日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
24 巻, 4 号
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  • 大里 外誉郎
    1987 年 24 巻 4 号 p. 321-325
    発行日: 1987/07/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
  • 小野 修一, 松沢 大樹, 山田 健嗣, 山田 進, 吉岡 清郎, 川島 隆太, 菱沼 隆
    1987 年 24 巻 4 号 p. 326-334
    発行日: 1987/07/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    MRIに於ける脳室周囲高信号域 (Periventricular hyperintensity: PVH) の意義について検討した. PVHは, X線CTに於ける Periventricular lucency に相当すると考えられるMRI画像上の側脳室周囲白質内に存在する高信号域である. X線CTによる研究では, 水頭症, 或いは脳の虚血病巣を表すとされているが, MRIによるPVHと加齢, 及び脳の虚血性疾患の関係について検討し, 考察を加えた. 対象は, 年齢10歳以上の正常例244例, 各種の虚血性脳血管障害112例である. NMR-CT機は約0.14 Tesla の常電導型, パルス系列はCPMG法を用いた. 各症例のPVHの存在を視認し, PVHを持つ症例の全症例に占める割合を, 各年代毎に算出した. それによると, 正常例に於けるPVHは, 30歳台迄約5%前後と低頻度であったが, 40歳台以降では, 加齢とともにその頻度が有意差を以て急増していた. また, 虚血性脳血管障害の症例では, 更に有意にPVHを持つ症例の割合が著増していた. 部位別の検討では, 正常例・虚血症例ともに, 前角・体部周囲にPVHが高頻度であった. 以上の結果より, PVHが, 加齢と脳の虚血に共通する要素と関連があると考えられた. 1つは, 側脳室周囲白質が血管支配の境界領域で, 虚血病巣の好発部位であるため, それらの病巣がPVHとして表される機序が考えられた.また, もう1つのPVH増加の機序として, 脳脊髄液循環の lesser pathway である実質内血管への吸収能の, 梗塞巣・動脈硬化等による障害に起因する細胞外液量の増加を反映する事も考えられ, PVHが, 脳の虚血状態, 或いは, 動脈硬化等の加齢変化と関係し, 脳の老化の重要な指標となると考えられた.
  • 血液生化学および内分泌学的検討成績
    牧 俊夫, 牟田 和男, 加藤 堅一, 井林 博
    1987 年 24 巻 4 号 p. 335-343
    発行日: 1987/07/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    福岡県下の100歳以上の超高齢者 (以下100歳老人と略す) 40名を直接訪問し, 健康診断を行い, うち22名 (男子3名, 女子19名) の血液生化学および内分泌学的検討を行った.
    一般血液生化学検査では加齢に伴い100歳まで血清総蛋白, アルブミン/グロブリン比は男女子ともに漸減し, 尿素窒素は90歳代以降漸増を示した. 100歳老人におけるクレアチニン, 尿酸, GOT, ALPは70歳代に比べ有意の変動を欠くが, LDHは女子において有意の低下を示した.
    血清脂質では, 100歳老人の総コレステロールは, 男子において70歳代に比較して有意の低下を示したが, トリグリセリド, 高比重リポ蛋白コレステロールは70歳代に比べ男女共に有意の加齢変化を認めなかった. アポリポ蛋白A-I, A-IIは血清総蛋白と同様に加齢とともに漸減を示した.
    血中ホルモン検査では, LHは男子では80歳代, 女子で70歳代まで漸増し, 男子で70歳代以降100歳代まで有意の変化を示さなかったが, 女子では90歳代に比べ100歳老人で有意の増加を示した. 血中GHは男女子ともに70歳代以降100歳代まで有意の加齢変化を欠き, またPRL, TSHにも加齢による有意の変動を認めなかった. 血中コルチゾールは加齢による有意の変動を示さず, 一方副腎 androgen の dehydroepiandrosterone sulfate の血中濃度は男女子とも20歳代以降加齢とともに漸減し, 70歳代以降には有意の変動を示さなかった. 男子における血中17-ヒドロキシプロゲステロンおよびテストステロンは20歳代に比較して60歳代以降100歳代まで有意の低下を認めたが, 100歳老人では70歳代に比べ有意の加齢変化を欠く成績が注目された.
  • 多田 正大, 川井 啓市
    1987 年 24 巻 4 号 p. 344-347
    発行日: 1987/07/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    抗生物質の投与によって発症する偽膜性大腸炎の発生機序を解明する目的で, 水素ガスクリアランス法を用いて本症患者5例の直腸粘膜血流を測定した. その結果, 本症の活動期には血流は著しく低下しており, 治療とともに血流も改善する傾向が確認された. 本症にみられた血流低下の減少はその発生原因であるのか, 偽膜形成の結果であるのかは明確ではないが, 本症は高齢者に好発することも合せて考えると, その発症には clostridium difficile の菌毒素のみならず, 生体側の粘膜血流量の低下が関与していることが推定された.
  • 武田 俊平, 松沢 大樹, 川合 宏彰, 松井 博滋, 窪田 和雄, 畑沢 順
    1987 年 24 巻 4 号 p. 348-353
    発行日: 1987/07/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    昭和53年2月から昭和60年4月までの約7年間に神経学的検査, 頭部CT検査で異常を認められなかった36歳から86歳にいたる (平均63.4歳) 男17人, 女26人の計43人について, 脳血流量, 動脈血圧, 血清総コレステロール値を測定し, これらが脳萎縮の進行に及ぼす影響について調べた. 各被験者について12カ月から92カ月間に渡り (平均46.6カ月) 経時的に頭部CT検査を3回から6回 (平均3.7回) 施行して脳萎縮指数 (脳脊髄液腔容積/頭蓋腔容積×100%) を計測して, 1年間の脳萎縮指数の増加分を年間脳萎縮指数として脳萎縮の進行速度の指標とした. 初回頭部CT検査から79カ月後までの間に (平均28.1カ月) 133Xe吸入法により脳血流量 (イニシャルスロープインデックス: ISI), 聴診法により動脈血圧, 血清総コレステロール値を測定した. 脳血流量 (ISI) と年間脳萎縮指数の間には統計的に有意な負の相関関係があり, 脳血流量の低下が脳萎縮を促進させる事が明らかになった: 年間脳萎縮指数 (%/年)=0.922-0.00995×ISI, r=-0.366, n=43, p<0.02. 収縮期血圧, 拡張期血圧, 平均動脈血圧, 血清総コレステロール値の4因子と年間脳萎縮指数の間には統計的有意性は検出されないものの,すべて負の相関関係を示し, 4因子とも高値なほど脳萎縮の進行が抑制される傾向があった.
  • 坂井 誠, 松下 哲, 上田 慶二, 蔵本 築
    1987 年 24 巻 4 号 p. 354-360
    発行日: 1987/07/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    近年, 急性心筋梗塞の血栓溶解療法として大量のウロキナーゼ (UK) を経静脈的に投与する全身線溶療法でも血栓が溶解され血流が再開し, 梗塞範囲縮小に有効なことが報告されている. 今回我々は発症6時間以内に早期収容された60歳以上の初回急性貫壁性梗塞33例を通常治療群18例 (C群)と, ウロキナーゼ96万単位急速投与群15例 (UK群) にわけ, 老年者急性心筋梗塞におけるUK療法の有効性, 安全性を検討した.
    C群で男, 前壁梗塞が多い傾向がみられたが, 平均年齢, 発症よりCCU入室までの時間, 入院時心不全重症度分類は両群で差を認めなかった. UK群では重篤な出血症状は認めなかった. 発症7日後の急性期死亡率はC群44% (8例), UK群13% (2例) で, UK群で少ない傾向を認め, 特にショック死はC群4例に対し, UK群では認めなかった. 急性期死亡例を除いたC群10例 (前壁6例, 下壁4例), UK群13例 (前壁5例, 下壁8例) の検討では心電図上, 入院時のΣSTおよび QRS score, CPK, CPK-MB 最高値および最高値到達時間, 入院時および5~6病日における血行動態諸指標, RNアンジオグラムによる発症約1カ月後の左室駆出率には両群間で差を認めなかった. ΣST下降率は第2病日C群-41.6±7.4%, UK群-68.1±5.6%とUK群にて有意に大で (p<0.05), UK群ではΣSTは7病日まで持続的に下降した. そして5病日のQRS score はC群4.6±0.8, UK群2.0±0.7とUK群では有意に低かった (p<0.025). 201Tl心筋シンチグラムによる defect score はC群12.9±1.1, UK群7.7±1.6とUK群にて有意に低かった (p<0.025).
    以上より経静脈的UK大量療法は老年者急性心筋梗塞でも安全に施行でき, 本療法により梗塞巣の縮小が推定され, 急性期死亡率も軽減された.
  • 西野 英男, 井手 宏, 栗原 教光, 丹野 宗彦, 千葉 一夫, 山田 英夫
    1987 年 24 巻 4 号 p. 361-368
    発行日: 1987/07/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    CT検査の導入により明確な脳の解剖学的所見が得られるようになった. これらの所見を加味して脳槽シンチグラフィーを再評価することが必要と思われる. そこで, 脳槽シンチグラフィーを行った患者201例について, 脳室内逆流の程度を, (1) 非逆流型 (Type I), (2) 一過性逆流型 (Type II), (3) 遅延逆流型 (Type III), (4) 逆流下降型 (Type IV), (5) 低濃度停滞型 (Type V), (6) 高濃度停滞型 (Type VI) の6つの型に分類し, それらの型と脳血管障害, 側脳室の型, 脳室の大きさ, 脳溝の拡大度などのCT所見, 脳脊髄液および臨床症状等との関係について検討を加えた.
    全症例中, 何らかの逆流を示す症例は約50%を占め, 高濃度停滞型は約6%, 低濃度停滞型は約9%の症例に見られた. 脳血管障害 (CVD) の有無により, これらの型の出現頻度には殆ど差は認められなかった. 正常圧水頭症 (NPH) を高頻度に起こすクモ膜下出血 (SAH) 群では, 高濃度停滞型が全体の40%と高い割合を示し, NPHと高濃度停滞型が深い関連を有することを示唆した. 高濃度停滞型では, CT所見上, 非逆流型の症例に比し, 側脳室が有意に拡大しており (p<0.01), 側脳室前角の拡大が50%に見られた. また, 脳脊髄液圧に関しては, 高濃度停滞型はCVDのない低濃度停滞型に比して有意に高かった (p<0.05).
    老年者における脳室逆流の意義とNPHとの関係について考察を行った. 老年者では脳血管障害の有無にかかわらず, 加齢的要因に基づく脳脊髄液腔の拡大, 脳脊髄液循環の遅延など脳室内逆流を起こし易く, その結果 pseudo NPHを呈し易いと考えられた.
  • 老年者での特徴
    長瀬 隆英, 丸茂 一義, 吉川 政己, 本間 請子, 原口 義座, 福地 義之助, 折茂 肇
    1987 年 24 巻 4 号 p. 369-373
    発行日: 1987/07/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    東京警察病院において過去7年間 (1980~1986年) に嚥下性肺炎と診断された27症例について, 吸引内容, 基礎疾患, 病態, 治療, 予後を分析し, 老年者における嚥下性肺炎の特徴を若年者と対比検討した. 対象例を65歳以上の老年群18例, 65歳未満の若年群9例にわけ, 比較検討した.
    1. 老年群では胃内容物吸引例が, 若年群に比べ多く認められた. 老年群では胃内容物吸引例が9例と最多であったが, 若年群では食物誤嚥が6例, 胃内容物吸引が3例であった.
    2. 基礎疾患では, 中枢神経系疾患が多く認められ, 老年群では特に脳血管障害が11例と高率であった.
    3. 老年群嚥下性肺炎は, 若年群と同様に強い炎症所見を示す傾向を認めた. 老年群の臨床所見として体温38℃以上が14例, 白血球数10,000以上が12例に認められた.
    4. 起因菌では, 両群ともグラム陰性桿菌が高率に検出された. 菌種としては緑膿菌, 肺炎桿菌, 腸球菌, 黄色ブドウ球菌などが認められた.
    5. 老年群, 若年群とも死亡率は55.6%と高率であった. 特に胃内容吸引例 (死亡率75.0%), PaO2 60Torr 未満の症例 (死亡率84.6%), 胸部X線上病変範囲の広い症例では, 予後不良であった.
    6. 早期ステロイド治療を行った6例中5例が死亡し, 早期ステロイド治療の有効性は明らかではなかった.
    7. 以上より, 加齢, 中枢神経系疾患などの因子が嚥下性肺炎の発症危険因子として重要と考えられた. また, 吸引内容, PaO2レベル, 病変範囲などの因子が予後関連因子として重要と考えられた.
  • 兼本 成斌, 今岡 千栄美, 五島 雄一郎, 福士 広通
    1987 年 24 巻 4 号 p. 374-380
    発行日: 1987/07/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    この研究は大動脈弁閉鎖不全症 (AR) に示される陰性U波について加齢の影響を含めて臨床的意義を明らかにすることを目的とした. 当院内科を受診したAR 126例のうち洞調律でU波が示され, 明らかな他の弁膜症を合併しない57例 (男36, 女21) で, 平均年齢は51歳である. 心肺に異常のない11例を正常対照とした. T波とU波の極性により (陽性: P, 陰性: N) 対象をTPUP (15例), TPUN (25例), TNUN (17例) の3群に分類した. 心電図から, R-R間隔, QTc, QaUc, T波とU波の振幅, ÂQRS, SV1+RV5を, Mモード心エコー図から, 左室の収縮期/拡張期のディメンジョン, 左室駆出率 (EF), 心室中隔壁厚, 後壁厚, 左室後壁の収縮/拡張速度, 平均円周短縮速度 (mean Vcf) を計測した. EFは正常対象71.2±3.8, TPUP 66.9±5.4, TPUN 63.5±6.7, TNUN 53.1±10.9%, mean Vcf はそれぞれ1.27±0.12, 1.16±0.12, 1.02±0.14, 0.81±0.15circ/secと各群間で有意差をもって低下した. またT波とU波の振幅にはr=0.533 (p<0.01), U波の振幅とEFはr=0.496 (p<0.01), U波の振幅とmean Vcf はr=0.659 (p<0.01) といずれも有意な正相関関係が示された. さらに, 加齢とともにNUの出現頻度が明らかに増加し, 年齢とEFはr=-0.487 (p<0.01), 年齢と mean Vcf はr=-0.595 (p<0.01) と逆相関関係が認められた. 以上より, ARにおけるNUは, 加齢と共に出現頻度が増加し, 心臓のポンプ機能および心筋機能の低下と密接に関連することが明らかにされた.
  • 山下 一也, 小林 祥泰, 山口 修平, 木谷 光博, 岡田 和悟, 村田 昭博, 有元 佐多雄, 藤原 茂芳, 下手 公一, 福田 準, ...
    1987 年 24 巻 4 号 p. 381-382
    発行日: 1987/07/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
  • 1987 年 24 巻 4 号 p. 383-420
    発行日: 1987/07/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
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