肺癌
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45 巻, 6 号
October
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総説
  • ―光線力学的治療の進歩と非小細胞肺癌に対する適応拡大―
    原田 匡彦
    2005 年45 巻6 号 p. 687-692
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/12
    ジャーナル オープンアクセス
    中心型肺癌の治療戦略として機能温存を考慮に入れた内視鏡レーザー療法は, 処置後の肺機能低下が少なく低侵襲治療法としての地位を確立しつつある. 中でも光線力学的治療法 (photodynamictherapy; PDT) は, 腫瘍を選択的に壊死させうることから, 安全性が高くまた他の治療法とのcombinationも容易で応用範囲が広いため期待されている治療法である. PDTは腫瘍親和性光感受性物質 (フォトセンシタイザ) とレーザー光によって引き起こされる光化学反応を利用した治療法で, 癌組織中に活性酸素を生成させ, その力によって癌組織を壊死させるものである. 予め患者に薬品 (Photofrin®) を静注し, 癌組織と正常組織における薬品濃度差が最大となる48~72時間後に, 薬品の励起波長と一致する波長 (630 nm) のレーザー光を照射すると, これによって癌細胞に取り込まれた薬品が励起され, 薬品の持つエネルギーは癌組織中の酸素に移乗して一重項酸素 (活性酸素) を生成するが, この活性酸素の殺細胞性によって癌細胞を壊死させるのが本法の原理である. 現在, 日本における呼吸器領域でのPDTの適応は, 手術等の他の根治的療法が不可能な場合あるいは肺の機能温存が必要な患者に他の治療が使用できない場合で, かつ, 内視鏡的に病巣全容が観察でき, レーザー光照射が可能な病変とされており, 早期肺癌 (病期0期または病期I期肺癌) のみに限定されている. 教室では1978年からの基礎実験を経てPDTの臨床応用を開始し1980年には世界で第1例目の中心型肺癌の気管支鏡下PDTを行った. 2003年12月までにPDTを行った早期肺癌症例は221病巣に達し, 84.6%の完全寛解 (CR) を得た. Retrospective analysisの結果より, 根治するための絶対的適応基準として腫瘍最大径が1cm以下, 腫瘍遠位端確認可であることが極めて重要で, これを遵守すればPDT単独治療でも根治が見込めると考えている. 本論文では近い将来中心型早期肺癌に対する治療戦略の中心となるであろうPDTについて, 治療前適応評価 (蛍光内視鏡検査, 経気管支内視鏡エコー), 治療の方法・コツ, 臨床成績について紹介し, さらに適応拡大に向けた進行癌に対するトライアルについても紹介する.
  • 上岡 博, 前田 忠士, 青江 啓介
    2005 年45 巻6 号 p. 693-696
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/12
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿では, 開発中の肺癌に対するcytotoxic agentのうち, 葉酸代謝に関係する複数の酵素を阻害する新規代謝拮抗剤であるpemetrexedと新規のanthracycline系の薬剤であるamrubicinの臨床試験の結果を概説した. Pemetrexedは既治療の非小細胞肺癌を対象とした大規模な比較試験において, 現在の標準的治療法であるdocetaxelと同等の有効性を有し, かつ毒性が極めて軽微であることが報告された. 現在本邦でも臨床試験が進行中であり, またプラチナ化合物あるいは非プラチナ化合物との併用療法の検討も行われている. 一方, amrubicinは進展型の小細胞肺癌に対して, 単剤で76%と高い奏効率が報告され, cisplatinとの2剤併用療法では, 奏効率87%, 生存期間中央値13.6ヵ月と良好な成績が示され, 現在cisplatin + irinotecanの2剤併用療法との比較試験が計画されている.
原著
  • 中川 達雄, 奥村 典仁, 三好 健太郎, 張 性洙, 松岡 智章, 亀山 耕太郎
    2005 年45 巻6 号 p. 697-703
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/12
    ジャーナル オープンアクセス
    目的. 75歳以上高齢者肺癌の臨床的側面を明らかにすること. 方法. 1982年4月から1999年12月迄に根治目的に手術を施行した高齢者102例を含む非小細胞肺癌726例の検討を行った. 結果. 非高齢者群に比べ高齢者群では, 縮小手術の割合が多く (3.5% vs 9.8%; p<0.01), ND2以上郭清の割合が少なかった (91.5% vs 79.4%; p<0.01). 病理病期ではIII期の割合が少なく (23.2% vs 12.7%; p<0.05), 術後補助療法の割合が少なかった (27.1% vs 11.8%; p<0.05). 高齢者群で術前合併症は57.8%, 術後合併症は40.2%に認め, 手術関連死は3.9%で, 非高齢者群1.3%に比べ多い傾向であった (p<0.1). 5年生存率はI期で69.6%と良好であったが, 非高齢者群に比べ劣っていた (p<0.05). 死因では他病死の割合がI期で60.0%と高かった (p<0.05). 予後因子解析では, 病理病期のみが単変量および多変量解析で有意であった. 結論. 高齢者群では他病死の割合が多いが, おおむね非高齢者群と同等の予後が得られ, 手術は高齢者肺癌において有効な治療法と考えられた.
  • ―肺容量減少術 (LVRS) 効果について―
    安川 元章, 中川 勝裕, 桂 浩, 岩崎 輝夫, 大瀬 尚子
    2005 年45 巻6 号 p. 705-710
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/12
    ジャーナル オープンアクセス
    目的. 従来の機能的肺切除基準では切除適応外と判断されていた肺気腫合併低肺機能肺癌症例に肺容量減少術 (LVRS) 効果により手術を施行し得たとする報告が散見されるようになった. そこで, どのような症例でLVRS効果が期待できるかを検討した. 対象と方法. 肺癌切除術後の残存肺機能 (FVC, FEV1.0) について, 病理学的に正常肺組織群 (61例) と肺気腫合併群 (43例) にわけ, 予測残存率と実測残存率をpaired t-testにて検定した. 結果. 正常肺組織群ではFVC, FEV1.0の予測残存率と実測残存率に有意差を認めなかったが, 肺気腫群でFEV1.0の実測残存率は予測残存率より高値を示した (p = 0.0072). 肺気腫群で血流シンチグラム上, 切除部位が血流の低下部位と一致した23例で, FVC, FEV1.0の実測残存率はともに予測残存率より高値を示した (FVC: p = 0.0042, FEV1.0: p = 0.00014). 結語. 肺気腫合併例で術後残存FEV1.0が予測より高くなり, 特に切除部位に血流低下を認める症例でLVRS効果が得られると推察された.
  • 櫻井 裕幸, 進藤 俊哉, 松本 雅彦
    2005 年45 巻6 号 p. 711-716
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/12
    ジャーナル オープンアクセス
    目的. 上葉発生肺癌におけるリンパ節転移様式を評価し, 選択的縦隔リンパ節郭清の妥当性につき検討した. 方法. 1986年から2003年までに当院にて切除された原発性肺癌症例中, 肺門・縦隔リンパ節郭清 (ND2a) が施行された上葉発生肺癌で縦隔リンパ節転移陽性であった44症例を対象とし, リンパ節転移様式を調査した. 結果. 右上葉発生14症例のうち上縦隔領域リンパ節転移は12例に認められ, 下縦隔領域への転移は4例に認められた. スキップ転移は1例で, 上縦隔領域リンパ節への転移であり, 下縦隔領域へのスキップ転移はなかった. 左上葉に関して, 上区発生肺癌 (22症例) では上縦隔・大動脈領域リンパ節転移は21例に認められ, 下縦隔領域リンパ節転移は2例に認められた. スキップ転移は9例に認められ, いずれも大動脈領域への転移であった. 舌区発生肺癌 (8症例) では上縦隔・大動脈領域リンパ節転移は5例に認められ, 下縦隔領域へは7例に認められた. スキップ転移は1例に認められ, multiple stationとして上縦隔・下縦隔領域へ転移を認めていた. 結論. 右上葉および左上葉上区発生肺癌はそのリンパ節転移様式から, 肺門および上縦隔領域リンパ節が術中迅速病理診断にて転移陰性であれば, 下縦隔領域リンパ節郭清を省略できる可能性が示唆された.
  • 田嶋 裕子, 小野 憲司, 菅谷 将一, 安田 学, 竹之山 光広, 森田 勝, 花桐 武志, 大崎 敏弘, 杉尾 賢二, 安元 公正
    2005 年45 巻6 号 p. 717-722
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/12
    ジャーナル オープンアクセス
    背景. 気腫性肺嚢胞患者に肺癌が発生する頻度は高く, 肺癌発生の危険因子の一つと考えられている. 方法. 1991年から2004年までに切除した原発性肺癌922例のうち, 胸部CTで嚢胞形成を認め, その嚢胞壁から発生したと考えられた肺癌6例について, その画像的特徴や臨床病理学的特徴を検討した. 結果. 胸部CT所見は嚢胞壁の不整形陰影が1例, 嚢胞壁の壁肥厚のみが1例, 嚢胞壁内に突出する腫瘤陰影が2例, 嚢胞壁から肺内へ進展した腫瘤陰影が2例であった. 肺嚢胞の存在診断から, 肺癌の確定診断に要した期間は3例では同時であったが, 他の3例は21ヵ月, 48ヵ月, 71ヵ月であった. 術前に組織学的診断が得られたのは1例のみで, 他の5例は術中迅速病理診断にて確定した. 組織型は中分化腺癌が3例, 低分化腺癌が2例, 大細胞神経内分泌癌が1例であった. 予後は, 大細胞神経内分泌癌症例が術後4ヵ月で再発したが担癌生存中, また, 1例他病死した以外の4例は, 無再発生存中である. 結論. 胸部CTにて嚢胞壁の変化を認めた場合は精査を行うこと, 確定診断が得られない場合でも肺癌が疑わしい時には積極的に外科治療を考慮することが肝要である.
症例
  • 西海 昇, 吉野 和穂, 早川 信崇, 朴 在善, 岩崎 正之, 井上 宏司
    2005 年45 巻6 号 p. 723-727
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/12
    ジャーナル オープンアクセス
    背景. 18F-fluorodeoxyglucose (FDG) positron emission tomography (PET) は, 悪性腫瘍の病期診断と治療効果の判定において重要な検査に位置付けされてきた. しかし, 肺癌を含めた悪性腫瘍の術後再発の診断にFDG PETを用いた報告は少ない. われわれは, FDG PETが肺腺癌術後の胸壁転移の発見に有用であった1例を経験した. 症例. 54歳女性. 2000年に右S6肺腺癌に対し右下葉切除とND2a郭清を施行した (pT2N0M0). 術後32月CEAが21 ng/mlに上昇し, 胸部CTを含む全身検索を行ったが再発や多重癌は指摘できなかった. 術後35月FDG PET検査で, 右前胸部に集積を認め, 胸部CTとMRIから胸壁転移と診断した. 術後38月右前胸壁切除を施行した. 腫瘍は, 壁側胸膜と肋間筋の間に円盤状に存在し, 壁側胸膜外脂肪織への血行性転移と診断した. 結論. 非小細胞肺癌の再発診断にFDG PETは有用である.
  • 鷲尾 一浩, 西 英行, 和田 佐恵, 玄馬 顕一
    2005 年45 巻6 号 p. 729-733
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/12
    ジャーナル オープンアクセス
    肺MALT (mucosa-associated lymphoid tissue) リンパ腫の1手術例を経験したので報告する. 症例. 67歳女性. 3年前右上葉異常陰影を指摘されたが放置されていた. 1年前右肺S3無気肺を認め改善しないため当院紹介となった. 胸部CT上, 右肺S3に中枢から胸膜まで達する境界明瞭で気管支透亮像をともなう浸潤影を認めた. 腫瘍マーカーは正常範囲内であった. 気管支鏡検査にてMALTリンパ腫と診断された. Gaシンチ等全身検索行うも他に病変を認めず限局性病変と判断し右上葉楔状切除 (ND2a) を行った. 術後病理組織学的検査で気管支断端浸潤陽性の可能性が示唆されたが, 術後に化学療法, 放射線治療は行わず現在経過観察中である. 結論. 肺MALTリンパ腫は限局性病変に関しては外科的切除の対象と考えられるが現在のところ完全切除の成否と予後との関係に関しては一致した見解は得られていない. 迅速病理組織学検査における断端浸潤の判定の困難さ, 化学療法および放射線治療の効果に一致した見解が得られていないこと, 拡大手術の侵襲の大きさを考慮すると中枢へ進展した肺MALTリンパ腫に対する治療法の選択にはさらなる症例の蓄積が必要と考えられた.
  • 南 寛行, 佐野 功, 原 信介, 土屋 健史, 岩崎 啓介
    2005 年45 巻6 号 p. 735-738
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/12
    ジャーナル オープンアクセス
    背景. 胸壁原発の悪性リンパ腫は稀であり, その発生原因として慢性結核性膿胸やEBウイルス感染との関連が指摘されている. またその予後は一般に不良である. 今回われわれは膿胸や結核の既往がなく, 何ら基礎疾患を伴わない本症の1例を経験し, 手術と補助化学療法により良好な結果を得たので報告する. 症例. 17歳男性, 右胸壁の疼痛と腫脹を主訴として来院. 胸部X線検査, CT検査にて右胸壁軟部組織を中心に第4肋骨の融解を含む直径7cm大の腫瘤を認めた. 腫瘍の経皮針生検において肉腫疑いの悪性細胞を認めたため第3~5肋骨を含む胸壁切除を行った. 術後の病理検査ではび漫性大細胞型, 非ホジキンB cell typeの悪性リンパ腫であった. 術後化学療法としてCHOP (cyclophosphamide, doxorubisin, vincristine, predonisolon) 療法を行った. 現在, 患者は術後5年を経過するが何ら再発の所見なく社会復帰している. 結論. われわれは基礎疾患を伴わない胸壁原発悪性リンパ腫の1例を経験し, 良好な予後を得ているので報告した.
  • 秋田 憲志, 大洞 昭博, 坂野 喜史, 川島 靖浩
    2005 年45 巻6 号 p. 739-744
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/12
    ジャーナル オープンアクセス
    背景. 医療技術の進歩や医療機器の開発により悪性腫瘍による食道狭窄の姑息的治療として, 食道ステント留置術が頻繁に施行されるようになってきた. その中で, 食道ステント留置後に生じる急性気道閉塞は, 急死する可能性もあり重要な合併症の1つとされる. 近年, その対策としてのダブルステント留置の報告が散見され, その有用性が見直されている. 症例. 症例は68歳男性. 肺癌の診断で放射線治療と化学療法を施行後, 経過観察中に, 縦隔リンパ節転移の再増大にともなう食道狭窄をきたし入院となる. 食道にself-expanding metallic stent (SEMS) 留置を施行したが, その18時間後にSEMSの拡張にともない, 腫大した転移リンパ節が圧排され, 気道閉塞をひきおこした. このため気管にもSEMS留置を施行. その後, 摂食可能となり全身状態も改善したが, 食道気管支瘻を形成し, 肺炎により死亡された. 結語. 食道ステント留置が必要となった場合, 気道閉塞の危険性につき十分な検討を行い, 最初からダブルステントとするか, そうでなければ食道へのSEMS留置後, 最長4週間は気道閉塞の危険性に留意し, 経過観察していく必要があると考えられた. また, ダブルステントとなった場合には食道気管支瘻への留意が必要と考えられた.
  • 田中 浩一, 森 雅樹, 斎藤 司, 錦織 博貴, 本庄 統, 加藤 治文
    2005 年45 巻6 号 p. 745-750
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/12
    ジャーナル オープンアクセス
    背景. 急速な腫瘍の増大を示した右肺上葉原発の多形癌を経験した. その臨床的, 病理学的特徴を検討し報告する. 症例. 66歳男性. 胃癌術後フォローアップ中の胸部CTにて腫瘤陰影を指摘された. 原発性肺癌が疑われたが, 気管支鏡下生検では確定診断を得られなかった. 陰影発見から2ヶ月半後のCTにおいて, 腫瘍は径2cmから7cmへと急激な増大を認めた. 骨シンチ等にて左大腿骨遠位端に異常所見がみられ骨転移を第一に疑ったが, 他の検査で異常は認められず局所コントロールの必要性を考慮し右肺上葉切除を行った. 切除標本病理検査で「多形癌」と診断された. 術後5ヶ月目に脳転移が出現し放射線治療を施行したが, 一時的な反応がみられたものの十分な効果は得られず, 照射8ヶ月後に脳転移巣を外科的に切除した. 現在のところ局所再発はみられておらず, 全身状態は良好で社会復帰ができている. 結論. 多形癌は悪性度の高い腫瘍であり手術適応には十分な検討が必要であるが, 症例によっては原発巣, 転移巣ともに外科的切除が, 局所コントロールや症状緩和などの点で有益かつ有効な治療手段となりうる可能性が示唆された.
  • Satoshi Shiono, Kanji Nagai, Junji Yoshida, Mitsuyo Nishimura, Genichi ...
    2005 年45 巻6 号 p. 751-754
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/12
    ジャーナル オープンアクセス
    Background. In 1991, Travis et al. proposed a new category of large cell neuroendocrine carcinoma (LCNEC). Some investigators reported poor prognosis of LCNEC patients, with 5-year survival rates similar to small cell carcinoma. We report a case of LCNEC with aggressive progression after complete resection. Case. A 71-year-old man underwent left pneumonectomy and lymph node dissection for lung cancer on June 13, 2002. No finding suggested distant metastasis. The pathological diagnosis was large cell neuroendocrine carcinoma, T2N1M0, stage IIB. Two months after surgery, he presented with lumbago. Bone scintigram and magnetic resonance imaging revealed bone metastasis to the right sacroiliac joint. A brain metastasis was also detected by computed tomography. He received 30-Gy brain irradiation and 30-Gy bone radiotherapy to relieve the pain. Although the radiotherapy alleviated the pain, the brain and sacroiliac joint metastases did not shrink. The patient died of recurrent lung cancer 99 days after the surgical resection. Conclusion. We reported an aggressive progression case of pulmonary LCNEC. Prognosis and treatment efficacy in LCNEC patients remain controversial, and further investigation is needed.
  • 村田 修一, 北川 正信, 松井 一裕
    2005 年45 巻6 号 p. 755-759
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/12
    ジャーナル オープンアクセス
    背景. 新WHO分類の多形癌にはいくつかの異質の癌が含まれていて, 問題がある. 症例. 症例は74歳男性. 73歳時健診の胸部X線写真にて右上肺野に空洞性病変を指摘された. 1年後陰影の増大がみられ, 気管支鏡下細胞診ではClass V, non-small cell carcinomaと診断された. このため, 右上葉切除およびND2aのリンパ節郭清を施行した. 切除標本では右S1に最大径2.5cm大の腫瘤があり, その中心から末梢側にかけて出血を伴う梗塞を認めた. 組織学的には多数の核分裂像を示す多形紡錘形細胞の増殖からなり, 同時に著明な炎症反応の混在があり, 病態診断が困難であった. 免疫組織化学的に腫瘍細胞はepithelial membrane antigen (EMA) が明らかに陽性であり, carcinoembryonic antigen (CEA) は陰性, cytokeratin (AE1/AE3) はごく一部にのみ陽性であった. 米国Armed Forces Institute of Pathology (AFIP) の見解を仰ぎ, 紡錘細胞型多形癌と最終診断した. 半年後に腰仙椎に転移し, その2ヶ月後には脳転移で死亡した. 結論. 著明な炎症反応を伴った紡錘細胞型多形癌の1例を報告し, 多形癌には肉腫成分の細胞異型度およびその占有率 (例えば50%以上) が考慮されるべきことを主張した.
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