目的. 昭和59年度より開始した集検喀痰細胞診検査18年間の実績の検討を基に現在の間題点を明らかにし, 今後の課題を考察する.
方法. 18年間の受診対象者の分析 (性別, 年齢, 喫煙指数, ハイリスクグループの割合) と成績・追跡調査結果の検討.
結果. 18年間の受診者総数は, 延べ30,019名で, 発見された癌は, 15件, 癌発見率は, 10万対50であった. 対象者の内訳は, 性別では,「男性」, 年齢では,「50歳以上」が多かったが, 喫煙指数B. I. では,「600未満」が過半数を占め, ハイリスクグループ以外の受診者も少なくなかったことが示唆された. 成績は, 判定A348件 (1.16%), 判定B 29,390件 (97.91%), 判定C 253件 (0.84%), 判定D 25件 (0.08%), 判定E 3件 (0.01%) であった.
結論. 今後の課題は,(1) 喀痰細胞診検査の対象をハイリスクグループに絞ること,(2) 見落としのない, スクリーニングに適した標本作製技術の習得,(3) 早期肺門部肺癌の細胞像に習熟すること,(4) 精度管理にフィードバックできるフォローアップ体制づくり,(5) 福岡県全体をカバーする精度管理体制の構築と思われる.
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