エポキシ樹脂硬化剤に用いられる脂肪族アミン類として1,3プロパンジアミン(PrDA),1,4ブタンジアミン(BuDA),ジエチレントリアミン(DETA)の3種類をα リン酸ジルコニウム(α-ZrP)にインターカレートした。得られたインターカレート化合物を用いてグリシジルフェニルエーテル(GPE)との反応を行った。その結果,140℃,24時間でα-ZrP・BuDAは94%,α-ZrP・DETAは89%の高い転化率を示した。一方,α-ZrP・PrDAは47%と他のものと比較して低かった。これら3種類のインターカレート化合物を用い40℃下での貯蔵(熱)安定性を評価したところ,15日間後も反応は進行せず,優れた熱潜在性硬化剤としての挙動を示すことがわかった。
新規天然系木材用接着剤の開発を目的として,リン酸二水素アンモニウム(ADP)の添加によるスクロースの基本的な特性変化を明らかにした。種々の重量比で混合したスクロースとADP を120~200℃で最大20 分間加熱し,熱分析,沸騰水に対する不溶化率,FT-IR を測定した。スクロースの熱的性質は,少量のADP 添加によって著しく低下した。不溶化率は,混合比に関わらず加熱温度が高くなるにつれて向上した。しかしながら,ADP を多量に添加すると,低い不溶化率を示した。180℃における効果的な加熱時間とADP含量は,それぞれ10分と10wt%であった。FT-IR の結果から,加熱混合物にはフラン環やカルボニル基が含まれていた。スクロースは,ADP の添加と加熱によって高耐水性物質に変化することが明らかとなった。