鋼材中に0~9%Crを添加した鋼材およびSUS410,430,304を基材としたポリエチレン被覆鋼材の接着耐久性を,温塩水浸漬および塩水噴霧試験(SST)にて調査した。Cr量が増加するに従い温塩水浸漬後の接着耐久性は向上する。SST試験後の端部からの被覆層の剥離速度もCr量の増加に従い改善するが,9%添加以上では効果が飽和する。Cr量増加とともに接着耐久性が改善するのは,鋼材裸面の腐食電位と関係することが示唆された。Cr添加による電位の貴化は,被覆層下の鋼表面と鋼材露出部分の電位差を小さくすることで,被覆層下のカソード反応を抑制すると考えられる。ただしステンレス鋼は剥離面における隙間腐食の影響や,SUS304は接着性が劣ることを考慮しなければならない。
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