肺癌
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34 巻, 2 号
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  • 深澤 敏男, 山口 豊, 斎藤 博明
    1994 年 34 巻 2 号 p. 143-151
    発行日: 1994/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    肺癌患者の特異的能動免疫療法を目的として, 当施設で作製したヒト抗肺癌モノクローナル抗体4G12 (IgM, λ) に対する抗イディオタイプ抗体 (Ab2β) の作製を試みた. 免疫マウス脾細胞をマウスミエローマ細胞と細胞融合し, 4クローンの抗体産生株を樹立した. これらの抗体はすべてIgG1, κで, 4G12と特異的に反応した. またこれらは, 1251標識4G12抗体と株化ヒト肺扁平上皮癌細胞PC10との反応に対し約90%の阻止反応を示し, すべてAb2β であった. また4G12に対する抗体問の交差阻止反応より, 少なくとも3種類以上の4G12抗体のイディオトープを認識していた. さらにこれらの抗体をマウスに免疫し, その抗血清とPC10細胞との反応性を調べると2種類の抗血清にPC10との特異的な反応が認められた. 以上, これら2種類の抗体は4G12抗体に対して内部イメージを有する抗イディオタイプ抗体 (Ab2β) と考えられ, 肺癌患者に対して特異的能動免疫療法の可能性が示唆された.
  • 井上 博元, 小川 純一, 正津 晃
    1994 年 34 巻 2 号 p. 153-159
    発行日: 1994/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    切除肺癌351例 (STAGEI 166例, STAGEII40例, STAGE III 104例, STAGE IV 41例) を対象に免疫組織学的にp53発現を調べ, PCNA発現, 血管浸潤の有無と対比させた. また1991年までに手術を行った307例についてp53発現と術後健在率の関係を検討した. 対象例の組織型は腺癌177例, 扁平上皮癌135例, 大細胞癌24例, 小細胞癌15例である. p53強陽性例ではPCNA強陽性例の頻度が有意に多く (P<0.01), またp53陽性例に血管浸潤の頻度も多かった (P<0.02). 組織型別にみると腺癌のp53, PCNA発現は他の組織型に比べて有意に少なかった. p53陰性例は弱陽性例, 強陽性例に比べて健在率が良好であったが, 有意差ではなかった. 腺癌のみで調べるとp53発現と健在率との間に有意の相関が認められた (P<0.05).
  • 福岡 和也, 米田 尚弘, 鴻池 義純, 友田 恒一, 吉川 雅則, 堅田 均, 成田 亘啓, 今井 照彦, 飯岡 壮吾
    1994 年 34 巻 2 号 p. 161-170
    発行日: 1994/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    種のFITC標識レクチン (DBA, UEA-I, RCA-I, WGA, Con A, PNA) を用いた蛍光法により正常および炎症性変化をきたした気管支・肺組織と42例の原発性非小細胞肺癌組織 (扁平上皮癌23例, 腺癌19例) に対するレクチン結合性を顕微測光装置を用いて客観的に評価した. UEA-I, RCA-I, WGA, Con A, neuraminidase処理後PNA (PNA・N (+)) は正常気管支・肺組織化生気管支上皮, 肺癌組織と高率に結合したが, UEA-Iの結合部位は気管支上皮, 血管内皮, 気管支腺, 細気管支・肺胞上皮, 肺胞隔壁に局在していた. DBAは正常および化生気管支上皮, 気管支腺, 一部の細気管支上皮, 肺胞隔壁に結合したが肺胞上皮には結合しなかった. 肺癌組織におけるDBA陽性率は61.9%で腺癌の陽性率は扁平上皮癌に比較して有意に高率であった.以上の結果からDBAは正常気管支・肺組織と非小細胞肺癌各組織型との間の糖鎖構造の変化および相違を解析する上で重要なレクチンであると考えられた.
  • 河端 美則, 酒井 俊彦, 福島 一雄, 水谷 清二, 杉田 博宣, 中島 由槻, 小山 明, 大石 不二雄, 木村 文平
    1994 年 34 巻 2 号 p. 171-180
    発行日: 1994/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    肺腺癌にみられる組織欠損の頻度と成因を病理学的に検索した. 対象は428病変中肉眼的に組織欠損を認めた64病変である. 組織欠損あり群の性比は男女ほぼ同数で, 平均年齢は57歳であった. 組織欠損の原因別では a) 虚血性壊死による洞化によるものは20例, 低分化腺癌で壊死は高度例が多かった. b) 癌細胞の肺胞壁破壊による嚢胞形成は30例で, 頻度として最も多くいずれも中および高分化腺癌であった. c) 粘液貯留による肺胞壁の伸展断裂は5例にみられ, いずれも粘液産生癌であった. d) 既存のブラや蜂窩肺内の腫瘍発育は3例. e) その他は6例であった. 肉眼および組織学的所見の検討により中・高分化乳頭型腺癌は腫瘍発育過程で既存肺胞壁を破壊しながら発育し, それが嚢胞状組織欠損の原因と考えられた.
  • 末梢上皮の過形成巣について
    石橋 正彦, 宮原 英樹, 河野 俊彦, 大和田 英美, 林 豊, 源河 圭一郎
    1994 年 34 巻 2 号 p. 181-189
    発行日: 1994/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    肺癌の多発している沖縄地域の人の肺を病理形態学的に精査し, そして相対的に少ない千葉地域と比較したところ, 沖縄地域の人の肺には末梢上皮の過形成巣が多発し, かつ程度の顕著な変化が認められた. さらにやはり肺癌の多発している長崎地域の人の肺と比較したところこの過形成巣の多発や程度の顕著な変化はあまり見られず, これらの変化は肺癌多発地域の変化というより沖縄地域に特有の変化であった. 過形成巣は扁平上皮癌例よりも腺癌例に多く認められ, 異型性を伴う過形成巣は腺癌に近い形態を示し, 肺癌が年令と共に増加するのと同様に過形成巣も年令の増加に伴い程度の顕著な変化が増加していた. 形態学的に過形成巣を前癌病変と断定できなかったが, 肺癌発生に何らかの関与をしている可能性が考えられた. 過形成巣と喫煙との関連が認められない点や沖縄地域の野犬の肺にも過形成巣が認められた事は, 不明の外因が存在している可能性が考えられた.
  • 特にTumor doubling time, Argyrophil nucleolar organizer regions, 核DNA量の評価に関して
    薄田 勝男, 斎藤 泰紀, 桜田 晃, 陳 炎, 遠藤 千顕, 高橋 里美, 菅間 敬治, 佐藤 雅美, 佐川 元保, 藤村 重文
    1994 年 34 巻 2 号 p. 191-198
    発行日: 1994/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    原発性肺癌切除65例に対し, Tumor doubling time (DT), Argyrophil nucleolar organizerregions, 核DNAを測定し, さらにその他の因子も加えて予後における重要性を検討した. 予後因子別に生存率を単因子分析し, Coxの比例ハザードモデルによる多変量解析で死亡率への寄与の程度を検討した. 1) 予後因子別に生存率を単因子分析した結果, DTの長短・喫煙の有無・T因子・N因子・平均Ag-NORs数・DNA ploidyにおいて有意差を認めた. 2) Coxのモデルを用いた切除肺癌例の予後因子の解析では, N因子, 平均Ag-NORs数, DNA ploidy, T因子が有意な予後因子であった. 3) 平均Ag-NORs数, 核DNA量は共に有意な予後因子であるが, 生物学的意義は異なった. つまり, 平均A勘NORs数はDTに代表される増殖速度と有意な相関関係を有する指標であるが, 核DNA量は増殖速度および他の指標と有意な相関関係を有さず独立した予後因子であった.
  • 第一編腫瘍分化度, 発育形式, および間質の変化について
    古泉 直也
    1994 年 34 巻 2 号 p. 199-207
    発行日: 1994/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    切除肺腺癌18例の腫瘍のthin-section CT像を, 濃度の差異 (D1: 均一低濃度, D2: 不均一濃度, D3: 均一高濃度) と境界の性状 (a: 平滑鮮明, b: 凹凸不整) の2種類の項目の組み合わせからの6種類 (D1a, D1b, D2a, D2b, D3a, D3b) 52領域に分割し, それぞれの領域における腫瘍分化度, 発育形式, 間質の変化を病理組織学的に検討した. 52領域の内訳は, D1a: 7領域, D1b: 7領域D2a: 11領域, D2b: 7領域D3a: 8領域, D3b: 12領域であった. D1a領域は高分化腺癌で細気管支肺胞型の発育形式を呈し, 間質の変化の軽度な病変であり, D1, D2, D3の順に間質変化の増強がみられた. D2a, D2b, D3aの領域における分化度, 発育形式, 間質の変化は多彩であり, D3b領域では間質変化の強い傾向が認められた.
  • 正岡 昭, 深井 一郎, 有吉 寛, 内藤 泰顯, 栗山 喬之, 木村 良子, 藤村 重文, 掛川 暉夫, 和田 洋巳, 遠藤 光夫
    1994 年 34 巻 2 号 p. 209-221
    発行日: 1994/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    肺癌におけるヒトサイトケラチン19フラグメント (CYFRA2H) の血清腫瘍マーカーとしての臨床的意義を検討した. 健常人273例の血清CYFRA21-1値 (mean±SD) は0.6±0.5ng/mlであり, 性差及び加齢による影響はみられなかった. 正常上限の境界値を2.0ng/mlとした場合, 健常人及び非癌性肺疾患の特異度はそれぞれ98.5%及び90.8%. 肺癌初発例での血清CYFRA21-1の陽性率は43.0%(139/323例) であった. 組織型でみると肺扁平上皮癌63.3%(76/120例), 肺腺癌28.8%(38/132例), 肺小細胞癌45.0%(9/20例), 肺大細胞癌35.0%(7/20例) 及び肺腺扁平上皮癌45.5%(5/11例) であり, 扁平上皮癌と他の組織型との間には有意差が見られた. 肺扁平上皮癌の臨床病期別の陽性率は, I期40.6%(13/32例), II期54.5%(6/11例), IIDA期82.4%(14/17例), IIIB期85.7%(6/7例), 及びIV期75.0%(6/8例) であった. T, N, M因子または腫瘍径との関連においては, 各因子の進行度または腫瘍径の大きさに依存してCYFRA21-1は有意に高値を示した. 治癒的な切除及び放射線治療における前後の比較では, 治療後の血清CYFRA21-値は前値-に比べ有意に減少した. また進行及び再発例における血清CYFRA2Hの経時的変化は治療効果を良く反映した.以上のことからCYFRA2Hは肺癌の血清腫瘍マーカーとして有用であることが示された.
  • 土橋 一仁, 中橋 恒, 吉松 隆, 堀内 芳夫, 宮崎 康弘, 北川 和生, 後藤 純, 白日 高歩
    1994 年 34 巻 2 号 p. 223-228
    発行日: 1994/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    肺癌に伴う心膜炎に対する剣状突起下心膜切開術の効果を臨床経過から検討した. 1992年7月までの最近の6年間に剣状突起下心膜切開術を施行した心膜炎合併原発性肺癌症例は13例で, 男女比7/6, 平均年齢は59.5歳, 腺癌11例, 小細胞癌2例であった. 局所化学療法は排液のみが7例, ピラルビシンの局所注入を行ったものが6例であった.全例術後合併症なく経過し, 中間生存期間は64日で, 局所化学療法の有無による生存期間の差はなかった。また術後退院できた症例の平均自宅生活日数は91日であった. 全例心タンポナーデの再発を回避でき, 心嚢ドレーン抜去後30日以上生存例の有効率は100%であった. 死因は全例心タンポナーデ以外の癌死で, 特に癌性リンパ管症よりの呼吸不全が大く影響した. 剣状突起下心膜切開術は約2ヵ月の延命が可能であり, 安全で有効な方法であった。
  • 中村 洋之, 山地 康文, 藤田 次郎, 瀧川 圭一, 森 由宏, 亀井 雅, 小林 正樹, 塩谷 泰一, 影山 浩, 高原 二郎
    1994 年 34 巻 2 号 p. 229-235
    発行日: 1994/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    肺癌患者22例を対象に, 肺癌化学療法後の好中球減少症に対するG-CSFの予防的皮下投与の意義を, 現在一般的に行われている白血球減少後より使用開始する方法と比較してprospectiveに検討した. CBDCA 300mg/m2day 1, ADM 30mg/m2day1, VP-16 100mg/m2day 1-3による化学療法後, Arm Aは白血球数2,000/μl以下となった時点より, Arm Bは化学療法終了翌日であるDay4よりrh G-CSFの投与を開始した. その結果, Arm BのG-CSF予防的投与はArm Aの対症的投与に比して, 白血球数の最低値, 2,000/μl以下の期間, 4,000/μlに回復するまでの期間, 好中球数の最低値, 500/μl以下の期間を有意に改善し, 抗生物質使用日数, 発熱期間を短縮, 感染機会を減少させる傾向を認めた. G-CSFの予防的投与は化学療法の間隔を短縮し, よりdoseintensityの高い治療を行うのに有用と考えられる.
  • 井上 修平, 鈴村 雄治, 高橋 憲太郎
    1994 年 34 巻 2 号 p. 237-242
    発行日: 1994/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は71歳の男性. 血痰のために近医を受診し右下肺野に空洞を伴う異常陰影を指摘され, 当院に紹介入院となった. 肺癌と診断し右下葉切除術を行い, 術中に赤血球濃厚液を6単位, 新鮮凍結血漿を10単位輸血した. 経過は順調であったが, 術後11日目に発熱が始まり, 13日目に全身紅斑が出現し, 汎血球減少, 下痢, 肝腎不全, 敗血症を併発し, 23日目に死亡した. 臨床経過並びに低形成を示した骨髄生検所見などから輸血後GVHD様症候群と考えられた. 輸血後GVHD様症候群は発症すれば致死率が高く, 輸血前血液照射などの発症予防を構ずることが大切であることを示唆する症例であった. また文献上, 我々の検索した範囲で肺切除後に発症した輸血後GVHD様症候群の報告はみられず, 本症例が1例目と思われる.
  • 宮田 佐門, 出町 洋, 泉 三郎, 能登 啓文, 松井 一裕, 北川 正信
    1994 年 34 巻 2 号 p. 243-247
    発行日: 1994/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は39歳女性, 喀血を主訴に入院した. 胸部単純X線写真で左S6の浸潤影が認められた. 単純CTでは左S6の無気肺がみられ, 造影剤急速静注によるダイナミックCTでは左B6近位部に軽度で均一にエンハンスされる2.5cm径の腫瘤を認めた. 気管支鏡検査では左B6入口部から下幹の内腔に突出するポリープ様腫瘤がみられた. カルチノイドあるいは気管支腺由来の腫瘍の疑いで, 気管支形成術を併用し, 下幹の一部を含めて左S6の区域切除が行われた. 切除標本の肉眼所見では腫瘍は2.5×2×2.7cm大, B6a幹部に発生し, B6気管支を拡張させる形で内腔に発育する分葉した固形腫瘍で, 組織学的に気管支腺由来の単形腺腫であった. 手術後2年6ヵ月経った現在, 再発は認めていない.
  • 佐々木 結花, 山岸 文雄, 鈴木 公典, 杉戸 一寿, 田丸 淳一, 三方 淳男
    1994 年 34 巻 2 号 p. 249-253
    発行日: 1994/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は68歳, 女性で, 咳嗽を訴え, 当科に入院となった. 胸部エックス線写真で前縦隔に腫瘍を認めた. CT写真上, 前縦隔腫瘍の他に, 後胸膜面に一カ所と, 他に肋骨転移を疑わせる腫瘍を認めた. 経皮生検で胸腺腫と診断した. 臨床病期はIVb期であった. 抗癌剤を投与したが腫瘍は縮小しなかった. 3カ月後, 息切れ, 呼吸困難を訴え, 緊急入院となった. 血液データから赤芽球癆と診断し, 輸血, 副腎皮質ステロイド剤によるパルス療法を施行したが, 改善せず, 心不全で死亡した.
  • 市川 秀昭, 吉田 一郎, 石田 常博, 小玉 仁, 石川 進, 森下 靖雄
    1994 年 34 巻 2 号 p. 255-259
    発行日: 1994/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    患者は64歳の女性で, 甲状腺乳頭癌術後8年目に胸部単純X線写真上, 左上肺野に孤立性の腫瘍陰影に気づいた. 気管支動脈造影で悪性が疑われ, 確定診断のため開胸生検を行った. 病理組織学的に甲状腺乳頭癌の肺転移と判明した. 甲状腺乳頭癌の肺転移で孤立性に転移することは稀なことから, 文献的考察を加えて報告した.
  • 片岡 和彦, 妹尾 紀具, 松浦 求樹, 土井 正男, 宮澤 輝臣
    1994 年 34 巻 2 号 p. 261-266
    発行日: 1994/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    今回われわれは, 胸腺原発びまん性B細胞性大細胞型リンパ腫の1例を経験したので報告する. 症例は21歳女性で, 右肩から背部の痛みと発熱で発症した. 胸部X線写真, CT, MRIでは, 前縦隔に中心部に壊死を伴う腫瘤を認め, ガリウムシンチグラフィーにて取り込みが認められた. 胸骨正中切開にて, 腫瘤は胸腺右葉に連続して存在し, 右肺上葉, 心嚢に浸潤していたため, いずれも合併切除して腫瘤を摘出した. 組織学的には, びまん性に増殖した類円型の大型の腫瘍細胞よりなり, 免疫組織化学染色にてLCA, L-26が陽性に染色され, びまん性B細胞性大細胞型リンパ腫と診断された. 本疾患は, 最近新たな節外性リンパ腫として注目されているが, 本邦では自験例を含め, 17例の報告があるに過ぎない. 本疾患の治療には, 強力な化学療法が必要と考えられ, 自験例においても, 血液内科において施行し, 現在再発を認めていない.
  • 肺癌産生α-fetoproteinのレクチン親和性の検討
    岡野 良, 関口 昌人, 浦口 武男, 倉富 雄四郎, 山田 茂樹, 櫻林 郁之介
    1994 年 34 巻 2 号 p. 267-273
    発行日: 1994/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    AFP産生が強く疑われた肺腺癌の一例を経験した. 本例および本邦AFP産生肺癌13例のレクチン親和性を検討し, その特徴および鑑別診断上の意義を併せて考察した. 本例は, 喀痰細胞診, TBLBにて腺癌を認め, 転移性肺癌の鑑別目的で血清AFPを測定したところ230ng/mlと上昇がみられ, 喀痰中AFPも120ng/mlと上昇していた. 肝疾患・消化器・縦隔・睾丸腫瘍等AFP産生腫瘍は認められず原発性肺癌と診断した. Concanavalin-A (Con-A) およびLentil agglutinin (LCH) によるレクチン親和性はCon-A非結合分画が56%, LCH非結合・弱結合・強結合分画はそれぞれ14%, 50%, 36%であった. 14症例の肺癌産生AFPのCon-A結合性には一定の傾向はみられず, LCH結合性は大部分が有していると思われた. この成績は肝癌とは異なるものの卵黄嚢腫瘍・消化器癌に類似しており, 現時点ではこれらの転移性肺腫瘍との鑑別診断上の有用性は少ないと考えられた.
  • 1994 年 34 巻 2 号 p. 275-293
    発行日: 1994/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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