背景.肺癌術前病期判定における画像診断は基本的に胸部CTを用いるが,PET検査の併用は有効であることが認識されてきている.
症例.73歳男性.検診胸部X線にて左上肺野(S
3)の異常陰影を指摘され,気管支鏡下生検にて肺扁平上皮癌と診断された.術前胸部CTで,原発巣は左S
3末梢にφ19 mmの充実腫瘤を呈し,さらにB
1+2気管支起始部にφ18 mmの腫瘤影を認めたため肺門リンパ節転移陽性と考え,cT1N1M0 stage IIAと診断した.しかし,同時期に行ったPET-CT検査では集積はS
3病変のみで肺門リンパ節への転移は否定的であった.左上葉切除+ND2aを施行したところ,肺門リンパ節と思われた結節は定型カルチノイドであった.最終診断はカルチノイド合併肺扁平上皮癌で,リンパ節転移を認めずstage IAであった.
結論.肺癌術前リンパ節転移診断にはCTとPET検査を含めた総合的な評価が必要な症例があり,本例ではPET検査が有用であったと考えられた.
抄録全体を表示