社会学評論
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47 巻, 3 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • G.H. ミード社会的自我論の視点から
    藤川 賢
    1996 年 47 巻 3 号 p. 320-334
    発行日: 1996/12/30
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
    共同体主義にたいしては, 近代を擁護する立場などからいくつかの批判がなされてきているが, 共同体の意義を説こうとする姿勢を単純に批判することは難しい。個人主義の存在論的解釈への否定は近代についての見方を深めるためにも有用であると考えられ, 実際に個人の解放という議論の中でも共同体への視点は重要性を増している。本稿は, この点での共同体主義の意義を認めたうえで, なお共同体が主義として主張されることの問題を追及しようとするものである。特に, 共同体的なつながりへの重視を個人の社会への従属から峻別する保証をどこに求めるかという点を中心にしながら, G.H.ミードの社会的自我論と対比的に検討を行った。そこで論じたのは, 第一に, それらがミードと同様に社会の中から個人を捉えようとする立場を取りながら, そのことと共同体に共通する道徳の取得との区別が曖昧になっており, 結果として, 個人が社会的変化に与える影響を見る視点を狭めていることである。第二には, このように共通の道徳を強調するために, 社会改革の方向がその範囲内に限られ, 伝統主義的にならざるを得ないことである。それらにたいして本稿では, 他者の態度を取得するという社会的自我の成立を社会的な能力として見るミードの考え方からは, 諸個人が社会の範囲を拡大し, 社会改革への役割を持つことを強調する, 共同体と個人を相互的に捉える視点が可能なことを示した。
  • 水津 嘉克
    1996 年 47 巻 3 号 p. 335-349
    発行日: 1996/12/30
    公開日: 2010/05/07
    ジャーナル フリー
    今日「差別や偏見は正しいことですか」と尋ねられて, 肯定的な答をする人はむしろ少数であるにもかかわらず, 身体や精神に障害を持つ人に対する偏見は相変わらず根強く残存しているように思われる。これまで多くの議論が, 社会的な場面におけるこれら差別や偏見を, 相互作用の断絶という文脈で語ってきた。しかし, 「排除」は必ずしもその直接的な形をとってのみあらわれるとは限らない。
    本論稿で問題とするのは社会的相互作用が拒絶される形で現出する差別・偏見ではない。一見社会的相互作用が維持されている場面のなかに〈方法〉として維持されている「排除する-される」という関係である。それは「私的局域の侵害」「現実構築作業への参加拒否」「主体的人間像の否定」という形で現れてくる。以下, 前提となる議論を若干試みた後, それぞれの「排除」について議論を行う。
  • ジェンダー・ロールの視点から
    大和 礼子
    1996 年 47 巻 3 号 p. 350-365
    発行日: 1996/12/30
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
    高齢者のサポート・ネットワークに関して, 女性は配偶者・子ども・その他の親族・友人など広く多様なサポート・ネットワークを持つのに対して, 男性は配偶者のみに頼る傾向があることが, 従来から指摘されてきた。本稿の目的は, このようなサポート・ネットワークの広がりの差を規定する要因を明らかにすることである。まずはじめに, サポート・ネットワークのジェンダー差を生む要因についての諸説を検討し, その結果として, 人と人との結びつきの形成自体に価値をおく「結びつき志向」の役割を遂行しているかどうかが重要な要因として考えられるという仮説を示す。次に, 中高年男性に関するデータを分析し, その結果, 仮説どおり, 男性においても「結びつき志向」の役割を遂行していることにより, サポート・ネットワークが配偶者以外に広がる可能性が高まることを明らかにする。最後に, サポート・ネットワークの考察のためには, ライフ・ステージを通じた分析が必要であること, 行動次元の視点を導入する必要があること, および, 「サポートを受ける」という行為を, 「無力な」行為ではなく, 他者との結びつきをつくるという「能力や熟練が必要な」行為としてとらえる必要があること, の3点について議論を行う。
  • 安村 克己
    1996 年 47 巻 3 号 p. 366-377
    発行日: 1996/12/30
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は, 観光の社会学関連文献をレヴューしながら観光社会学の対象領域を俯瞰し, 観光社会学の学問的意義を再考することにある。
    現代観光の影響は, 個人の行為レベルから世界システムのレベルに至るまで広範囲に及び, 多様かつ多大である。したがって, 観光はいまや社会学者にとって看過できない社会現象であるが, それに対する社会学の取組みはほとんどなされていない。とりわけ日本の社会学者は, 観光研究に無関心であるようだ。こうした観光社会学の現状を勘案し, 本稿は, 観光社会学の現代的意義を検討していく。
    観光社会学の成果にはすでに注目すべき業績も見られるが, それらの成果を体系的に整理する作業は, いまだなされていない。本稿では, 観光社会学の対象領域を明確にするために, 社会学的空間レベルの4つの区分- (1) 行為者, (2) 社会的相互作用, (3) 社会システム, (4) 世界システム-に対応させて, 観光社会学関連の既存の経験的研究結果を4つの対象領域タイプ- (1) 観光者類型, (2) 観光のホスト-ゲスト関係, (3) 社会的・文化的インパクト, (4) 国際観光とマスツーリズムに分類する。この準拠枠に従って, 観光社会学の射程となる対象領域を概観し, その学問的意義を吟味していきたい。
  • 大塚 善樹
    1996 年 47 巻 3 号 p. 378-394
    発行日: 1996/12/30
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
    今世紀以降のバイオテクノロジーの隆盛に伴って進行した農業分野における動植物の再生産の商品化の過程は, レギュラシオン理論における内包的蓄積の概念に倣って「生命の商品経済システムへの包摂」として捉えることができる。この過程は, テクノロジーによる「生命」の不死化が貨幣による不死化に媒介されることによって起こる。この媒介を担う社会関係が「生命の包摂」におけるレギュラシオン様式である。本稿では, そのような様式を国家による還元主義的テクノロジーのマーケティング, 中心国での大量消費規範と第三世界での契約農業制度に見い出した。これらを, 日本資本主義黎明期における蚕の F 1ハイブリッド技術, そしてアメリカ, 日本, タイと転移する飼料トウモロコシとブロイラーのハイブリッド種, さらに近年の「生命」の知的所有権をめぐる南北国家間の対立において例証する。生物多様性や「遺伝子資源」言説は, このような商品化のポスト・フォード主義的状況を反映するものであり, 新たな「生命の包摂」におけるレギュラシオン様式に取り込まれるであろう。
  • 書評 : 副田義也『生活保護制度の社会史』 (東京大学出版会)
    藤村 正之
    1996 年 47 巻 3 号 p. 395-402
    発行日: 1996/12/30
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
    M・ウェーバーは『国民国家と経済政策』の中で次のように述べている.「上の階級に対しても, 下の階級に対しても, また自分の属している階級に向かっても, 都合の悪いことを云うことこそ, われわれの科学の使命であります」 [Weber, 1895=1959, 51, 一部訳変更] と。ウェーバーのこの言葉をひとつの手がかりとして, この書評を進めていくことにしよう。
  • 副田 義也
    1996 年 47 巻 3 号 p. 403-406
    発行日: 1996/12/30
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
  • 八木 正
    1996 年 47 巻 3 号 p. 407-408
    発行日: 1996/12/30
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
  • 大久保 孝治
    1996 年 47 巻 3 号 p. 409-410
    発行日: 1996/12/30
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
  • 柳 洋子
    1996 年 47 巻 3 号 p. 410-412
    発行日: 1996/12/30
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
  • 片桐 雅隆
    1996 年 47 巻 3 号 p. 412-414
    発行日: 1996/12/30
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
  • 駒井 洋
    1996 年 47 巻 3 号 p. 414-415
    発行日: 1996/12/30
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
  • 直井 道子
    1996 年 47 巻 3 号 p. 415-417
    発行日: 1996/12/30
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
  • 西野 理子
    1996 年 47 巻 3 号 p. 417-419
    発行日: 1996/12/30
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
  • 倉橋 重史
    1996 年 47 巻 3 号 p. 419-420
    発行日: 1996/12/30
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
  • 橋本 和幸
    1996 年 47 巻 3 号 p. 421-422
    発行日: 1996/12/30
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
  • 渋谷 敦司
    1996 年 47 巻 3 号 p. 422-424
    発行日: 1996/12/30
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
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