肺癌
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41 巻, 6 号
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  • 佐川 元保, 中山 富雄, 塚田 裕子, 西井 研治, 馬場 孝, 栗田 雄三, 斎藤 泰紀, 金子 昌弘, 鈴木 隆一郎, 藤村 重文
    2001 年 41 巻 6 号 p. 637-642
    発行日: 2001/10/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    肺がん検診に関しては欧米での無作為化比較試験で有効性が証明できなかったが, 厚生省成毛班, 金子班の結果に続き, 最近, 藤村班の症例対照研究において有効性を示す結果が確定し, 2000年のIASLC (世界肺癌会議) で報告された. 4地区での結果では, 肺がん検診受診によって肺癌死亡リスクを30-60%減少させることが可能と考えられた. しかし, 他のがん検診では隔年受診でも有効という報告が見られるのに対して, 肺がん検診ではそのようなことはなく, 1回の検査での見落としが治癒の機会を失わせることを示唆していた. 精度管理の不充分な検診は肺癌死亡減少にはつながらないことを銘記し, 更なる水準の向上に努力すべきと思われる. また, 財源一般化に伴い各自治体が検診を行う際の自由度が大きくなったが, 自治体の判断の基準となる精度管理に関する情報公開は現在不充分であり, 成人病検診管理指導協議会の活性化等を通じた情報公開を強力に推進することが肝要である.
  • 劉 少雄, 大城 久, 加藤 靖文, 工藤 玄恵, 海老原 善郎
    2001 年 41 巻 6 号 p. 643-648
    発行日: 2001/10/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    p0/1肺癌でも胸腔洗浄液細胞診 (PLC) 中に癌細胞が出現する機序を理解するために, 術中PLCに癌細胞が証明された43例と肺癌を含む担癌剖検例78例を用い, その肺靭帯, 臓側・壁側胸膜を組織学的に調べた. 手術材料では肺靭帯の組織挫滅が激しいため, 同部を観察することは出来なかった. しかし, 肺癌剖検例15例のうち8例 (53.3%), 肺癌以外の担癌剖検例63例のうち21例 (33.3%) にはいろいろの程度の胸膜癌症があった. 癌の組織型はすべて腺癌で, 肺靭帯ではリンパ槽に腫瘍細胞塞栓をつくり, これがstomaを介して胸腔中に遊走する像も認められた. 胸腔の場合, stomaを備えたリンパ槽は肺靭帯に密度高く存在する. 胸膜癌症が肺靭帯に始まることはこの装置がここに集中していることと密接に関係していると考えられた.従って, p0/1癌でもPLCに癌細胞が出現する現象は, 癌細胞がこの部のリンパ管に到達していることを示すものである.
  • 矢野 篤次郎, 竹尾 貞徳
    2001 年 41 巻 6 号 p. 649-651
    発行日: 2001/10/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    【目的】非小細胞性肺癌切除例における非癌部肺組織のthymidine phosphorylase (TP) 活性と臨床的背景との関連を調べ, その生理的・病的意義について検討した.【対象・方法】 対象は非小細胞性肺癌切除例39例. 切除標本の癌部および非癌部より組織片を採取し, ELISA法にてTP活性を測定した (単位はUnit/mg protein).【結果】癌組織のTP値は平均226で, 非癌部組織のTP値は平均46と癌組織において有意に高値であった. 非癌部肺組織のTP活性は39例中26例で50以下であったが, 最低症例10から最高症例136までのバラツキが認められた. 非癌部肺組織のTP活性は年齢や肺機能 (%VG, FEV 1.0%) との関連は認められず, 男性, 高喫煙群 (BI<600), CT上間質影の存在群において有意に高値であった. 実際に, 病理学的に非癌部肺組織に間質性の変化 (炎症) が認められた9例の平均値は79で, 8例が50以上であった.【考察】 非癌部肺組織のTP活性の高値は炎症, 特に間質性病変の存在を反映している可能性があり, 呼吸器外科においてまれならず問題となる術後間質性肺炎の発症. 急性増悪の予知因子としての有用性を今後検討する必要がある
  • 佐々木 春夫, 田岡 良章, 原田 邦彦
    2001 年 41 巻 6 号 p. 653-660
    発行日: 2001/10/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    肺癌検診の発見成績に及ぼす胸部X線上の病巣占拠部位の影響を明らかにするために, 1991年4月から1999年3月までに検診の間接X線で発見された肺の腺癌と末梢型扁平上皮癌計132例 (135病巣) を病期, 腫瘍径, 組織型で分類し, 病巣の占拠部位を比較した. 同時に陰影の見落としの部位も検討した. 発見された末梢部早期肺癌の病巣分布は, 胸部の正常構造物のうち, 肺尖部の肋骨や鎖骨, 第1肋骨の尖端, 肺動静脈, 心・大動脈, 横隔膜に重ならない部位にほぼ限局していた. 進んだ病期や, 大きな腫瘍径の群ではこれらの正常構造に重なる陰影の割合が高くなった. 病期別, 腫瘍径別の病巣分布図より, 肺野を肺癌の1) 発見困難領域, 2) 中間領域及び3) 発見容易領域に区分した. 困難中間および容易領域の1期肺癌割合は各々34%, 57%, 75%であった. 困難領域と中間領域の問に1期肺癌割合などについて, また中間領域と容易領域の間に末梢部早期肺癌の割合などについて, それぞれ推計学的有意差があるように境界を設定できた. 困難領域では扁平上皮癌の割合が高かった. 検診発見肺癌は, 困難領域と容易領域で見落とし例の割合に有意差がなかった.
  • 成田 久仁夫, 岩波 洋, 日吉 晴久, 坪井 栄孝, 岡村 明治
    2001 年 41 巻 6 号 p. 661-666
    発行日: 2001/10/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    広範な反応性骨形成を伴った, 限局性悪性胸膜中皮腫を経験した. 症例は72歳男性, 咳嗽を主訴に受診し, 胸部単純X線写真で胸水を伴う右肺野の巨大腫瘤影を指摘された. 胸水中に悪性細胞は証明されず, 血中腫瘍マ-カ-はNSEのみ19.4ng/mlと上昇を認めた. 胸部CTでは, 前縦隔から右胸腔に大きく突出する20×16×12cm大の, 不均一で多数の石灰化巣を伴った多房性の孤立性巨大腫瘍を認め, 縦隔を左方に強く圧排し, 右主肺動脈と主気管支を圧迫閉塞していた. 成熟型奇形種が疑われたが, 血中α-フェトプロテイン及びHCG値の上昇はなく, 経皮的生検から確定診断は得られなかった. 腫瘍は短期間で急速に増大し, 呼吸循環不全が進行したため, 腫瘍と共に右肺全摘除を行った. 通常の後側方切開或いは胸骨正中切開では肺門部肺動静脈の処理が困難と思われたため, 胸骨横断切開により左胸腔側から肺動脈を処理した. 右胸腔内の血性胸水は2300ml, 摘出標本重量2370gであった. 術後病理組織診断は, 反応性化骨を伴った限局性悪性肉腫様中皮腫であった. 術後呼吸循環動態は安定し, 術後合併症なく第34病日に軽快退院した.
  • 里内 美弥子, 小谷 義一, 加堂 哲治, 遠藤 正浩, 大林 加代子, 高田 佳木
    2001 年 41 巻 6 号 p. 667-672
    発行日: 2001/10/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    平成11年8月より平成13年4月までに非小細胞肺癌に対しGemcitabme (GEM) (800-1000mg/m2, day 1, 8), Docetaxel (TXT) (50~60mg/m2, day 8), 3週毎投与の併用化学療法を施行し, 25例中5例に間質性肺炎の有害事象を認めた. 5例共にほぼ同時期 (2コ-ス目day 15~18) に発症し, 発熱, 低酸素血症, LDH上昇と胸部X線上の間質性陰影を認めた. 5例中3例には皮膚症状 (皮疹, 掻痒) が先行していた. 間質性肺炎はステロイド治療で全例回復した. GEMと他剤との併用療法は同期間中に30例, TXTと他剤との併用療法は同期間中に46例施行しているが, 肺毒性は認めなかった. GEM, TXT併用療法による肺毒性の報告は少なく, 今後このような症例の集積や, 発症時期・機序等の検討が必要と考えられた
  • 豊田 太, 戸舘 亮人, 山田 孝, 安田 和雅, 松下 晃三
    2001 年 41 巻 6 号 p. 673-676
    発行日: 2001/10/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    肺癌の胸腔内穿孔により膿胸となった1例を経験したので報告する. 症例は73歳男性で, 右膿胸のため入院となった. 局所麻酔下での胸腔鏡検査で線維素膿性期と診断し, 胸腔ドレナージ, 洗浄, 抗生剤投与等を行った. 肺の再膨張は比較的良好であったが, 胸部CTにて中葉に原因と思われる病変が存在し, 肺化膿症, 肺癌が考えられた. 肺瘻が改善しないため, 入院8日目に手術を施行した. 中葉に穿孔を伴う肺癌を認め, 中葉切除並び剥皮術を行った. 術後経過は良好で膿胸の再発はみられず, 28病日に退院した. 本症例のように肺癌の胸腔内穿孔が原因の膿胸であっても, 線維素膿性期の膿胸であれば, 胸腔ドレナージと洗浄により胸腔内を可及的に清浄化することにより, 一期的な根治術が可能であると思われた.
  • 佐久間 文隆, 大石 明雄, 津浦 幸夫
    2001 年 41 巻 6 号 p. 677-680
    発行日: 2001/10/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は65歳男性. 発熱を主訴とし, 胸部X線上異常陰影の精査目的で入院となった. 血液検査で白血球増多 (31900/μl) を認め, 分画では好中球が95%を占めた. 経皮生検では未分化な悪性腫瘍と診断された. 遠隔転移のないことを確認し, 手術を施行した. 腫瘍は出血と壊死が著明で散在性に膿瘍の形成を認めた. 腫瘍構成組織は巨細胞を混じた大細胞癌様の病理像を呈する部分と類円形ないし紡錘形細胞の束状配列を示す肉腫様の部分が混在し, 両者には相互に移行像が認められたが後者が90%以上を占めた. 後者はケラチン陰性で間葉系マーカー (vimentin) と筋系マーカー (MSA) を有していた. 以上より本症例は原発性肺肉腫と考えられた. 免疫組織化学的にG-CSF陽性細胞が前者優位ながら, 一部には後者にも認められた. 術後化学療法を施行したが効果なく, 肝転移, 骨転移をきたし術後約4カ月で死亡した. 血清G-CSF値は術前389pg/mlと高値であったが術後77.9pg/mlまで低下し, 死亡する直前には167pg/mlまで再上昇した. 血清GCSF値が腫瘍の進展状況を推測するのに有効である可能性が示唆された.
  • 左近 織江, 平澤 路生, 大地 貴, 伊藤 英司, 佐藤 昌明, 阿部 庄作
    2001 年 41 巻 6 号 p. 681-685
    発行日: 2001/10/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は43歳男性. 平成6年に胸部異常影を指摘されるも放置していた. 平成11年に血痰, 咳嗽を自覚し, 前医を受診した. 胸部X線写真では, 左S6の腫瘤影と両側肺に多発性結節影が認められた. 左S6の経気管支肺生検より腺様嚢胞癌と診断されていた. 当院では, びまん性結節影を生検し, 前医の病理像とあわせて検討した. 節状構造をとる悪性細胞の増殖がみられたが, 周囲に粘液が著明に貯留し, 腫瘍細胞が浮遊している像も一部分にみられた. 免疫染色から, 筋上皮細胞や管腔様構造に基底膜が存在しないことが判明した. そのため腺様嚢胞癌ではなく粘液産生肺腺癌と診断した. 化学療法は無効であったが, 平成13年7月現在全身状態に変化はない. 緩徐な経過をとる粘液産生肺腺癌の1例を報告した.
  • 川野 亮二, 守屋 康充, 久米 基彦, 池田 晋悟, 坂口 浩三, 羽田 圓城
    2001 年 41 巻 6 号 p. 687-691
    発行日: 2001/10/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は60歳, 男性. 1999年5月頃から少量の血痰を認めたため近医を受診し, 胸部X線写真にて左中肺野に大きさ3×2cm大の異常陰影を指摘され, 精査目的にて同年6月当院を紹介された. 胸部CTでは, 左主肺動脈を中心とし周囲の肺実質に連続性に浸潤する最大径4cm大の腫瘤を認め, 肺動脈造影では, 左右の肺動脈分岐部から約1cmの部位で左肺動脈が完全閉塞していた. 気管支鏡生検を行ったが確定診断には至らず, CTガイド下生検にて肺動脈原発の肉腫と術前診断された. 他の臓器に転移を示唆する所見は認めず, 胸骨正中切開と左前方腋窩開胸によるアプローチにて両側縦隔リンパ節郭清と左肺全摘術を施行した. 病理組織学的検査では, 左肺動脈の前上区域枝 (A3) 原発のintimal sarcomaと診断され, 完全切除例と判定された. 現在, 術後2年が経過するが, 再発の徴候は認めない.
  • 2001 年 41 巻 6 号 p. 692-726
    発行日: 2001/10/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 2001 年 41 巻 6 号 p. 727-728
    発行日: 2001/10/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 2001 年 41 巻 6 号 p. 729-740
    発行日: 2001/10/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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