D- ヒドロキシフェニルグリシン/L- チロシンヘキシルアミドおよびメチルエステルと,1,3,5- トリオキサンとのマンニッヒ型付加縮合をクロロホルム/ トルエン= 1/1 およびクロロホルム/1,4- ジオキサン = 1/1 中,110℃,24 時間の条件で行い,新規光学活性ベンゾオキサジンポリマーを定量的な収率で得た。ポリマーはメタノール中,カルボニル基およびベンゼン環の吸収領域に円偏光二色性(CD)シグナルを示した。CD シグナルのパターンと強度は置換基(アミド,エステル)ならびに,光学活性炭素とベンゼン環と間のメチレンスペーサーの有無によって大きく異なった。同様な差異は固体状態で測定したCDスペクトルにおいても観測された。L-チロシン由来のアミド型ポリマー3′はクロロホルム中,正の励起子キラリティーに基づく分裂型の振動円偏光二色性スペクトルを示したことから,カルボニル基は時計回りに配列していると考えられた。コンホメーション解析より,3′は伸びきり鎖構造よりも,折り畳み構造でより安定に存在することが示唆された。ベンゾオキサジン環の開環反応は240–260 ℃で定量的に進行し,対応する架橋ポリマーが得られた。
高分子材料である接着剤は,種々様々な動的粘弾性特性を持っている。接着剤特性の違いによる破壊じん性の速度依存性変化を調べるため,被着体にばね鋼鋼材,接着剤に2 液エポキシ系接着剤,第二世代アクリル系接着剤,1液ポリウレタン系接着剤を用いて双片持ちはり( DCB) 試験片を作成し,モードI破壊じん性を測定した。また,動的粘弾性測定装置を用い接着剤の粘弾性特性を測定した。試験速度を変えて破壊じん性値を測定することにより,動的粘弾性特性の異なる接着剤では異なる速度依存性を示すことが示された。エポキシ・ポリウレタン系接着剤ではいずれの試験速度においても連続的な破壊が観察されたのに対し,アクリル系接着剤では速度の増加に伴い不安定破壊(Stick-Slip現象) が観察された。また,破壊じん性値の速度依存性と接着剤の動的粘弾性特性に関係性が示唆された。