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第28回日本肺癌学会総会 (1987年, 於大阪) シンポジウム “III期 (N2) 非小細胞癌の治療” における集計報告
古瀬 清行, 原 信之, 西脇 裕, 成毛 韶夫, 池上 晴通, 高橋 正治, 飯岡 壮吾, 仁井谷 久幌
1989 年 29 巻 1 号 p.
1-7
発行日: 1989/02/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
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1981年より1985年末まで, 脚注に掲げる各施設で入院治療された非切除非小細胞肺癌のうち, 治療開始時臨床病期IIIA (N2), PS0~1の症例145例を対象に予後を検討した. 全例の50%生存期間は12ケ月であったが, 腺癌のそれは12.6ケ月で, なかでも最近2年間に治療された腺癌28例のそれは18.7ケ月であった.多変量解析によって予後因子を検討した結果, 予後に及ぼす影響の強さは奏効度, 性に次いでPSの順であることが示された.
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大原 潔, 奥村 敏之, 立崎 英夫, 菅原 信二, 吉田 次男, 秋貞 雅祥, 森田 理一郎, 三井 清文, 矢野 平一, 長谷川 鎮雄
1989 年 29 巻 1 号 p.
9-18
発行日: 1989/02/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
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局所進行非小細胞癌71例を対象として, 切除の根治性, 縦隔リンパ節転移部位数などの観点から術後照射の意義を検討した.39例に照射が行われたが, 39Gy以上照射されたものは30例であった. 相対的治癒切除例では局所再発率の低下, 遠隔成績の向上に照射が貢献しており, その再発様式から2ヶ所以上に縦隔リンパ節転移があった場合は, 鎖骨上窩も照射野に含める必要があると考えられた. しかし術後病巣遺残例では照射を企図あるいは完遂できなかったものが多く, 予後不良であった.
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松田 実, 宝来 威, 土井 修, 児玉 憲, 建石 龍平
1989 年 29 巻 1 号 p.
19-27
発行日: 1989/02/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
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切除された肺扁平上皮癌252例中161例に喀疾細胞診が行なわれ, 123例76.3%が陽性であった.細胞診陽性率と腫瘤の大きさとの間には関係はみられなかった. 腫瘤の発育尖端部が中枢側に存在するほど陽性率は高い傾向にあり, 長径3.0cm以下の症例において著明であった.早期肺癌では, O-II次気管支に存在する症例の陽性率はきわめて高かった. roentgenologically occult lung cancerでもっとも末梢のものはIV次気管支に存在していた.
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菅原 好孝, 藤田 昭久, 菅原 洋行, 名取 博, 浅川 三男, 鈴木 明, 吉田 祐一, 草島 勝之, 小松 作蔵
1989 年 29 巻 1 号 p.
29-36
発行日: 1989/02/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
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CSLEX1モノクローナル抗体を用いた逆受身赤血球凝集反応による肺癌患者の血清中のシアリルLewisx抗原陽性率は, 腺癌36%(28/77), 扁平上皮癌17%(10/59) でstageの進行と共に陽性率の上昇をみた.CSLEX1による肺癌組織の免疫組織化学的検索では, 腺癌87%(41/47), 扁平上皮癌45%(10/22) に陽性であった.肺癌手術症例26症例中13例に組織陽性で, この13例中術前血清陽性であったのは3例に過ぎなかった.手術可能なstageの早い症例で陽性率は低く, 進行例で陽性率が高かったことは, 血清中のCSLEX1抗原は腫瘍量及び癌細胞あたりの抗原産生量に依存している可能性を示唆しており, 同抗原は早期診断よりは, 術後再発のモニター, 経過の追跡に有効と考える.
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藤本 公則, 廣田 佐栄子, 橋村 孝久, 村上 昌雄, 足立 秀治, 河野 通雄, 石井 昇, 中村 和夫, 穀内 隆, 松本 悟
1989 年 29 巻 1 号 p.
37-43
発行日: 1989/02/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
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肺癌脳転移症例50例を非小細胞肺癌と小細胞肺癌に大別し50%生存期間をもって予後を検討した.非小細胞肺癌のうち, 脳転移巣摘出術施行例は45週, 原発巣も治癒切除された9例は68週, 30Gy以上の全脳照射のみで治療された症例は35週であった. 非小細胞肺癌では全脳照射の施行された症例1ま51週であった. 非小細胞肺癌では特に原発巣が寛解している例での脳転移巣摘出術の有用性, 小細胞肺癌では30Gy以上の全脳照射の有用性が示唆された.
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腫瘍の発育速度を考慮して
森谷 浩史, 鈴木 茂毅, 比佐 純孝, 藤田 徹夫, 木村 和衛
1989 年 29 巻 1 号 p.
45-49
発行日: 1989/02/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
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肺野型肺癌62例の発育速度の実測値を求め, 現行の効果判定基準にあてはめて検討した. その結果, 腺癌症例のなかに発育速度の遅い例を多数認め, このような症例に対しては発育速度, 縮小速度を考慮した治療効果判定の可能性が示唆された.
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第二報-関連病変との比較
今井 督, 太田 伸一郎, 高橋 里美, 斎藤 泰紀, 永元 則義, 菅間 敬治, 須田 秀一, 仲田 祐, 橋本 邦久, 佐藤 博俊
1989 年 29 巻 1 号 p.
51-59
発行日: 1989/02/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
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気管支原発早期扁平上皮癌17切除例の光顕, 電顕所見と正常気管支上皮, 杯細胞増生, 基底細胞増生, 扁平上皮化生と比較検討し以下の知見を得た. 1) 正常, 杯細胞増生, 基底細胞増生, 扁平上皮化生の基底細胞は, 早期扁平上皮癌の一部と電顕所見上, 類似していた. 2) 早期扁平上皮癌の基底層細胞の核, 細胞質の面積および核分裂像数は, 関連病変四者に比し有意に増加していた. 3) 関連病変の基底細胞が, 早期扁平上皮癌の一部と形態上, 似ていること, そして早期癌の周囲に存在することより, 気管支原発早期扁平上皮癌の一部は基底細胞より発生する可能性が考えられた.
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笛木 直人, 中野 秀彦, 栗原 正英, 斎藤 龍生, 滝瀬 淳, 土屋 智
1989 年 29 巻 1 号 p.
61-65
発行日: 1989/02/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
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脈絡膜転移による視覚異常を主症状とした原発性肺腺癌の2症例を経験した. 1例は54歳の男性, 他の一例は58歳の女性でともに原発性肺腺癌であったが, 原発巣の呼吸器症状よりも, 眼球への転移症状を主訴として医療機関を受診した. 今後肺癌の増加に伴い, このような症例を経験する機会も多くなると思われたので, 文献的考察を加えて報告した.
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杉浦 亙, 佐藤 篤彦, 本田 和徳, 秋山 仁一郎, 千田 金吾, 森田 豊彦
1989 年 29 巻 1 号 p.
67-74
発行日: 1989/02/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
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79歳, 農林業従事の男性.右腋窩部の有茎性疣贅の脱落痕あり, 71歳時腫瘤発生, 73歳時同部摘出術施行, 基底細胞癌と診断された. 局所再発, 右鎖骨上窩への進展後, 79歳時に息切れが出現し, X線上左肺野腫瘤影・両側胸水貯留像及び左主気管支粘膜下腫瘤を認め, 粘膜生検にて基底細胞癌の転移と判明した. 原発巣及び再発巣においてbasosquamous elementを認めるとともに, 右鎖骨上窩転移巣の静脈内腫瘍塞栓, 神経周囲細胞浸潤像が転移規定因子と考えられた.
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横井 香平, 宮沢 直人, 森 清志, 富永 慶晤, 鈴木 恵子, 島村 香也子
1989 年 29 巻 1 号 p.
75-81
発行日: 1989/02/20
公開日: 2011/08/10
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72才男性, 左上葉肺癌症例で, 35年前の右胸郭形成術による低肺機能と腫瘍の縦隔進展の診断のもとに, 原発巣に放射線治療を12Gy受けた。当院に転院後, 腫瘍の縦隔進展についてpneumothoraxCTにより再評価し, 呼吸機能からも左上区域切除術が可能と判断し手術を施行した.術前血清AFPが5107ng/mlと高値を示し, 免疫組織化学的に低分化腺管型腺癌細胞内にAFPの局在を証明し得た.また本腫瘍は低分化腺管型腺癌と中分化扁平上皮癌からなる衝突癌であった.
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鈴木 和恵, 立花 昭生, 岡野 弘, 永山 雅晴, 山口 和克
1989 年 29 巻 1 号 p.
83-88
発行日: 1989/02/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
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虹彩に転移性腫瘤を伴う眼症状が初発し, そのための検査に際して発見された肺小細胞癌の1症例を経験したので報告する. 症例は59才男性. 1986年5月より血疾が出現.同年8月に右虹彩腫瘤に気づき, 当院眼科を受診した. その際の諸検査により, 肺に原発性小細胞癌巣を確認した. 肺癌の虹彩転移巣所見から, 肺の原発巣が発見された肺癌例は比較的稀である. 悪性腫瘍の虹彩毛様体転移に関する本邦報告28例について, とくに肺癌の転移を中心に検討を加えた.
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1989 年 29 巻 1 号 p.
89-107
発行日: 1989/02/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
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