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内山 貴堯, 君野 孝二, 山岡 憲夫, 吾妻 康次, 赤嶺 晋治, 山口 広之, 赤間 史隆, 松尾 聡
1990 年 30 巻 6 号 p.
809-815
発行日: 1990/10/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
切除した肺癌366例中, 重複癌は37例で, 平均年齢は非重複癌例の63.7歳に比べ67.7歳とやや高齢であった. 肺癌の組織型は肺多発癌を含め43の癌のうち20は扁平上皮癌であった. 5年生存率は重複癌で34.9%で非重複癌の35.2%と差はなかった. 肺癌死が多いため, 肺癌に対して相対治癒切除以上を行ない得た症例に予後が期待できる. 重複癌発生間隔は肺癌後発例では5年以上が多く, 第1癌切除後5年以上を経過して出現した肺陰影に対しては重複癌を考慮する必要がある.
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中野 孝司, 岩橋 徳明, 前田 重一郎, 田村 伸介, 波田 寿一, 東野 一彌
1990 年 30 巻 6 号 p.
817-826
発行日: 1990/10/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
悪性胸膜中皮腫の化学療法について検討を加えた. cisplatin+doxorubicin+vindesineによる多剤併用癌化学療法を行った5例の腫瘍縮小効果はNC4例, PD1例であった. また, cisplatin+VP-16, cyclophosphalnide+vincristine+aclacinomycinの症例は各々NCであった. 一方, tegafurまたはOK432の治療を行った4例は全てPDであった. 胸水に対しては多剤併用化学療法を行った7例に有効な結果が得られた. 以上より, 本疾患に対する今回用いた多剤併用化学療法は腫瘍縮小効果は得られなかったが, 胸水制御に関しては有効であると考えられた.
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清水 淳三, 渡辺 洋宇, 小田 誠, 林 義信, 渡辺 進一郎, 坪田 誠, 龍沢 泰彦, 岩 喬
1990 年 30 巻 6 号 p.
827-832
発行日: 1990/10/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
教室において外科治療が施行されたT4肺癌75例の成績を検討した. T4切除例全体の5生率は10.5%であった. 生存率に最も関与する因子はN因子であり, 5生率はNOで38.2%, N1で6.3%, N2で3.5%, N3で5生例なく, NOとN2の間に有意差を認めた. 3年以上生存例は6例あり, 左房・気管分岐部・大血管などの単独臓器浸潤例であった. 一方, 癌性胸膜炎症例には長期生存例はなく, その手術適応の決定には慎重を要すると思われた.
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長谷川 幹, 片上 信之, 冨岡 洋海, 岡崎 美樹, 坂本 廣子, 石原 享介, 岩崎 博信, 梅田 文一, 中井 準
1990 年 30 巻 6 号 p.
833-840
発行日: 1990/10/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
非小細胞肺癌脳転移例95症例の予後を検討した. 生存期間に有意の影響を及ぼすと考えられた因子は, 脳転移に対する治療, PS, 他臓器への遠隔転移の有無の3つで, このうち脳転移に対する治療と他臓器への転移の有無との間には相関が認められたが, 放射線脳照射は他臓器にも転移の認められる症例においてもその生存期間を有意に延長しており, 有効例では脳転移による死亡が有意に少なかったことから, ほとんどの症例にその適応があるものと考えられた.
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渡辺 秀一, 北村 諭, 横山 武, 吉良 枝郎
1990 年 30 巻 6 号 p.
841-847
発行日: 1990/10/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
男性肺癌連続140剖検例を, 特発性問質性肺炎を背景に発症した肺癌症例15例, 肺気腫を背景に発症した肺癌症例30例, 陳旧性肺結核, 気腫性嚢胞, 気管支拡張症, 気管支喘息を背景に発症した肺癌症例23例, 及び肺に他の疾患を認めない肺癌症例72例の4群に分け臨床病理学的に検討した.
特発性問質性肺炎を合併した肺癌では, 他の3群に比べ肺重複癌の発生頻度は有意に高率であった. また特発性問質性肺炎を合併した肺癌は, 中枢気道に発生頻度が高い扁平上皮癌, 小細胞癌を含め, すべて末梢発生であった.以上の所見から, 特発性問質性肺炎は末梢性肺癌が発生しやすい病態であると考えられる.
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野口 昌幸
1990 年 30 巻 6 号 p.
849-856
発行日: 1990/10/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
肺癌150例でSLX, CEA, CA19-9, CA125, β2MG, TPA, SCC, NSEの臨床的意義を検討した. Sensitivityは各組織型で50%以上陽性である項目に違いがあった。各組織問でSLX, SCC, β2MG, NSE, CEA, CA19-9に有意差があり, 判別分析では70/94, 74.5%の組織型が判別でき, 特にNSEとCEAを用いて小細胞癌と非小細胞癌を107/121, 88.4%で鑑別できた. 腺癌での臨床病期との関係はSLX, CA19-9, CEA, CA125, β2MGの項目で1, 2期と3, 4 期の間に有意差を認めた.
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薄田 勝男, 斎藤 泰紀, 高橋 里美, 菅間 敬治, 佐川 元保, 佐藤 雅美, 太田 伸一郎, 永元 則義, 仲田 祐, 藤村 重文
1990 年 30 巻 6 号 p.
857-861
発行日: 1990/10/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
前年度集検問接写真の所見を利用し, 集検発見肺癌139例の特徴を分析した.前年度の集検写真に腫瘍陰影を認める症例は, 増大速度が小さいことが多く, I期・II期の割合が70%と病期が良好で, 発見時腫瘍陰影径が平均30mmと小さく, 腺癌が有意に多く, 4年生存率は60%と良好であった.前年度の集検写真に腫瘍陰影を認めない症例は, 増大速度が大きいことが多く, I期・II期の割合が48%と病期が不良で, 発見時腫瘍陰影径が平均38mmと大きく, 扁平上皮癌が有意に多く, 4年生存率は25%と不良であった.
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特に切除率と病期について
高橋 里美, 薄田 勝男, 菅間 敬治, 佐川 元保, 佐藤 雅美, 太田 伸一郎, 永元 則義, 今井 督, 斎藤 泰紀, 須田 秀一, ...
1990 年 30 巻 6 号 p.
863-870
発行日: 1990/10/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
昭和57年~62年の6年間に延べ1,088,009名が肺癌集団検診を受診し, 398例の原発性肺癌が発見された.胸部X線写真読影により291例が, また, 高危険群 (50歳以上喫煙指数600以上) の喀淡細胞診により131例が発見された。全発見肺癌398例中278例を切除した (切除率69.8%).術後病理病期0期例と1期例の合計は全発見肺癌の48.2%を占めた.
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全国主要70施設95回答のアンケート調査から
福田 泰樹, 山田 勝彦, 岩垣 明隆, 浦野 透, 槇野 茂樹, 河合 正行, 栗山 隆信, 閔 庚樺
1990 年 30 巻 6 号 p.
871-877
発行日: 1990/10/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
左肺または右肺に発生した肺癌それぞれにおいて, 気管前リンパ節転移を「同側縦隔リンパ節転移(N2)としているか」, または「対側縦隔リンパ節転移(N3)としているか」について全国の主要70施設にアンケート調査を実施した.その結果, 同リンパ節の取扱いが必ずしも統一されておらず, 特に左肺癌の場合には38.9%の回答が対側縦隔リンパ節転移(N3)としていた.今後,「肺癌取扱い規約」に基づいた, 症例のより正確な集積が望まれる.
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大和田 英美, 亀井 太美子, 林 豊, 山口 豊
1990 年 30 巻 6 号 p.
879-884
発行日: 1990/10/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
日本肺癌学会組織分類規約にもとついて, 類表皮癌, 腺癌, 大細胞癌と診断された311例の手術別出標本について, それらの組織亜型, 分化度と患者の3年および5年生存率との対比をおこなった.その結果, 腺癌, 類表皮癌, 大細胞癌症例の順に, さらに類表皮癌, 腺癌症例においては高分化, 中分化, 低分化型の順に3年および5年生存率は低下する傾向が認められた.これらの結果から日本肺癌学会組織分類規約にもとついた組織亜型分類あるいは分化度分類と患者の術後生存率との間に関連性の存在することが示唆された.
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特に他部位より混入した細胞の識別について
佐川 元保, 斉藤 泰紀, 高橋 里美, 薄田 勝男, 菅間 敬治, 佐藤 雅美, 太田 伸一郎, 永元 則義, 今井 督, 藤村 重文
1990 年 30 巻 6 号 p.
885-892
発行日: 1990/10/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
胸部X線無所見同時性肺二重癌における擦過標本上の癌細胞の出現様式を分析した. 結論:(1) オレンジG好性で散在性に出現する癌細胞は紛れ込んだ細胞と考えるべきである. (2) オレンジG好性で集団で出現する癌細胞や, 変性のある癌細胞は, 擦過部位から剥離したものか否かは不明であり, 他部位の擦過細胞所見との比較が董要である. (3) ライトグリーン好性で変性がなく集団で出現する癌細胞は, 擦過部位から剥離したと見なすべきである.
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酒井 文和, 曽根 脩輔, 今井 迅, 岡嵜 洋一, 今井 豊, 林 孝志
1990 年 30 巻 6 号 p.
893-901
発行日: 1990/10/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
我々は, 肺尖部胸郭入口部のMRイメージングに表面コイルを利用した. 表面コイルの使用によって, 画質の向上が得られ, より詳細な構造の描出が可能であった. 表面コイルを用いた矢状断や冠状断のMRイメージの読影に有用な解剖図譜を呈示するとともに, 肺尖胸郭入口部病変の進展度診断に関するMRIの有用性について検討した.
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Tegafur+OK-432併用のretrospective study
川村 暢子, 神宮 賢一, 三好 真琴, 大曲 淳一, 増田 康治
1990 年 30 巻 6 号 p.
903-911
発行日: 1990/10/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
1979年から1986年までに九州大学放射線科で放射線治療を受けた非切除非小細胞肺癌患者のうち, 大学病院で経過が追えた38名について, Tegafur・OK-432・PSKの長期少量化学免疫療法の評価を行った.生存期間に関するいくつかの因子で補正した後でもTegafurとOK-432を使ったものは有意に生存期間が長く, これらの長期少量投与は延命に有効である事が示唆された.今後更に無作為比較試験で症例を重ねて効果を確認する必要があると思われた.
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特に多発癌の可能性の観点から
佐藤 雅美, 斎藤 泰紀, 薄田 勝男, 高橋 里美, 菅間 敬治, 佐川 元保, 太田 伸一郎, 永元 則義, 仲田 祐, 藤村 重文
1990 年 30 巻 6 号 p.
913-919
発行日: 1990/10/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
肺癌切除例におけるpm症例を検討した.その結果, pmは腺癌・女性に有意に多く, またpT
4例またはpN
2例に有意に多くみられた.pm
1を含めた腫瘍病変が肉眼的に完全に切除された非小細胞癌症例で予後を検討すると, 単発性pm例, pm
1例で予後が良好であった.さらに単発性pm例およびpm
1例で, それぞれpN因子別に予後を比較検討すると, pN
0例・pN
1例の予後は極めて良好であった.また, これら長期生存例には多発癌症例が含まれていると考えられた.従って, これらの条件を満たす症例では今後PM (pm) 例でも外科療法の適応となると考えられた.
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池田 賢次, 中島 明雄, 藤田 博司, 池田 顕彦, 月野 光博
1990 年 30 巻 6 号 p.
921-927
発行日: 1990/10/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
原発性肺癌による小腸転移の為, 小腸切除術を施行した2手術例を経験した.共に大細胞癌であり, 症例1は60Gy放射線照射約1.5ヵ月後に, 多発性の山田III型転移性腫瘍による出血及び重積状態による閉塞性イレウスの為, 小腸切除術を施行.術後第8病日に死亡した.症例2は右上葉・胸壁合併切除+60Gy放射線照射約11ヵ月後に, Borrmannl I型の潰瘍形成を伴う空腸転移巣による穿孔の為麻痺性イレウスを生じ, 空腸切除術を施行.症例2は術後137日生存し, 本邦報告例の中でも比較的長期生存例であった.
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篠田 雅幸, 波戸岡 俊三, 高木 巌, 陶山 元一, 國島 和男, 中村 栄男
1990 年 30 巻 6 号 p.
929-934
発行日: 1990/10/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
症例は46歳, 女性.胸部X線写真で右下肺野の腫瘤影を指摘された.術前確定診断は得られなかったが, 2年前他の愁訴で撮った写真にも既に認められ, 増大傾向を示していたため右肺下葉切除を行なった.病理組織診は腺様嚢胞癌, T
2N
0M
0であった.2枚の写真より計算した腫瘍倍増日数は約667日であった.文献的に肺野の腫瘤影で発見された末梢型肺腺様嚢胞癌と確認できた報告例は本邦では本例も含めて5例であっ
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亀井 治人, 大熨 泰亮, 平木 俊吉, 上岡 博, 小谷 剛士, 木村 郁郎
1990 年 30 巻 6 号 p.
935-940
発行日: 1990/10/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
1983年より当科に入院した肺癌340例のうち4例 (1.2%) に手指への転移を認めた.組織型は小細胞癌2例, 腺癌1例, 扁平上皮癌1例であり, 1例が指骨のみへの転移, 1例が骨および皮膚・軟部組織への転移, 2例が皮膚・軟部組織のみへの転移であった.症状は同部の腫脹と疹痛を全例に認めた.手指への転移は, 全身病変悪化の部分症状として発現し, 全例転移発現後6カ月以内に死亡した.悪性腫瘍の手指への転移は非常にまれであり, また予後不良を示唆する徴候と思われる.
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酒井 洋, 鈴木 文直, 吉井 章, 米田 修一, 野口 行雄, 吉田 清一
1990 年 30 巻 6 号 p.
941-945
発行日: 1990/10/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
16歳女性. 健診の胸部X線写真で右後縦隔に5×4cm大, 第10胸椎の破壊を伴った球形の腫瘤陰影を指摘され, エコー下生検で骨巨細胞腫と診断, 手術にて全摘, 胸椎掻爬, 腓骨移植が行われた1例である. 胸椎より発生したものとしては本邦11例目であり, 縦隔腫瘍像を呈した胸椎巨細胞腫としては本邦で2例目である.
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1990 年 30 巻 6 号 p.
947-959
発行日: 1990/10/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー