背景.局所進行肺癌に対する外科治療の成績は決して良好ではないため,種々の集学的治療による予後向上の試みがなされている.III期進行肺癌に対しcarboplatin(CBDCA)とpaclitaxel(PTX)を用いた術前化学療法を施行し,完全切除が可能となりEf3が得られた3例を経験したので報告する.
症例1.65歳男性.右肺腺癌,cT4N0M0.化学放射線治療にてPRが得られ,右肺上葉切除,上大静脈腕頭動脈合併切除再建術にて完全切除し得た.
症例2.72歳男性.右肺扁平上皮癌,cT4(PM1)N2M0.化学療法にてPRが得られ,右肺下葉切除術を施行した.
症例3.57歳男性.縦隔腫瘍を指摘され摘出術を施行し腺癌の縦隔リンパ節転移と診断した.FDG-PETにて右肺尖部に異常集積のある小結節を認め,右肺腺癌,cT1N2M0と診断.化学療法にてCRが得られ右肺上葉切除術を行った.3例とも組織学的に癌細胞を認めずEf3が得られた.全例術後2年以上が経過したが無再発生存中である.
結論.CBDCAとPTXによる化学療法が局所進行肺癌の術前治療として非常に有用であった.
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