背景.同時性多発癌の一特殊型である肺衝突癌の2例を経験したので報告する.
症例.症例1は,70歳,女性.咳嗽,喀痰を主訴に,近医を受診した.胸部CTにて右肺S
8に6.0×3.2 cmの腫瘤を認めた.右肺管状中下葉切除術を施行し,病理診断は小細胞癌と扁平上皮癌の衝突癌であった.術後は,シスプラチン,エトポシドによる術後補助化学療法を5コース施行し,術後3年6ヶ月の時点にて再発を認めていない.症例2は,肺大細胞癌に対して,左舌区区域切除を施行した1年後の胸部X線で右肺結節を認めた.胸部CTにて右肺S
3に2.0×1.5 cmのスピクラを伴う結節影を認めた.右肺上葉切除術を施行したところ,腺癌と扁平上皮癌の衝突癌と診断された.術後経過は良好に経過したが,術後6ヶ月後心筋梗塞にて他病死された.
結論.肺衝突癌は比較的稀であり,術前診断は困難である.それぞれの生物学的悪性度や病理病期を考慮して術後の治療方針を決定すべきと考える.
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