肺癌
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45 巻, 4 号
August
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原著
  • 藤本 栄, 石井 芳樹, 福田 健
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2005 年 45 巻 4 号 p. 303-309
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/12
    ジャーナル オープンアクセス
    目的. 肺癌の骨転移において18F-fluorodexyglucose positron emission tomography (18FDG-PET) を99mTc骨シンチと比較し, その有用性を検討した. 対象及び方法. 2003年4月から2004年10月まで骨シンチとPETとを同時期に施行した肺癌症例を対象とした. 骨転移の最終診断は両検査に加え, 骨単純X線, CT, MRI及び臨床経過にて判定した. 症例は29例で, 男性20名, 女性9名, 平均年齢66.7歳, 組織型は扁平上皮癌9例, 腺癌13例, 腺扁平上皮癌1例, 小細胞癌3例, 肺胞上皮癌2例, 未分化癌1例. 病期はIA期6例, IB期1例, IIB期1例, IIIA期6例, IIIB期5例, IV期10例であり, IV期のうち7例に骨転移を認めた. 結果. 骨シンチでは感度100%, 特異度81.8%であり, 偽陽性4例あった. PETでは感度100%, 特異度86.3%であり, 偽陽性3例あった. 両検査方法の偽陽性・偽陰性の原因として, (1) PETでは骨周辺部位の病変と骨転移との鑑別が困難な場合があること, (2) 骨折病変への取り込みは骨シンチに比較し, PETでは早期に陰性化することなどが挙げられた. 結論. PETは骨シンチと同等以上の診断能を有しており, 同時に他臓器への転移診断が可能な点を考慮すれば, 今後, 骨シンチに代わる検査と考えられる.
  • 橋爪 敏彦, 山田 耕三, 鈴木 理恵, 斉藤 春洋, 尾下 文浩, 野田 和正, 中山 治彦, 亀田 陽一
    2005 年 45 巻 4 号 p. 311-317
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/12
    ジャーナル オープンアクセス
    目的. 径15 mm以下の肺癌の多くはCTにより発見されており, 今後CT検診が普及するとそれが増加すると予想される. 今回15 mm以下の肺腺癌を対象に, 組織形態と臨床背景の関連, および画像所見と病理, 予後の関連を明らかにすることを目的に研究を行った. 対象と方法. 1992年から2003年までに当院で切除された径15 mm以下の肺腺癌160例を対象とした. 野口分類と性別, 喫煙の関連を解析した. Thin-section CT (TS-CT) により病変を含気型, 充実型に分類し, おのおので病理所見, 予後の差を解析した. 結果. 野口分類type A, Bはtype Cに比べて女性に多く認められた. 野口分類type D, E, Fはtype Cに比べて喫煙者に多く認められた. 含気型病変は充実型病変と比較して, リンパ節転移, 胸膜浸潤, 脈管浸潤が少なく, 切除予後が良好であった. 病期を含めた予後因子に関する多変量解析の結果では, TS-CT所見は独立した有意な予後因子とはならなかった (p=0.059). 結論. 性別や喫煙などの臨床背景により腺癌の組織形態に差があることが示唆された. TS-CT所見は予後因子としては示されなかったが, TS-CTを用いた画像分類により病理学的浸潤所見の少ない予後良好な腺癌を鑑別しうる可能性が示唆された.
  • 星川 康, 桜田 晃, 佐渡 哲, 田畑 俊治, 遠藤 千顕, 岡田 克典, 鈴木 聡, 松村 輔二, 近藤 丘
    2005 年 45 巻 4 号 p. 319-328
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/12
    ジャーナル オープンアクセス
    目的. 「EBMの手法による肺癌診療ガイドライン2003年版」の使用状況およびこれに対する意見を調査することを目的とした. 方法. 日本呼吸器外科学会認定施設, 関連施設, 日本肺癌学会員の在籍する施設, 530施設を対象にアンケート調査を行った. 結果. 260施設, 785名の医師より回答を得た. 回答者の80%以上が本ガイドラインの使用経験があり, その半数以上が「診療方針決定」あるいは「インフォームドコンセント」といった実際の診療の場での使用を目的としていた. 回答者の約70%が本ガイドラインの出版により診療になんらかの影響があったと答えており, 影響の種類の大部分は, 「診療方針が決めやすくなった」あるいは「患者さんに説明しやすくなった」であった. 「今後記載されることが望ましい臨床的疑問点」あるいは「本ガイドラインへの要望」として, 改訂への要請を含む多数の有用な意見が寄せられた. 結論. 本ガイドラインは多数の医師によって利用され, 肺癌診療に寄与していることが示唆された. 一方で改訂への強い要請があることも明らかとなった. 得られた多数の意見が今後のガイドライン改訂に反影されるよう日本肺癌学会に要望したい.
  • 山本 倫子, 矢那瀬 信雄, 矢内原 智子, 小野田 清香, 石井 佳緒里, 羽切 慎太郎, 龍華 慎一郎, 和田 真由子, 加藤 恵美, ...
    2005 年 45 巻 4 号 p. 329-333
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/12
    ジャーナル オープンアクセス
    目的. プラチナ製剤併用療法の施行が困難あるいは適切でないhigh riskの小細胞肺癌を対象に塩酸アムルビシンの抗腫瘍効果と毒性について検討する. 方法. 対象は高齢, PS不良あるいは合併症等のためプラチナ製剤併用療法の施行が困難と判断された小細胞肺癌症例および既に2レジメン以上の化学療法が施行された小細胞肺癌症例. 塩酸アムルビシン40 mg/m2 (もしくは35 mg/m2) を3日間連日静脈内に投与, 3週間を1コースとして2コース以上投与とし, その抗腫瘍効果および毒性を評価する. 結果. 2003年2月から2004年7月まで, 21例に塩酸アムルビシン治療が施行された. 21例中6例は初回投与量を35 mg/m2に減量した. 年齢中央値は71歳 (51~80) で, 化学療法未治療例が7例, 既治療例が14例であった. 未治療例の奏効率は71%, 生存期間中央値は9.4ヵ月で, 既治療例では各々14%, 6.0ヵ月であった. 毒性面ではグレード3以上の血液毒性が高頻度に認められたが, 非血液毒性は比較的軽度であった. 結論. プラチナ製剤併用療法の施行が困難あるいは適切でないhigh riskの小細胞肺癌に対する塩酸アムルビシン単剤療法は, 高い奏効率と予後改善が期待され, 今後さらに検討すべき有用な治療法と考えられた.
  • 村岡 昌司, 岡 忠之, 赤嶺 晋治, 田川 努, 橋爪 聡, 松本 桂太郎, 田川 泰, 林 徳眞吉, 永安 武
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2005 年 45 巻 4 号 p. 335-341
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/12
    ジャーナル オープンアクセス
    目的. 多発肺癌に対する外科治療成績を検討し, 手術適応と術式選択につき検討する. 対象と方法. 臨床病理学的に多発肺癌と診断した64例を対象とした. 結果. 平均年齢64.3歳, 男女比49:15, 同時性27, 異時性37例. 組織型は共に腺癌27, 共に扁平上皮癌14, 腺癌―扁平上皮癌11例で, 病期は共にI期35, I・II期14例. 同時性では一期的手術14例, 二期的手術11例で, 複数回手術43例の初回手術は肺葉切除 (27例) が多く, 2回目は縮小手術が多かった (28例). 4例に両側肺葉切除, 3例に残存肺全摘術を行った. 術死および重篤な術後合併症は認めなかった. 予後は異時性が術後5年生存率 (5生率) 74.9%, 同時性は63.9%であった. 異時性で二次癌がIA期では5生率85.1%, IB期で66.7%, II期以上は有意に予後不良であった. 組織型では共に腺癌 (81.5%) が最も良好であった. 結論. 多発肺癌に対する外科治療は合併症も少なく安全に施行できた. 二次癌に対しても, 残存肺機能やperformance statusがよい症例には, 両側肺葉切除や残存肺全摘術も可能である. 特にI期症例では予後も期待でき, 積極的に外科治療を行うべきである.
  • 佐々木 徳久
    2005 年 45 巻 4 号 p. 343-349
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/12
    ジャーナル オープンアクセス
    目的. 高齢者肺癌患者の受診実態を明らかにする. 方法. 1985年から2000年に当科で診療を行い, 北摂地域在住の肺癌患者537例 (自験例) を対象とし, 同地域の年齢階級別人口から期待肺癌罹患数を求め, 75歳以上の肺癌患者の割合について比較検討し, また15歳ごとの年齢階級別に当科への受診率を求めた. さらに, 適切な医療機関を受診していないと考えられる高齢者肺癌患者の割合 (非受診率) を求めた. 次に, 同地域での2020年までの期待肺癌罹患数および, 適切な医療機関を受診しない高齢者肺癌患者数を予測した. 結果. 期待肺癌罹患数と自験例の高齢者肺癌患者の比率はそれぞれ35.8%, 19.2%で, 自験例が有意に少なかった (p<0.0001). 非受診率は57.4%であった. 高齢者肺癌患者の比率は1985年の32.0%から2020年には57.2%になると予測され, 2020年には適切な医療機関を受診しない高齢者肺癌患者は全肺癌患者の32.9%を占めると予測された. 結論. 将来, 北摂地域では肺癌患者の主体は高齢者となり, 適切な医療機関を受診しない肺癌患者は3人に1人になる. 高齢者肺癌患者の適切な診療指針の策定が急がれる.
症例
  • 畑中 克元, 安達 勝利
    2005 年 45 巻 4 号 p. 351-355
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/12
    ジャーナル オープンアクセス
    背景. 胸腺原発リンパ腫は非常に稀な節外性リンパ腫で, 前縦隔に大きな不整形腫瘤を形成し, 胸腺腫, 胚細胞性腫瘍等, その他の縦隔腫瘍との鑑別が問題となることが多い. 症例. 82歳, 男性. 急性気管支炎にて当院内科入院中, 胸部CTで前縦隔に大きな辺縁平滑な腫瘤を指摘された. 胸腺腫の疑いで当科へ紹介となり, 胸骨正中切開, 前縦隔腫瘍亜全摘術を施行, 胸腺原発MALTリンパ腫と診断された. 結論. 非常に稀な胸腺原発MALTリンパ腫の1例を経験し, 胸腺腫との鑑別に免疫組織化学染色が有用であったので報告した.
  • 花岡 淳, 大内 政嗣, 井上 修平, 手塚 則明, 澤井 聡, 藤野 昇三
    2005 年 45 巻 4 号 p. 357-362
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/12
    ジャーナル オープンアクセス
    背景. 肺癌患者の治療経過中に低Na血症が出現することがあり, 稀ではあるが抗腫瘍薬投与により抗利尿ホルモン不適切分泌症候群 (SIADH) が原因となることがある. 症例. 71歳男性. 胸部異常陰影と顔面・上肢の浮腫で入院となった. 胸部CTで右上葉の腫瘤影と縦隔リンパ節腫大を認め, 経気管支肺生検で低分化型肺腺癌の診断を得た. 入院時より末梢血白血球数増多を認め, 血漿顆粒球コロニー刺激因子 (G-CSF) 高値よりG-CSF産生腫瘍と診断した. 放射線療法開始2週後にnedaplatinとdocetaxelによる全身化学療法を開始したところ, 9日後に傾眠傾向が出現した. 血漿浸透圧低下を伴った低Na血症と血漿ADH上昇を認め, 原因となる他疾患もないことから抗腫瘍薬によるSIADHと診断した. Na補充と利尿剤投与後, 水制限を行うことで症状は改善, その後は低Na血症の再発を認めなかった. 結論. 中枢神経症状を有する低Na血症例では緊急処置が必要であるが, 薬剤性SIADHも考慮しながら原因を鑑別することが重要である.
  • 濱中 一敏, 砥石 政幸, 西村 秀紀
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2005 年 45 巻 4 号 p. 363-366
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/12
    ジャーナル オープンアクセス
    背景. 肺紡錘細胞癌は紡錘細胞のみからなる, 予後不良な疾患である. 手術後に急激な経過をたどって死に至った症例を経験したので報告する. 症例. 患者は68歳の男性で, 胸痛を主訴に受診し, 胸部CTで左S6に空洞を伴う径約7 cmの腫瘤を認め, 胸壁浸潤を伴う肺癌と診断された. 遠隔転移を認めず, 症状出現後1ヶ月半に左下葉切除および胸壁合併切除を行った. 組織学的には紡錘形の細胞のみからなり上皮様にみえる細胞はなく, 免疫染色でcytokeratin陽性から肺紡錘細胞癌と診断した. 術後5週でイレウスを発症し, 小腸の腫瘍を切除し, 転移と診断された. その後局所再発, 肺転移, 骨転移を来し, 術後6ヶ月で死亡した. 結論. 肺紡錘細胞癌は予後不良であり, 術後早期に積極的な補助療法をすべきである.
  • Osamu Hashimoto, Akira Yamaguchi, Tami Fujimoto
    2005 年 45 巻 4 号 p. 367-372
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/12
    ジャーナル オープンアクセス
    Background. Anomalous right upper and middle lobe bronchi originating from a common bronchus is a rare condition. We report a case of lung cancer associated with this anomaly. Case. A 67-year-old woman complained of productive cough and chest pain. A diagnosis of pneumonia was made in the right lung. Despite antibiotics, the shadow in the right lower lung field did not disappear. Therefore she underwent computed tomographic (CT) scan which revealed a mass in the right middle lobe. She was referred to our hospital on the suspicion of lung cancer. Bronchoscopy revealed right upper and middle lobe bronchi originating from a common bronchus. Squamous cell carcinoma was confirmed by curetting cytology of the right middle lobe bronchus. Bilobectomy of the right upper and middle lobes and lymphadenectomy was performed through a thoracotomy. After giving rise anteriorly to a large stem, the truncus superior (TS), the remaining stem of the right pulmonary artery, descended dorsally under the arch of the azygos vein. As the TS was thick, these two stems together presented a double-barreled appearance at surgery. The configuration of the dorsal stem after the branching off of the TS was similar to that seen in the left lung. No minor fissure between the upper and middle lobes was observed, and the posterior part of the major fissure was undeveloped. There was no abnormality in the pulmonary veins. The postoperative course of the patient was uneventful, and she was discharged on the fifth postoperative day. The pathologic diagnosis was stage IA squamous cell carcinoma. Conclusion. The bronchial anomaly was a mirror image of the left upper lobe bronchus. We were able to image the anatomic ramifications of the right pulmonary arteries by CT and 3D-CT scans. Pulmonary arteriography would have been optimal before surgery.
  • 石倉 久嗣, 木村 秀, 沖津 宏, 湯浅 康弘, 篠原 勉, 近藤 治男
    2005 年 45 巻 4 号 p. 373-376
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/12
    ジャーナル オープンアクセス
    背景. 末梢型の定型的カルチノイドで縦隔リンパ節に転移を認めるのは非常に稀であるため, 若干の文献的考察を加えて報告する. 症例. 62歳, 男性. 発熱, 肝機能障害で当院入院し加療を受けた際の胸部単純写真にて右肺に径約2 cmの孤立陰影を認め, 精査目的で当科紹介となった. 胸部CTにて右中葉に1.8 cm大の結節影がみられた. 右B5よりの生検にて, 小細胞癌疑いと診断され, 手術施行. 術中迅速診断にても小細胞癌であり, 右中葉切除 (ND2a) を施行し術後化学療法に備えた. 病理所見では, 細胞質の乏しい異型の少ない細胞の増殖で, 壊死がなく, またmitosisが少ないことよりcarcinoid tumor (typical) と考えられた. 免疫組織化学検査でクロモグラニンA, NSE, N-CAMが陽性であり, typical carcinoidとの診断を得たが, 縦隔の分岐部リンパ節 (#7) のみに転移を認めた. 結論. 術前に定型的カルチノイドと診断された場合には, 縮小手術を基本とし, 迅速診断で転移陽性例に対しては標準郭清を行うなどの工夫が必要であると思われた.
  • Ryoji Kawano, Enjo Hata, Shingo Ikeda, Toshiya Yokota, Shin Karita, Ka ...
    2005 年 45 巻 4 号 p. 377-380
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/12
    ジャーナル オープンアクセス
    Background. Lung cancer rarely shows a lymph node metastasis to pulmonary hilar and/or mediastinal regions without the primary site of the lung being unable to be detected. Case. A 68-year-old man demonstrated a right abnormal hilar shadow on a chest X-ray film. A computed tomography (CT) revealed an enlarged mass at the right pulmonary hilar node, and this mass was diagnosed to be poorly differentiated carcinoma by transbronchial aspiration cytology. However, no primary lesion in the lung was apparent, and the extrathoracic findings showed no abnormalities despite a thorough examination. We thus performed a tumorectomy with right upper lobectomy and mediastinal nodal dissection because of the possibility of a lung origin based on the lymphatic routes to the tumor. The microscopical and immunohistochemical findings were consistent with small cell carcinoma in the pulmonary hilar node. Although no primary lesion of the resected lobe and also other lobes of the lung was found despite detailed examinations, positive immunoreactivity against anti-thyroid transcription factor-1 (TTF-1) antibody revealed this tumor to have originated in the lung. Therefore, we consider that this patient is a rare case of primary unknown T0 lung cancer with metastasis in the pulmonary hilar lymph node. Conclusions. In case of T0 lung cancer, since the primary lesion may later be identified, a strict follow-up study after the operation is necessary.
  • 根津 賢司, 佐藤 之俊, 松井 啓夫, 奥村 栄, 中川 健, 石川 雄一
    2005 年 45 巻 4 号 p. 381-386
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/12
    ジャーナル オープンアクセス
    背景. 肺癌の術前検索として肺門および縦隔リンパ節転移, 遠隔転移の正確な診断は手術適応や術式などの治療方針を決定する上で重要であり, 18F-fluoro-2-deoxy-D-glucoseを用いたpositron emission tomography (以下FDG-PET) は肺癌の病期診断において非常に有用な検査となっている. 今回FDG-PET陽性肺腺癌において肺門リンパ節転移がFDG-PET偽陰性であった1手術例を経験したので報告する. 症例. 55歳男性. 右S9原発の最大径70 mmの中分化型腺癌でCTにて肺門リンパ節 (#11s, #11i) の腫大および左副腎腫大を認め, FDG-PETを施行した. 原発巣はFDGの著明な集積を認めたが, 肺門リンパ節, 左副腎は集積を認めず, 術前診断cT2N0M0 stage IBとして右下葉切除の予定で手術に臨んだ. 術中の迅速病理診断で肺門リンパ節は転移の所見であり, 中下葉切除, 完全切除を施行した. 病理組織診断にて原発巣はコロイド腺癌と粘液産生充実型腺癌の所見を併せ持つ混合型腺癌であり, リンパ節転移巣は多量の粘液を含み, コロイド腺癌のうちの乳頭型腺癌の成分が転移したものと考えられた (pT2N1M0 stage IIB). 結論. 肺癌において, 本症例のような経験を踏まえてFDG-PETの偽陽性, 偽陰性になりやすい症例の検討を進め, より正確な治療前診断を行うことが重要である.
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