肺癌
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30 巻, 7 号
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  • 徳田 均
    1990 年 30 巻 7 号 p. 963-973
    発行日: 1990/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    切除された小型肺野型扁平上皮癌28例につきそのX線像と病理像との対比を行なった. 腫瘍の発育様式は肺胞基底膜に沿いつつ気腔を埋めてゆく肺胞充狽型を基本とするが, その一変型として一種の肺胞被覆型が5例において見出され, 形態にも影響を与えていた. 病理形態を, 修飾因子としての間質反応を考慮し, 充実増殖型, 中心癩痕型, びまん性間質増生型の三亜型に分けることにより, 肉眼上, 及びX線上の諸所見をよく説明し得た. また既存, 随伴性病変もX線所見にしばしば影響を与えていた.
  • 秋山 靖人, 新海 哲, 江口 研二, 佐々木 康綱, 田村 友秀, 山田 耕三, 藤原 康弘, 福田 正明, 西條 長宏
    1990 年 30 巻 7 号 p. 975-985
    発行日: 1990/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    11973年より1988年までの16年間に悪性縦隔腫瘍18例に対し, 化学治療を含めた併用療法を実施した. 18例中男性12例, 女性6例であった. 組織型は, 悪性胸腺腫4例, 胸腺癌4例, 悪性胚細胞腫4例 (うちセミノーマ1例), その他6例であった. 化学療法の治療効果は, CR1例, PR5例で, 全体の平均生存期間は, 化学療法の開始時より40.6カ月, 奏効例の奏効期間は, 40-5カ月, 平均生存期間は, 68カ月であった.
  • 特に細胞診による術前診断について
    柴 光年, 卜部 憲和, 山口 豊, 馬場 雅行, 山川 久美, 飯笹 俊彦, 光永 伸一郎, 渋谷 潔, 藤沢 武彦, 大和田 英美
    1990 年 30 巻 7 号 p. 987-992
    発行日: 1990/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    当施設にて1969年より1989年まで過去20年間に切除され, 病理組織学的に同一癌組織内に腺癌巣と扁平上皮癌巣を認めた21例につき臨床的に検討した.年齢は39才より79才 (平均62.9才), 男性15例, 女性6例で, 術後病理病期III期症例が全体の67%を占め, 術後3生率12%, 5生率6%平均生存月数21.4カ月と不良であった.術前診断は21例中19例で肺癌の診断が得られたが, 組織型の診断では, 腺扁平上皮癌と正診されたものは3例 (14%) であった.病理組織像と比較検討すると, 組織学的に優勢な成分との一致率が高く, また扁平上皮癌に診断が傾く傾向が認められた.術前に腺扁平上皮癌と診断し得た3例は, 経皮針生検または擦過細胞診で腺癌型及び扁平上皮癌型の両成分が同時に認められた各1例, および喀疾細胞像と内視鏡生検細胞像とが明らかに異なった組織型を示したもの1例であった.以上より腺扁平上皮癌の診断は困難ではあるが種々の組織細胞採取法の併用が望ましく, また経皮針生検は深層細胞の採取が可能なことから組織型診断に有利と考える.腺扁平上皮癌は進行期症例が多く, 予後も不良で, 手術適応を考える上でも術前の正確な組織型診断が望まれる.
  • 核DNA量解析を加味して
    山岡 憲夫, 内山 貴堯, 君野 孝二, 赤嶺 晋治, 松尾 聡, 辻 浩一
    1990 年 30 巻 7 号 p. 993-1003
    発行日: 1990/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    肺多発癌および転移再発例の各腫瘍間の核DNA量をFlow cytometryを用い解析し, 多発癌の診断について再検討した.従来の診断基準より多発癌と診断した7例中2例は, その核DNA量解析結果より肺内転移例と考えられ, 術後の経過とも一致していた.肺内転移例と診断されていた15例中1例で原発巣と転移巣の核DNA量が異なり, 肺多発癌の可能性がある症例もみられた.多発癌の診断に核DNA量解析を加味することにより最も鑑別が困難な肺内転移例との鑑別診断も可能になると思われ, また, 多発癌の確定診断もより客観的に行え, その診断において核DNA量加味することは有用と考えられた.
  • 山田 耕三, 児島 章, 大江 裕一郎, 田村 友秀, 佐々木 康綱, 江口 研二, 新海 哲, 小野 良祐, 原 耕平, 西條 長宏
    1990 年 30 巻 7 号 p. 1005-1011
    発行日: 1990/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    1984年以降国立がんセンター内科でプロトコールスタディにエントリーされた肺小細胞癌は142例で, 初診時あるいは経過中にCTscanにより脳転移を確認された症例は58例 (41%) であった. 治療的全脳照射により94%の症例で自覚症状の改善が得られ, CT像では85%の奏効率 (CR rate: 38%) であった. しかしCRを得た20症例のうち30%に局所再発が認められた. 脳転移治療開始時からのMSTは治療的全脳照射完遂例で7カ月であった. 脳転移が直接死因になるものは少なく, 死亡した43例中11例 (26%) のみであり, 半数以上の症例は原発巣の増悪もしくは他臓器転移が直接の死因となった.
  • 堀口 倫博, 野木村 宏, 杉村 久雄, 伴野 隆久, 鈴木 一也, 原田 幸雄, 佐藤 篤彦
    1990 年 30 巻 7 号 p. 1013-1019
    発行日: 1990/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    当院で経験した肺癌脳転移患者46例につき検討した.組織型では腺癌が有意に予後が良好で, 1年, 2年生存率はそれぞれ33.8%, 28.9%であった.治療成績は, 肺の原発巣に対し根治術が施行されたものが有意に予後が良好であった.脳転移巣に対する治療法は, 切除術, 放射線治療共に有効であり, 特に両者を組み合わせた場合に効果があった. 長期生存例も転移巣に対して積極的に治療したものに見られた.
  • 地域病院, 診療所の協同体制による原発性肺癌切除例の検討
    木村 文平, 城所 達士, 橋爪 満, 駒形 清則, 時光 昭二, 山岸 光夫, 大石 不二夫, 佐藤 信英, 大和 剛
    1990 年 30 巻 7 号 p. 1021-1027
    発行日: 1990/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    大多数の一般市民が日常診療を受ける場としての地域病院, 診療所において肺癌を早期発見治療するための診療の組織化を試み, 切除211例となったため, 協同診療体制の効果について検討した.7病院16診療所が連携して1個の肺外科を共有し, 呼吸器グループに胸部X-pを集中して読影, 共同して早期診療に努めた.症例の特徴として, 年齢層が高く1期例とくにp-T1例が多く, 腺癌が多く, 他疾患診療中の発見例が多く, 5年生存率は全体で46%であった.地域医療機関の組織化により, 肺癌の早期診療を大幅に充実させうると考えられる.
  • 富井 啓介, 田口 善夫, 種田 和清, 岩田 猛邦, 左野 明, 黒田 康正
    1990 年 30 巻 7 号 p. 1029-1033
    発行日: 1990/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    肺癌の経過中に突然上腹部痛, 背部痛を来し出血性ショックに至った2例を経験した. いずれも全身状態良好な時点で発症し, 腹部造影CTで後腹膜腔の左副腎の位置に不均一に濃染する腫瘤を認めた.一例は塞栓術で, 一例は開腹手術にて止血し得たが, いずれも約1ヵ月後再出血を来し死亡した.副腎転移巣からの出血はまれであるが, 肺癌の経過中に急死の原因となりうる特異な合併症の一つとして認識しておく必要があ.
  • 久保田 伊知郎, 原 信之, 一瀬 幸人, 本広 昭, 久田 友治, 大田 満夫
    1990 年 30 巻 7 号 p. 1035-1041
    発行日: 1990/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    悪性線維性組織球腫malignant fibroushis tiocytoma (MFH) は, 四肢軟部組織;後腹膜に好発するが, 肺原発及び縦隔原発MFHは非常に稀である. 今回, 44歳女性の右肺腫瘍, 39歳男性の左前縦隔腫瘍を切除し, 組織学的所見と臨床所見より, それぞれ肺原発及び縦隔原発MFHと診断した. 肺原発及び縦隔原発MFHの本邦報告例とともに考察を加える.
  • 渡辺 真純, 小林 紘一, 石原 恒夫, 河合 章, 川城 丈夫, 鳥潟 親雄
    1990 年 30 巻 7 号 p. 1043-1047
    発行日: 1990/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    65歳男性, 間質性肺炎治療中に末梢肺野の結節状陰影を発見され, 原発性肺癌を疑い右中下葉切除を施行した. 下葉には腺癌, 中葉には扁平上皮癌と小細胞癌の混在した像を示す病巣が認められた.また, 縦隔リンパ節には扁平上皮癌の転移がみられた. 本症例は下葉原発の腺癌と, 中葉原発の扁平上皮癌および小細胞癌へと分化した同時多発肺癌の症例と考えられた.
  • 前田 重一郎, 鴇田 一彦, 田村 伸介, 波田 寿一, 東野 一彌, 宮本 巍
    1990 年 30 巻 7 号 p. 1049-1053
    発行日: 1990/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    比較的稀とされる原発性縦隔精上皮腫の一症例を経験したので報告した.患者は52歳の男性で, 縦隔悪性奇形腫の疑いにて本院胸部外科入院.放射線療法後, 腫瘍摘出術施行したが, 非治癒的切除に終わった.手術標本にて精上皮腫と診断された為, 術後Cis-platinum等による化学療法と放射線療法を受けた.しかし4カ月後, 左癌性胸膜炎再燃し当科入院された.CPA, ACTM-D, VCRによる化学療法を施行したが肺炎にて死亡された.
  • 上岡 博, 大熨 泰亮, 沼田 健之, 木浦 勝行, 亀井 治人, 木村 郁郎
    1990 年 30 巻 7 号 p. 1055-1060
    発行日: 1990/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    選択的とも思われる多発性骨格筋転移を来した42歳男性の肺扁平上皮癌症例を経験した.入院時右中葉の腫瘤影と同側肺門リンパ節腫脹, 胸水を認めたが, 胸郭外転移は認められなかった.cisplatinとvindesineの併用療法にて部分寛解が得られたが, 原発巣への再発に続き骨格筋に著明な疼痛を伴う多発性の腫瘤が出現, MRIおよび経皮的穿刺細胞診にて, 筋肉内転移と診断された.悪性腫瘍の骨格筋への転移は極めて稀であり, 興味深い症例と思われる
  • 1990 年 30 巻 7 号 p. 1061-1088
    発行日: 1990/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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