肺癌
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38 巻, 6 号
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  • 藤兼 俊明, 中西 京子, 武田 昭範, 山崎 泰宏, 藤田 結花, 辻 忠克, 松本 博之, 清水 哲雄
    1998 年 38 巻 6 号 p. 653-660
    発行日: 1998/10/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    検診発見肺癌患者177名の特徴を同時期の他の発見動機患者537名と比較し検討した. 検診発見群は有意に若く, 女性が多く, 自覚症状が少なかった. 検診発見群のうち手術群118名は非手術群59名と比較して, 有意に若く, 自覚症状が少なかった. しかし, 性別, 喫煙歴, 呼吸器合併症, 前年度検診歴, XP異常所見の有無, 検診より当科受診までの日数に有意差はなかった. 検診発見群における手術適応に関する重回帰分析では, 年齢と自覚症状の有無が, 生存期間に関する多変量解析では, 自覚症状の有無, 年齢, XP異常所見の有無が有意に影響していた. 以上より自覚症状の有無が手術適応と予後に関与していた.
    検診発見患者の39.5%が当科入院時すでに自覚症状を有しおり, このことが検診成績を不良にしていた. 自覚症状が持続するときには次回検診を待たずすみやかに医療機関を受診するよう啓蒙する必要がある.
  • 脳転移診断時の神経症状の有無に注目して
    山沢 英明, 石井 芳樹, 坂東 政司, 北村 諭
    1998 年 38 巻 6 号 p. 661-668
    発行日: 1998/10/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    1985年から1996年までに当科に入院した原発性肺癌720例のうち脳転移を認めた90例を, 脳転移診断時の神経症状の有無により有症状群 (n=54), 無症状群 (n=36) に分け両群の比較検討を行った. 両群間において, 年齢, 性, 組織型, T因子, N因子, 他臓器転移の有無については差を認めなかった. 経過中に脳転移が診断された例では, 有症状例が多い傾向が認められた. 転移がテント下に存在する場合には, テント上のみの転移の場合に比べ, 症状出現率は有意に高かった. 転移巣の大きさは有症状群で有意に大であった. 放射線療法単独もしくは化学療法との併用療法に対する腫瘍縮小効果は両群で差はなく, 有症状群では83.3%の高い症状改善率が得られた. 脳転移診断からの生存期間は両群で差を認めなかった. 脳転移が直接死因となった4症例はすべて有症状群であった. 放射線療法は有症状脳転移の制御においても有効と言えるが, 併用化学療法の効果についてはさらに検討が必要であると思われた.
  • 土肥 美和子
    1998 年 38 巻 6 号 p. 669-680
    発行日: 1998/10/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    粒状改良型エネルギーサブトラクション像 (以下ES) の肺結節影描出能をConventional胸部単純写真 (以下Conv) と比較し, ROC解析を用いて, その有用性を検討した. 基礎的検討は, 胸部ファントムとアクリル製の疑似結節を用いて, 太い血管や気管支に重ならない肺野, 肺血管に重なる部位, 1本の肋骨に重なる部位, 2本の肋骨に重なる部位, 縦隔・横隔膜に重なる部位の5部位に分けて検討した. これらの部位別で, Conv, ES, FCR標準2画像 (以下FCR), FCRとESを併せたもの (以下FCR+ES) の計4種類の画像について結節の描出能を5段階評価し, ROC解析を行った. 次に, 臨床的検討を68例について行い, 結節の部位・大きさ別でも比較検討した. ESおよびFCR+ESはConvよりも優れており, ESは肺結節影のスクリーニングに有用であると考えられる.
  • 原 祐郁, 杉山 茂樹, 三崎 拓郎
    1998 年 38 巻 6 号 p. 681-690
    発行日: 1998/10/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    過去14年間に, 当科および関連施設で切除した胸腺上皮性腫瘍22例 (胸腺腫21例, 胸腺癌1例) と胸腺カルチノイド1例のフォルマリン固定パラフィン包埋標本を用いて, 腫瘍の発生と進展に関係があると考えられる諸因子 (p53蛋白, PCNA, EMA, CEA, NSE, cytokeratin, TGF-β1) について免疫組織学的検討を試みた. その結果, 陽性率はp53蛋白 (35%), EMA (48%), CEA (17%), NSE (17%), cytokeratin (96%), TGF-β1 (0%) であり, PCNAの腫瘍細胞1,000個あたりの平均陽性細胞数は478±197であった. 臨床病期別に検討した結果p53蛋白, PCNA, EMAは進行例で陽性率が高かったことより, 腫瘍の進展と深く関係があると推測された. 特にEMA陽性群と陰性群においては生存率に有意差がみられた. またNSEは陽性率は低いものの, 陽性例すべてが臨床病期III期以上の進行例であることから今後検討する価値があると思われた.
  • 一関 一行, 対馬 敬夫, 谷口 哲, 高橋 誠司, 畑中 亮, 福島 松郎
    1998 年 38 巻 6 号 p. 691-701
    発行日: 1998/10/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    原発性肺癌手術症例242例を対象とし, マトリックスメタロプロテイナーゼ (MMP), メタロプロテイナーゼインヒビター (TIMP), およびthymidine phosphorylase (TP) の発現を免疫組織化学的に検出し, 特に予後との関連について検討した.
    全症例におけるMMP-2・9, TIMP-2, TPでは陰性群が陽性群に対して有意に高い無再発生存率を示した. I期症例144例での検討ではMMP-2・9, TPにおいて陰性群が陽性群に対して有意に高い無再発生存率を示した. I期症例のうち, 腺癌ではMMP-2・9陰性群が陽性群に対して有意に高い無再発生存率を示したが, 扁平上皮癌では差はみられなかった.
    多変量解析の結果, MMP-9, N因子, T因子が有意に独立した予後因子と判断された. これら各因子の検索は, 今後臨床において, より的確な予後の想定, 補助療法等の治療方針の決定に有用であると考えられた.
  • 原田 真雄, 斎藤 孝久, 磯部 宏
    1998 年 38 巻 6 号 p. 703-707
    発行日: 1998/10/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は70歳, 男性. 近医で左肺異常影を指摘され当科に紹介された. 左下葉の胸膜に換接する腫瘤に対し左第9肋間からの経皮的針生検を行い小細胞癌と診断した. カルボプラチンとエトポシドによる化学療法開始後5日目に左下背部 (第9胸髄レベル) に帯状疱疹が出現した. 7日目から高熱を伴った汎発疹が全身皮膚及び口腔粘膜に拡大したが, アシクロビルなどの投与により他の合併症を来すことなく軽快した. 肺癌など固形癌の治療開始直後に高度の汎発性帯状疱疹を併発することは稀である. 本症例では経皮穿刺による肋間神経への刺激がウイルス再活性化の誘因となり, 更に化学療法が汎発疹の拡大に関与した可能性が推察される.
  • 小島 宏司, 長田 博昭, 横手 薫美夫, 島田 厚, 山手 昇, 高木 正之
    1998 年 38 巻 6 号 p. 709-713
    発行日: 1998/10/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は70歳の女性で, 結腸癌手術の術前に胸部CTにて多発結節影を指摘された. 結節影は左右計7個あり, 結腸癌肺転移と考えられた. 原発巣手術後に当科に転じた. 両側開胸下に観察すると腫瘤はいずれも径1cm以下で, 右B5周囲のリンパ節であった1個を除いて全て胸膜直下に存在し, その表面に炭粉沈着を示じていた. 病理学的には6個が胸膜下肺内リンパ節で他の1個は肺門リンパ節であった. 悪性所見は全く認められなかった. 肺内リンパ節が胸膜直下に発現することは希で, 画像上癌の肺転移との鑑別は困難である. 本症例のごとく画像上指摘される多発性の全病巣が反応性肺内リンパ節であるような症例は報告されておらず転移性腫瘍の治療方針上参考とすべき知見と考え報告した. 炭粉沈着が特徴であるから本症の検索には胸腔鏡下の検索が好適であろう.
  • 川村 光夫, 鈴木 一郎, 折野 公人, 佐澤 由郎
    1998 年 38 巻 6 号 p. 715-720
    発行日: 1998/10/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    von Recklinghausen病に合併した神経原性悪性腫瘍の2例を報告する. 症例1は16歳, 女性. 右前胸部痛にて, 近医を受診し, 右胸腔内に大量の血性胸水が認められた. 胸腔ドレナージ後の胸部レントゲン写真にて, 右後縦隔の腫瘤が明らかとなり, 腫瘍摘出を試みたが, 腫瘍からの出血が著しく, 試験開胸に終わった. 悪性神経鞘腫の病理診断にて術後3ヵ月後に癌死した. 症例2は, 39歳, 女性.呼吸困難にて入院. 胸部CT検査にて上縦隔に直径12cm大の辺縁明瞭な腫瘤が認められ, 上大静脈, 気管および左右主気管支を圧排していた. 通常の気管内挿管では呼吸管理できず部分体外循環下に腫瘍を摘出した. 病理学的に悪性神経鞘腫に横紋筋肉腫の成分が混在する悪性triton腫瘍と診断された. 術後, 左副腎に再発し開腹摘出術を受けたがその後は再発なく外来通院中である. von Recklinghausen病は神経原性腫瘍の合併が多く, 悪性化も稀ではなく注意が必要である.
  • Zhigang Yang, Shusuke Sone, Shodayu Takashima, Feng Li, Takayuki Honda ...
    1998 年 38 巻 6 号 p. 721-725
    発行日: 1998/10/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    We present a case of a small lung cancer that had developed in the lung periphery engulfing a bulla and showing a mass with a cavitary area at the center on the high resolution CT (HRCT) image. It was difficult to make a differential diagnosis between lung cancer and tuberculoma. Longitudinal reconstruction of HRCT images helped us to understand the distribution of an air-space in the mass, which was continuous to the adjacent lung. A contrastenhanced magnetic resonance (MR) study gave additional information on the vascularity of the mass and helped to rule out tuberculoma.
  • 佐澤 由郎, 川村 光夫, 鈴木 一郎, 折野 公人
    1998 年 38 巻 6 号 p. 727-731
    発行日: 1998/10/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    前縦隔に発生した悪性リンパ腫 (ポジキン病) の1例について報告した.症例は36歳女性で胸部異常陰影のため当院入院となった.胸部CT写真では腫瘤は前縦隔にあり, 上大静脈と右肺に浸潤しており, 浸潤性胸腺腫が疑われた.経皮針細胞診にて診断がつかなかつたため, 前側方切開による開胸生検が行われ, 組織標本より悪性リンパ腫ポジキン病 (結節硬化型) と診断された.その後化学療法 (ABVD療法) が10クール行われ, 腫瘍は著明に縮小しCR (completeremission) と判定された.本邦では縦隔発生の悪性リンパ腫の報告は非ポジキンリンパ腫が大部分で, ポジキン病の報告はまれである.放射線が有効な浸潤型胸腺腫と化学療法が治療の主体となるリンパ腫では, 治療方法が異なることからその鑑別は重要である.
  • 西田 宗弘, 前部屋 進自, 別所 俊哉, 吉増 達也, 三好 新一郎, 内藤 泰顯
    1998 年 38 巻 6 号 p. 733-737
    発行日: 1998/10/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は66歳, 男性.胸部レントゲン, CTにて右上葉に菌球様陰影を伴う, 空洞性病変あり.血液検査にてアスペルギルス抗原陽性で, 喀痰検査でもアスペルギルスの菌糸を認めた.肺アスペルギルス症の診断にて右上葉切除術を施行した.切除標本の病理組織検査で, 空洞内のアスペルギルスの菌塊と, 空洞壁の一部に腺癌の像を認め, 肺アスペルギルスを合併した肺癌 (T1N0M0, Stage IA, 高分化型腺癌) と診断した.
  • 稲垣 雅春, 岡崎 洋雄, 船越 尚哉, 高部 和彦, 篠原 陽子, 鈴木 恵子
    1998 年 38 巻 6 号 p. 739-744
    発行日: 1998/10/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は66歳, 男性.8ヵ月続く咳漱を主訴に来院.胸部X線写真, 喀痰細胞診で異常なく, 約4ヵ月間気管支炎として加療した.しかし, 症状改善ないため, CTを施行したところ, 左B6中枢部を中心とし上, 下葉支, 主気管支を閉塞する腫瘤を認めた.気管支ファイバー検査では左主気管支を閉塞するポリープ状腫瘤を認め, 生検では肉腫が疑われた.左全無気肺となりYAGレーザー照射を施行したが, 閉塞を改善できなかったため, 左肺摘除術, 縦隔リンパ節郭清術を施行した.病理組織所見では癌腫成分を含まない紡錘形細胞からなる肉腫であった.患者は1年2ヵ月間再発なく生存中である.
  • 坂本 和裕, 廣川 智, 渡部 克也, 山崎 安信, 須田 嵩, 井出 研
    1998 年 38 巻 6 号 p. 745-749
    発行日: 1998/10/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は42歳, 男性.左気胸にて当院入院の際, 胸部CT検査にて左肺上葉S4aに径5mmの腫瘤影を認めた.今回の気胸は初回であったため胸腔drainageのみで改善し退院した.thin-section CT上肺癌が疑われたため外来にて肺腫瘤に対し気管支鏡検査を行ったが確定診断は得られず, 胸腔鏡下生検を施行.術中迅速病理診断にて肺腺癌の結果を得たため, 左肺上葉切除, 縦隔リンパ節郭清 (R2a) 及び肺嚢胞切除を施行.病理組織学的には, 細気管支肺胞上皮癌 (p-TIN0M0 p0pm0) と診断された.また腫瘍は胸膜から離れており, 本症例の気胸はブラに起因したものと考えられた.中高齢者の気胸においては併存肺病変の見落としのないよう心がけるべきである.
  • 梅森 君樹, 牧原 重喜, 福原 哲治, 中島 一毅, 前田 忠士, 青江 啓介
    1998 年 38 巻 6 号 p. 751-756
    発行日: 1998/10/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    72歳男性が胸部X線写真にて肺炎様浸潤影を指摘され来院.1992年1月当科にて右下葉全体に浸潤した細気管支肺胞上皮癌の診断のもと右下葉切除術を施行した.T2N0M0, P0D0E0PM0, stage I B.術前後で血清CA19-9は正常範囲であった.術後は順調に経過したが, 1997年7月右上中葉に腫瘤陰影出現し, 精査の結果再発と診断し, 8月26日右残存肺切除術をおこなった.術後血清CA19-9が次第に上昇し, 1998年1月には17104U/mlとなった.癌性心膜炎, 心タンポナーデとなり心嚢ドレナージ術を施行した.心嚢液中のCA19-9も24848U/mlと高値を示した.1998年2月11日に呼吸不全のため死亡.また初回, 再発時の両組織とも免疫学的染色にてCA19-9の産生が証明された.
  • 1998 年 38 巻 6 号 p. 757-772
    発行日: 1998/10/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 1998 年 38 巻 6 号 p. 773-781
    発行日: 1998/10/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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