腺癌系肺癌のhistogenesisは複雑で, 組織形態的にも症例問のみならず同一例でも単一の像を示すことが少ない.そこで市販の抗体を使い, 免疫組織学的, 組織化学的に50例の手術例を肺構成上皮のマーカーの面から検討した.その結果, 47例 (94%) にマーカー的にheterogeneityが認められ, 3種以上のマーカーを示す症例が41例 (82%) を占めた.以上から肺腺癌の発生母地を一つの固有の肺の構成上皮に求めるよりは, 多分化能を有する未熟な癌細胞からの分化, すなわち肺の構成上皮方向への種々の程度の分化により形態学的亜型を生ずる, という面から解釈するのが合理的と思われる.
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