社会学評論
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50 巻, 2 号
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  • 鹿又 伸夫, 渡辺 秀樹
    1999 年 50 巻 2 号 p. 142
    発行日: 1999/09/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 盛山 和夫
    1999 年 50 巻 2 号 p. 143-163
    発行日: 1999/09/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
    今日の階級・階層研究で「階級の死」が最大の理論的争点になっている。これは冷戦の終結を契機にしている。そもそものはじめから, 近代の「階級」は歴史的政治的な「主体」として想念されてきた。しかし, 階級がもしも「市場において出会う異なる種類の経済主体」として概念化されるならば, 彼らの経済的利害は本来的には対立的ではなく, 互酬的である。なぜなら, 市場において異なる人々は利益をめざしてのみ取引を行うからである。従来, 「階級対立」とみなされてきたものは, まず身分制に根ざしている。前近代の身分制社会は経済が政治に従属していた。近代社会は (漸進的に) 身分制を排除したが, 貧困が消滅したわけではない。貧困の継続こそが, 「階級闘争」とみえた諸運動の基盤であった。1970年代の終わりまでに先進産業社会は貧困を基本的に撲滅させ, したがって「階級」の存立基盤は基本的に失われた。しかし, 階層が消滅したわけではない。ただし, 基礎財の全般的普及のもとでそれは多元化し個人化している。それが, 後期近代社会の階層状況である。
  • 空想から科学への階級研究の発展
    橋本 健二
    1999 年 50 巻 2 号 p. 164-180
    発行日: 1999/09/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
    戦後日本では, 大橋隆憲らを中心に階級構成研究が独自の発展を遂げたが, 彼らの研究は, 資本家階級と労働者階級への2極分解論や, 労働者階級=社会主義革命勢力という規定など, きわめて非現実的な想定に立っていたこと, また特定の政治的立場を前提とした政治主義性格のために, 階級研究に対する数多くの誤解を生みだし, このことが日本における階級研究を衰退させる結果をもたらしてしまった。いま必要なことは, 階級研究からこうした理論的・政治的バイアスを取り除き, これを社会科学的研究として再構築することである。理論的には, 1970年代半ば以降の, 構造主義的階級理論から分析的マルクス主義に至る階級研究の成果を生かしながら, フェミニズムの立場からの階級研究批判に答えうる階級構造図式と階級カテゴリーを確立することが求められる。実証的には, 社会階層研究の豊かな蓄積を模範としながら, 計量的な研究のスタイルを確立する必要がある。本稿はこうした階級研究の発展のための基礎作業である。
    以上の目的のため, 本稿はまず, 現代日本の階級構造を, 資本主義セクターと単純商品セクターの節合関係を前提として, 資本家階級・新中間階級・労働者階級・旧中間階級の4階級からなるものとして定式化し, さらに各職業の性格のジェンダー差を考慮して, 実証研究に適用可能な階級カテゴリーを構成する。次に, 階級構成の変化を概観するとともに世代間階級移動量の趨勢を検討し, 近年の日本では世代間階級移動への障壁が強まりつつあることを明らかにする。最後に, 階級所属と社会意識の関係を検討し, 階級所属が社会意識の形成に第一義的な重要性を持ち続けていることを明らかにする。
  • 近藤 博之
    1999 年 50 巻 2 号 p. 181-196
    発行日: 1999/09/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
    教育機会の趨勢に関する近年の多くの研究は, 教育達成の相対的な格差が長期にわたりきわめて安定していることを示している。それらは教育機会の拡大からもたらされた変化と階層間の格差に関わる変化とを注意深く区別しているが, モデルの構成要素としてメリトクラシー仮説の意味するところを十分に考慮してはいない。本論は, 閾値の発想を取り入れた累積的ロジット・モデルを用いて, この問題に改めて取り組んでみたものである。そこでは, 各出身階層に一次元の連続量として進学の優位度を想定し, それを共通の閾値で区分したものが現実の教育達成をもたらしていると仮定している。この枠組みを用いてSSM調査データ (1955年と1995年) を分析することにより, 1) 戦前期から今日までの教育機会の変動が各出身階層の優位度分布を一定としたまま, もっぱら閾値の低下によってもたらされたこと, 2) 男女の教育達成の差も閾値構造の違いに帰属できること, 3) 高度成長期を含む戦後の教育拡大は階層間の格差を広げるように働いたこと, 4) 相対的な格差は今後も維持されるが, 絶対的な格差は徐々に減少していく見通しであること, などが明らかとなった。優位度分布の布置がつねに同じであるというこの結果は, 教育機会の問題に要因論的アプローチが不適切であることを示すものと解釈される。
  • 渡辺 勉, 佐藤 嘉倫
    1999 年 50 巻 2 号 p. 197-215
    発行日: 1999/09/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
    戦後日本経済の飛躍的な発展は, 人々の生活全般に変化をもたらしてきた。その中でも職歴や労働市場に対しては大きな影響を与えてきており, 時代の変化を捉えずして, 職歴は捉えることができない。本稿では, 戦後の日本経済と照らしあわせながら, 職歴の変化によって戦後の労働市場がどのように変化してきたのかを捉えていく。分析から, 職業の移動パターンは年齢によって最も大きく規定されているが, 時代の変化の影響としても内部労働市場としての終身雇用制と, 外部労働市場としての二重構造や産業構造によって規定されていることがわかる。特に二重労働市場が戦後強化されている傾向が見て取れる。
  • 階層評価基準の時点間比較分析
    吉川 徹
    1999 年 50 巻 2 号 p. 216-230
    発行日: 1999/09/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
    1970年代までの日本人の「中」意識増大の趨勢は, 高度経済成長の終焉と期を一にするかのように, おおよそ75%の「中」回答の持続状態へと変わった。本稿では, 多くの論客がこれまで追い求めてきた「中」意識について, 分析視座の転換を図る。すなわち, 表面上はほとんど変化のみられないこの20年間について, 従来のように「中」回答者だけに拘泥することなく, 分布全体の傾向を扱う回帰分析を行なって, 潜在的な因果構造を明らかにするのである。この分析の結果, 日本人の階層評価基準は, 男女ともに, 1970年代の浮遊する階層帰属意識の時代から, 1980年代の経済階層と主観的階層評価による階層帰属意識の時期を経て, 1990年代の多元的階層評価基準による階層帰属の時代へ……と静かな変容を遂げていたことが明らかになる。そしてここからは, 現代日本社会を生きる人々が主観的評価, 経済階層, 職業階層, 学歴階層などの複数の基準をもって, 多元的に自らの帰属階層を判断する状況に至ったことが示唆される。
  • 山口 一男
    1999 年 50 巻 2 号 p. 231-252
    発行日: 1999/09/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
    本稿は潜在クラス分析と関連する回帰分析を用いて性別役割態度の潜在クラスと社会階層との関連について日本および米国の既婚女性を分析し結果を比較する。潜在クラスについては日本では「性別役割支持型」, 「性的平等支持・職業志向型」, 「性的平等支持・非職業志向型」の3クラス, 米国では「性別役割支持・両立否定型」, 「性別役割支持・両立肯定型」, 「性的平等支持型」の3クラスが存在する事を示し, 潜在クラスの割合が本人, 夫, 父親の階層属性にどう関連しているかを明らかにする。また「性別役割支持型」対「性的平等支持型」の割合比へのそれらの属性の影響を日米で比較する。最後に分析結果の理論的意味と今後の展望を議論する。
  • 中久郎著『社会学原論』を読む
    友枝 敏雄
    1999 年 50 巻 2 号 p. 253-259
    発行日: 1999/09/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 中 久郎
    1999 年 50 巻 2 号 p. 260-265
    発行日: 1999/09/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
    まず冒頭において, この高齢でと驚かれているようであるが, このような単著が今急に思い立ってまとめられるわけはない。あえて言えば本書は, 半世紀にも及ぶ自らの積年の研究の成果といってよい。それの基本的骨子は遠く卒業論文時のモチーフ (社会的コントロール論) に遡り, また多年に亘り蓄積してきた覚書きや講義各ノートを毎回, 最新の学説や研究成果, 知見をラジカルに織り込み変換してきた結実に拠っている。さらに当のモチーフ自体には, 敗戦時の自らのカオス体験の証しを社会学という学に託そうとしてきた密かな気負いもある。評者が驚かれたとすれば, そのような自らの営為各過程で, その都度の段階での自己宣伝といったことに自分が気がなかったためであろうか。後悔させられる。
  • 吉瀬 雄一
    1999 年 50 巻 2 号 p. 266-268
    発行日: 1999/09/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 岡村 清子
    1999 年 50 巻 2 号 p. 268-270
    発行日: 1999/09/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 杉野 昭博
    1999 年 50 巻 2 号 p. 270-271
    発行日: 1999/09/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 田中 耕一
    1999 年 50 巻 2 号 p. 272-274
    発行日: 1999/09/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1999 年 50 巻 2 号 p. 274
    発行日: 1999年
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
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