肺癌
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29 巻, 7 号
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  • SCC, NSE, CEAとの比較において
    畠山 忍, 永井 明彦, 中島 喜章, 来生 哲, 荒川 正昭
    1989 年29 巻7 号 p. 737-745
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    未治療の原発性肺癌患者67名について, NCC-ST-439を測定し, 同時にSCC, NSE, CEAと比較しその有用性を検討した.NCC-ST-439は小細胞癌に比し, 非小細胞癌で有意に高値を示し, 腺癌で高い傾向にあった.SCCは扁平上皮癌で, NSEは小細胞癌で高い傾向があり, NSEは小細胞癌の治療経過のmonitoringに有用であった.腫瘍マーカーの感受性, 特異性, 正診率ともCEAが最も優れており, NCC-ST-439にCEAを加えたcombination assayが肺癌の補助診断として有用と考えられた.
  • 特に気管支形成術による縮小切除の意義について
    渡辺 洋宇, 清水 淳三, 村上 真也, 吉田 政之, 小田 誠, 岩 喬, 高島 力, 上村 良一, 生垣 茂, 山田 勝治
    1989 年29 巻7 号 p. 747-754
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    過去12年間に20例の肺門部早期肺癌を経験した.組織型はすべて扁平上皮癌であった.うち3例には多発癌 (1例は異時) を認めた.5例に肺葉切除, 12例にsleeve lobectomy, 2例にsleeve segmentectomyを行ったほか, 1例には気管支切除 (左上下分岐部切除, 主幹上下幹二連銃吻合) を行った.これらの5年生存率は100%と予後良好であり, また, 多発癌発生の可能性もあり, 可及的に縮小切除術式を行うべきである.
  • 山口 哲生, 長谷川 浩一, 平良 修, 林 裕人, 中島 宏昭, 小松 彦太郎, 瀧沢 弘隆, 石橋 弘義, 武田 潤, 藤川 晃成, 内 ...
    1989 年29 巻7 号 p. 755-762
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    手術不能非小細胞肺癌に対するcisplatin vindesine併用 (以下PV) 療法と, cisplatin ACNU併用 (以下PN) 療法との有用性を比較検討するために, 無作為化比較試験を実施した.PSO~2の症例での検討では, 奏効率はPV群が優れているものの, 生存期間には有意差はなかった.またACNUの脳転移抑制効果は明らかではなかった.副作用は, PN群で血小板減少, PV群で脱毛, 神経障害が有意に多かった.
  • 塩田 哲広, 松原 義人, 池田 貞雄, 石田 久雄, 塙 健, 八木 一之, 小鯖 覚, 畠中 陸郎, 船津 武志
    1989 年29 巻7 号 p. 763-769
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    肺癌患者191例, 非癌肺疾患患者379例, 健常者188例の血清中TPAをIRMAキットを用いて測定した.血清TPAの感度, 特異度, 正診率はそれぞれ57.3%, 87.1%, 77.0%であった.また免疫組織学的検討では, TPAは肺癌の組織型に関係なく高率に癌細胞中に証明された.この新たなIRMAキットを用いることにより, 従来のTPA測定キットの欠点であった特異度が改善され, 肺癌における腫瘍マーカーとしてのTPAの意義は向上したと考える.
  • 小倉 滋明, 阿部 庄作, 中島 功雄, 牧村 士郎, 須甲 憲明, 渡部 直巳, 国兼 浩嗣, 川上 義和
    1989 年29 巻7 号 p. 771-777
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    気管支上皮異型過形成細胞と肺腺癌細胞は, 細胞診上鑑別が困難なことがある.一方, Nucleolar organizer regions (NORs) は, リボゾームDNAを反映していて, 核小体の活性と密接に関係していると言われている.今回, このNORsを特異的に染色して, 異型過形成細胞と腺癌細胞との核内NORsの個数を計測したところ, 腺癌細胞での核内NORsの個数は平均5.1±0.5/nucleusで, 異型過形成細胞でのそれは2.7±0.6/nucleusであり, 両群問に有意差を認めた (P<0.01).従って, 核内NORsの計測は両者の鑑別の一助となることが明らかとなった.
  • 高杉 知明, 河合 章, 森 正明, 梅田 啓, 山口 佳寿博
    1989 年29 巻7 号 p. 779-783
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は34歳男性.15歳の時, 甲状腺濾胞状腺癌のため甲状腺右半切除術を施行された.その後, 無症状に経過していたが, 20年後に胸部レントゲン写真上, 両側下肺野にびまん性の小粒状影を指摘された.他院にて経気管支肺生検 (TBLB) を施行され, 間質性肺炎として経過観察されていた.本院にて精査の結果, 気管支肺胞洗浄液 (BALF) 中にサイログロブリンが検出され, TBLBにて甲状腺濾胞状腺癌の肺転移と診断された.
    BALF中に本来含まれていないサイログロブリンの存在を証明することは甲状腺癌の肺転移を診断する上で有用と考えられた.
  • 治療の有効性とその要因考察を含めて
    伊藤 英章, 渡辺 彰, 大家 他喜雄
    1989 年29 巻7 号 p. 785-790
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    47才男性右肺門部原発の小細胞癌症例を報告した.治療前, 造影頭部CTで多発性脳転移像を認めた.右前頭葉に浮腫を伴う円形病変, 左後頭葉に壁在結節を有しリング状に造影される嚢胞状病変を認めたが, 脳転移巣に由来する臨床症状は認めなかった.2コースの化学療法後, 胸部X線上部分寛解を得, 壁在結節を含め嚢胞状病変も縮小した.
    2コースの化学療法6週後, Gerstmann症候群が出現した.頭部CTではmidline偏位を伴う嚢胞状病変の増大を認めた.マンニトールやステロイド剤の投与で症状は改善せず, 嚢胞状病変の摘出術が施行された.摘出標本から肺小細胞癌脳転移の確定診断を得た.術後, 放射線療法を併用し, 脳転移巣はコントロールされた.この間, 胸部腫瘤影の増大を認めなかった.その後化学療法を追加し, 発病後18カ月を経た現在, 外来管理中である.文献上, 壁在結節を有する嚢胞状転移はまれであり, その要因に対する考察を含めて報告した.
  • 自験4症例の検討
    金子 保, 野田 和正, 佐野 文彦, 野村 郁男, 亀田 陽一, 飯田 萬一
    1989 年29 巻7 号 p. 791-797
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    癌性髄膜炎を併発した原発性肺癌を4例経験した (小1, 腺3).神経症状は多彩で予後は極めて悪く, 診断確定からの平均生存期間は41日であった.診断には造影CTが有用で, 2例に特徴的な所見が認められた.腺癌3例に対しAra上C, MTXの髄腔内投与が施行され, 2例に髄液中の腫瘍細胞の変性を認めたが, 臨床症状は改善しなかった.髄腔内投与に全脳照射を併用した1例で, 最も長い生存期間 (102日) が得られた.
  • 池田 賢次, 中島 明雄, 池田 顕彦, 月野 光博, 藤田 博司
    1989 年29 巻7 号 p. 799-804
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    肺癌の胃への転移頻度は, 剖検例でも1~5%と非常に少ない.更に, 生前に発見されその経過を観察された例となると極めて稀である.胃検診によって偶然に発見された肺小細胞癌の胃転移例を経験した.2回の化学療法により, 肺原発巣, 及び胃転移巣の完全退縮が認められた.尚, 本症例は, 胃の他に, 肝, 膵, 骨にも転移を来しており, 化学療法の結果, 総合的にPRと判定された.
  • 綾部 公懿, 内川 徹也, 仲宗根 朝紀, 谷口 英樹, 川原 克信, 富田 正雄
    1989 年29 巻7 号 p. 805-810
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は63才の男性で, 57才時より慢性腎不全の診断で人工透析を受けていたが, 咳噺, 血痰が出現したので胸部レ線検査を受けたところ左上肺野に異常影を発見され, 肺癌と診断された.左肺上葉切除, 気管支形成術及び縦隔リンパ節郭清術が施行された.病理診断は中分化扁平上皮癌 (T2N2M0 Stage IIIA) であった.術後の経過は良好で化学療法施行後退院した.慢性腎不全に対し人工透析中に発見された肺癌切除例の経過と術前後の管理を中心に報告した.
  • 1989 年29 巻7 号 p. 811-826
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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