肺癌
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40 巻, 4 号
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  • 齋田 幸久, 鯨岡 結賀, 渕上 隆, 柳内 登, 斎藤 洋子
    2000 年40 巻4 号 p. 247-253
    発行日: 2000/08/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    組織学的に確診された検診発見肺癌252例を対象とし, 間接胸部単純エックス線写真上の病変の描出期間, およびそのエックス線像について検討した.組織学的内訳は腺癌112例, 扁平上皮癌86例, その他の組織型54例であった.病変の1年前陽性率は全肺癌を対象として60%, 2年前24%, 3年前12%, 4年前4%であった.組織型でみると, 腺癌では1年前陽性率80%, 2年前50%, 3年前31%.一方, 扁平上皮癌は1年前陽性率は42%, 2年前7%, 3年前4%であった.3年, または, それ以前から陽性であったものは全部で19例で, 18例がStage Iの5例を含む腺癌であった.胸部エックス線上, 初回時に大きさ15mm以下の大きさの陰影として示されることが多く, これらの小病変のうち, 2年前または3年前に陽性であった腺癌ではその80%が輪郭不明瞭な淡い陰影として描出された.これら小さな輪郭不明瞭な淡い陰影の拾い上げがスクリーニングには特に重要であり, 緩徐発育を示す腺癌では陰影の経時変化についての判断も慎重でなければならない.
  • 術後長期入院症例・手術関連死亡例の検討
    白石 武史, 渡辺 健詞, 平塚 昌文, 一口 修, 松添 大助, 吉永 康照, 米田 敏, 岡林 寛, 岩崎 昭憲, 川原 克信, 白日 ...
    2000 年40 巻4 号 p. 255-260
    発行日: 2000/08/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    [目的] 肺癌手術例における術死症例 (術後30日以内)・術後長期入院症例 (術後30日以上) を抽出し, これに関与する患者背景因子・手術関連因子を多変量解析を用い検討した.[対象] 過去6年間に原発性肺癌に対し肺部分切除以上の肺切除手術を受けた534例.[結果] 術死は12例 (2.3%), 長期入院は60例 (1L6%) であった.多変量解析の結果, 術死要因は中枢気道再建, 主肺動脈再建, T因子, 術後長期入院要因は胸壁再建, 慢性閉塞性肺疾患の合併, 肺全摘, 気管支形成が指摘された.[考察] 多変量解析の結果, 患者自身の背景因子として意味を持つものは長期入院に対する閉塞性肺障害のみで, 他の併発症に関しては術前に良好に管理されている限り重大な問題とはならない可能性が示された.術式上問題となる因子は, 胸壁合併切除, 気道再建, 肺動脈再建, 肺全摘等であった.しかし, 手術侵襲を左右する因子として通常考えられているリンパ節郭清の程度は, 術死・長期入院双方に関してその因子とは認められなかった.
  • 蒔本 好史, 川原 克信, 白石 武史, 岡林 寛, 一口 修, 松添 大助, 吉永 康照, 米田 敏, 岩崎 昭憲, 白日 高歩
    2000 年40 巻4 号 p. 261-265
    発行日: 2000/08/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    外科療法を行った超高齢者肺癌症例の手術成績, 術後合併症の発生頻度, 術後のPerformance status (PS) の推移を評価し手術適応, 術式について検討した.1999年2月までの超高齢者肺癌切除例は55例で, 男性37例, 女性18例であった.平均年齢は82.7歳で, 90歳以上が2例含まれる.臨床病期は1期28例, II期12例, III期14例, IV期1例であった.術式は肺全摘3例, 葉切38例, 区切6例, 部切8例であった.リンパ節廓清はR0-R1が78%で縮小手術が多い傾向にあった.術後合併症では呼吸器合併症が多くみられた.全体の累積5年生存率は34%で, 相対生存率は60%であった.外科的治療の適応となるのは1) PS≦2, 2) 重篤な呼吸循環器合併症がない.3) 家族の外科療法に対する理解と協力が得られる.4) 臨床病期が1, II期の症例が望ましいと考えられた.
  • Thick-Section CTとの比較
    廣瀬 敬, 堀地 直也, 野田 宗秀, 山岡 利光, 水野 哲雄, 鹿間 裕介, 笠原 慶太, 足立 満
    2000 年40 巻4 号 p. 267-271
    発行日: 2000/08/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    肺結節影の気管支鏡検査前に施行したCT検査を, 全肺野をthick-sectionCTで撮影したのみの症例 (A群) と肺門部から結節影部までのhigh-resolutionCT (HRCT) を追加した症例 (B群) に分け, 気管支鏡診断率をretrospectiveに比較した.対象は, 気管支鏡検査で可視範囲内に異常を認めない3cm以下 (石灰化のない) の肺結節影86例 (A群47例, B群39例) である.A群, B群の結節影の平均の大きさは, 20.9mmと20.4mmで有意差はなかった.肺癌はA群30例 (63%), B群23例 (58%) で, 腺癌が最も多かった.全症例の診断率は71%で, A群では65%, B群では76%で, B群の方が診断率が高い傾向があったが有意差はなかった (p=0.26).気管支関与のある症例の診断率は76%, 関与のない症例の診断率は63%で, 気管支関与のある症例では, 診断率が高い傾向があったが有意差はなかった (p=0.13).ただしB群では, HRCTを追加することにより有意に結節影に関与している気管支を多く同定した (p<0.05).大きさにより診断率に有意差はなかった.
  • 浦本 秀隆, 大崎 敏弘, 市来 嘉伸, 能勢 直弘, 井本 秀幸, 吉松 隆, 小山 倫浩, 小舘 満太郎, 安元 公正
    2000 年40 巻4 号 p. 273-278
    発行日: 2000/08/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    【目的】右側原発性肺癌に対する二葉切除例について, 手術適応, 術後合併症, 再発形式および予後について検討し, とくに手術時葉間P3症例に対する二葉切除術の妥当性について検討する.【対象】1979年より1998年9月までに当科で切除した原発性肺癌740例中, 二葉切除を施行した62例 (8.4%).術式は上中葉切除13例, 中下葉切除49例.男性45例, 女性17例.平均年齢は64.2歳.組織型は扁平上皮癌30例, 腺癌25例, 小細胞癌3例, 大細胞癌2例, 腺扁平上皮癌1例, カルチノイド1例.病期分類はp-Stage IA 7例, IB16例, IIA4例, IIB9例, IIIA22例, IIIB2例, IV2例.【結果】二葉切除症例では同時期の肺全摘術, 一葉切除に比べ, 扁平上皮癌が多く, 二葉切除となった理由として上中葉切除では葉間P3が, 中下葉切除ではリンパ節の気管支浸潤が多かった.また, 術前一葉切除を予定するも二葉切除になった症例の47.1%は葉間P3が原因であった.二葉切除術症例の術後合併症は24例 (37.5%) であり, 局所再発を7例, 遠隔転移を17例に認め, その5年生存率は48.0%であった.手術時葉間P3症例において二葉切除例と一葉切除に肺部分切除を加えた症例では, その予後に有意差を認めなかった.またその局所再発および合併症はそれぞれ, 4.8%, 19%および43%, 19%であった.【結論】右肺癌手術時葉問P3症例において二葉切除例と一葉切除に肺部分切除を加えた症例では, その局所再発の頻度において有意差を認めなかったが, 一葉切除に肺部分切除を加える術式は, 症例数が増加すれば有意な差になる可能性が示唆された.
  • CT画像と病理所見の対比検討
    田中 学, 山田 耕三, 尾下 文浩, 野村 郁男, 野田 和正, 中山 治彦, 密田 亜希, 亀田 陽一, 山木戸 道郎
    2000 年40 巻4 号 p. 279-285
    発行日: 2000/08/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    近年, 胸部CTを用いた肺癌検診の普及により, 肺野末梢部の微小肺癌の切除例の報告が増えてきた.その組織型の多くは腺癌であり, 切除される機会が少ない腺癌以外の組織型に関しての報告は少ない.そこで, 腺癌以外の微小肺癌のCT画像での形態を解析し, 同時期の腺癌を対照に病理所見との比較検討を行った.対象は径20mm以下の肺野型の腺癌以外の組織型の肺癌28例である.内訳は扁平上皮癌13例, 小細胞癌4例, 腺扁平上皮癌2例, 大細胞癌1例, カルチノイド8例であり, 大きくカルチノイド以外の例とカルチノイド例に大別され, いずれもCT画像上は充実型を呈した.前者では, 病変の形態, 辺縁のノッチの数およびスリガラス状陰影の有無が腺癌との鑑別点であった.一方, 後者では辺縁にケバ立ちがなく, スリガラス状陰影や胸膜陥入像を認めず, 気管支の圧排所見を有することが腺癌との鑑別点であり, GT画像の個々の性状の解析が質的診断に寄与することが考えられた.
  • 島谷 慎二, 笹本 修一, 加藤 信秀, 高木 啓吾, 山崎 史朗, 密田 亜希
    2000 年40 巻4 号 p. 287-291
    発行日: 2000/08/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    薄壁空洞を形成した原発性肺腺癌を経験した.症例は59歳, 男性.咳嗽, 血痰, 発熱を主訴に近医受診, 胸部X線写真およびCT写真上, 右上葉に直径約6.5cm大の薄壁空洞を伴う陰影を認め当院紹介となった.精査にて原発性肺腺癌と診断, 右上葉切除術を施行した.病理診断で低分化型腺癌と診断 (P-T3NOMO), また空洞壁内には壊死組織凝血壊死像やfibrinの析出を認めた.空洞形成の原因は腫瘍内部の壊死によると考えられた.術後5カ月目に左肺野に同様の薄壁空洞が多数出現し転移と診断, その後も空洞は急速に発育し, 10カ月目に癌死した.肺癌における薄壁空洞形成は比較的稀である.自験例における空洞形成の成因は病理所見, 臨床経過などから癌細胞自体から分泌される蛋白分解酵素によるCell Autophagism説が疑われた.文献的考察を加え報告する.
  • 西村 秀紀, 花岡 孝臣, 近藤 竜一, 高砂 敬一郎, 町田 恵美
    2000 年40 巻4 号 p. 293-296
    発行日: 2000/08/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は64歳の男性で, 左肺上葉原発扁平上皮癌に対して上葉切除術を行った.術前の腹部CT検査で肝に孤立性の腫瘤陰影を認め, 術後4週の再検査で増大していたため, 肝転移と診断して肝動注化学療法 (MMC 2mg/日, VDS1mg/日, CDDP20mg/日を3円連続投与し1サイクルとした) を行った.3サイクル施行後には腫瘤は消失し, 6サイクルで終了した.肺癌手術2年5カ月後に行われた早期胃癌手術時の術中超音波検査では, 肝に腫瘤は認めなかった.肺切除後3年10カ月を経た現在, 肝のみならず胸腔内や他臓器への再発の徴候は認めず健在である.原発性肺癌肝転移に対して, 肝動注化学療法は本例のように有効な症例もあり, 可能ならば試みるべき方法と考える.
  • 木下 貴裕, 前部屋 進自, 加藤 元一, 内藤 泰顯
    2000 年40 巻4 号 p. 297-300
    発行日: 2000/08/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は, 82歳, 男性血痰と咳嗽を主訴に近医受診.胸部異常陰影を指摘され, 当院を紹介された.胸部X線と胸部CTでは, 右卜葉S1に50×45mm大の腫瘤を認めた.気管支鏡下生検で肺癌との診断を得たため, 平成11年1月26日, 右上葉切除+リンパ節廓清術を施行した.腫瘍は, 60×50mm大で, 病理組織学的検査では, 腫瘍は大小不同の異型細胞よりなり, 著明な管腔形成を認めた.鍍銀染色とFactor VIII, CD34の免疫組織染色にて, 肺血管肉腫との診断を得た.根治術を行うことができた症例であるが, 術後6カ月目に多発性骨転移にて死亡した.本症例は, 稀な疾患で, 本邦報告例は, 自験例を含めたll例であった.
  • Hiroshi Hosoda, Kenichi Atarashi, Kazuhito Saito, Meiyo Tamaoka, Makot ...
    2000 年40 巻4 号 p. 301-304
    発行日: 2000/08/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    A 62-year-old man was given a diagnosis of primary lung cancer in the right lower lobe with chronic bacterial empyema and cavitary tuberculosis in the right upper lobe. He underwent complete pleuropneumonectomy. Pathological examination revealed that the tumor was pT2N1M0 squamous cell lung cancer. There was no direct communication between the neoplasm and free pleural cavity microscopically. The empyema might have occurred secondary to obstructive pneumonia caused by the tumor involvement of the lower respiratory tract. The empyema microbe was identified as staphylococcus aureus (MSSA). Mycobacterium tuberculosis was detected from the cavitary lesion of upper lobe. His clinical course was good and no recurrence of lung cancer, empyema or pulmonary tuberculosis has been detected at 20 months after the operation.
  • 高橋 保博, 川村 光夫, 折野 公人, 小林 新, 佐藤 幸美, 伊藤 貞男
    2000 年40 巻4 号 p. 305-310
    発行日: 2000/08/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    髄膜腫はくも膜細胞由来の腫瘍であり, 中枢神経系以外に発生するのは稀である.本症例は他疾患経過観察中の54歳の女性で, 検診にて胸部異常陰影を指摘され, 胸腔鏡下左肺S6部分切除を行い, 病理組織学的および免疫組織化学的診断にて, 髄膜上皮腫型髄膜腫と診断された.脳, 脊髄腫瘍の手術既往がなく, MRI等の諸検査にて中枢神経系に腫瘍を認めないことから, 原発性肺髄膜腫と診断された.現在までに報告されている原発性肺髄膜腫は, 本症例を含めて19例と極めて稀な疾患である.
  • 山本 智子, 八田 健, 西尾 渉, 絵野 幸二, 馬庭 幸二
    2000 年40 巻4 号 p. 311-314
    発行日: 2000/08/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例1: 77歳, 女性.右乳房痛を主訴に来院.胸部X線写真上異常はなかったが, 胸部CTでは, 右S8に淡い1cm大の結節がみられた.1カ月後, 腫瘤が増大したため生検を行い, 組織学的に腺癌と判明した.症例2: 59歳, 女性.左上肢外傷にて手術中, 喘息発作を発症.胸部X線写真で異常陰影は認められなかったが, CTでは左舌区に6mm大の結節が見られた.2カ月毎に胸部Thin。SliceCTにて経過観察していたところ, 腫瘤径増大と, 濃度上昇が軽度ながら認められたため, 6カ月後肺癌を疑い胸腔鏡下生検を施行した.術中迅速診断で, 腺癌と判明したため舌区切除を行った.胸部CTで発見された, 良悪判定困難な小結節陰影に対する経過観察は, 充実性腫瘤と含気性腫瘤でやや異なり, 前者では発見後3カ月間は1カ月毎, その後は2カ月毎の, 後者は当初より2カ月毎のThin-SliceCT撮影により行う.何れの場合も, 病巣陰影の微細な変化を見過ごすことなく発見し, 胸腔鏡生検を行うことが質的診断, 治療のために重要である.
  • 山崎 明男, 益田 貞彦, 田原 稔, 中原 和樹, 佐野 壽昭, 斎藤 晴比古
    2000 年40 巻4 号 p. 315-320
    発行日: 2000/08/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は61歳, 男性.痛風といわれ近医で加療中, 右中肺野に胸部異常陰影を指摘された.同時にばち状指, 左膝関節痛を認めた.精査の結果, 肺性肥大性骨関節症 (pulmonary hypertrophic osteoarthropathy以下PHO) を合併した肺扁平上皮癌と診断し, 右中下葉切除術を施行した.術直後から左膝の疹痛は消失した.免疫組織学的検索により, 神経内分泌マーカーとされるchromogranin A, synaptophysinが陽性であったことから, 本腫瘍の一部は神経内分泌系への関与が示唆された.しかし肺癌に随伴するPHOの発現に関与する活性物質を特定するまでには至らなかった.
  • 2000 年40 巻4 号 p. 321-338
    発行日: 2000/08/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 2000 年40 巻4 号 p. e1
    発行日: 2000年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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