【目的】右側原発性肺癌に対する二葉切除例について, 手術適応, 術後合併症, 再発形式および予後について検討し, とくに手術時葉間P3症例に対する二葉切除術の妥当性について検討する.【対象】1979年より1998年9月までに当科で切除した原発性肺癌740例中, 二葉切除を施行した62例 (8.4%).術式は上中葉切除13例, 中下葉切除49例.男性45例, 女性17例.平均年齢は64.2歳.組織型は扁平上皮癌30例, 腺癌25例, 小細胞癌3例, 大細胞癌2例, 腺扁平上皮癌1例, カルチノイド1例.病期分類はp-Stage IA 7例, IB16例, IIA4例, IIB9例, IIIA22例, IIIB2例, IV2例.【結果】二葉切除症例では同時期の肺全摘術, 一葉切除に比べ, 扁平上皮癌が多く, 二葉切除となった理由として上中葉切除では葉間P3が, 中下葉切除ではリンパ節の気管支浸潤が多かった.また, 術前一葉切除を予定するも二葉切除になった症例の47.1%は葉間P3が原因であった.二葉切除術症例の術後合併症は24例 (37.5%) であり, 局所再発を7例, 遠隔転移を17例に認め, その5年生存率は48.0%であった.手術時葉間P3症例において二葉切除例と一葉切除に肺部分切除を加えた症例では, その予後に有意差を認めなかった.またその局所再発および合併症はそれぞれ, 4.8%, 19%および43%, 19%であった.【結論】右肺癌手術時葉問P3症例において二葉切除例と一葉切除に肺部分切除を加えた症例では, その局所再発の頻度において有意差を認めなかったが, 一葉切除に肺部分切除を加える術式は, 症例数が増加すれば有意な差になる可能性が示唆された.
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