日本接着学会誌
Online ISSN : 2187-4816
Print ISSN : 0916-4812
ISSN-L : 0916-4812
53 巻, 1 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
総説
総説
技術論文
  • 中村 吉伸, 下嶋 康平, 野田 昌代, 高倉 和希, 藤井 秀司, 浦濱 圭彬
    2017 年53 巻1 号 p. 11-18
    発行日: 2017/01/01
    公開日: 2018/08/28
    ジャーナル フリー

    粘着テープのピール強度におよぼす剥離角度の影響について,糸曳き現象の観察から検討した。架橋剤濃度を変化させたアクリル架橋系粘着剤のピール試験を,剥離角度30~180°の範囲で行った。架橋剤濃度に依存して糸曳き形状は変化したが,いずれも120~150°付近で剥離の進行速度が最も速くなった。つまり,この角度付近でピール強度が低くなることが示された。特定の架橋剤濃度の粘着剤について幅広い歪速度の範囲で引張試験を行って応力-歪カーブを測定し,IgorProソフトによる解析から幅広い歪と歪速度に対する応力の等高線図を作成した。この図と糸曳き長さの測定結果から,糸曳きのフィブリル中に発生する応力を算出した。剥離の最先端のフィブリルに発生する応力は,剥離角度120~150°の範囲で最も低くなった。以上,糸曳き現象からピール強度が120~150°付近で最も低くなることが分った。これはKaelble[Trans.Soc.Rheology,4,45(1960).]がセロハンテープで検討した結果と同じ傾向であった。

研究論文
  • 鈴木 文哉, 佐藤 絵理子, 松本 章一
    2017 年53 巻1 号 p. 4-10
    発行日: 2017/01/01
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー

    本研究では,ラジカル重合によって合成したポリ(p-tert-ブトキシカルボニルオキシスチレン)(PBSt)の熱分解を行い,側鎖のtert-ブトキシカルボニル(Boc)基からのイソブテンと二酸化炭素の脱離によるポリ(p-ヒドロキシスチレン)(PHSt)の生成挙動を明らかにし,反応が定量的に進行するための条件について検討した。続いて,ジアミン架橋剤存在下でのp-tert-ブトキシカルボニルオキシスチレンとメタクリル酸グリシジルの共重合体(P(BSt-co-GMA))の熱硬化反応を利用してアルミニウム板の接着試験を行い,側鎖にBoc基を有するポリマーの易解体性接着材料としての特性を評価した。引張りせん断試験の結果より,100℃で加熱硬化後に高い接着強度が得られること,さらに150℃での側鎖官能基の分解によって接着強度が大きく低下することを見出した。

feedback
Top