肺癌
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34 巻, 1 号
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  • 佐川 元保, 斎藤 泰紀, 高橋 里美, 遠藤 千顕, 薄田 勝男, 菅間 敬治, 佐藤 雅美, 大久田 和弘, 佐藤 博, 藤村 重文
    1994 年 34 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 1994/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    高危険群における胸部X線写真と喀痰細胞診を組み合わせた検査の, 肺癌発見に関する感度および特異度を算出し, あわせて喉頭癌も含めた値も算出した. 12町村で1986, 87年に胸部X線写真と喀痰細胞診の両者を受診したB. I. 600以上の40歳以上の男女, のべ4718名を対象として, 1988年末現在での肺癌, 喉頭癌の罹患の有無をがん登録と照合し調査した.
    肺癌の診断の12ヵ月前以内に陰性とされた集検を偽陰性と定義すると, 感度は75.0%, 特異度は97.0%であった. 喉頭癌も含めた感度, 特異度は, それぞれ76.9%, 97.1%であった. 他の2種の定義に基づいた感度, 特異度に関しても, あわせて算出した.
  • 山田 耕三, 吉岡 照晃, 野村 郁男, 松村 正典, 野田 和正, 細田 裕, 林 康史, 石橋 信, 亀田 陽一
    1994 年 34 巻 1 号 p. 7-14
    発行日: 1994/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    最近1年間に切除された原発性肺癌70例の中で, CT画像とその病理所見で肺嚢胞性疾患に隣接していることが確認された肺癌を8例経験した. いずれの症例も早期診断が困難であり, かつ病理学的に6例 (75%) がIIIA期以上の進行肺癌であったことに注目し, 肺嚢胞性疾患に隣接した肺癌の診断の問題点について考察した. 症例の内訳は全員が男性の重喫煙者であり, 年齢は53-75歳 (中央値: 70歳) であった. 画像的には初診前の胸部X線写真を入手できた7例のうち4例で, 12カ月前の胸部X線写真では原発巣と考えられる陰影を指摘できなかった. また初診時の単純X線写真とCT画像を比較してみると, 4例 (50%) では単純X線写真でも肺嚢胞に隣接した肺癌を指摘できるが, 4例では単純X線写真では病変の指摘が困難でありCT診断が重要であった. 以上, 肺嚢胞性疾患に隣接した肺癌は単純X線写真での早期発見が困難であり, また病理学的にも進行肺癌で見つかることが多かった. 肺嚢胞性疾患患者ではCT画像を用いた定期的な経過観察と肺癌を疑った際には積極的な検索が必要であることが示唆された.
  • 伊達 学, 佐藤 功, 小橋 雄一, 中野 秀治, 中川 準平
    1994 年 34 巻 1 号 p. 15-22
    発行日: 1994/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    1991年4月から1992年9月までに当科で診断された原発性肺癌27症例を対象として, 頸部超音波検査と超音波ガイド下穿刺吸引細胞診を実施し, 頸部リンパ節転移の有無の検索における有用性を検討した. リンパ節は27例中9例 (14個) に描出可能であり, 内8例 (13個) に対し超音波ガイド下穿刺吸引細胞診が施行され, 5例 (10個) が転移陽性と診断された. 5例の内訳は, 男性2例, 女性3例, 腺癌4例, 扁平上皮癌1例, 右上葉原発4例, 右下葉原発1例, 肺野型4例, 肺門型1例で, 転移リンパ節の局在および個数は上内深頸領域1個 (患側), 下内深頸領域7個 (患側5例, 健側2例) 鎖骨上窩領域2個 (健側) であった. また, 触診との比較では3例においてリンパ節は全く触知不能であった. 本法は, 少ない侵襲で簡単に施行でき, 診断能も高いことから, 原発性肺癌のN因子病期診断におけるスクリーニング検査として不可欠であると思われた.
  • 工藤 翔二, 森川 哲行, 忽滑谷 直孝, 山田 浩一, 小林 国彦, 日野 光紀, 倉根 修二, 仁井谷 久暢
    1994 年 34 巻 1 号 p. 23-28
    発行日: 1994/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    肺小細胞癌extensive disease (ED) 症例の中でperformance status (PS) が3あるいは4の症例 (PS不良例) 16例に対して, cisplatin, cyclophosphamide, vincristine, adriamycin, nimustine, mitomycin Cの6種類の薬剤を低用量組み合わせたpilot studyを施行した. その結果, 1例にcomplete response, 11例にpartial responseを認め, 奏効率は75%であった. 全体のmedian survival timeは3.7ヵ月であったが, 10例 (63%) は治療に伴い一時的ではあるがPSが向上した.副作用は重篤ではなく, 治療関連死は認められなかった. 肺小細胞癌のPS不良例に対して多種類の有効な薬剤を低用量組み合わせたこの多剤交代併用療法はquality of lifeの向上にとって意義のあることが示唆された.
  • 荒木 潤, 増本 英男, 浅井 貞宏
    1994 年 34 巻 1 号 p. 29-36
    発行日: 1994/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    拡張性金属ステント (EMS) は気道の外側からの圧排に対しては有用であるが, 悪性腫瘍の気道内浸潤に対しては, 腫瘍がEMSのワイヤーの隙間から増殖してくるため有用ではない. 我々はEMS内への腫瘍浸潤を防止するためシリコン加工合成繊維ガーゼ内張りEMSを試作し, その有用性を検討した. またこのEMSを気道内腫瘍浸潤のために呼吸困難を訴えた3症例に留置した.挿入は局所麻酔で容易にでき, 硬性気管支鏡は不要であった. この治療により呼吸困難は明らかに改善した. 合併症やステントの移動は認められなかった. 腫瘍浸潤による気道狭窄例に対するガーゼ内張りEMSは有用と思われた.
  • 堀口 高彦, 立川 壮一, 玉城 清嗣, 加藤 誠, 土井 雅史, 花園 公彦, 竹内 徳之, 棟方 英次, 平吹 広一, 半田 美鈴
    1994 年 34 巻 1 号 p. 37-45
    発行日: 1994/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    原発性肺癌におけるBFP (basic fetoprotein) の臨床的意義を検討するため原発性肺癌患者50例と他の非癌性肺疾患患者40例について血清BFPを測定し, 各種腫瘍マーカー (CEA, SLX, CA19-9, CA125, TPA, SCC, NSE) と比較検討した. BFPは原発性肺癌で58%と高い陽性率を示し, これはTPAにはやや劣るもののCEA, SLXより高い陽性率であった. 組織型別では, 小細胞癌, 大細胞癌で高い傾向を示した. CEA, SLXは腺癌に, SCCは扁平上皮癌に, NSEは小細胞癌にそれぞれ特異性が高かった. 病期別検討では, BFPは病期の進行とともに上昇したが, 化学療法有効例では低下, 無効例では, 上昇の傾向を認め, 特に小細胞癌でその傾向が強かった. BFPと他の腫瘍マーカーとの相関ではNSEと相関を示したのみでありcombination assayに有用となる可能性が示唆された. BFPは原発性肺癌における治療効果のモニタリングに有用と思われた.
  • 森 雅樹, 森 裕二, 山田 耕三, 福久 健二郎, 鈴木 明
    1994 年 34 巻 1 号 p. 47-52
    発行日: 1994/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    CTによる縦隔リンパ節の部位命名に関する一致率は, 境界が不明瞭なリンパ節部位や複数の部位の基準を満たすリンパ節の存在のために, 必ずしも良好ではないことが知られている. 本研究は, 縦隔リンパ節の部位命名のために新たに作成されたCT診断基準の有用性を検討するために行った. 20名の医師に202部位の縦隔リンパ節のCT像を4ヵ月間の間隔をおいて2度読影させた.1回目の読影では, 現在の肺癌取扱い規約に従って命名させた. 2回目の読影では新しいCT基準に従って命名させたが, この基準では部位間の境界に関する取り決めや命名に関する優先順位が規定されている. CTによる部位命名の一致率 (mean±SD) は, 1回目は73.8±17.0%で, 2回目は82.8±16.8%となり, 両者の間に有意差を認めた (p=0.0001). 新しい縦隔リンパ節のCT基準は, 読影者間でのリ ンパ節部位命名の一致性を向上させるのに有用と考えられた.
  • 春日井 敏夫, 山川 洋右, 丹羽 宏, 桐山 昌伸, 深井 一郎, 二之湯 勝啓, 横地 隆, 正岡 昭
    1994 年 34 巻 1 号 p. 53-58
    発行日: 1994/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    1992年末までに名古屋市立大学第2外科学教室で施行した低悪性度の癌, 重複肺癌を除く原発性肺癌切除症例538例について検討した. 全切除例の10年生存率は25.9%であった. 組織型別の10年生存率は扁平上皮癌26.1%, 腺癌25.2%, 大細胞癌32.0%で, 腺扁平上皮癌, 小細胞癌では10年生存例はなく, 最長生存期間は各々術後9年, 9年4カ月であった. 病理学的な病期分類では10年生存率はstage I 41.3%, stage II 22.3%, stage IIIA 17.5%で, stage III B, stage IVでは10年生存例はなく, 最長生存期間は各々9年2カ月, 2年8カ月であった.
    さらに術後10年以上経過した1982年末までの切除症例のうち10年以上生存した27例について背景因子について検討した. 性別, 年齢, 組織型, 術式による10年生存率の有意な差は認めなかったが, 性別では男19%に対して女は37%と高率であった. 年齢別では50歳台が37%と最も高率であったが, 一定の傾向は認められず70歳台においても14%の生存が得られた.病理学的T因子, N因子, 根治度による生存率の差を認め, T4, N3, 絶対的非治癒切除術の症例では10年以上の生存は得られなかった.
  • 特にMALT/BALT型リンパ腫を中心として
    中村 栄男, 越川 卓, 本告 匡, 林 香予子, 横井 豊治, 佐藤 秩子, 國島 和夫, 陶山 元一, 杉浦 孝彦, 須知 泰山
    1994 年 34 巻 1 号 p. 59-68
    発行日: 1994/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    肺悪性リンパ腫15例について臨床病理学的に検討し, 文献的考察を加え報告する. 症例は男性8例, 女性7例で性差はなく, 年齢分布は21-71歳 (平均54歳) であった. 病理学的にlow-grade non-Hodgkin's lymphoma 9例, high-grade non-Hodgkin's lymphoma 3例およびlymphomatoid granulomatosis/angiocentric T-cell lymphoma3例の3群に分けられ, 11例がB細胞性, 4例がT細胞性であった. また, low-gradenon-Hodgkin'slymphomaと診断された全例が臨床病理学的にIsaacsonらによる粘膜関連リンパ組織型低悪性度B細胞リンパ腫 (low-grade B-cell lymphoma of mucosa-associated lymphoid tissue, MALT型リンパ腫と略, BALT (bronchus-associated lymphoid tissue) 型リンパ腫とも呼称) に合致すると判断され, そのうち5例の当初診断はpseudolymphomaであったことが特記される.
  • 曽根 脩輔, 酒井 文和, 春日 敏夫, 河合 卓, 羽生田 正行, 小林 理, 久保 恵嗣, 本田 孝行
    1994 年 34 巻 1 号 p. 69-76
    発行日: 1994/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    FCRシステムを用いて撮影した直線軌道の断層像に1次元空間周波数処理を加えて, 断層像に含まれるぼけ像を軽減し, 鮮明な断層像を作成した.
    ぼけ像の軽減に用いたボケマスク処理法では, 断層撮影の軌道方向に生じるぼけ像を低減させて, 診断に必要な画像成分を相対的に強調した. この場合に, 処理後の画像データが空間周波数スペクトル上で0.2サイクル/mm附近にピークを示すようなマスクサイズを使用した. この結果, 肺の腫瘤影については, 腫瘤影の輪郭のノッチや微細な放射状棘状影が認めやすくなった.
    直線軌道と直交する方向でのボケマスク処理追加の効果も検討した. 1次元処理のみの場合より鮮明な断層像が得られたが, 粒状性が低下した. 従ってその優劣は, 対象となる病変により異なると思われる.
  • 見供 修
    1994 年 34 巻 1 号 p. 77-88
    発行日: 1994/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    放射線治療を施行する肺癌患者の肺機能状態を把握するために, 133Xeと99mTc MAAによる肺シンチグラフィを行い, 定性的のみならず半定量的な解析を試みるのが, 本研究の目的である. 患側肺の機能的な損傷の有無およびその程度の解析は, 健康な対照群を基準として, 患側肺の換気分布, 血流分布, 換気血流比の各値をスコア化して行った.
    スコア値の大きさは肺損傷の程度を表し, 換気および血流スコア値が1以上となった肺を「有損傷肺」とした. 有損傷肺は, 68%の症例にみられ, 肺門型とくに左肺癌症例, 病期の進行した症例, 内視鏡的に腫瘍の確認された症例, 小細胞癌や類表皮癌症例などに多くみられた. 有損傷肺症例の予後は, 不良なものが多かったが, 肺損傷が放射線治療後に改善された症例の予後は良好であった.
    肺シンチグラフィは, スコア化することで肺の損傷を半定量的に把握でき, 放射線治療方針の決定, 予後予測に有用と考えられた.
  • Assay値と他の臨床パラメーターとの対比
    藤野 昇三, 榎堀 徹, 桂 敦史, 花岡 淳, 小西 孝明, 浅田 佳邦, 山下 直己, 朝倉 庄志, 加藤 弘文, 森 渥視
    1994 年 34 巻 1 号 p. 89-94
    発行日: 1994/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    上皮成長因子受容体Epidermal Growth Factor receptor (EGFr) を, 50例の原発性非小細胞肺癌切除組織において, 125I-EGFを用いたcompetitive binding assay法で測定し, 各種臨床パラメーターと対比した. 50例の平均assay値 (平均値±標準偏差値) は, 31.83±44.07fmol/mg・pで, I期21.25±18.99, II期13.20±12.85, IIIA期41.28±69.27, IIIB期30.08±34.28, IV期57.67±63.50, N026.12±33.21, N1 14.88±12.75, N2, 3 54.55±65.14であった. 進行症例で高い傾向にあり, I期とIV期, 早期 (I, II期) (19.39±17.86) と進行期 (III, IV期) (45.31±58.53), N0とN2, 3, N1とN2, 3およびN0, 1 (23.00±29.25) とN2, 3の間にp≦0.05で有意差が認められた. 組織型, T因子, 性別, 年齢などとは, 関連は認められなかった. 肺癌組織中のEGFr値は, 核酸量などと同様に肺癌の性格を表すものとして, 予後に関連する可能性があるものと考えられた.
  • 過去15年間の文献的検索を含めて
    柏原 光介, 中村 博幸, 深井 祐治, 千場 博, 蔵野 良一
    1994 年 34 巻 1 号 p. 95-102
    発行日: 1994/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    ネフローゼ症候群に合併した原発性肺癌の2症例を経験したので報告した. 症例1 (65才男性) は扁平上皮癌と膜性腎症の同時性の合併であり, 左上葉切除と化学療法よりネフローゼ症候群は軽快し, その後, 肺炎にて死亡するまで扁平上皮癌および膜性腎症の再発が認められず, 両者の関連性が示唆された. 症例2 (56才男性) はSLEの経過中に出現した小細胞癌と膜性腎症の異時性の合併であった. ネフローゼ症候群の発症時, 小細胞癌が完全寛解中であり, 化学療法との関連性もなく, さらにSLEの再発症状も認められず (抗Sm抗体は陰性), ループス腎炎の関与も否定的であり, 両者の関連性は低いと思われた.
  • 転移経路と発育形態について
    佐藤 之俊, 土屋 繁裕, 奥村 栄, 中川 健, 川渕 紅代, 土屋 永寿
    1994 年 34 巻 1 号 p. 103-108
    発行日: 1994/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    腎癌のいわゆるendobronchial metastasis例を経験した. 症例は50歳男性. 右腎摘出から2カ月後に咳, 痰, 胸痛, 呼吸困難が出現した. 胸部X線写真にて左上葉無気肺を認めた. 気管支鏡検査では左上幹に内腔を閉塞する腫瘍を認め, 同部のpolypectomyにて腎癌の転移と診断され, いわゆるendobronchial metastasisと考えられた. 左上葉切除を施行し, 切除標本で, 腫瘍は大きさ12mmで, B1+2c壁から細い茎を有し気管支内腔に突出し, B1+2内にポリープ状に進展していた. 病理所見では, ポリープ状の突出部は扁平上皮に覆われその下層にclear cell carcinomaの病巣が存在した. この転移巣は気管支壁内に限局しており, 経気管支動脈性転移によるendobronchial metastasis形成の典型像を呈していると考えられた.
  • 磯和 理貴, 山中 晃, 大竹 洋介, 池上 達義, 武藤 真, 長谷 光雄
    1994 年 34 巻 1 号 p. 109-114
    発行日: 1994/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    54歳男性の肺oncocytic carcinoidの1例を経験した. 血痰で発症し, 胸部X線で右中下葉の無気肺が認められた. 血中腫瘍マーカーは正常で, カルチノイド症侯群はみられなかったが, 尿中5-HIAAは高値であった. 気管支鏡検査で径15mmのポリープ状の暗赤色の腫瘤が中間気管支幹軟骨部より突出し, 中間気管支幹を閉塞していた. 右中下葉管状切除術及びリンパ節のR2b郭清が行われた. 術後病理病期はpT2N0M0-stage Iであった. 術後尿中5-HIAAは正常値に復した. 病理組織学的に, 腫瘍細胞は好酸性の豊富な細胞質をもち, Grimelius染色陽性, Fontana-Masson染色陰性であった. 免疫組織化学的には, セロトニン陰性であった. 超微形態学的に細胞質内にミトコンドリアの過形成と神経分泌顆粒が認められた. 術後2年1カ月, 再発なく生存中である. oncocyticcarcinoidの報告は少なく, 若干の文献的考察を加えて報告した.
  • 大石 修司, 桂 幸一, 杉山 圭作, 小林 英夫, 松岡 健, 永田 直一
    1994 年 34 巻 1 号 p. 115-120
    発行日: 1994/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    我々は, 経過中急速にクッシング症候群を呈した肺小細胞癌の1例を経験したので報告した. 症例は51歳の女性. 咳嗽及び背部痛を主訴に1989年5月当院を受診. 胸部X線写真にて右中肺野に腫瘤影を認め, 右中葉原発の肺小細胞癌でT2N2M1, Stage IVと診断した. 化学療法 (CDDP+VP-16, ADR+ACNU+VCR) を施行したが, 効果判定はNo Changeであった. 1990年5月頃より易疲労感・ふらつきを覚え, 顔や手の色素沈着も自覚. 同年7月には著明な低K血症を呈し再入院となったが, 満月様顔貌, 四肢筋力の低下, 顔や手の色素沈着, 高血圧が確認され, 低K血症を伴う代謝性アルカローシスがあり, ACTH産生腫瘍によるクッシング症候群が疑われた. 血中ACTH及びコルチゾール値は異常高値を示した. 経過中にアスペルギルス肺炎を併発し第41病日に死亡. 剖検にて肺原発巣と肝転移巣での腫瘍部ACTH濃度の高値を確認した.
  • 荒能 義彦, 清水 淳三, 森田 克哉, 渡辺 洋宇, 上村 良一, 野々村 昭孝
    1994 年 34 巻 1 号 p. 121-126
    発行日: 1994/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    骨肉腫肺転移と原発性肺癌が同時に存在した13歳女児の1例を経験した. 右腓骨の骨肉腫を手術後, 両肺野の多発性肺転移の治療中に, 原発性肺癌が発見されたものである.
    初診時に胸部CTで両側肺野に5個みられた腫瘍陰影は, CDDP, またはMTXを中心とした化学療法 (計11クール) を施行後, 左下葉の1個を残し消失した. 残存結節を化学療法が無効の肺転移巣と考え, 腫瘍を含めた肺部分切除術を施行したところ, 原発性肺腺癌と病理診断された. 化学療法の組織効果は, Ef. 0と判定された.
    この症例は術後4ヵ月目に両肺野に5個の結節陰影が出現した. うち, 3個は初診時の腫瘤陰影とは全く違う部位であり, 新たな転移巣と思われた. 肺癌または骨肉腫の肺転移再発と診断し, 再手術を施行した. 病理検査では, いずれも骨肉腫の肺転移と診断された.
  • 田口 浩之, 秋田 弘俊, 竹川 宏典, 阿部 庄作, 野島 孝之, 川上 義和
    1994 年 34 巻 1 号 p. 127-131
    発行日: 1994/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    喀痰及び原発巣の気管支擦過細胞診上, 多彩な細胞形態所見を得たいわゆるlarge-cell neuroendocrine carcinoma (以下LCNEC) の一例を経験した. 症例は66歳, 男性. 血痰と胸部異常陰影の精査のため当科入院. 喀痰及び原発巣の気管支擦過細胞診では, 細胞結合性の乏しい, 核クロマチン増量をみる裸核化した小細胞癌類似の細胞集団と, 結合性が強く, 比較的豊富な細胞質を有する悪性細胞の集団が混在し, 多彩な像を示していた. 細胞診上, 組織型の判定が困難であったため, 頚部リンパ節転移巣の免疫組織化学的及び超微形態を含む病理組織学的検討をおこなった. その結果, Travisらが提唱したLCNECに一致する症例と考えられ, LCNECの細胞診断学上示唆に富む症例と思われた.
  • 1994 年 34 巻 1 号 p. 133-139
    発行日: 1994/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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