日本臨床外科学会雑誌
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73 巻 , 6 号
選択された号の論文の56件中1~50を表示しています
原著
  • 金城 和寿, 金光 幸秀, 小森 康司, 大澤 高陽, 植村 則久, 伊藤 友一, 三澤 一成, 千田 嘉毅, 安部 哲也, 伊藤 誠二, ...
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1313-1317
    公開日: 2012/12/25
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    他臓器浸潤結腸癌の治療方針決定の一助とすることを目的に,当院で経験した肉眼的他臓器浸潤結腸癌症例151例について検討した.他臓器合併切除は137例に施行された.他臓器浸潤の肉眼的・組織学的診断の一致率は37.2%であった.遠隔転移の有無で他臓器浸潤結腸癌症例の生存率を比較すると,fStage IVで予後が不良であった.また,予後良好であったfStage II,IIIでは,組織学的浸潤の有無による生存率に有意差を認めなかった.fStage IV症例でもR0-1切除が行われれば,比較的予後良好であった.治癒切除が可能と思われる肉眼的他臓器浸潤結腸癌では,遠隔転移の有無に関係なく積極的な合併切除を行うことが,予後向上につながるものと考えられた.
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臨床経験
  • 小林 美恵, 野崎 功雄, 小畠 誉也, 大田 耕司, 栗田 啓
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1318-1322
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
    食道癌術後の後縦隔再建胃管癌に対して栄養血管切離後も胃管口側を残して胃管切除し,有茎空腸再建を行うことができた2例について報告する.症例1は73歳の男性で胸部食道癌に対して右開胸食道亜全摘,後縦隔胃管再建後である.初回手術から2年4カ月後に胃管癌を指摘され,ESDを施行したが非治癒切除となり,胃管癌指摘から4カ月後,追加胃管切除を行った.上縦隔の癒着が強固であり,胃管口側端を2cm残して有茎空腸による後縦隔経路再建,胸腔内吻合術を行った.症例2は50歳の男性で胸部食道癌に対する右開胸食道亜全摘,後縦隔胃管再建後から5年6カ月後に3型胃管癌を指摘された.上縦隔の癒着が強固であり,気管,右反回神経損傷の危険があったため胃管口側端の一部を残して右開胸開腹胃管亜全摘,有茎空腸による後縦隔経路再建,胸腔内吻合術を行った.2例とも胃管口側端の血行障害をきたすことなく術後良好に経過した.
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  • 下代 玲奈, 佐藤 功, 田畑 智丈, 沖田 充司, 千野 佳秀, 藤村 昌樹
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1323-1326
    公開日: 2012/12/25
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    尿膜管遺残症手術に対する腹腔鏡下手術は整容性の観点から非常に優れていると考えられる.しかし尿膜管癌発生の問題,腹腔内の腹膜欠損部の閉鎖の是非など検討するべき課題も存在する.今回当施設で施行した腹腔鏡下尿膜管切除術症例に関して手術方法や問題点を検討した.
    2009年3月から2012年2月までの3年間,当施設で腹腔鏡下尿膜管手術7例を経験した.いずれも臍洞炎にて発見され,炎症消褪後に腹腔鏡下尿膜管切除術を施行した.カメラは斜視鏡を用い,右側腹部に12mmのカメラポート1本,5mmのワークポート2本で腹腔内より尿膜管切除を行う.膀胱側は3-0吸収糸にて2重に体内結紮し,摘出は臍底部を輪状にくりぬき,腹腔内と全周性に交通させ尿膜管を引き出した.臍部は臍形成術を施行し,腹膜解放部は腹腔内より体内で連続縫合閉鎖した.
    手術侵襲,整容面の観点より腹腔鏡下尿膜管切除術は十分標準術式になると考えられた.
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症例
  • 青山 万理子, 山崎 眞一, 露口 勝, 日野 直樹, 三好 孝典, 坪井 光弘
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1327-1330
    公開日: 2012/12/25
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    転移性甲状腺癌は比較的稀である.今回,われわれは甲状腺癌術後再発と鑑別が困難であった乳癌甲状腺転移の症例を経験したので報告する.症例は75歳女性.1991年に左乳癌に対し大胸筋温存乳房全摘術+腋窩リンパ節隔清(pT1N0M0,stage I)を施行.同時に右甲状腺腫瘤摘出施行し術中迅速検査で良性だったが,最終病理診断では乳頭癌だった.初回手術9年8カ月後,乳癌左腋窩リンパ節再発きたし,切除,放射線治療,CMF療法5クールを行った.その後,ホルモン治療を行っていたが,初回手術18年11カ月後,エコー検査で甲状腺峡部・左葉腫瘤,両側頸部リンパ節腫大を指摘された.峡部腫瘤からの穿刺吸引細胞診で乳頭癌だったため,甲状腺癌再発と診断し,手術を施行した.術中迅速病理検査に提出したところ,乳癌転移であった.甲状腺腫瘍を認めた場合,原発性の他,既往歴も考慮すべきであると思われた.
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  • 後藤 正和, 森本 忠興, 三浦 連人, 豊田 剛, 木下 貴史, 松山 和男
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1331-1336
    公開日: 2012/12/25
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    4例の肉芽腫性乳腺炎を経験し,うち1例でCorynebacterium Kroppenstedtii感染を認めたので報告する.症例1:38歳,女性.左乳房腫瘤を主訴に受診された.穿刺生検で肉芽腫性乳腺炎と診断,抗生剤投与で改善せずステロイドの内服を追加したが,膿瘍形成に至り,ドレナージ術を施行した.症例2:36歳,女性.左乳房腫瘤を主訴に受診,精査の結果,肉芽腫性乳腺炎と診断されたが,現在症状なく経過観察中である.症例3:39歳,女性.右乳房腫瘤を主訴に受診され,針生検で肉芽腫性乳腺炎の診断を得た.抗生剤投与で改善なくドレナージ術を施行した.症例4:34歳,女性.左乳房腫瘤を主訴に受診された.細胞診で悪性所見を認めず,肉芽腫性乳腺炎と診断,PCR検査でCorynebacterium Kroppenstedtiiが陽性であった.ミノマイシン投与にて症状増悪なく,経過観察中である.
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  • 畑 和仁, 吉村 吾郎, 谷野 裕一, 安岡 弘直
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1337-1341
    公開日: 2012/12/25
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    乳腺偽血管腫様過形成(pseudoangiomatous stromal hyperplasia以下PASH)は血管様の間隙を伴う間質の増殖を主体とする良性の病変である.しかし病理組織像では線維腺腫(以下FA)等の線維性良性病変と類似しておりPASHを念頭に置いて,免疫染色を用いた病理診断をされなければ確定診断が得られないことが多い.今回手術を行いその後の免疫染色にて確定診断を得られたPASH1症例を経験したので報告する.
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  • 西野 豪志, 田中 隆, 片山 和久, 高橋 裕兒
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1342-1347
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は31歳,女性.増大傾向のある右乳房腫瘤を主訴に当院を紹介受診した.前医での針生検では線維腺腫の診断であった.右乳房EDB領域に80mm大の弾性のある可動性良好な腫瘤を触知した.マンモグラフィーでは,右乳房にやや高濃度の腫瘤を認め,不明瞭な微小石灰化が散在性にみられた.超音波検査では,後方エコーの増強を伴う境界明瞭な低エコー腫瘤を認めた.MRI検査では,右乳房に不均一な腫瘤を認め,ダイナミックカーブで,漸増型の一部にwash outがみられ,性状の異なる腫瘤が混在している可能性が示唆された.乳腺線維腺腫または管状腺腫の診断で,乳腺腫瘤摘出術を施行した.病理組織学的検査の結果,管状腺腫の一部に線維腺腫の組織が存在し,それぞれ境界を持たずなだらかに移行する所見を認めた.同一腫瘍内に乳腺管状腺腫と線維腺腫の混在を認めたまれな症例を経験したので文献的考察を加え報告する.
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  • 岸本 昌浩, 山中 若樹, 覚野 綾子, 小池 哲史, 高尾 信太郎, 竹之下 誠一, 渡邉 一男
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1348-1354
    公開日: 2012/12/25
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    転移性乳腺metaplastic carcinomaは多くが急速に進行し予後不良である.本例は遠隔転移巣切除後の経過が極めて良好であり報告する.症例は51歳女性.左乳癌(浸潤性乳管癌,ER+,PgR+,HER2 3+)にて,Trastuzumab + Paclitaxel(PTX)投与後Bp+Ax施行.術後残存乳房照射およびTrastuzumabを1年間投与した.手術2年10カ月後急速に増大する右頸部リンパ節転移が出現した.FEC施行したがさらに増大したため,頸部リンパ節転移巣切除・胸鎖乳突筋部分合併切除を施行した.病理組織上,metaplastic carcinoma(ER-,PgR-,HER2-)の像を呈していた.術後右頸部放射線照射施行し,CapecitabineおよびCyclophosphamide投与中であるが,2年を経過し再発兆候を認めていない.
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  • 松澤 文彦, 山本 貢, 細田 充主, 田口 和典, 高橋 弘昌
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1355-1360
    公開日: 2012/12/25
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    症例は60歳,女性.2011年9月,右乳房腫瘤を自覚し当科を受診した.右C領域に径30mm大の弾性硬腫瘤を触知,MMGにて円形,微細鋸歯状の高濃度腫瘤,超音波検査にて径23mm大の内部に石灰化を伴う低エコー腫瘤を認め,生検にて乳腺原発neuroendocrine carcinomaと診断し,乳房全摘術およびセンチネルリンパ節生検を施行した.病理組織検査では,免疫染色にてSynaptophysin,Chromogranin A,CD56が陽性を示した.Neuroendocrine carcinomaは乳癌全体の約2~5%と比較的稀であり,診断はgrimelius染色や免疫染色による神経内分泌顆粒の証明にて行われる.治療に関しては統一の見解はない.
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  • 川本 久紀, 西川 徹, 中野 浩, 品川 俊人, 福田 護, 津川 浩一郎
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1361-1366
    公開日: 2012/12/25
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    症例は28歳,女性.主訴は右乳頭分泌.2005年3月より主訴出現し当科受診.右乳頭から多孔性に淡褐色の乳頭分泌を認めた.超音波検査では右乳頭から外側に乳管拡張像を認め,MRI検査では乳頭より外側へ乳管拡張に伴う造影所見を認めた.嚢胞性に乳管内分泌物が充満する非浸潤癌を考えた.細胞診,針生検では診断に至らず,外科生検でDCISの病理診断となり右単純乳房切除術とtissue expander挿入術を施行した.病理所見では大小多数の嚢胞性病変を認め,内部には好酸性の分泌液の充満を認めDCIS,cyctic hypersecretory carcinomaと診断した.免疫染色ではER:陽性,PgR:陽性,HER2:1+であった.妊娠,出産を希望しており術後補助療法は行わず,経過観察のみで術後24カ月に女児を出産した.現在術後76カ月で再発を認めていない.
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  • 長野 晃子, 河毛 利顕, 長谷 諭, 田原 浩, 布袋 裕士, 前田 佳之, 佐々木 なおみ
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1367-1371
    公開日: 2012/12/25
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    乳腺原発骨肉腫は比較的まれな腫瘍であり,線維腺腫や葉状腫瘍がその発生に関連しているとの報告がある.今回,われわれは線維腺腫との関連を疑う乳腺原発骨肉腫を経験した.症例は69歳女性.数十年前より両側乳房腫瘤を自覚していたが,左乳房腫瘤が急速増大し,痛みを伴うため来院.左乳房を置換する約12cmの硬い腫瘤を認めた.針生検では陳旧性線維腺腫との診断であったが悪性を強く疑い,摘出術を行い,乳腺原発骨肉腫と診断した.遠隔転移は認めておらず,補助療法は行っていない.術後1年4カ月無再発生存中である.
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  • 大友 直樹, 牧野 裕子, 別府 樹一郎, 上田 祐滋, 島尾 義也, 林 透
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1372-1375
    公開日: 2012/12/25
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    症例は40歳,女性.2008年10月乳癌検診で要精査となり当院紹介受診となった.左乳房に径1.5cmの腫瘤を触知し,CNBで破骨細胞様巨細胞を伴う浸潤性乳管癌と診断された.同年11月12日Bp+SNを施行.断端,センチネルリンパ節ともに陰性であった.自己免疫性肝炎の治療の為,術後8日目に転院となり補助療法は施行できなかった.2009年3月3日転院先へ入院中に左乳房の皮下に5mm大の腫瘤と皮下出血を認め当院紹介され,FNACで局所再発と診断し,同年3月26日残存乳房切除術を施行した.破骨細胞様巨細胞を伴う乳腺悪性腫瘍は乳癌全体の0.5~1.2%と非常に稀である.今回われわれは,乳房温存術後Needle tract seedingにより,局所再発を発症したと思われる破骨細胞様巨細胞を伴う乳癌の1例を経験したので報告する.
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  • 平尾 具子, 細井 孝純, 中尾 武, 杉原 誠一, 堤 雅弘, 今川 敦史
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1376-1380
    公開日: 2012/12/25
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    症例は56歳,女性.他院で乳腺症経過観察中に左乳癌と診断され加療目的に当院紹介となった.当院受診時には両側乳房に腫瘤を触知し,針生検にて両側硬癌と診断した.乳房造影CT検査では左乳房腫瘍の乳頭側よりに髭状濃染域を認め,乳管内進展像と考えられた.両側の乳房温存術とセンチネルリンパ節生検を行った結果,右乳房には硬癌[T1c N0(0/3) M0],左乳房には硬癌[T1c N0(0/4) M0]と浸潤性小葉癌[T2 N0(0/4) M0]を認め同時性両側乳癌・左多発乳癌であった.術前に左乳癌の乳管内進展と考えた造影CTでの濃染域には浸潤性小葉癌(4cm)と硬癌の乳管内進展が混在していた.
    同時性両側乳癌の発生率は1%前後と報告されているが,乳管癌と小葉癌の同時性多発乳癌は比較的稀であると考える.片側乳癌診断時には両側・多発等の可能性を念頭に置き両側乳房精査を詳細かつ慎重にすすめる必要性を認識した.
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  • 境澤 隆夫, 有村 隆明, 小沢 恵介, 西村 秀紀, 大月 聡明, 保坂 典子
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1381-1385
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は43歳,男性.約10年前に右自然気胸を発症し他院で胸腔ドレナージが行われた.今回,短期間で2回にわたり右気胸再発を繰り返し他院より当科へ紹介された.胸部CT検査で右肺尖に内部腫瘤成分を伴わない嚢胞性病変が認められ,これが気胸の原因と考え胸腔鏡下に右上葉部分切除を施行した.病理組織診断では嚢胞内壁よりアスペルギルスの菌糸が確認された.肺アスペルギルス症は基礎疾患のない健常者においても発症する可能性があり注意を要する.また画像的に菌球形成がみられなくても,壁肥厚性の嚢胞性病変を認めた場合にはアスペルギローマの可能性を念頭におく必要がある.
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  • 日野 東洋, 田中 寿明, 的野 吾, 西村 光平, 藤田 博正, 白水 和雄
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1386-1391
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は63歳,男性.2002年に食道アカラシアと診断され他院にてバルーン拡張術で経過観察されていた.2009年11月経口摂取困難の増悪および1カ月で5kgの体重減少を認め,当科紹介となった.精査にて食道アカラシア(Sigmoid type,Grade II),Zenker憩室,横隔膜上憩室の診断で,Hand-assisted laparoscopic surgeryにてアカラシア手術(Heller-Dor法)と横隔膜上憩室切除術を施行した.Zenker憩室は症状を認めないため経過観察とした.術後合併症なく退院し,術後2年経過し,全粥摂取可能な状態である.食道アカラシアと横隔膜上憩室を同時に手術した報告は少ない.われわれはSigmoid typeの食道アカラシアと横隔膜上憩室を同時に手術した1例を経験したので,文献的考察を含めて報告する.
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  • 多代 尚広, 横山 正, 永吉 直樹, 高原 秀典, 實光 章, 勝谷 誠
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1392-1396
    公開日: 2012/12/25
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    胃リンパ球浸潤癌(gastric carcinoma with lymphoid stroma:以下GCLS)はその特徴的な病理所見と良好な予後から胃癌の特殊型の1つとされている.今回われわれはball valve syndrome(以下BVS)にて発症したGCLSの1例を経験したので報告する.症例は50歳代男性.嘔吐,心窩部痛を主訴に当院を受診した.CTにて胃腫瘤の十二指腸への嵌頓と診断され,内視鏡的に整復された.生検結果は中分化型管状腺癌であった.術前EUSにて深達度はSMと診断され,腹腔鏡補助下幽門側胃切除術を施行した.永久病理検査の結果は著明なリンパ球浸潤を伴いGCLSと診断された.GCLSは肉眼的に早期癌ではIIc型,IIa+IIc型,進行癌では2,3型を呈することが多い.今回の症例は1型でありBVSを発症した稀な症例であると考えられた.
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  • 坂田 好史, 有井 一雄, 木下 博之, 清水 敦史, 森 一成
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1397-1401
    公開日: 2012/12/25
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    症例は60歳,女性.早期胃癌に対する加療目的に当科に紹介された.術前のMDCTで,総肝動脈は上腸間膜動脈から分岐し,門脈の背側を走行するAdachi VI型の血管走行破格であることがわかった.Adachi VI型では,膵上縁に総肝動脈がみられないためNo.8aリンパ節郭清の際に問題となる.術前のMDCTでAdachi VI型と認識していたことから,左胃動脈より右側で膵上縁に位置するNo.8aリンパ節を郭清する際,門脈前面を露出し,この層を保ちながら左胃静脈を同定,処理することで門脈系を損傷することなく,安全にD1+βリンパ節郭清を伴う腹腔鏡補助下幽門側胃切除術を施行できた.腹腔鏡下手術では術中に触覚で血管走行を確認できないので,術前のMDCTで血管走行破格を認識しておくことが肝要である.
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  • 遠藤 健, 福田 千文, 伊藤 眞史, 篠原 克浩, 堀 義城
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1402-1406
    公開日: 2012/12/25
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    症例は72歳,男性,夕食摂取後に強い心窩部痛と嘔吐を認め,救急搬送された.来院時意識は清明で,vital signに異常なく,上腹部中心に強い自発痛と圧痛を認めた.特に既往歴がないことから直ちに腹部CT検査を施行し,whirl signを認め小腸軸捻転と診断し緊急手術を施行した.術中所見では,小腸は上腸間膜動脈を中心として時計方向に360度回転しており,約180cmの小腸を切除した.本症例は開腹手術の既往がなく,腹腔内に癒着,索状物,先天異常など捻転の原因はなかったため,原発性小腸軸捻転と診断した.本邦では成人原発性小腸軸捻転症は比較的稀であり,開腹既往のない成人症例に限ると,医学中央雑誌で検索しうる限り本症例を含め42例が報告されているのみであった.若干の文献的考察を含め報告した.
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  • 小川 雅生, 今川 敦夫, 出村 公一, 川崎 誠康, 堀井 勝彦, 亀山 雅男, 山内 道子
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1407-1410
    公開日: 2012/12/25
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    症例は97歳,女性.嘔吐を伴う腹痛を認め,当院受診.腹部CT検査でwhirl signを認めたため,小腸軸捻転症と診断し,緊急手術を施行した.開腹すると小腸は腸間膜根部で時計回りに360度回転していた.さらに小腸を検索したところ,Treitzから30cmの部位に約10cm大の巨大な憩室を認めた.この憩室が原因となり,腸管が捻れたと考えられたため捻転を解除し,憩室を切除した.術後経過良好で退院したが,術43日目に再び同症状が出現した.腹部CT検査でwhirl signを認めたため,小腸軸捻転症再発と診断し,手術を施行した.小腸は前回と同様に回転していたが,腹腔内に癒着や索状物は認めなかった.捻転を解除し,再発予防に腸間膜を腹壁に固定した.本症例のように再発する可能性があり,捻転解除とともに腸間膜固定術などを追加しておくべきであると考えられた.
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  • 榎田 泰明, 富澤 直樹, 安東 立正, 小川 哲史, 伊藤 秀明, 竹吉 泉
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1411-1415
    公開日: 2012/12/25
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    症例は75歳,男性.来院2日前の昼食後より右下腹痛が出現し,症状が増悪したため当院外来を受診した.来院時下腹部全体に強い圧痛と筋性防御を認めた.腹部単純X線検査で遊離ガス像はなかった.腹部造影CT検査では回盲部から上行結腸にかけて浮腫性の変化を認めたが,遊離ガス像はなかった.腹部理学所見から汎発性腹膜炎の診断で緊急手術を施行した.腹腔鏡下の観察でDouglas窩に多量の膿性腹水を認め,回腸末端の腸間膜対側に穿孔部を認めた.汚染が高度のため小開腹に移行し,回盲部切除と洗浄ドレナージ術を施行した.術後経過は良好で,第7病日退院した.病理診断では穿孔部に高度の炎症を伴う仮性憩室が存在し,回腸憩室穿孔と考えられた.小腸憩室穿孔はまれな疾患であり,術前診断は困難であるが,急性腹症の原因として鑑別すべき疾患である.その際,診断的腹腔鏡は病態や部位の診断,並びに開腹部位の決定や最小化に有用と思われた.
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  • 中山 健, 松尾 亮太, 池田 治, 奥田 洋一, 大河内 信弘
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1416-1421
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は76歳,女性.突然の腹痛を主訴に受診した.来院時反跳痛は認められず,白血球数は5,950/μLであった.腹部造影CT検査では明らかな遊離ガス像は認められなかったが,広範囲に及ぶ小腸の壁肥厚と右傍結腸溝に腹水を認めた.その後腹痛が増強し腹膜刺激兆候が出現したため試験開腹を行った.回腸末端前壁の憩室から腸液が流出しており,回腸憩室穿孔の診断で回盲部切除および腹腔洗浄ドレナージを行った.術後経過は良好で第15病日に退院した.病理組織検査では,炎症を伴う仮性憩室の穿孔であった.
    回腸憩室の穿孔または穿通の報告は稀で,その多くは腸間膜側に穿通し腸間膜内膿瘍を形成すると報告されている.自験例は回腸前壁の憩室が腸間膜外に穿孔を生じた非常に稀な症例であるため,文献的考察を踏まえ報告する.
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  • 小林 清二, 長佐古 良英, 河合 朋昭, 小笠原 和宏, 草野 満夫, 高橋 達郎
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1422-1425
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は57歳の女性で虫垂切除の既往があった.腹痛を主訴に近医を受診した.腹部単純X線検査で腸閉塞と診断されて当科入院となった.腹部膨満を認めたが筋性防御や反跳痛は認めず腫瘤も触知しなかった.腹部CT検査で左骨盤内に小腸の層状構造を疑わせる所見を認めた.癒着性腸閉塞またはCT所見から小腸の腸重積と診断した.症状が軽度なことからまず保存的治療を開始したが改善せず,2日後に下血も出現したため手術を施行した.術前に大腸病変の鑑別のため注腸検査,大腸内視鏡検査を施行したが異常を認めなかった.開腹時,腸閉塞は既に解除されていたが,回腸に炎症性変化の強い部分を認めた.回腸・回腸型の腸重積が術前の注腸,内視鏡検査によって整復されたものと診断し回腸部分切除術を施行した.切除腸管に腫瘍などの器質的病変は認めず特発性腸重積と診断した.
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  • 半田 寛, 西 知彦, 山梨 高広, 鳥海 史樹, 赤松 秀敏, 下山 豊
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1426-1429
    公開日: 2012/12/25
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    症例は47歳,男性.軽い腹痛と血便を主訴に受診した.腹部CT検査にて脂肪を主体とする小腸腫瘤と,これを先進部とする腸重積が疑われた.小腸造影では回盲部から約40cmの部に隆起性病変を認めた.Meckel憩室内翻または脂肪腫による腸重積症と診断し,単孔式腹腔鏡手術を施行した.切除標本には異所性膵組織を含む真性憩室が認められ,Meckel憩室内翻による腸重積症と確定診断した.術後経過は順調で,術後4日目に退院となった.本症例のように腸管拡張や浮腫の軽度な小腸疾患は腹腔鏡手術の良い適応となる.有症状の成人Meckel憩室は稀な疾患であるが,高度な技術を要する剥離や切離操作を必要としないため,単孔式腹腔鏡手術で安全に手術可能であると思われた.
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  • 堀岡 宏平, 大畑 佳裕, 光岡 浩志, 自見 政一郎, 亀井 隆史
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1430-1434
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
    症例1は42歳,男性.悪性関節リウマチで入院中に下血を認めた.大腸内視鏡検査で虫垂開口部からの出血を認め虫垂出血の診断で虫垂切除術を施行した.術後再出血はなく術後19日目に転科した.症例2は70歳,男性.下血を主訴に来院した.大腸内視鏡検査で虫垂開口部からの間欠的な出血を認め虫垂出血の診断で虫垂切除術を施行した.術後再出血はなく術後11日目に退院した.いずれの症例も術後の病理組織学的検査では原因病変を同定できなかった.虫垂出血は下部消化管出血の原因として稀である.大腸内視鏡で診断し虫垂切除術が有効であった虫垂出血の2例を経験した.
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  • 藤本 大裕, 加藤 嘉一郎, 天谷 奨, 三井 毅, 山口 明夫
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1435-1439
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は25歳,男性.2週間続く腹痛を主訴に受診した.受診時の腹部造影CTにて腫大した虫垂とその周囲の膿瘍形成および上腸間膜静脈血栓を認めた.急性虫垂炎および上腸間膜静脈血栓症と診断し,虫垂切除および膿瘍ドレナージ術を施行した.術後1日目より経静脈的にヘパリン持続投与を開始した.術後経過は良好でワーファリン内服による抗凝固療法を継続し退院.術後6カ月目の腹部造影CTでは血栓の消失を確認した.虫垂炎などの炎症性疾患に起因した上腸間膜静脈血栓症の場合,炎症の重症化に伴い血栓の悪化をきたし腸管壊死の可能性もあり,血栓の早期診断と積極的な炎症のコントロールが重要であると考えられる.本疾患は腸管壊死による手術となれば広範囲小腸切除となる可能性が高いが,自験例においては炎症のコントロールのために虫垂切除を行い,ヘパリンの全身投与を行ったことで上腸間膜静脈血栓症の増悪と腸管壊死には至らなかった.
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  • 三好 永展, 大塩 博, 丹野 弘晃, 向田 和明, 安西 良一
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1440-1444
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は72歳,女性.右下腹部痛を主訴に来院した.触診でMcBurney点に一致して圧痛を伴う腫瘤を触知した.腹部造影CT検査では腫大した虫垂とその内腔に多房性の隔壁構造を認め,多発性憩室炎あるいは虫垂粘液嚢胞性疾患が考えられた.下部消化管内視鏡検査で結腸内腔は腫瘍性変化を認めず,CEA,CA19-9値は正常範囲内であった.虫垂憩室炎に伴う炎症性腫瘤あるいは虫垂粘液嚢胞性腫瘍を術前診断として,腹腔鏡補助下結腸右半切除術を施行した.腹腔鏡下では後腹膜癒着を伴った腫瘤として観察され,D2リンパ節郭清を併施した.切除標本は虫垂根部の多発性憩室と,憩室周囲の強い線維化を伴った炎症性腫瘤であった.所属リンパ節も炎症性変化を示した.虫垂粘液嚢胞性疾患と鑑別を要した多発性虫垂憩室炎による炎症性腫瘤のまれな1例を報告する.
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  • 吉楽 拓哉, 小棚木 均, 佐藤 公彦, 小棚木 圭, 里吉 梨香, 岩崎 渉
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1445-1449
    公開日: 2012/12/25
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    全身性エリテマトーデス(SLE)の血管炎に起因する直腸穿孔の1例を経験した.患者は41歳男性.11歳時にSLEを発症し,ステロイド剤の内服を行っていた.今回,大腿骨頭骨置換手術後15日目に下腹部痛,発熱が出現し,CT検査で遊離ガスを認め,消化管穿孔と診断された.開腹すると,膿性腹水を認め,明らかな穿孔部位は指摘できなかったが,炎症所見の程度から上部直腸の穿孔と判断し,低位前方切除術,腸瘻造設術を施行した.切除標本では一部に潰瘍形成と腸管壊死を認めた.組織学的には血栓形成を伴う血管炎を認め,これにより腸管穿孔したと判断された.SLE治療中の消化管穿孔はステロイド内服等により症状が顕著化しないことも多く,救命のためには画像を含めた総合的かつ迅速な診断と適切な治療が必要である.
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  • 二木 了, 東 大二郎, 二見 喜太郎, 永川 祐二, 前川 隆文, 平野 憲二
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1450-1454
    公開日: 2012/12/25
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    壊疽性膿皮症(pyoderma gangrenosum:PG)は潰瘍性大腸炎に合併する皮膚疾患であり,重症例ではそれ自体が手術適応となる.大腸全摘により改善するという報告が多いが,われわれは大腸全摘後に発症した3例を経験したので報告する.症例は3例とも女性(37歳,32歳,39歳)でPGの発症部位はそれぞれ右足関節,右下肢,左下肢で,大腸全摘からPG発症までの期間は4年,5カ月,1.5カ月であった.治療は2例にプレドニゾロン投与,血液成分除去療法,免疫調節剤を組み合わせ,1例は肛門周囲膿瘍を合併していたため,第一選択として血液成分除去療法を行うことにより改善を認めた.また3例とも回腸嚢肛門管吻合術を行い直腸粘膜がわずかに残存していたが,PG発症時,残存直腸粘膜の再燃や回腸嚢炎は認めなかった.
    潰瘍性大腸炎におけるPGは,大腸全摘を行った後でもそのリスクに変わりはないものとして観察を行う必要がある.
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  • 小林 智輝, 弥政 晋輔, 澤崎 直規, 東島 由一郎, 後藤 秀成, 松田 眞佐男
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1455-1459
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は60歳,男性.発熱と腹痛を主訴に受診.WBC 17,000/μl,CRP 25.93mg/dlと高度炎症所見を認めた.腹部CT検査で門脈内ガス像とS状結腸に憩室炎の所見を認めた.門脈ガス血症を伴う重篤な憩室炎と診断,穿孔の可能性も考え,緊急手術を施行した.術中所見では,腹腔内の汚染はなかったが,S状結腸全体が発赤,硬結を呈しており,腸間膜内への穿破を疑う所見を認めたため,S状結腸を切除し縫合した.術後に縫合不全を起こしたため,横行結腸に一時的に人工肛門を造設した.その後治癒し,人工肛門を閉鎖した.
    門脈ガス血症は,腸管壊死を起こした際などに見られる比較的稀な病態で,開腹術を要する予後不良の徴候とされてきたが,近年では保存的治療で軽快を認めた報告例も散見されている.今回われわれは,門脈ガス血症を呈したS状結腸憩室炎の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
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  • 池田 治, 神賀 正博, 大河内 信弘
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1460-1464
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は44歳,女性.腹痛,腹満を主訴に来院した.腹部レントゲン,CTにて著明に拡張した結腸とその近傍に存在する腸間膜腫瘍を認めた.注腸造影にて拡張した腸管は横行結腸重複症と診断した.手術を施行し,腸間膜腫瘍と重複腸管を一塊に切除した.病理組織学的に腸間膜腫瘍はdermoid cystと診断した.
    消化管重複症は胎生期の発生異常が原因とされ,成人発症は稀である.一方dermoid cystは性腺が好発部位であるが,腸間膜からの発生は極めて稀である.今回われわれは腸間膜にdermoid cystを合併した成人発症の横行結腸重複症の1例を経験したので報告する.
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  • 松隈 聰, 原田 俊夫, 河岡 徹, 平木 桜夫, 福田 進太郎, 岡 正朗
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1465-1471
    公開日: 2012/12/25
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    症例は60歳,女性.下行結腸癌に対し結腸部分切除術を施行した.手術2週間前にセフメタゾール1g×2回/日2日間,術中にセフメタゾール計2gを投与した.術後3日目に突然,39度の発熱と腹痛を呈した.下痢はなかった.再手術を行ったが,明らかな縫合不全は認めなかった.著明に拡張した上行結腸に大量の緑色水様便が貯留しており,糞便検体からClostridium difficile toxinを検出した.メトロニダゾール内服で症状改善せず,バンコマイシン内服に変更した.その後,腹腔内膿瘍を形成し,経皮的膿瘍ドレナージとバンコマイシン/メロペネム点滴静注を要した.C. difficile感染症は再発・再燃を繰り返し,治療に難渋したが,術後94日目に軽快退院した.現在外来通院中であるが,再発はない.「適切な」抗菌薬使用について考えさせられた意義深い1例と考えられたので,報告する.
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  • 濱口 純, 前田 好章, 篠原 敏樹, 二川 憲昭, 濱田 朋倫, 有倉 潤
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1472-1476
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は51歳,女性.2年前に肺癌にて胸腔鏡補助下右肺中葉切除を施行された既往があった.術後1年半より血中CEAの上昇を認め精査を受けていた.術後2年の時点で腹痛,腹満感が出現し結腸転移の診断に至った.待機的に右半結腸切除術を施行した.肺癌の消化管転移は高度進行状態が多く,手術適応がないことも多い.今回われわれは,待機的手術にて切除しえた1症例を経験したので文献的考察を加え報告する.
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  • 竹原 雄介, 遠藤 俊吾, 池原 貴志子, 日高 英二, 田中 淳一, 工藤 進英
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1477-1481
    公開日: 2012/12/25
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    大腸癌では,術前の血清CEA値が高値の場合には予後不良であることが多いとされる.今回,術前の血清CEA値が異常高値を示したが,術後無再発で5年以上経過した症例を経験したので報告する.症例は73歳,女性.右下腹部腫瘤を主訴に当院受診となった.術前検査では盲腸に2型の進行癌を認め,術前血清CEA値は4,500.0ng/mlと異常高値を示した.遠隔転移,重複癌は認めず,腹腔鏡補助下回盲部切除術,D3郭清を施行した.総合所見は,C,2型,6.5×4.5cm,mod.,SS,ly0,v0,n(-),H0,P0,M0,stage IIであった.CEA値は術後徐々に低下し,約4カ月で正常化した.術後補助化学療法として5'- DFURを10カ月間内服し,術後5年以上経過した現在まで無再発生存している.大腸癌では術前の高CEA血症は再発の高リスクの1つであるが,良好な予後が期待できる場合もある.
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  • 中嶌 雅之, 堀 耕太, 木村 有, 林 亨治, 横溝 博, 平田 稔彦
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1482-1485
    公開日: 2012/12/25
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    症例は76歳,女性.平成21年4月下旬に腹部膨満感を主訴に近医を受診し,大腸内視鏡検査を施行された.回盲部に20mm大の隆起性病変が認められた.生検で高分化型腺癌と診断され,精査加療目的で当院紹介受診した.5月中旬に撮影した腹部造影CTでは腫瘍は指摘できなかった.6月上旬に腹腔鏡補助下結腸右半切除術を施行した.摘出標本を観察したところ,隆起性病変を認めなかった.確認のために術中大腸内視鏡検査を行ったが,その他の部位にも病変を認めず,自然脱落の可能性が考えられた.病理学的検査で盲腸に瘢痕を認めず,癌の遺残も認めなかった.術後は経過良好で6月下旬に軽快退院となった.血液癌,生殖器癌などでは癌の自然消失は時々報告があるが,大腸癌の自然消失は非常にまれである.文献的考察を加えて報告する.
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  • 松下 典正, 古川 達也, 腰野 蔵人, 小松 明男, 重松 恭祐
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1486-1490
    公開日: 2012/12/25
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    日本住血吸虫卵との関連が疑われる多発S状結腸癌の症例を経験した.症例は82歳女性.山梨県,広島県,福岡県の在住歴なし.S状結腸に径1.5cm大の平皿状腫瘍とその近傍のIpポリープを認めS状結腸切除術を施行した.摘出標本の病理所見としてtub2,pMP,pN0,ly0,v1の進行癌とpM,ly0,v0のCarcinoma in adenomaであった.腫瘍の間質内には多数の寄生虫卵を認め,日本住血吸虫卵の併存した多発S状結腸癌と診断した.本邦では急性期の日本住血吸虫症患者は認められていないが,陳旧症例に合併した大腸癌の報告が認められる.日本住血吸虫卵による影響を疑うという報告もある一方で否定的な意見も認め未だ議論されている.こういった現状から文献的考察を加え自験例を報告する.
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  • 大塚 一雄, 桂 彦太郎, 北岡 昭宏, 岩田 辰吾, 枡本 博文, 加藤 仁司, 礒田 幸太郎, 岡本 英一
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1491-1496
    公開日: 2012/12/25
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    内痔核の診断を契機に発見された,直腸神経内分泌細胞癌の1例を経験したので報告する.症例は61歳男性,痔核嵌頓にて来院した.脱出腫瘤の一部は壊死をきたしていた.下部消化管内視鏡検査所見では,carcinoma,carcinoidが鑑別に挙がるSMT様腫瘤を認めた.腹部CT検査では,下部直腸の右側から前壁側にhypervascularな病変を認めた.肝,その他に転移を示唆するような所見は認められなかった.後日,痔核結紮切除術および腫瘤局所切除術施行した.病理結果は,低分化腺癌(mp,INFβ,ly2,v0,cut end(-))であった.さらに,cytokeratin染色にて陰性,chromograninA,synaptophysin染色にて,腫瘍細胞はそれぞれごく弱陽性,強陽性を示し,Ki-67/MIB-1にて80%と強陽性を示し,低分化型神経内分泌細胞癌と診断された.初診から10カ月経過してもなお,転移・再発の所見は認めていない.
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  • 渡海 大隆, 前田 茂人, 永田 康浩
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1497-1501
    公開日: 2012/12/25
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    症例は79歳,男性.便潜血陽性の精査にて横行結腸に0-Is型早期癌を認めた.注腸造影および腹部CTでは腸管の固定異常が認められた.3D-CT angiographyで上腸間膜動脈の末梢から右頭側に反転,上行する回結腸動脈を認め,小腸への動脈は上腸間膜動脈の右側から分枝していた.Non-rotation typeの腸回転異常症を伴った横行結腸癌と診断し,腹腔鏡補助下横行結腸切除術を施行した.手術所見では,結腸に生理的癒着はなかったが,腸管同士の強い癒着を認めた.慎重に剥離と脱転を行い,小開腹創より腸管を体外に導出し根治的切除と吻合を行った.解剖学的異常を伴う症例においては,画像技術を駆使した術前評価とシミュレーションを行い,腹腔鏡手術の利点を活かした安全な手術を心がけるべきである.
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  • 松永 浩子, 中村 典明, 入江 工, 田中 真二, 新井 文子, 有井 滋樹
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1502-1507
    公開日: 2012/12/25
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    症例は38歳,男性.心窩部痛と発熱を主訴に前医を受診,肝左葉に巨大腫瘤を認め当院紹介受診となった.検査所見ではALP,LDH,CRP,可溶性インターロイキン2受容体値が上昇,腫瘍マーカーは正常範囲内であった.画像上病変は肝左葉に径約20cm大の境界明瞭な乏血性の腫瘍として描出され,肝十二指腸間膜周囲と胃周囲のリンパ節腫大を認めた.確定診断には至らなかったが腫瘍が増大傾向であり心窩部痛と腹部膨満感も著しかったため手術を施行した.切除した腫瘍は白色,充実性の腫瘍であった.病理組織検査で異型細胞のびまん性増殖を認め,免疫染色法でCD20陽性,Diffuse large B-cell lymphomaと診断された.術後のPET-CTで肝外のリンパ節にも異常集積を認め全身化学療法(R-CHOP療法)を施行して完全奏効となった.上腹部痛を契機に診断された肝悪性リンパ腫の1切除症例を経験したため報告する.
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  • 神谷 忠宏, 長谷川 洋, 坂本 英至, 小松 俊一郎, 久留宮 康浩, 法水 信治
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1508-1512
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は51歳,女性.下行結腸癌に対して左結腸切除術を施行した.病理組織学的所見は中分化型腺癌でpSS,ly0,v3,pN0,sH0,cP0,cM0,stage IIであった.テガフールウラシル/ホリナートカルシウムによる術後補助化学療法を施行した.術後4カ月に施行した腹部骨盤CT検査で,門脈右枝前区域枝にlow density areaを認めた.18FDG-PET-CTでは同部位にFDG集積亢進を認めたが,他に異常集積は認めなかった.門脈腫瘍栓と診断し肝右葉切除術を施行した.肉眼所見および病理組織学的所見では,肝実質には明らかな転移巣を認めず,門脈腫瘍栓は原発巣に類似した中分化型腺癌であった.大腸癌の肝転移を伴わない門脈腫瘍栓は極めて稀であり,若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 小川 光一, 稲川 智, 福永 潔, 大河内 信弘
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1513-1518
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
    胃癌肝転移は予後不良な病態である.今回,胃癌異時性肝転移に対し,化学療法後に肝切除を行い,良好な経過を得た症例を経験したので報告する.症例は60歳,男性.心窩部不快感を契機に診断された胃癌に対し,幽門側胃切除,D2,胆嚢摘出術を施行された.初回手術時の最終診断は胃癌,ML領域,3型,pap>tub2,T2,N0,H0,P0,M0,Stage IB,根治度Aであった.術後7カ月目の腹部CT検査で肝S5,S6の2カ所に転移巣が出現した.術後短期間での多発病変であり,他病変の出現も危惧されたため,TS-1投与を開始し,投与開始から3カ月後に再検したCTにて両病変の縮小を認め,新病変の出現もないため肝切除を施行した.肝切除後にTS-1投与を再開し7コース施行した.初回手術から3年10カ月,肝切除から2年8カ月の現在,無再発生存中である.
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  • 桐井 靖, 松野 成伸, 宮本 昌武, 高木 洋行, 永井 秀雄, 太田 浩良
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1519-1523
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は76歳,男性.経過観察中の膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)の腹腔内穿破による腹痛で入院した.腹部造影CTでは腹腔内膿瘍と周囲の著明な炎症を認め,腫瘍内部には多血性の腫瘤を認めた.手術待機中に胆管炎をきたしERBDからENBDに入れ替えながら胆道管理を行い,粘液様の胆汁細胞診からclass IIIの結果を得てIPMNの総胆管への穿破と診断した.膵頭十二指腸切除を施行した.神経内分泌腫瘍を随伴し一部に浸潤癌を認めるIPMNであった.今後は腹膜偽粘液腫としての再発を考慮した経過観察が必要と思われた.
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  • 山田 英貴, 加藤 岳人, 柴田 佳久, 平松 和洋, 吉原 基, 夏目 誠治, 前多 松喜
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1524-1529
    公開日: 2012/12/25
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    膵小細胞癌の1例を経験した.
    症例は腹痛を主訴に来院した58歳の男性.CTにて膵体部に胃と肝外側区域を圧排する境界不明瞭な7cm大の低濃度の腫瘤を認め,造影にて辺縁部分がわずかに造影されるのみであった.胃と肝外側区域に浸潤する膵体尾部腫瘍と診断し,胃全摘・肝外側区域切除を伴う膵体尾部脾切除術を施行した.病理学的に膵原発の小細胞癌と診断した.術後すぐに多発肝転移と局所再発を認め,術後2カ月で死亡された.
    膵小細胞癌は極めてまれな疾患であり,本邦では24例が報告されているのみである.本邦報告例を検討してみると,予後不良と考えられている膵小細胞癌においても,化学療法や放射線療法といった補助療法と根治を目指した積極的な手術治療を組み合わせた集学的治療により長期生存を得られる可能性があることが示唆された.
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  • 早津 成夫, 重信 敬夫, 津和野 伸一, 柳 在勲, 石塚 裕人, 原 彰男
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1530-1535
    公開日: 2012/12/25
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    症例は74歳,女性.2009年10月,膵頭部癌に対して幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理学的診断は浸潤性膵管癌,最大径17mmでT1N0M0 fStage Iであった.GEMによる補助化学療法後,経過観察されていたところ,2011年3月,腹部CT検査で膵尾部に腫瘤影を認め,精査の結果膵癌が疑われた.手術時,膵体尾部に1cm前後の2個の腫瘤を認め,膵を約3cm温存して残膵亜全摘を行った.膵を温存したことにより,血糖コントロールは比較的容易であった.病理診断では2個とも浸潤性膵管癌,T1N0M0 fStage Iと,T3N0M0 fStage IIIであった.初回を含めそれぞれの病変に連続性は認めず,多中心性発生と考えられた.背景膵にpancreatic intraepithelial neoplasia(以下PanIN)が認められ,浸潤性膵管癌の多中心性発生への関与が示唆された.
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  • 出雲 渉, 古川 健司, 山崎 希恵子, 古川 達也, 桂川 秀雄, 重松 恭祐, 小松 明男
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1536-1541
    公開日: 2012/12/25
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    症例は48歳,女性.健診で膵酵素の上昇を指摘され精査を実施し,膵体部に径2cmの造影効果の乏しい腫瘍と16b1,17bリンパ節の腫大を認めた.膵液細胞診でclass V,adenocarcinomaであり,膵癌Stage IVbの診断で当院紹介受診となった.術前評価でR0手術可能と判断し2008年5月膵体尾部切除術(3群リンパ節16b1,17bも含めた郭清)+脾臓摘出術施行とした.病理所見ではリンパ節16b1,17b転移陽性でT3,M1,Stage IVb,R0であった.術後gemcitabine(GEM),S-1を用いた化学療法に放射線療法を加え,局所リンパ節再発を認めるものの44カ月の生存を得ている.大動脈リンパ節転移陽性膵癌の中には集学的治療により長期生存が得られる可能性が含まれており,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 片寄 友, 中川 圭, 水間 正道, 林 洋毅, 江川 新一, 海野 倫明
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1542-1545
    公開日: 2012/12/25
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    化学療法の進歩により大腸癌の予後が延長すると,あまり経験しなかった合併症に遭遇することがある.今回われわれは,再発による尿管閉塞から腎盂外尿溢流をきたした1例を経験したので報告する.
    症例は60歳代男性,盲腸癌同時性肝転移にて切除後に再発し化学療法施行中,右下腹部の疼痛を訴えた.腹部超音波にて,水腎症,肉眼的血尿を認め,尿管結石の可能性は否定できなかったが,癌再発による尿管閉塞と癌性疼痛と考え速放性オピオイドを投与した後にCTを撮影した.その結果,骨盤内再発による尿管閉塞による腎盂外尿溢流と診断し,ダブルJステント留置した.その後速やかに疼痛消失し,化学療法は中断することなく継続可能であった.
    大腸癌による尿管閉塞から腎盂外尿溢流は少ないが,再発時の下腹部の疼痛の鑑別診断に入れて,早期治療を行うことにより化学療法の継続とQOL向上に繋がると考え報告することとした.
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  • 木村 俊久, 佐藤 嘉紀, 竹内 一雄, 山口 明夫, 今村 好章
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1546-1550
    公開日: 2012/12/25
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    症例は胃癌,前立腺癌,肺癌の手術歴を持つ80歳の男性.食欲不振と倦怠感を主訴に来院した.CT検査で両側副腎に腫瘤を認めたため,癌の副腎転移再発を疑い,精査目的に入院したが,入院後3日目に死亡した.剖検所見では,癌の再発は認めず,両側性副腎原発悪性リンパ腫による急性副腎不全と診断された.両側性副腎原発悪性リンパ腫はまれであるが,癌の既往を有する患者では,副腎転移再発との鑑別に苦慮すると思われた.
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  • 原田 勝久, 岡村 一樹, 内田 雄三, 駄阿 勉, 野口 剛
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1551-1555
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は59歳,男性.左鼠径部の腫脹に気付き当院を受診した.腹部CT検査で左鼠径管の拡張と同部に径2cm大の低吸収性腫瘤を認め,脂肪腫を伴う左鼠径ヘルニアの診断で腰椎麻酔下に手術を施行した.精索内に小指頭大のヘルニア嚢を認め,これを剥離した.精索中央部に母指頭大で弾性軟の黄色腫瘤を認め,これを切除した.摘出標本は表面平滑で黄色,弾性軟.病理組織所見で脂肪細胞と間質成分を認め間質部分にfloret型巨細胞とロープ状の膠原線維束を認めた.免疫染色ではCD34が陽性でS-100は陰性であった.以上の所見よりpleomorphic lipomaと診断した.
    本腫瘍は40代から70代の男性の後頸部,肩,背部に好発する比較的まれな腫瘍である.今回われわれは,精索内pleomorphic lipomaの1例を経験したので報告する.
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  • 伊藤 眞史, 吉田 基巳
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1556-1560
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
    今回われわれは,大網炎をきたし腹腔鏡で虫体が観察された腹腔内アニサキス症の1例を経験したので報告する.症例は31歳,女性.右下腹部痛を主訴に当院を受診.腹部造影CT検査では,盲腸腹側に炎症による脂肪織の混濁を,その下方に虫垂と思われる管状構造物を認め,急性虫垂炎の診断にて腹腔鏡での手術を施行した.腹腔内は右側結腸と大網の癒着を認め,特に盲腸前面の大網は硬化,肥厚し発赤を認めた.その表面に長さ約1cmの細い糸状の虫体を疑う構造物を認めた.虫垂はほぼ正常であった.腹腔鏡下虫垂切除術および炎症の強い大網の部分切除を施行した.病理組織検査では,虫垂は慢性虫垂炎,炎症の強い大網にはアニサキス虫体を認めた.今回の症例では,虫体による腸管穿孔部は穿孔性腹膜炎を引き起こすことなく閉鎖し,消化管より腹腔内に侵入したアニサキス虫体が大網に到達し大網炎を引き起こしたものと思われる.
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  • 若尾 純子, 水本 明良, 平野 正満, 濱岡 亜紗子, 賀集 一平, 米村 豊
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1561-1565
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は30年前に虫垂切除術の既往のある42歳の男性.粘液尿を認め,近医泌尿器科を受診した.精査にて骨盤内に巨大嚢胞性病変と多量の腹水を認め,前医にて骨盤内腫瘍の部分摘出術が施行された.術後の病理検査で,腹膜偽粘液腫(以下PMPと略記)と診断され当院へ紹介された.MRIで臍下部に嚢胞性腫瘤が存在し,腫瘍と膀胱との間に瘻孔形成を認めたため,尿膜管由来のPMPと診断し,開腹手術を施行した.臍下の腫瘍は膀胱壁まで連続していた.広範囲腹膜切除,膀胱部分切除,胆摘,脾摘,結腸右半切除,大網切除による肉眼的な腫瘍の完全切除と術中温熱化学療法を施行した.PMPの原発巣はほとんどが虫垂で,自験例のごとく尿膜管由来は稀であるため,若干の文献的考察を加えて報告した.
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  • 堤 恭介, 志田 大, 松岡 勇二郎, 谷澤 徹, 宮本 幸雄, 井上 暁
    73 巻 (2012) 6 号 p. 1566-1571
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
    下部直腸癌の術前検査にて偶発的に発見され,癌手術に際して同時切除した大動脈分岐部に位置した後腹膜血管筋脂肪腫の1例を経験した.症例は85歳の女性,腹部CTにて腹部大動脈分岐部直上右側に,辺縁が強く造影される径4cm弱の分葉状腫瘤が見られた.MRIではT2強調像にて,やや不均一ながら明瞭な高信号を呈した.Paragangliomaや血管腫を術前診断として考えたが確定には至らず,直腸癌手術時に同時に切除した.肉眼的には黒色調の腫瘤であり,病理組織学には脂肪組織と海綿状組織に増生する小血管,平滑筋組織がみられた.免疫組織化学染色で,desmin陽性,HHF-35陽性,SMA陽性であり血管筋脂肪腫と診断した.血管筋脂肪腫は,主として腎臓に発生する比較的まれな良性の間葉系混合腫瘍であり,腎臓以外の部位に発生する血管筋脂肪腫は極めて少ないことから,文献的考察を加え報告する.
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