背景.リンパ脈管筋腫症(LAM)は腫瘍抑制遺伝子
TSC の異常によって発症し,リンパ管の新生能を有することが知られている.肺癌を合併するLAMは稀である.
症例.症例1:64歳,女性.右上肺野に腫瘤影を指摘され,また両肺に多発性嚢胞陰影がみられた.切除肺組織では,右S
1~S
3の肺癌(腺癌)と2群リンパ節に転移を認めた.また,多発性嚢胞性病変はLAMと診断された.さらに,微小結節性肺胞上皮過形成(MMPH)の像もみられた.遺伝子解析では,LAMおよびMMPHの病変部に
TSC1 遺伝子の異常が確認された.症例2:73歳,女性.左肺S
3とS
6に腫瘤影を認め,また両肺に多発性嚢胞陰影がみられた.切除肺組織では,肺の重複癌(いずれも腺癌)と2群リンパ節に転移がみられた.また,多発性嚢胞性病変はLAMと診断された.遺伝子解析では,一方の肺癌とLAMの病変部に
TSC2 遺伝子異常を認めたが,それぞれの遺伝子パターンは異なっていた.
結論.肺癌とLAMが併存した稀な2症例を報告した.肺癌の発症に
TSC 遺伝子異常が関与している可能性は低かった.
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