais-Narkis式解析を行った結果,マトリックスの弾性率は試料成形時のせん断力によりPPが配向したため粒子充填にともない増加し,降伏強度は複合材料中のマトリックス/粒子界面の接着性を反映していることが示唆された。以上の結果から,オレイン酸改質複合材料ではマトリックス/粒子界面で歪みが与えられるとボイド形成しやすい界面構造を形成しており,MAh-PP改質複合材料ではマトリックスと充填粒子はMAh-PP分子鎖を介して一体構造を形成していることが明らかとなった。
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