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永元 則義, 斎藤 泰紀, 太田 伸一郎, 佐藤 雅美, 菅間 敬治, 佐川 元保, 高橋 里美, 薄田 勝男, 藤村 重文, 仲田 祐
1990 年30 巻4 号 p.
463-469
発行日: 1990/08/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
術前に局在診断が得られた胸部X線写真無所見肺癌 (ROLC) 98例と, 断層写真やCTでわずかに腫瘤陰影を認めた3例 (準オカルト例) の切除標本の連続ブロック切出しを行って, 気管支の長軸方向への扁平上皮癌の広がり (長軸進展距離, LLE) と長軸進展様式を検索し, リンパ節転移の有無との関連性を分析した. LLEが20mm未満の例にはリンパ節転移はなく, 準オカルト例3例とROLC8例に転移がみられた. リンパ管内進展型と壁腫瘤型にリンパ節転移の頻度が高かった.
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村上 昌雄, 橋村 孝久, 広田 省三, 今中 一文, 足立 秀治, 佐古 正雄, 河野 通雄
1990 年30 巻4 号 p.
471-476
発行日: 1990/08/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
BAIは直接腫瘍支配動脈に高濃度の薬剤を投与できる点で最も効果的な癌化学療法の投与法といえる. しかし副作用として薬剤性の動脈障害の危険性があるもののその報告は少ない. 我々は31例の肺癌症例に対しCDDPを用いたBAI後の動脈障害を血管造影所見 (20例) 並びに病理学的 (11例) に検討した. follow-up BAGの検討から半数以上の症例で気管支動脈壁硬化, 気管支動脈の細血管の閉塞血管径狭小化, 等の血管障害と考えられる所見を認めた. 切除肺の検討からBAI (11例) では全身化療 (9例) に比べ気管支動脈の内膜浮腫, 血栓形成, 狭小化を認めることが多かった. しかし初回BAIによる気管支動脈狭小化はその後に続く全身化学療法, 放射線治療の一次効果の劣化を来さなかった.
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塚本 東明, 中村 秀範, 山田 敬子, 長沢 正樹
1990 年30 巻4 号 p.
477-482
発行日: 1990/08/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
転移性肺腫瘍28例を対象とし, その胸部X線像と気管支内視鏡所見を比較検討した. X線像から肺野結節型, 肺野浸潤型, リンパ管症型, 無気肺型, 肺門リンパ節腫脹型の5型に, 内視鏡所見から粘膜主体型, 粘膜下主体型, 壁外型の3型に分けた. 肺野結節型の最大腫瘍径の小さい例に異常無しが, 大きい例に壁外型が多く, 肺野結節型以外は全例に異常所見を認めた. 内視鏡検査下の腫瘍細胞陽性例は28例中19例, 72%と高率であった.
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経年的推移および生存率を中心に
薄田 勝男, 斎藤 泰紀, 佐川 元保, 佐藤 雅美, 永元 則義, 藤村 重文, 仲田 祐, 高橋 里美, 菅間 敬治, 太田 伸一郎, ...
1990 年30 巻4 号 p.
483-490
発行日: 1990/08/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
年1回の肺癌集検において, X線写真による発見肺癌199例の特徴を明らかにし, その経年的推移および生存率を検討した. 集検を繰り返すことにより,(1) 3回目以降のI期・II期例の減少,(2) 発見年度に新しく腫瘍陰影が出現した症例の増加,(3) 切除率の増加を認めた. 切除例137例の5生率65%は, 非切除例62例の5生率16%に比較し有意に良好であった. 腺癌96例の5生率63%は, 扁平上皮癌77例の5生率32%, 大細胞癌15例の4生率30%, 小細胞癌8例の3生率37%と比較し有意に良好であった. tumordoublingtimeが長い症例程, 生存率が良好であった.
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木村 秀, 森本 忠興, 宇山 正, 小西 康備, 駒木 幹正, 門田 康正, 木内 陽介, 入谷 忠光
1990 年30 巻4 号 p.
491-496
発行日: 1990/08/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
肺癌44例, 転移性肺腫瘍5例, 器質化肺炎4例, 結核腫4例を対象として, 術中開胸下に肺腫瘤, 肺組織骨格筋の生体インピーダンスを測定しその臨床応用を検討した. 10KHzのインピーダンス値では, 肺組織と骨格筋, 肺腫瘤との問に, 肺腫瘤では悪性腫瘍と器質化肺炎との間に差を認めた.組織の等価回路に基づいて算出した細胞外液抵抗 (Re), 細胞内液抵抗 (Ri), 細胞膜容量 (C) でも肺組織と骨格筋, 肺腫瘤との間に, 肺腫瘤では悪性腫瘍と器質化肺炎との問に差を認めた.針生検時, 針の先端位置の確認に, 又悪性腫瘍 (肺癌, 転移性肺腫瘍) と器質化肺炎の鑑別診断に応用可能と思われた
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近藤 晴彦, 浅村 尚生, 呉屋 朝幸, 土屋 了介, 成毛 韶夫, 末舛 恵一, 野口 雅之, 松野 吉宏, 山岸 紀美江, 上井 良夫
1990 年30 巻4 号 p.
497-503
発行日: 1990/08/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
肺癌切除術中認められた心嚢水の細胞診陽性例が持つ臨床的意義を明らかにするため, 当科において術中心嚢水細胞診を施行した81例において検討を行った. 心嚢水細胞診陽性例には胸膜播種例が多く, また縦隔リンパ節転移からの逆行性進展と考えられる例も多かった. 陽性例の予後は著しく不良で, 現時点では積極的な外科的治療の意義はないとみなされた.
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早期癌から進行癌への腫瘍進展過程における評価
江藤 尚, 鈴木 春見, 本多 淳郎, 長島 康之
1990 年30 巻4 号 p.
505-512
発行日: 1990/08/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
腫瘍径2cm以下の末梢型肺腺癌41例を腫瘍間質の弾1生線維増生様式から2大別し, 臨床病理学的, X線学的に検討した. 1型は腺癌細胞で被覆された肺胞壁が弾性線維増生を伴って肥厚しているが, 肺胞構築網は維持されている. 2型はその集簇や断裂がみられ, その結果不規則に破壊した肺胞構築網が形成されている. 2群問のX線像経過は腫瘍径と濃度変化に明らかな違いがみられ, 術後病理所見では2型にのみ胸膜, 脈管, リンパ節への侵襲傾向が著しかった. この区分けは早期腺癌と進行腺癌の違いを示唆していると推測される.
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井上 勝一, 中島 収, 宮本 宏, 川上 義和, 伊藤 正美
1990 年30 巻4 号 p.
513-520
発行日: 1990/08/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
赤血球亜鉛量と血清亜鉛量を64例の肺癌患者で測定し, 以下の結果を得た. 1) 進行肺癌患者では健康成人に比し血清亜鉛量は低下し, 赤血球亜鉛量は増加した. 2) しかし, 炭酸脱水素酵素量に差はなかった. 3) 進行肺癌患者の赤血球をヘパリン加生食で洗浄すると, 赤血球亜鉛量の約1%の亜鉛の遊離を認めた. 4) 以上より, 進行肺癌患者では亜鉛の赤血球への集積が見られ, 担癌生体の亜鉛の動態に多大な影響を示すものと考えられた.
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三枝 智恵子, 足立 秀治, 今中 一文, 清水 雅史, 橋村 孝久, 米澤 和之, 副島 俊典, 河野 通雄
1990 年30 巻4 号 p.
521-526
発行日: 1990/08/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
脳症状を呈していない肺癌患者360例に頭部CTを施行し10例 (2.8%) に脳転移を認めた. 組織型はSm4例, Ad3例, Sq3例であった. CT上脳転移巣は単発で大きさは1.0-4.5cmにおよびperifocal edemaは4例にみられた. 10例中6例に全脳照射と全身化学療法を行ないPRが5例に得られた. PR例の平均生存月数は12.9カ月で3例が家庭生活に復帰した. 無症状のうちに脳転移を発見することは適切な治療法の選択と生活の質の向上につながると考える.
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その基礎的, 臨床的検討
中村 謙弥, 高梨 信吾, 石田 正文, 湯浅 光悦, 高瀬 洋, 工藤 優, 櫛引 大輔, 小野寺 庚午, 谷村 竹生, 松本 一仁
1990 年30 巻4 号 p.
527-536
発行日: 1990/08/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
癌性胸膜炎に対するCisplatin (CDDP) の胸腔内投与物質としての有用性を評価するために, 1) CDDPの家兎胸膜刺激作用, 2) 癌性胸膜炎患者におけるCDDPの体内動態, 3) その臨床効果について検討した. その結果, CDDPは強い胸膜刺激作用を持ち, 比較的長時間胸腔内に維持できる薬剤であると考えられた. また臨床的にも奏効率73%, 平均生存期間220.3日と, 従来癌性胸膜炎に用いられてきた胸腔内投与物質と比較しても遜色のないものであった.
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気管支鏡による検体を用いて
本間 穣
1990 年30 巻4 号 p.
537-545
発行日: 1990/08/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
原発性肺癌患者43症例より気管支鏡下に採取された69検体 (経気管支生検, 気管支洗浄液, 擦過等) を用いてFCMによりDNA量を測定した. すべての検体においてDNA量は測定可能であった. 各検体におけるDNA aneuploidyの検出率は生検, 擦過, 洗浄液の順に高かったが, 臨床応用するには擦過が最も適しているものと思われた. また, DNA aneuploidyの出現頻度は小細胞癌にて87.5%, 非小細胞癌にて66.7%であった.
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切除例と非切除例の比較を中心に
斎藤 泰紀, 永元 則義, 太田 伸一郎, 佐藤 雅美, 菅間 敬治, 佐川 元保, 薄田 勝男, 高橋 里美, 藤村 重文, 今井 督
1990 年30 巻4 号 p.
547-554
発行日: 1990/08/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
118例の胸部X線写真無所見の扁平上皮癌のうち, 94例を切除し, 16例が上皮内癌であった. 76例は早期扁平上皮癌で, すべて再発転移は認めず, うち10例は亜区域支ないしその末梢にあった. リンパ節転移は6例あり, うち5例は腫瘍の浸潤が気管支壁を越えた症例であった.多発癌は, 切除標本の検索で初めて診断された6例を含めて20例 (16.9%) において観察された. 術死も含めた全死因でみた5生率は, 切除例で80.4%, 非切除例で45.0%であった.
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特に組織分類との関連性について
浅見 英一, 横瀬 智之, 伊藤 雄二
1990 年30 巻4 号 p.
555-561
発行日: 1990/08/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
SLX, SSEA-1, フコシルSSEA-1抗原の発現を77例の原発性肺癌を対象に免疫組織学的に検討した. SLX陽性率は, 腺癌 (78%) に高率で, 特にクララ細胞型・気管支腺型で顕著であった.扁平上皮癌 (67%) では, 陽性像が角化細胞にみられ分化度との関連性が示唆された.SSEA-1は腺癌 (75%) に, フコシルSSEA-1は腺癌 (92%), 小細胞癌 (53%) に高率であった. 以上より, 3種の癌胎児性抗原は腺癌の亜型間ないし腺癌以外の組織型で, その発現に差が認められた
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岩淵 裕, 小中 千守, 古川 欣也, 加藤 治文, 早田 義博, 海老原 善郎
1990 年30 巻4 号 p.
563-567
発行日: 1990/08/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
肺門リンパ節腫大を指摘され, 経気管支的吸引細胞診 (以下TBAC) により同リンパ節から癌細胞が発見されたが, 他には癌病巣の全く認められなかった1例を経験した. リンパ節郭清術のみを行なった後, 外来で経過観察しているが, 約26カ月経過した現在も依然, 何の異常も認められていない. 我々は, 臨床病理学的に検討した結果, 本症例をT0NIMO肺癌症例或いはリンパ節内異所性上皮組織から発生した癌ではないかと考えた. 文献的にTONIMOの報告はほとんど見当らずきわめて稀な現象である.
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向井 順之輔, 清水 英治, 山本 晃義, 高上 洋一, 小倉 剛
1990 年30 巻4 号 p.
569-574
発行日: 1990/08/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
歳, 男性. 左S
8a原発の肺小細胞癌, T2N2M1のED症例. Cyclophosphamide, Adriamycin, Vincristine, Etoposide, Cisplatinによる化学療法を行いCRを得た. CR到達後3ヵ月目, 患者末梢血からフェレーシスにより造血幹細胞の採取を行い, CR到達後10ヵ月目にlate intensificationを目的として Cisplatin, Etoposide による大量化学療法を行い, その24時間後に末梢血幹細胞の移植を行った. 大量化学療法後の白血球, 血小板の回復は速やかであり, 末梢血幹細胞自家移植は化学療法後骨髄抑制に有用な方法と考えられた.
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長谷川 幹, 坂本 廣子, 中井 準
1990 年30 巻4 号 p.
575-581
発行日: 1990/08/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
血中ACTH高値を示し, クリプトコッカス髄膜炎, 皮膚クリプトコッカス症を併発した肺小細胞癌の一例を報告した. 患者は58歳の男性で, 湿性咳噺と呼吸困難を主訴に入院し, 気管支鏡検査で肺小細胞癌と診断された. 全身の皮膚の著明な色素沈着や低カリウム血症を伴う代謝性アルカローシスがあり, 血中ACTHは異常高値を示した. 経過中にクリプトコッカス髄膜炎および皮膚クリプトコッカス症を併発し, 全経過21日で死亡した.
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武藤 康剛, 山脇 功, 相田 真介, 村井 容子
1990 年30 巻4 号 p.
583-588
発行日: 1990/08/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
歳女性, 左胸背部痛の主訴で入院した. 多量の血性胸水貯留を認め, 胸水細胞診, 胸膜生検を施行したが, 生前診断できず, 敗血症, 肺炎, ARDSを併発し, 入院後4カ月で死亡した. 剖検で左胸膜原発の肉腫型胸膜中皮腫と診断した. 肺内にアスベスト小体, 含鉄小体を認めた. 肝臓, 脾臓に小豆大の転移巣が数個認められた. 症例は, 瓦焼き・道路工事の手伝い, 飛行機工場の寮母など石綿曝露の可能性のある職業歴を有していた.
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1990 年30 巻4 号 p.
589-609
発行日: 1990/08/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー