肺癌
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34 巻, 7 号
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  • 井上 竜治, 高田 佳木, 大林 加代子, 加堂 哲治, 山本 裕之, 広田 佐栄子, 副島 俊典, 鈴木 靖史, 三村 文利
    1994 年 34 巻 7 号 p. 995-1001
    発行日: 1994/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    切除不能III期非小細胞肺癌に対し化学療法CDDP (80mg/m2, day 1), VDS (3mg/m2, day 1, 3) と放射線治療 (2.5Gy/d, day1~10) の同時併用療法を3コース行いその効果ならびに副作用について検討した. 完全例29例における奏効率70.0%, MST 15.7ヵ月, 1年生存率67.9%, 2年生存率25.0%であった.
    化療放射線同時併用は奏効率に於いて優れた効果が得られた. しかし中間生存期間および2年生存率に関しては従来の報告と比較し特に良好な結果は得られなかった. 併用薬剤をさらに検討し生存率の向上を目的とした研究を進めることが望まれる.
  • 川真田 修
    1994 年 34 巻 7 号 p. 1003-1010
    発行日: 1994/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    In situ hybridization (ISH) 法を用いて, 術前無加療のヒト非小細胞肺癌切除標本34例 (扁平上皮癌8例, 腺癌26例) におけるc-myc, c-sis mRNAの発現を検討した. c-myc mRNAは, ISHでは扁平上皮癌8例中2例 (25%) に, 腺癌26例中8例 (31%) に発現が認められた. c-sis mRNAは腫瘍細胞及び腫瘍支持細胞で発現が認められた. 腺癌では腫瘍細胞26例中7例 (27%), 腫瘍支持細胞26例中15例 (58%) で発現が認めちれた. 腺癌におけるc-myc mRNAの発現と臨床病理学的所見との関係をみると, pathological stageが進行すると発現症例が増加する傾向にあった. c-sis mRNAの腫瘍細胞と腫瘍支持細胞両者に発現している症例は, 臨床病期の進行している症例が多かった (P<0.01). c-sis mRNAの発現はヒト非小細胞肺腺癌の進展に関与している可能性が示唆された.
  • 特にtumor doubling timeの評価に関して
    薄田 勝男, 斎藤 泰紀, 相川 広一, 陳 炎, 遠藤 千顕, 高橋 里美, 菅間 敬治, 佐藤 雅美, 佐川 元保, 藤村 重文
    1994 年 34 巻 7 号 p. 1011-1016
    発行日: 1994/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    原発性肺癌174例に関し, 予後因子別に生存率を単因子分析し, Coxの比例ハザードモデルによる多変量解析で, tumor doubling time (DT) および他の予後因子が死亡率へ寄与する程度を検討した.
    1) 予後因子別に生存率を単因子分析した結果, DTの長短・年令の高低・性別・発見方法・喫煙の有無・症状の有無・治療方法・組織型・T因子・N因子・M因子・病期において有意差を認めた.
    2) Coxのモデルを用いた分析より, 死亡率への寄与度の大きな予後因子は, 順にN因子 (P=0.0001), 治療方法 (P=0.0016), DT (P=0.0140), M因子 (P=0.0421) であった. DTは有意でかつ独立した予後因子と判明した.
  • 大道 和宏, 有田 健一, 江島 剛, 佐藤 玲子, 藤原 恵, 楠部 滋
    1994 年 34 巻 7 号 p. 1017-1022
    発行日: 1994/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    肉腫様病理組織像を呈する部分の混在した原発性肺癌症例についてその臨床像を中心に検討した. 症例は5例で男性2例, 女性3例, 平均年齢は60.2歳であった. 癌腫の組織型は, WHO肺癌組織分類の紡錘細胞型扁平上皮癌が2例あったが, その他に腺癌例が1例, 腺扁平上皮癌例が1例, 大細胞癌例が1例みられた. 全症例に手術を行い, 3例に術後放射線照射を行った. 早期切除例に長期生存が認められ, 放射線感受性も比較的良好であった. 臨床像にも特徴を有する可能性のあるこの様な腫瘍は, 真の癌肉腫や通常の原発性肺癌とは異なる点も多い為, 病理組織学的にはより明確な取り扱いが必要であるかもしれない.
  • 胸膜肺全摘術と化学温熱療法
    丹羽 宏, 山川 洋右, 近藤 薫, 深井 一郎, 桐山 昌伸, 近藤 知史, 田那村 収, 正岡 昭
    1994 年 34 巻 7 号 p. 1023-1028
    発行日: 1994/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    びまん性悪性胸膜中皮腫は治療抵抗性で, 外科療法, 化学療法, 放射線療法のいずれもその効果は限定されたものとなっている. これまではこれらの治療が単独であるいは組み合わされて施行されてきたが, 一定の治療様式は未だ確立されていない. 今回われわれは, 温熱が胸膜表面に極めてよく伝導する性質に着目し, 外科療法に化学温熱療法を加えた治療を施行した. stage II, epithelial typeの3例に対し, 胸膜肺全摘後化学温熱療法を加えた. 2例は術後6カ月, 8カ月で腫瘍死したが, 1例は17カ月無再発生存中である. 3例の試験開胸例に化学温熱療法を施行したが, 1例はPD, 2例はNCであった. 胸膜肺全摘術に化学温熱療法を加えれば予後向上を図れる可能性があると思われた.
  • 小倉 康晴, 清水 雅史, 上杉 康夫, 難波 隆一郎, 中田 和伸, 雑賀 良典, 芦名 謙介, 松井 律夫, 末吉 公三, 楢林 勇
    1994 年 34 巻 7 号 p. 1029-1035
    発行日: 1994/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    ヘリカルCTのデータから気管・気管支系の三次元立体表示を行い, 最適な表示条件とその描出能について検討した. 対象は気管支鏡およびヘリカルCTが施行された肺病変16例である.使用装置は東芝社製Xforceで, 撮像条件はX線ビーム幅5mm, テーブル移動速度5mm/1.5秒, 1回転1.5秒で連続20回転スキャンし, 2mmピッチで横断像を画像再構成した. 得られたデータから三次元表示ソフトウエアCEMAX-VIPstationを用いて気管・気管支を立体表示し, 気管支鏡所見と対比検討した. 気管・気管支の三次元表示には, CT値の抽出閾値-650HU~-100HUが最も描出良好であった. また区域気管支まで気管支内腔の観察が可能であり, 気管支内の腫瘤は内腔狭窄, 壁肥厚として描出された. 気管・気管支の三次元表示を観察することにより病変部の全体的な把握が容易となり, また気管支壁の外方からの観察も可能であることから気管支病変の解析により有用であると考えられた.
  • 長岡 博志, 田代 隆良, 増田 満, 山崎 透, 永井 寛之, 後藤 陽一郎, 那須 勝
    1994 年 34 巻 7 号 p. 1037-1043
    発行日: 1994/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は74歳, 女性. 胸痛と労作時呼吸困難を主訴に当科を受診した. 入院時胸部X線写真にて縦隔偏位を伴う, 大量の左側胸水貯留が認められた. 持続ドレナージによる排液後の胸部X線写真で, 左中肺野に80×50mm, 境界明瞭, 辺縁不整, 内部構造均一な腫瘤が胸壁から胸腔内に突出して認められた.経皮的針生検より, 悪性線維性組織球腫と診断されたが, 既に広範な胸膜播種を生じていたため, 切除不能であった. Cyclophosphamide, vincristin, adriamycin, dacarvazine (CYVADIC) による抗癌化学療法を行ったが, 効果が得られず, 初診より8ヵ月後に呼吸不全のため死亡した.
    胸壁原発悪性線維性組織球腫はまれであり, 本邦報告25例を集計して報告した.
  • 室谷 陽裕, 坪田 紀明, 吉村 雅裕, 高田 佳木, 大林 加代子, 指方 輝正
    1994 年 34 巻 7 号 p. 1045-1051
    発行日: 1994/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は血痰を主訴とする61歳の女性である. 1970年に発生した気管分岐部の腺様嚢胞癌に対し61.2Gyの放射線療法とbleomycinを中心とした化学療法を行い緩解を得ていたが, 17年後に局所再発を認めたため本センターを受診した. heat probeを用いた内視鏡的polypectomyを行った2ヵ月後, 気管分岐部切除, 再建術を行った. 切除断端は気管周囲の散在性の癌病巣の存在のため陽性となった. 術後3年目の内視鏡検査にて再発を確認したので斜入による60Gyの放射線療法を加え, 局所の完全緩解を得た. 術後5年目に肺野に多発性の転移巣を認めたが吻合部に再発は認めず担癌ではあるが, 初発時より23年目の現在も比較的良好にquality of lifeを保って生存中である. 種々の治療を継続することにより発症より23年間の長期間生存を得た気管分岐部発生の腺様嚢胞癌の1症例である.
  • 稲垣 雅春, 三井 清文, 赤荻 栄一, 石川 成美, 山本 達生, 小形 岳三郎
    1994 年 34 巻 7 号 p. 1053-1058
    発行日: 1994/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は68歳, 男性. 検診で異常陰影を指摘された. 精査の結果, 右S2b末梢の肺小細胞癌と診断された. 右傍気管リンパ節の腫大を認めたため縦隔鏡下生検を施行したところ, 摘出リンパ節全体にサルコイド結節が認められ, サルコイドーシスあるいはサルコイド反応によるリンパ節腫大と診断した. 肺癌の病期はTIN0M0と考え, 右肺上葉切除・縦隔リンパ節郭清術を施行した. 郭清されたリンパ節のほぼ全てにサルコイド結節を認めたが, 腫大した傍気管リンパ節には転移があった. 術後全身化学療法, 縦隔放射線照射を施行した. 術後1年5ヵ月の現在再発なく健在である
  • 八田 健, 大薮 久則, 栗栖 茂, 松田 昌三, 児玉 明久, 絵野 幸二
    1994 年 34 巻 7 号 p. 1059-1063
    発行日: 1994/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は76歳男性, 第1癌 (73歳時) は左B6のpolyp状早期扁平上皮癌で, 左下葉切除が行われた. 第2癌 (75歳時) は1年半後左主気管支に認められ, 再発を疑ってcompletion pneumonectomyが行われたが, 早期の扁平上皮癌であった. さらにその1年7ヵ月後 (76歳時), 気管癌が認められ60Gyの照射とレーザー焼灼がなされた. Completion pneumonectomy後の気管癌発生は, 我々が調べ得た限りでは過去10年間本邦で1例報告されているに過ぎなかった.
  • 川島 修, 吉田 一郎, 大谷 嘉己, 石川 進, 大滝 章男, 森下 靖雄
    1994 年 34 巻 7 号 p. 1065-1068
    発行日: 1994/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は54歳, 女性で, 検診での胸部単純X線像で, 右上肺野肺門部に3.5×3.4cm大の孤立性円形腫瘤影を認めた. 胸部X線断層像, 胸部CT像, 細胞診では悪性所見はなかった。気管支動脈造影で, 肺硬化性血管腫に特徴的所見と言われる “メロンの皮の網目状血管走行像” が鮮明にみられ, 肺硬化性血管腫と術前診断した. 右上葉部分切除を行い, 病理組織学的に確定診断を得た.
  • 小牟田 清, 橋本 章司, 前田 恵治, 長谷川 克子, 石原 英樹, 元村 卓嗣, 小林 知加子, 岡本 茂, 綾田 昌弘, 五十嵐 敢
    1994 年 34 巻 7 号 p. 1069-1073
    発行日: 1994/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    47歳女性が労作時呼吸困難を主訴に入院した. 胸部レ線・CTにて, 両側肺野に多発性の空洞を伴う結節性陰影とびまん性の浸潤影が認められた. 血液検査にて, 血清CA19-9は7612U/mlと著明な高値を示した. 経気管支肺生検では確診は得られず, 開胸肺生検を施行した. その結果, 乳頭型腺癌, 細気管支肺胞型と診断した. 免疫学的染色の結果CA19-9産生が証明された.
  • 野村 将春, 藤村 政樹, 松田 保, 中村 裕行, 高柳 尹立, 北川 正信
    1994 年 34 巻 7 号 p. 1075-1079
    発行日: 1994/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    画像上, 胸膜中皮腫に類似した肺小細胞癌の1例を経験した. 症例は66歳男性, 検診により胸部異常陰影を指摘され来院した. 画像上多発性の右胸膜腫瘤像が認められ, 胸膜中皮腫が疑われた. 気管支鏡所見に異常なく, 腫瘤部の生検も不能であったため, CTガイド下に経皮針生検を施行した. 生検標本では肺小細胞癌と診断された. 化学療法により腫瘍は殆ど消失した.
  • 秋山 靖人, 近藤 治男, 宮崎 美津代, 堀内 宣昭, 城野 良三, 藤井 義幸
    1994 年 34 巻 7 号 p. 1081-1085
    発行日: 1994/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は64歳, 男性 (Brinkman Index 800). 発熱・咳にて当科を受診し, 胸部X-PおよびCTにて右上葉に腫瘍影を認めたため精査目的にて入院気管支鏡検査にて左上葉入口部に結節状隆起, また右上葉入口部にポリープ様隆起を認め生検にてそれぞれ扁平上皮癌, 小細胞癌と診断された. 化学療法 (CDDP+MMC+VDS 1クール, CBDCA+VP-16 2クール) 施行後両上葉の腫瘍は縮小を認めたが, 再度気管支鏡検査にて右B3入口部にも小結節状隆起を認め生検にて扁平上皮癌と診断された. 以上より本例は異組織型を呈した同時性の多発肺癌であることが示された. 同時性の異組織型多発肺癌は報告は少ないが, 本例のように小細胞癌を含む症例に関しては集学的治療の有用性が検討されるべきであると考える.
  • 小西 裕之, 桑原 修, 前田 元, 太田 三徳, Minoru Miyazaki, 谷 靖彦, 花田 正人
    1994 年 34 巻 7 号 p. 1087-1091
    発行日: 1994/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    針生検痕への播種をきたした脂肪肉腫胸壁転移の一例を経験した. 症例は70歳女性で, 8年前に後腹膜原発脂肪肉腫の摘出術を受けている. 右胸壁から胸腔内に突出する胸壁腫瘍に対し, 18G注射針および19G相当の千葉大生検針を用いて針生検を施行したが, 軟部腫瘍という以上の限定はできなかった. 摘出術後の病理診断は粘液型脂肪肉腫であり, 後腹膜からの転移と判明した. 手術の8ヵ月後, 針生検痕に沿って皮下・肋間筋内・肺内に局所再発を認め, 右上葉部分切除術・胸壁切除術を施行した. 再手術後1年4ヵ月の現在再々発を認めていない. 針生検痕への播種は肺癌からのものが多いが, 諸家の報告ではその発生率は概ね1%以下である. 脂肪肉腫においては, 今回我々が検索した限りでは, 針生検痕播種の報告例は認められなかった. この合併症の予防のためには, 術前に確定診断された場合は針生検痕も含めて摘出することが必要と思われた.
  • 川野 亮二, 岸槌 健太郎, 西阪 隆, 武島 幸男, 米原 修治, 井内 康輝
    1994 年 34 巻 7 号 p. 1093-1098
    発行日: 1994/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    胸腺に発生したカルチノイドの3例 (原発腫瘍2例, 再発腫瘍1例) についてその病理学的所見を中心に検討した. 3例の腫瘍は, カルチノイドの定型的組織像を示す部分があり, 腫瘍細胞は全例で好銀性顆粒をもち, 免疫組織化学的にchromogranin A, neuronspecific enolaseの免疫活性を示した. しかしながらいずれの症例でも一部は核の多形性や核分裂像の増加を示すことから, 組織学的には異型カルチノイドに一致した. 3例中2例では術後に再発, 転移を認めた. 過去30年間の自験例3例がいずれも異型カルチノイドであったことは, 胸腺発生のカルチノイドの生物学的特性の悪さを示唆すると思われる.
  • 1994 年 34 巻 7 号 p. 1099-1114
    発行日: 1994/12/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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