肺癌
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38 巻, 1 号
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  • 臨床病期分類およびTNM分類委員会からの報告
    渡辺 洋宇, 下方 薫, 成毛 韶夫
    1998 年 38 巻 1 号 p. 1
    発行日: 1998/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 富樫 賢一, 江部 達夫, 佐藤 和弘, 斎藤 博之
    1998 年 38 巻 1 号 p. 3-9
    発行日: 1998/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    原発性肺癌に対する外科治療の安全性をより向上させるためにはどうすべきかを, 術後死亡 (手術死亡+病院死亡) 例を分析することにより検討した.対象は1979年より1996年までに手術を施行した1032例である.手術死亡 (術後1ヵ月以内の死亡) は10例 (1.0%), 病院死亡は9例 (0.9%) で, 術後死亡率は約2%であった.高齢者ほど, また, 手術侵襲が大きいほど術後死亡率は高い傾向にあった.手術死亡10例の原因は, 心破裂1例, 消化管出血1例, 脳出血1例, 脳梗塞1例, 肺炎1例, 気管支瘻1例, ARDS2例, 突然死2例であった.病院死亡9例の原因は腎不全1例以外すべて呼吸器系の合併症であり, 気管支瘻3例, ARDS2例, その他の呼吸不全3例であった.これらの死因は必ずしも予測や予防が可能とは思われなかったが, 厳密な手術適応の決定と術後管理における迅速な対応が肝要と思われた.
  • 特に中心部線維化巣形成との関連性
    江藤 尚, 鈴木 春見, 本多 淳郎, 長島 康之
    1998 年 38 巻 1 号 p. 11-17
    発行日: 1998/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    末梢型肺腺癌の腫瘍血管侵襲 (VI) 部位を組織学的に検討した.対象は腫瘍径3cm以下の切除例で, 問質弾性線維増生網 (EFW) の明らかな粘液非産生型末梢型肺腺癌で, 組織学的に血管内腫瘍細胞塞栓 (ITE) を明瞭に認めた22例である.腫瘍の間質形成所見を, 断裂したEFWからなる中心部線維化巣 (CF) と, その周囲肺胞を被覆増殖するreplacement growth (RG) に分け, CFは更に1) Type 1-like EFW, 2) collagenized EFW, 3) collapsed EFWに分けて, ITEの出現を部位別に検討した.結果;VIは15例35ヵ所でRGに, CF内では11例15ヵ所で1) に, 11例13ヵ所で2) に, 1例2ヵ所で3) にみられた.いずれもCF辺縁でRGとの境界部に多い.また, CF内での膠原化の程度に比例してRGでのVIの頻度が増加する傾向がみられた.CF内の血管病変はVIよりも器質化血管閉塞や破壊が多くみられた.この結果から, VIは末梢型肺腺癌の特有な腫瘍間質であるCF形成過程での微小環境循環障害で生ずる新生血管を機転として始まり, CF内の膠原化が進むと, より辺縁側の進展部 (RG) で腫瘍塞栓として観察されるようになると考えられた.
  • 粟井 和夫, 藤川 光一, 中村 進, 山根 浩介, 西阪 隆, 武島 幸男, 立山 義朗, 伊藤 勝陽
    1998 年 38 巻 1 号 p. 19-28
    発行日: 1998/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    年以上CTによる経過観察が行われた肺野型肺腺癌について, retrospectiveに発育形態の検討を行った.対象は, 1年以上経過観察が行われた肺腺癌5症例で, 組織型は高分化乳頭腺癌3症例, 高ないし中分化乳頭腺癌1症例, 低分化腺癌1症例である.腫瘤影のdoubling timeは, 高~ 中分化乳頭腺癌の4例では14.8~36.8月で, 低分化腺癌の1例では10.0月であった.高ないし中分化乳頭腺癌の3症例で, 腫瘤影の大きさがほとんど変化していないのにもかかわらず胸膜または血管の巻き込みが増強する時相が存在した.また全症例で種瘤内部にair bronchogramが認めら礼内3例では経過中にair bronchogramは狭小化あるいは消失した.確定診断のついていない孤立性肺結節をCTなどにより経過観察を行う際は, 以上に述べたような腺癌の発育様式を念頭に置く必要がある.
  • 本邦報告例を加えての検討
    上吉原 光宏, 平井 利和, 川島 修, 森下 靖雄
    1998 年 38 巻 1 号 p. 29-35
    発行日: 1998/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は70歳, 男性.1995年9月, 両側巨大気腫性嚢胞にて両側肺嚢胞切除を行った.1996年11月頃より胸痛が出現したため, 精査目的で当科に入院した.経気管支的肺生検で肺癌と診断され, 左下葉切除R2aを行った.術後病理検索では腫瘍は嚢胞壁に接して存在した.嚢胞壁内には腺上皮の過形成と, 高分化腺癌を認めた.嚢胞壁に接した肺癌は比較的まれであるため, 今回著者らは, 本邦報告例を加えて報告する.
  • 守尾 篤, 坂口 浩三, 二川 俊郎, 羽田 圓城, 宮元 秀昭, 富永 滋
    1998 年 38 巻 1 号 p. 37-42
    発行日: 1998/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は38歳女性.1986年から, 両側気腫性肺嚢胞にて経過観察されていた.1995年12月, 右胸部痛, 血痰が出現し, 胸部単純X線写真にて右上葉の腫瘤陰影を認めた.経皮肺生検にて肺腺癌を疑ったが確定診断にはいたらなかった.また画像診断では, 肺癌を第一に疑ったが, 胸膜中皮腫等の胸壁由来の腫瘍も否定できなかった.胸腔鏡で肺癌胸壁浸潤と診断した後, 右上中葉, 胸壁合併切除およびR2b郭清を施行した.肺癌は気腫性肺嚢胞壁より発生し, 嚢胞内腔を充満する様に発育した低分化型腺癌で, 胸壁に浸潤しておりp-T3N0M0-stage III Aであった.併せて, 気腫性肺嚢胞に合併した肺癌の切除例自験例12例について検討した.気腫性肺嚢胞は肺癌の高危険群であり, 厳重な経過観察を行うとともに癌を疑った場合には積極的な診断が必要と思われた.
  • 山口 和之, 内藤 伸介, 野村 繁雄
    1998 年 38 巻 1 号 p. 43-48
    発行日: 1998/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は77歳の女性.1995年4月頃より持続する咳嗽にて当院を受診, 胸部単純X線胸部造影CTでは右側に中等量の胸水を伴い, 縦隔には辺縁が造影されるとともに内部が不均一に造影される一部嚢胞状腫瘤と右側背側胸壁に基部を持つ半円型のよく造影される腫瘤を認めた.気管は縦隔の腫瘤により高度に圧迫をうけていた.胸水穿刺および背側の腫瘤に対して経皮的生検を行った.病理学的免疫組織化学的検索では腫瘍は上皮様構造と肉腫様構造を呈する部分を認め, ピアルロニダーゼ消化試験陽性, CEA陰性, ケラチン陽性であった.以上の画像ならびに病理学的, 組織化学的, 免疫組織学的所見より, びまん性悪性胸膜中皮腫 (biphasic type) と診断した.本症例ではCT上右側胸壁に半球形の腫瘤病変を認め, 縦隔には嚢胞状腫瘤が認められる特異な所見を示した.
  • 鈴木 実, 木村 秀樹, 岩井 直路, 高橋 好行, 藤澤 武彦
    1998 年 38 巻 1 号 p. 49-55
    発行日: 1998/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    原発性肺癌の中でN3症例は手術適応になることが少なく, その予後はきわめて不良である.1994年1月から1996年3月までに当センターで切除を受けたN3肺癌5症例について検討した.術前全身化学療法を行ったのは3例で, 手術はすべて胸骨縦切開による頸部までの拡大縦隔郭清を行った.術後, 局所化学療法・免疫療法を4例に追加した.そのうち, 2例は22ヵ月後の現在非担癌生存中であるが, 3例は遠隔転移をきたし, 34ヵ月, 19ヵ月, 18ヵ月で失った.手術療法は化学療法が奏効した場合の局所制御の一手段として有用な場合もあると考えられたが, 遠隔転移巣を制御する治療の追加が必要である.
  • 金藤 睦実, 山田 耕三, 尾下 文浩, 野田 和正, 田尻 道彦, 亀田 陽一
    1998 年 38 巻 1 号 p. 57-62
    発行日: 1998/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    患者は49歳の女性である.胸部X線写真上において右上肺野に約20mm大の腫瘤影と縦隔リンパ節腫脹を指摘され, 当科を受診した.精査の結果, CT画像での縦隔リンパ節腫大を認め, 臨床病期IIIA期 (C-TIN2MO) の肺腺癌の術前診断のもとに右上葉切除術を施行した.病理組織では腫大したリンパ節には癌の転移はなく, すべて壊死を伴わない類上皮細胞を含む肉芽腫であった.臨床的にはサルコイドーシスを示唆する所見はなく, リンパ節にサルコイド様反応を呈した肺腺癌症例であると考えられた.以上, 画像的には進行肺癌と判断したが, 病理学的には腫大した縦隔リンパ節は反応性のものであり, 現状の画像診断の限界を示した例と考えられた.
  • 沖津 宏, 津田 洋, 川田 正史, 田渕 寛, 佐尾山 信夫, 吉田 沖
    1998 年 38 巻 1 号 p. 63-68
    発行日: 1998/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は62歳, 女性で1991年3月13日に肺癌疑いにて右中下葉切除 (左房合併切除) を施行, 病理所見は非定型カルチノイドでpT4NIM1 (PUL) であった.術後4年3ヵ月に左乳房D領域に約1cm大の腫瘤を触知し, 乳癌の診断下に1995年8月3日にquadrantectomyを施行した.病理所見ではGrimelius及びchromogranin陽性の神経内分泌穎粒を認め, 肺カルチノイドの乳腺転移と診断した.術後3ヵ月頃より, 皮膚の紅潮, 喘鳴, 下痢などカルチノイド症候群を呈し, 血中セロトニン0.90μg/ml, 血中5-HIAA75.6ng/ml及び尿中5-HIAA17.3mg/dayと著増を示した.酢酸オクトレオチドの投与にて同症候群は軽快したが, 1996年4月には気管支断端再発, 1996年10月に腹壁, 1997年3月に右乳腺に転移を認め, 各々治療した.現在, 頭皮及び腹壁に転移を認め, 血中セロトニン2.86μg/ml, 血中5-HIAA 132.7ng/ml及び尿中5-HIAA34.8mg/dayとさらなる著増を認めているが, 原発巣術後6年9ヵ月の現在, 外来経過観察中である.
  • 森迫 隆弘, 小林 英夫, 永田 直一, 青木 輝浩, 相田 真介, 玉井 誠一
    1998 年 38 巻 1 号 p. 69-73
    発行日: 1998/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は75才男性.無症状で, 検診にて多発性浸潤影を指摘された.陰影は検診後の3ヵ月間に明らかに進行を示した.CTでは, 小嚢胞状の含気の混在するair space consolidationが主体であった.喀疾, 気管支洗浄液の細胞診は陰性で, 気管支肺胞洗浄でリンパ球33%と上昇を認めたため, 特発性BOOPを疑い開胸肺生検を実施した.病理所見は, 組織の大半を呼吸細気管支から肺胞道にかけて, 線維芽細胞の増殖を伴った器質化病変が占める, いわゆるBOOPpatternであった.さらに肺胞腔内の粘液貯留, 肺胞壁に沿って進展する粘液産生性の細気管支肺胞上皮癌 (BAC) を散在性に認めた.本例のBOOP patternの成因としては, BAC産生の粘液による閉塞と炎症性の両者の共存が考えられた.胸部CTで小嚢胞陰影を伴う浸潤影を認め経気管支肺生検で, 腫瘍細胞が見られずとも, 粘液で充満した肺胞が採取された場合には, BACの可能性を考慮し, 鑑別をすすめることが, 重要と考えられた.
  • 吉見 雄三, 岡藤 和博, 小林 弘明
    1998 年 38 巻 1 号 p. 75-79
    発行日: 1998/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    83歳の男性.腰背部痛を主訴に受診し, 胸部異常陰影を指摘された.当科での肺生検の結果, 悪性黒色腫と診断された.第一回入院後約3ヵ月で呼吸不全にて死亡した.生前の検査では, 肺以外に原発を疑わせる病変はなく, 死後の剖検でも, 全身に転移がみられるものの肺以外の他の臓器で原発巣と考えられる病巣はなく, 左肺下葉の病理像でいわゆるjunctional changeを認めた.これらの所見より肺原発の悪1生黒色腫と診断した.悪性黒色腫のうちでも肺原発のものは非常にまれで現在までに30例ほどが報告されているにすぎない.予後は非常に不良で多くの例で1年以内に死亡している.
  • 福田 実, 岡 三喜男, 寺師 健二, 井上 啓爾, 早田 宏, 河野 茂
    1998 年 38 巻 1 号 p. 81-86
    発行日: 1998/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は29歳, 男性.嗄声で発症し, 検診の胸部X線で縦隔腫瘍を指摘され, 左鎖骨上窩リンパ節生検によりカルチノイドと診断した.腫瘍は大血管を巻き込んで手術不能であり, 生検組織を用いた抗癌剤感受性試験でも各種抗癌剤に対し耐性を示した.しかし3コースの化学療法と合計55Gyの胸部放射線同時照射を施行し, 若干の効果が認められ, 治療開始より18ヵ月経過した現在も腫瘍増大, 症状増悪なく外来通院中である.進行型カルチノイドに対する治療法開発の必要性を感じた.
  • 1998 年 38 巻 1 号 p. 87-96
    発行日: 1998/02/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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