目的.地域医療機関における原発性肺癌診療の現状を調査,報告する.
対象と方法.1991年から22年間に東京の地域病院にて病理学的に診断した原発性肺癌入院患者2039例を前期(1991~2000年)1135例,後期(2001~2012年)904例に分けて発見動機,組織型,病期,治療法,performance status(PS),生存率を比較検討した.
結果.前期:後期について,発見動機は症状:検診:他疾患診療中各54.8%:18.2%:26.9%,46.2%:22.7%:30.9%であった.腺癌:扁平上皮癌各48.5%:30.7%,54.1%:22.9%,I期:IV期は各24.1%:36.6%,31.2%:39.7%であり,切除:化学療法and/or放射線療法(化/放):緩和治療は各36.7%:26.6%:34.5%,36.3%:33.0%:27.4%で,後期で無症状発見,腺癌,IおよびIV期,化/放が増加した.また,後期ではPS 0と4が増加した.5年生存率は各24.1%,32.5%で後期で上昇した.
結語.検診および他疾患診療中の患者に発生する肺癌のI期での発見例を増加させることで,原発性肺癌の生存率を向上させることが可能である.
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