日本臨床外科学会雑誌
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75 巻 , 8 号
選択された号の論文の58件中1~50を表示しています
原著
  • 水上 泰, 安達 大史, 有倉 潤, 近藤 啓史
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2069-2072
    公開日: 2015/02/28
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    呼吸器外科手術において,術前処置として下剤を内服する施設は多いが,一定の見解はない.当センターでも寝前にセンノシドを内服しているが,前処置を施行する利益があるかどうかは不明であった.2012年9月から2013年2月までの手術症例を前向きに検討した.前半に従来通りの下剤による前処置群(下剤群)の50例,後半に下剤による前処置無し群(下剤なし群)の50例を対象とした.前処置群のうち50例中,2例が下剤内服を拒否したため,48例を解析の対象とした.術前の腹痛,術中の便失禁,術後創感染の症例を認めなかったが,手術前日から手術当日までの排便回数については有意に下剤群で多かった(p=0.017).術後の排ガス・排便までの日数,術後合併症については両群間に差を認めなかった.呼吸器外科手術において,下剤による術前処置を施行せずとも安全に手術を行うことができると考えられた.
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  • 岩田 力, 磯谷 正敏, 原田 徹, 金岡 祐次, 前田 敦行, 高山 祐一
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2073-2078
    公開日: 2015/02/28
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    目的:1996年以降,急性腹症に対して積極的にCT検査を行うことで診断能の向上を認めた.今回,閉鎖孔ヘルニアについて検討した.対象および方法:1973年から2011年までに手術が施行された閉鎖孔ヘルニア61症例を対象に,1995年以前(前期群30例)と以降(後期群31例)に分けて患者背景・術前診断率・手術成績・術後経過を検討した.結果:平均病悩期間(日)(前期群:3.2,後期群:2.8)を含め患者背景に有意差を認めなかった.CT施行率増加(前期群:20.0%,後期群:96.8%)に伴い,術前正診率の向上(前期群:53.3%,後期群:93.5%)を認めたが,腸管切除率,術後合併症発生率の減少は認めなかった.平均入院期間は前期群26.1日,後期群20.0日と短縮した(P<0.05).結語:CT検査により術前正診率は向上したが,病悩期間に有意差はなく,それに付随してか腸管切除率は減少しなかった.
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臨床経験
  • 小高 明雄, 井上 成一朗, 別宮 好文, 長田 久人, 石田 秀行, 田村 正徳
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2079-2085
    公開日: 2015/02/28
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    小児急性腹症の診断に対するMDCTの有用性と限界を明らかにするために,当院にて小児の急性腹痛に対してMDCTを施行した235例のMDCT所見と病歴を調査した.正診例は急性虫垂炎(120例中104例),腸重積症(5例中4例),機械的イレウス(4例中3例)を含む12疾患の計161例(68.5%)であった.一方,誤診例は74例(31.5%)あり,その内17例の診断は緊急手術の所見によって訂正されていた.MDCTは,腫大した虫垂とその周囲の炎症範囲,腸重積症の部位と腸管壁の肥厚,イレウスの閉塞部位と拡張した腸管の範囲などを把握することには優れているが,虫垂壁の穿孔やイレウスの原因になる索状物および血流障害が軽度な腸管の絞扼を検出することには限界が認められた.
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  • 佐藤 朝日, 森山 仁, 戸田 重夫, 的場 周一郎, 橋本 雅司, 黒柳 洋弥
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2086-2090
    公開日: 2015/02/28
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    下部消化管穿孔は致死率の高い重症疾患であり,合併症を有する血液透析患者では予後はさらに悪いと予想される.われわれは当院の維持透析患者に生じた下部消化管穿孔の手術症例を検討した.2006年~2011年に下部消化管穿孔に対し手術を行った維持血液透析患者は10例で,死亡例は4例(40%).背景腎疾患は常染色体優性多発性嚢胞腎が5例と多く,15年以上の長期透析症例は6例中5例が生存.穿孔の原因は大腸憩室が6例で,穿孔部位は10例中8例が左側結腸から直腸であり,全例一期的吻合は行われなかった.術後は6例にエンドトキシン除去療法を施行したが,うち4例は死亡.生存例と比較すると死亡例では術前の白血球低下を有意に認め,発症から手術までの時間も死亡例で長時間である傾向が認められた.下部消化管穿孔は血液透析患者においては予後が悪く,白血球が低下する前の迅速な診断と手術が重要である.
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  • 金井 俊平, 間中 大, 光岡 英世, 神頭 聡, 小西 小百合, 西躰 隆太
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2091-2095
    公開日: 2015/02/28
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    目的:右側結腸癌に対する腹腔鏡下手術において,肥満が周術期成績に及ぼす影響について検討する.対象および方法:2010年4月から2013年12月までに右側結腸癌に対して腹腔鏡下手術を施行した80症例を対象とした.対象をBMI≧25およびX線CT計測法による内臓脂肪面積(以下,VFA)≧100cm2を基準値として肥満群と非肥満群に分類し,患者背景,周術期成績に関して後方視的に検討した.結果:患者背景因子,術後成績に関しては両群間で有意差を認めなかった.手術成績に関して,高VFA群で手術時間は有意に延長し(P=0.026),術中出血量も有意に増加したが(P=0.025),BMI分類では両群間に有意差を認めなかった.結語:右側結腸癌に対する腹腔鏡下手術において,手術難易度を適切に予測する肥満の指標としてはBMIよりも内臓脂肪量を反映するVFAが優れていると考えられた.
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  • 沼田 幸司, 塩澤 学, 森永 聡一郎, 利野 靖, 益田 宗孝, 赤池 信
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2096-2104
    公開日: 2015/02/28
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    目的:大腸癌同時性肝転移例の一期的肝切除の治療成績を明らかにする.対象と方法:当院で1991年-2010年に経験した一期的肝切除例で肉眼的根治切除をしえた64例.術後合併症の危険因子,予後規定因子の検索を行った.結果:Clavien-Dindo分類Grade2以上の術後合併症は19/64例(29.7%)に生じた.肝転移巣の最大径>50mmでは有意に術後合併症が多かった.再発は45/64例(70.3%)に認め,初再発部位は肝が33例(73.3%)で最も多かった.3年生存率と5年生存率は66.5%,49.2%であった.術前CA19-9高値(≧37U/ml),原発巣リンパ管浸潤陽性は独立した再発・予後規定因子であった.結語:CA19-9高値,原発巣リンパ管浸潤陽性例では根治度B切除後も予後不良であり,周術期化学療法などの集学的な治療について検討すべきと考えられた.
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  • 宮澤 光男, 合川 公康, 岡本 光順, 岡田 克也, 渡邊 幸博, 小山 勇
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2105-2109
    公開日: 2015/02/28
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    近年,単孔式腹腔鏡下手術が胆嚢摘出術を初めとする腹部外科手術において,安全性と有効性が認められてきているが,肝切除においては報告例が少ない.そこで,当科で施行した単孔式腹腔鏡下肝切除術(Single-port Laparoscopic Hepatectomy:SLAP-H)10例(肝細胞癌6例を含む)にて,その安全性と有用性を検討した.SLAP-H選択の適応として,腫瘍が肝の足側に存在し,約3分の1以上表面に突出,長径が3cm以下,単発と設定した.結果としては,追加ニードルを挿入せず,臍周囲に挿入する一つのポートのみでSLAP-Hを施行したが,施行した10例全例(高度肝予備能低下例も含む)において合併症なく安全に施行可能であった.術後1カ月目における経過観察においても,創痛・肝機能悪化はいずれの症例も認められなかった.これらの結果から,症例を適当に選択することにより高度肝機能低下症例においても,SLAP-Hは安全に施行可能と考えられた.
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症例
  • 小久保 健太郎, 林 昌俊, 栃井 航也, 高橋 啓, 松本 光善
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2110-2113
    公開日: 2015/02/28
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    症例は61歳の女性.2カ月前より易疲労感・体重減少を自覚し近医を受診し,甲状腺機能亢進症の疑いで当院を紹介受診した.甲状腺左葉に弾性軟で可動性良好な腫瘤を触知し,気管の偏位を認めた.血液検査でfT3高値,fT4正常,TSH低値,TSHレセプター抗体(第3世代)高値でありBasedow病と診断した.頸部CTでは甲状腺左葉下極に90×38mm大の腫瘍を認めた.99mTcシンチグラムでは甲状腺左葉に一致した強い集積と右葉に淡い集積を認めた.以上より,Marine-Lenhart症候群と診断した.機能性腫瘍であること,巨大な腫瘍であることより手術の方針とした.手術は右葉を0.6g残す甲状腺亜全摘術を施行した.病理所見にて硝子化索状腫瘍を認め,硝子化索状腫瘍によるMarine-Lenhart症候群と診断した.
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  • 和久 利彦, 園部 宏
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2114-2119
    公開日: 2015/02/28
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    症例は64歳,男性.近医で以前から高カルシウム血症を指摘されていたが,intact-PTHの高値を認め当院内分泌外科へ紹介となった.頸部超音波検査では甲状腺両葉の上極あるいは下極の背側に腫瘤はなく,甲状腺右葉内に,上極より1.7cm,下極より1.2cmの内部均一で低エコーな腫瘤を認めた.MIBIシンチグラム検査では甲状腺右葉にのみ結節状の集積がわずかに認められた.甲状腺腫瘤が副甲状腺腺腫の可能性があると考え甲状腺右葉切除のみを行った.甲状腺右葉上極よりの結節は濾胞上皮の密な増生よりなるものであり,下極よりの結節は境界明瞭で,好酸性上皮よりなる濾胞の密な増生を示した.ともに濾胞状構造を示し,甲状腺組織との鑑別が困難であったのでPTH・TTF-1・Tgの免疫染色を行ったが,上極よりの結節はPTH陽性,TTF-1・Tg陰性,下極よりの結節はPTH陰性,TTF-1・Tg陽性で,それぞれ甲状腺内副甲状腺腺腫,甲状腺好酸性細胞型濾胞腺腫と最終診断した.
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  • 下之薗 将貴, 有馬 豪男, 中条 哲浩, 平田 宗嗣, 喜島 祐子, 夏越 祥次
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2120-2124
    公開日: 2015/02/28
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    今回われわれは,海綿状血管腫と鑑別困難であった甲状腺乳頭癌脳転移の1例を経験し,外科的治療および放射線療法の活用により,良好な長期予後が得られたため報告する.症例は63歳女性.初発症状は尿失禁で,MRIにて右前頭葉に嚢胞性病変を認め陳旧性出血と診断された.その後,記名力低下・見当識障害・左上下肢脱力・歩行障害が出現し,頭部CT・MRIの結果,海綿状血管腫と診断され,腫瘍摘出術を施行した.最終病理で転移性腺癌と診断され,腫瘍摘出部位にサイバーナイフ治療を追加した.原発巣検索を行い,頸部超音波検査で甲状腺右葉下極に19mm大の低エコー腫瘤を認め,穿刺吸引細胞診で甲状腺乳頭癌と診断された.甲状腺全摘術を施行し,術後にI-131内用療法を行った.術後1カ月目に尿失禁が再出現し,MRIで脳転移再燃がみられ,サイバーナイフで症状は消失した.発症より3年が経過した現在,明らかな再発・転移所見はみられていない.
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  • 轟木 秀一, 島田 和生, 堤 宣翁, 古賀 孝臣
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2125-2129
    公開日: 2015/02/28
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    乳房温存術後に発生した放射線誘発性の乳房血管肉腫の1例を経験した.症例は53歳女性,左乳頭部の痛みと皮下出血斑を主訴に受診した.7年前に左乳癌にて乳房温存術と残存乳房への放射線照射を受けていた.左乳房の皮膚は肥厚硬化しており,超音波検査にて乳頭直下に小さな低エコーが散在,MRIで辺縁不整な濃染域を認めた.最終的に摘出生検にて続発性血管肉腫と診断された.乳房切除を行ったが早期に局所再発をきたしたため再手術(広範切除)を施行した.術後,補助療法としてパクリタキセルを投与したが,4カ月後に骨転移が出現したため,パゾパニブに変更,これも4カ月後に無効となり治療を中止した.放射線誘発性の続発性血管肉腫は乳房温存療法後の症例にとって,稀ではあるが重大な晩期合併症として認識する必要がある.
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  • 萩原 千恵, 北川 大, 堀口 慎一郎, 山下 年成, 黒井 克昌
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2130-2135
    公開日: 2015/02/28
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    乳腺matrix producing carcinoma (以下MPC)の2症例を経験したので報告する.症例1は51歳女性.左乳癌T2N0M0 Stage IIAの診断で乳房切除術+センチネルリンパ節生検を施行した.病理診断はMPC,pT2,ER(-),PgR(-),HER2(-),sn0/2.術後TC療法を4コース施行し,術後4年5カ月の時点で無再発生存中である.症例2は48歳女性.左乳癌T1N0M0 Stage Iの診断で乳房部分切除術+センチネルリンパ節生検を施行した.病理診断はMPC,pT2,ER(-),PgR(-),HER2(-),sn0/4.術後,治験(BEATRICE試験)に参加し,EC療法4コースとBevacizumabを投与したが,術後12カ月で多発肺・骨・肝転移が出現した.その後,weekly paclitaxelを開始したが奏効せず術後1年6カ月で永眠された.
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  • 安立 弥生, 大野 元嗣, 宮嶋 則行, 渡邉 和子
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2136-2139
    公開日: 2015/02/28
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    症例は46歳の女性.1年前に左乳房のしこりを自覚し,1カ月前に出血をきたすようになり当院を受診した.左乳頭を中心にびらん,出血を伴う10cm大の黒色の腫瘤を認めた.針生検の結果,真皮内にメラニン顆粒を豊富に有する腫瘍細胞がシート状に増生しており,悪性黒色腫と診断した.CTにて脳転移を認め既に片麻痺を伴っていたため,定位放射線照射の後に,乳房切除術+腋窩リンパ節郭清術・術後化学療法を行ったが,胸壁再発・脳転移のため術後14カ月後に原病死した.乳房,特に乳頭部に発生する悪性黒色腫は,pigmented mammary Paget's diseaseとの鑑別を要する.今回稀な乳頭部に発生した悪性黒色腫を経験したため報告する.
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  • 長谷川 聡, 原田 郁, 大田 洋平, 福島 忠男, 中山 崇, 池 秀之
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2140-2144
    公開日: 2015/02/28
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    化生癌は乳癌取扱い規約では特殊型に分類されるまれな乳腺悪性腫瘍で,抗癌剤に対して抵抗性で予後不良とされている.われわれは,化学療法前の針生検では認めなかった化生癌成分が切除標本に残存した1例を経験したので文献的考察を加え報告する.症例は43歳,女性.右乳房腫瘤を主訴に受診し,triple negative乳癌と診断された.MRIでは右CD領域に3.1cmの境界不明瞭な腫瘤を認め,T2N0M0 Stage IIAの術前診断で,術前化学療法前にSLNBを行ったところ,0.5mmの微小転移を認めた.FEC100×4+Docetaxel(75mg/m2)×4を行い,腫瘤はMRI上1.6cmまで縮小し,乳房部分切除のみを行った.残存した腫瘍径は1.0×0.8×0.8cmで化生癌成分が残存していた.化学療法が通常型乳癌に対して効果を示し化生癌成分のみが残存したと推定される.術後2年6カ月を経過し無再発生存中である.
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  • 山神 和彦, 出合 輝行, 松本 元, 橋本 隆, 中井 登紀子, 山崎 隆
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2145-2149
    公開日: 2015/02/28
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    症例は51歳,女性.左乳房CA領域の嚢胞内腫瘍に対し腫瘍切除,その後,外側に局所再発を生じ腫瘍切除を施行(いずれも病理診断は良性).前回の腫瘍切除近傍の残存乳腺から多発嚢胞内乳癌が発生,乳房切除術を施行.その後も,嚢胞内乳癌の局所再発を3回繰り返し,腫瘍切除が施行された.放射線治療目的にて本院紹介.再精査で小胸筋内に嚢胞内乳癌を認め,穿刺細胞診後に切除.手術標本は断端陰性を確保.その後,放射線治療を施行.約2年後,大胸筋内に嚢胞内乳癌の再発を認めた.前回手術前に施行した細胞診穿刺と一致する部位の再発であり,腫瘍切除が施行された.6年4カ月の間に6回の局所再発が生じたことになる.初回手術時の病理スライド,手術記録にて非浸潤性嚢胞内乳癌のruptureが疑われた.さらに,本科での嚢胞内腫瘍の細胞診もある意味,ruptureと考えることができる.本症例から示唆される事項を,文献的考察を加えて報告する.
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  • 伊藤 博道, 吉田 進, 後藤 行延, 伊藤 美帆, 淀繩 聡, 小川 功
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2150-2155
    公開日: 2015/02/28
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    症例は73歳,女性.血痰を主訴に近医を受診した.口内炎の微出血と判断されたが,胸部CTにて前縦隔に長径3.5cm大の石灰化を伴う腫瘤を認め,精査治療目的で紹介となった.腫瘍マーカーに異常値を認めず,MRIではT1強調画像で低信号,T2で高信号の腫瘤であり,嚢胞化を伴う胸腺腫を疑い胸骨正中切開で胸腺全摘術を施行した.腫瘤は2cm大で,胸腺組織とその周囲の脂肪織に被包されており,嚢胞性の部分と充実性の部分を触知した.病理組織検査で,石灰化を伴う海綿状血管腫と診断した.腫瘍尾側には近接して1.7cm大の嚢胞を認めたが,胸腺腫は認めなかった.第9病日に軽快退院し,経過良好であった.縦隔の海綿状血管腫はまれで,本症例は画像上嚢胞や石灰化を伴い,胸腺腫との術前の鑑別が困難であった.縦隔腫瘤の診断においては,海綿状血管腫の存在も念頭に鑑別に入れる必要がある.
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  • 松永 篤志, 前田 祐助, 尾本 健一郎, 島田 敦, 大石 崇, 磯部 陽
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2156-2160
    公開日: 2015/02/28
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    症例は81歳の女性.2011年11月,肝細胞癌に対してラジオ波焼灼療法(以下,RFA)を施行後,2013年2月下旬から嘔気,水様便を認めたため当院消化器内科を受診,感染性腸炎が疑われ入院となった.入院後,腸閉塞症状を呈し,腹部CTで肝彎曲部の結腸が右胸腔内に脱出し,横隔膜ヘルニア嵌頓による絞扼性イレウスと診断して緊急手術を施行した.RFA後の肝腫瘍に近接する横隔膜に約2.5cm径のヘルニア門を認め,1年以上前のRFAによる熱損傷を原因として発生した横隔膜ヘルニアと考えられた.イレウス解除術,ヘルニア修復術を施行し,術後125病日に退院となった.横隔膜直下に局在する肝腫瘍に対してRFAを施行した際には,致死的である横隔膜ヘルニアを晩期合併症として念頭に置く必要があり,本症例を若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 野村 明芳, 渡邉 昌也, 大端 考, 常泉 道子, 大場 範行, 高木 正和
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2161-2166
    公開日: 2015/02/28
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    症例は50歳,女性.2008年より右乳癌Stage IV(脊椎転移)に対し化学療法を施行していた.施行してから圧迫骨折により身長が約10cm低くなっていた.2012年に心窩部痛を自覚,CTで左横隔膜後方より胸腔内に横行結腸・脾の脱出を認め,成人Bochdalek孔ヘルニアの診断で手術となった.腹腔鏡下に脱出した臓器の腹腔内への還納とメッシュを用いた修復術を行い,術後4日目に退院,速やかに化学療法を再開している.術後12カ月経過し,ヘルニアの再発は認めていない.
    本症例は乳癌治療の際に脊椎圧迫骨折を呈することで,腹腔内圧が上昇し発症の要因となった可能性がある.乳癌脊椎転移による圧迫骨折が要因となった成人Bochdalek孔ヘルニアに対し,腹腔鏡下修復術を施行し,速やかに化学療法を再開できた1例を経験したため報告する.
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  • 安原 功, 宮本 耕吉, 児島 亨, 仁熊 健文
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2167-2170
    公開日: 2015/02/28
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    症例は72歳,女性.11カ月前に肝細胞癌に対し腹腔鏡下肝右葉切除術を施行し,外来経過観察中であった.嘔吐を主訴に当院救急外来を受診した.腹部CTにて横行結腸が右胸腔に嵌頓し,上行結腸が著明に拡張していた.横隔膜ヘルニア嵌頓と診断した.まず,胸腔鏡で観察し腸管虚血の所見がないことを確認したのち,そのまま胸腔鏡補助下の横隔膜ヘルニア根治術を施行した.手術所見では約3cm大のヘルニア門より腸管の脱出を認めた.可及的に腸管を腹腔内に還納して嵌頓を解除し,ヘルニア門を縫縮した.肝切除後の合併症として横隔膜ヘルニアの報告は少ないが,念頭に置くべき疾患と考える.また,肝切除後の横隔膜ヘルニアに対する胸腔鏡アプローチの本邦での報告はないが,腸管虚血がなく腸切除の必要のない横隔膜ヘルニアに対して胸腔鏡下手術は有用であった.
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  • 大野 貴志, 永井 聡, 渡部 裕志, 栗栖 泰郎, 谷口 雄司, 中村 廣繁
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2171-2176
    公開日: 2015/02/28
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    症例は55歳の女性.食道憩室の既往があり,繰り返す肺炎にて当院紹介受診となった.造影CTにて,憩室壁に造影効果を認める不整な肥厚像を認め,左心房,右下肺静脈への浸潤も疑った.上部消化管内視鏡検査にて,憩室内に3型腫瘍を認め,肺への瘻孔を形成していた.生検にて扁平上皮癌と診断し,術前化学療法(FP療法2クール)施行後,手術を行った.右開胸および開腹にて胸腹部食道胃上部切除,胃管による胸骨後経路再建を行った.また,右下肺静脈に浸潤を認め,右肺下葉合併切除を行った.下行大動脈との剥離面は,術中迅速病理診断では,癌陰性であったが,最終病理診断では,癌陽性であった.術後,下行大動脈との剥離面を中心に放射線療法を行った.食道憩室内癌は稀であり,また,周囲組織に浸潤しやすい.右下肺静脈に浸潤する下部食道憩室内癌に対して肺合併切除を行ったので,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 鳥越 英次郎, 野崎 功雄, 羽藤 慎二, 大田 耕司, 棚田 稔, 栗田 啓
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2177-2181
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
    症例は71歳男性で,平成8年に胸部中部食道癌に対して右開胸食道亜全摘術(胸骨後経路胃管再建)と3領域郭清術を施行した.術後,縫合不全があり,吻合部を切除して頸部食道と胃管の間に遊離空腸間置術を施行し,軽快退院した.左主気管支に腫瘍残存あり,同部に放射線療法を施行した後,再発なく経過していたが,平成24年12月に,放射線照射部に一致した前胸部に胃管皮膚瘻と胸骨骨髄炎が生じた.根治術を予定していたが,まず膿瘍腔のドレナージ,抗生剤,プロトンポンプ阻害剤の投与,経腸栄養等の保存的加療を先行したところ,徐々に瘻孔は治癒した.平成25年3月退院となり,平成26年1月に他病で永眠されるまで症状の再燃は見られなかった.食道癌術後の胃管皮膚瘻は,放射線照射施行例に生じることが多く,根治のために手術が必要になるとの報告が多い.本症例のように保存的に治癒することは稀と思われるため報告する.
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  • 宗岡 悠介, 長谷川 潤, 木戸 知紀, 内藤 哲也, 谷 達夫, 島影 尚弘
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2182-2187
    公開日: 2015/02/28
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    小腸内胃石と胃内の胃石に対し,コーラによる溶解療法が奏効した1例を報告する.症例は74歳の男性で,嘔気・嘔吐を主訴に当院を受診し,食餌性小腸イレウスの診断で入院した.イレウス管を留置したが改善せず,経過中のCTにて小腸内に嵌頓した胃石がイレウスの原因と考えられた.イレウス管よりコーラを注入し溶解療法を試みたところ,速やかに胃石が溶解・軟化し,イレウスが解除された.また,胃内に留まっている胃石に対してもコーラによる溶解と生検鉗子・スネアを用いた破砕を併用し,安全に治療しえた.これまで胃石イレウスに対する治療には,早期診断による外科手術が必要と考えられてきたが,コーラによる溶解療法が有効である可能性が示唆された.
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  • 村田 一平, 青山 徹, 佐藤 勉, 尾形 高士, 長 晴彦, 吉川 貴己
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2188-2193
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
    進行胃癌に対する術前補助化学療法(NAC)は有望な治療法の一つである.NAC後に胃切除術を施行し,組織学的完全奏効(pCR)となった3例を経験したので,臨床病理学的特徴を検討した.当院でNACが施行され,治療後にpCRとなった症例は3例であった.術前進行度はStage II1例/Stage III2例.術前化学療法はPaclitaxcel+Cisplatinの4コースが2例,S-1+Cisplatinの4コースが1例であった.全例がNAC後にD2胃切除術を施行し,全例が無再発生存中である.過去のNACの臨床試験では大半が2コース以下で,pCR率は2%前後と報告されている.今回経験した3例はいずれも4コースのNACを施行しており,4コースのNACを施行した症例のpCR率は20%(3/15)であった.NAC回数の増加がpCR率を向上させ,ひいては予後改善につながるか否か新たな臨床試験が必要と思われる.
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  • 田中 元樹, 阿部 曉人, 多胡 和馬, 窪田 敬一
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2194-2198
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
    症例は68歳,男性.前医で上部消化管内視鏡検査にて胃癌を指摘され,当科へ紹介となった.術前検査にて部分内臓逆位症,右側肝円索,腸回転異常症,十二指腸前門脈,遊走胆嚢,副脾が指摘された.本症例に対して胃全摘術,2群リンパ節郭清(D2),胆嚢摘出,脾臓摘出,Roux-en-Y法再建を施行した.術前に詳細な画像診断により通常の胃全摘術と同様に安全な手術を行うことができた.文献的な考察を加えて報告する.
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  • 篠原 健太郎, 平松 和洋, 加藤 岳人, 柴田 佳久, 吉原 基, 青葉 太郎
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2199-2202
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
    症例は70歳,女性.心窩部不快感の精査で上部消化管内視鏡検査を行ったが異常なく,腹部造影CT検査にて膵頭十二指腸領域のリンパ節腫大を認めた.EUS-FNAにより神経内分泌腫瘍が疑われた.FDG-PET/CT検査にて十二指腸壁にも集積を認めたため,リンパ節転移を伴う十二指腸神経内分泌腫瘍の術前診断で膵頭十二指腸切除術を施行した.切除病理標本では幽門輪の十二指腸側に隣接してIIa+IIc病変を認めた.病理組織学的所見では粘膜から筋層にかけて膨張性に浸潤する20mm大の腫瘍を認め,十二指腸神経内分泌腫瘍と術後診断した.幽門輪に腫瘍が隣接して存在したことにより,上部消化管内視鏡検査で死角となった.腫瘍に十分な大きさがあるにもかかわらず,内腔へほとんど隆起しない発育形態を示す,稀な十二指腸神経内分泌腫瘍の1例を経験した.
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  • 大塚 裕之, 村上 義昭, 上村 健一郎, 首藤 毅, 城間 紀之, 末田 泰二郎
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2203-2209
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
    症例は65歳の男性,健診のCTで膵頭部領域に9cmの腫瘤を指摘された.造影CTで腫瘤は動脈早期に濃染され胃十二指腸動脈からの栄養血管を認めた.上部内視鏡では前庭部に壁外圧迫所見を認め,上十二指腸角のびらんより生検を試みたが出血のため組織診断を得られなかった.十二指腸GISTまたは膵神経内分泌腫瘍の診断で手術を施行した.十二指腸第二部から有茎性に発育する腫瘍を認め,膵頭後部に膵実質と癒着したリンパ節を認めたため,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.腫瘍細胞はc-kit陽性で十二指腸GISTと診断された.十二指腸GISTは膵実質埋没や有茎性壁外性発育など多彩な画像所見を呈する腫瘍であり,CTでは十二指腸や膵原発多血充実性腫瘍との鑑別が問題となる.また十二指腸乳頭,膵臓との位置関係から部分切除が困難なことがあり正確な術前診断と発育形式に応じた術式選択が必要である.
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  • 山田 泰史, 宮木 陽, 岡山 幸代, 松尾 亮太, 成高 義彦
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2210-2213
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
    患者は78歳,男性.1週間前からの吐き気,心窩部痛を主訴に当院消化器内科を受診した.腹部手術歴はなく,腹部CT検査にて食餌性イレウスの診断で入院となった.イレウス管を挿入し,減圧するも改善を認めなかった.イレウス管からの小腸造影検査にて閉塞起点となっている陰影欠損を認め,透視下に用手圧迫したところ,粉砕され肛門側腸管への造影剤の流出を認め,イレウスが解除された.その後,症状再燃なく軽快退院となった.食餌性イレウスに対し透視下用手圧迫にて治癒した例は,今回の検索では本邦では報告が見当たらず,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 井口 健太, 渡邉 純, 本間 祐樹, 茂垣 雅俊, 舛井 秀宣, 長堀 薫
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2214-2218
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
    成人腸重積症は小児期に比較し稀である.治療として手術が必要となることも多く,近年の腹腔鏡手術の発展により,腹腔鏡手術が積極的に取り入れられている.症例は45歳女性,腹痛を主訴に来院した.検査の結果,腸炎の診断となり外来通院していたが腹痛は改善せず,通院中に腹部造影CTを撮影したところ,回腸が上行結腸へ重積しており,先進部に回腸腫瘍を認めた.入院後,内視鏡にて腸重積を整復し待機手術の方針としたが,手術前日に再度重積し高圧浣腸にて整復した.翌日,単孔式腹腔鏡下回腸部分切除術を施行し,術後7日目に退院となった.病理組織学的診断はPeutz-Jeghers型ポリープであり,家族歴や色素沈着などを認めず,不完全型Peutz-Jeghers症候群と診断した.整復後に待機的に手術を施行したことで,低侵襲で整容的にも優れる単孔式腹腔鏡手術を行うことが可能であった.
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  • 北川 浩樹, 上神 慎之介, 清水 亘, 渡谷 祐介, 繁本 憲文, 末田 泰二郎
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2219-2223
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
    40歳,男性.20歳時にPeutz-Jeghers症候群と診断され,他院にて22歳時に小腸ポリープに対して開腹小腸部分切除,26歳時にポリープからの出血に対して開腹小腸部分切除の既往がある.今回,腸重積の診断で入院し,術前評価にてポリープが大きく,密生しているためにダブルバルーン内視鏡によるポリープ切除は困難と判断され手術の方針となった.開腹癒着剥離して腸管整復し,内視鏡的に切除困難な3cmのポリープを小切開して切除した後,内視鏡を挿入し十二指腸から回腸末端までの1cm以上のポリープを150個程度切除した.本症の多発小腸病変に対する外科治療での術中内視鏡の併用は,腸管温存と安全性から有用性が高いと考えられる.
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  • 松下 典正, 須藤 泰裕, 芹澤 朗子, 窪田 猛, 井上 達夫
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2224-2228
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
    今回,われわれは繰り返す下血の精査中カプセル内視鏡検査にて疑われたMeckel憩室に対し単孔式腹腔鏡下手術(single-incision laparoscopic surgery: SILS)で治療した症例を経験した.症例は20歳女性.2011年12月に黒色便を認め,上・下部消化管内視鏡検査を施行するも出血源を認めず経過観察されていたが,2013年1月に再度下血を認め入院となった.再度諸検査を施行するも出血源を認めずカプセル内視鏡検査を施行した.撮影画像において回腸内腔に血液およびMeckel憩室入口部を疑う陥凹を認めたため,臍部からのSILSで憩室を含む小腸部分切除術を行った.カプセル内視鏡検査により術前にMeckel憩室の存在が疑われたことにより低侵襲手術としてSILSが可能であった.Meckel憩室に対するSILSは整容性と根治性が両立した有用な術式であると考えられた.
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  • 崎村 千恵, 河本 真大, 呉 幸枝, 阿古 英次, 藤田 茂樹, 妙中 直之
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2229-2233
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
    症例は59歳の男性.持続する発熱と貧血の精査で当院を受診,CT検査で7cm大の腹腔内腫瘤を認め悪性リンパ腫が疑われた.手術を予定していたが突然の腹痛にて当施設を受診,腹部MRI検査にて,腹水・腹腔内ガス像を認め穿孔性腹膜炎を疑い緊急手術を行った.手術では回腸に穿孔した腫瘍を認め,腫瘍を含む小腸を切除した.病理検査ではCD8,CD56陽性でtype II enteropathy associated T-cell lymphoma (EATL II)と診断した.術後に縫合不全を認め人工肛門造設術を行った.CHOP療法による化学療法を開始し最初は化学療法に反応したが4コースを終了した時点で増大傾向を認めた.その後,GDP療法,自己末梢血幹細胞移植を行ったが合併症のため死亡した.EATL IIはまれで予後不良な疾患であり治療法は確立されていない.小腸穿孔に至ったEATL IIの1例を経験したので報告する.
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  • 富岡 淳, 岩本 伸二, 駕田 修史, 大住 渉, 山名 秀典, 原 章倫, 橋本 和明
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2234-2238
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
    症例は37歳,男性.腹痛を主訴に近医を受診し,腹部CTとMRIで6×6×5cmの腹腔内腫瘤を指摘され,当院紹介となった.手術を予定したが,再検のCTで,腹腔内の腫瘤を同定できなかった.このため精査予定としたが,以降受診されなかった.1年3カ月後,発熱・腹痛にて当院を受診され,腹部CTで腹腔内に再度6×6×6cmの腫瘤,周囲の脂肪組織の軽度混濁を認めた.Meckel憩室炎の可能性を考え保存的に治療した後,待機的に手術を行った.術中所見では回腸の間膜側から間膜内にかけて小児手拳大の腫瘤を認め,小腸部分切除術を施行した.腫瘤内腔は出血を伴う壊死に陥っており,腸管内腔と交通していた.病理組織像にて紡錘状の腫瘍細胞が錯綜状に増殖しており,免疫染色ではKIT陽性にて小腸GISTと診断された.腫瘤陰影の大きさが変化し,憩室炎様症状を呈するといった稀な経過であったため,文献的考察を加え報告する.
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  • 山崎 祐樹, 前多 力, 新保 敏史, 吉光 裕, 佐久間 寛
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2239-2242
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
    症例は43歳,女性.腹痛を主訴に救急外来を受診した.右側腹部に腫瘤を触知し,同部位に腹膜刺激症状を認めた.血液検査では炎症反応の上昇がみられ,腹部CT検査で右下腹部にtarget signを認めたため,限局性腹膜炎を伴う腸重積症と診断し,緊急手術を施行した.虫垂根部および回腸が上行結腸内に重積しており,用手的に重積を解除した.盲腸内に腫瘤性病変を触知したため,悪性病変の可能性を考慮し回盲部切除術を施行した.病理組織学的検査の結果,腫瘍性病変は認めず,虫垂根部に膿瘍の形成を認めた.急性虫垂炎により根部が炎症性腫瘤を形成し,これが先進部となった虫垂重積症と診断した.成人腸重積症は比較的稀な疾患であるが,なかでも虫垂腸重積症は頻度が少ない.原因として腫瘍や糞石などが先進部となることが多いが,今回われわれは急性虫垂炎が原因となった虫垂重積症の稀な1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 北川 浩, 鮫島 隆一郎, 湯ノ谷 誠二
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2243-2247
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
    症例は56歳の男性で前日より続く右下腹部痛を主訴に来院した.精査の結果,膿瘍形成性虫垂炎を疑い,緊急で腹腔鏡下虫垂切除術を行う方針とした.鏡視下に回盲部を観察すると,前日発症の虫垂炎としては周囲組織との癒着が強固であり,炎症性変化以外に癌の浸潤なども考慮する必要があると判断した.術式をドレナージ術に変更し,精査後に待機的手術を行う方針とした.後日,大腸内視鏡で虫垂癌の診断を得,待機的に腹腔鏡補助下回盲部切除術およびD3リンパ節郭清を施行した.結果的に,根治術を施行することが可能であった.初回手術時に癌の存在を疑診せず虫垂切除を施行していれば,癌を播種させていた可能性も十分に考えられ,示唆に富む症例であった.原発性虫垂癌の本邦報告例を検討し,考察を加えて報告する.
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  • 小野 仁, 高橋 学, 河合 朋昭, 小林 清二, 小笠原 和宏, 草野 満夫
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2248-2251
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
    症例は56歳,女性.間欠的な右下腹部痛を主訴に近医を受診,腹部超音波検査にて腸重積を疑う所見があり,当科紹介となった.右下腹部に反跳痛を認め,腹部CT検査にて結腸に結腸が嵌入する大腸型腸重積が強く疑われたが,先進部は評価不能であった.Douglas窩に腹水を認めた.腹膜刺激症状を認め,絞扼性イレウスへ移行する可能性や腸重積の原因となる器質的疾患が否定できないため,観血的整復の適応とありと判断し,緊急手術を行った.開腹したところ,横行結腸が横行結腸へ嵌入する大腸型腸重積であった.用手的に整復可能であったが,先進部付近に触診にて腫瘤を触れ,腸間膜リンパ節の腫脹も認めたため器質的疾患の可能性を考え,右結腸切除術を施行した.組織病理学的検査より悪性所見はなく,腸重積と腸管壁の浮腫のみを認めた.以上より特発性大腸腸重積と診断した.成人の特発性大腸型腸重積は非常にまれであり,文献的考察を加えて報告する.
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  • 小川 明男, 生田 宏次, 早田 篤司, 安藤 公隆, 千木良 晴ひこ
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2252-2257
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
    症例は60歳の男性.3カ月前から右下腹部痛が出現し来院.右腹部膨隆を認めた.横行結腸と交通のある巨大な内腔を有する腫瘍あるいは膿瘍を疑診し準緊急的に手術を施行した.開腹すると,腫瘍は上行結腸から横行結腸に及ぶ右側結腸間膜のほぼ全域を占めており,十二指腸に一部浸潤を認め,腫瘍表面および腹腔内に腹膜播種結節を多数認めた.右半結腸切除,十二指腸部分切除,胃空腸吻合術を施行した.切除標本肉眼所見で腫瘍は20×15cm大で横行結腸に1.5cm径の穿孔部を認めた.病理組織診断は横行結腸原発のmucinous adenocarcinomaであった.cT4b(十二指腸)pNXcM1a(P3),Stage IV.術後1年6カ月後原病死した.
    自験例は壁外発育型大腸粘液癌の本邦10例目であった.壁外発育型大腸粘液癌は横行結腸に多くリンパ節転移が少ないことが特徴的であった.
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  • 松井 俊樹, 加藤 弘幸, 湯浅 浩行, 林 昭伸
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2258-2264
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
    症例は64歳の男性.入院3カ月前より続く便通異常を主訴に当院内科を受診し,CT検査にてS状結腸癌膀胱浸潤,多発肝転移を指摘され,当科紹介となった.消化管閉塞症状を認めたため入院とし,入院2日後に大腸ステントを留置した.術前化学療法を施行した後,高位前方切除+膀胱部分切除を施行したが,術中膀胱浸潤部から3cm程度肛門側の部位が後腹膜に浸潤様の形態を呈しており,腫瘍の直接浸潤を疑い,周囲組織を含め切除した.病理組織学的検査にて,同部は腫瘍の浸潤ではなく,大腸ステントの肛門側断端が粘膜に接触したことにより潰瘍を形成し,漿膜面が癌浸潤様の形態を呈していたことが判明した.また切除の際に,右精管を損傷していたことも判明した.本症例では腸管屈曲部にaxial forceの強いステントを留置したことが,ステント潰瘍を起こした原因と考えられたが,ステント関連合併症の一つとして留意すべき病態と考えられた.
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  • 吉冨 摩美, 野村 明成, 門野 賢太郎, 内田 洋一朗, 金澤 旭宣, 寺嶋 宏明
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2265-2268
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
    症例は64歳の女性.46歳時に甲状腺乳頭癌に対し甲状腺右葉切除,52歳時に左頸部リンパ節転移に対し残存甲状腺全摘術を施行.57歳時より肺転移を指摘され,サイロキシンによるTSH抑制療法を行いながら経過観察されていた.1カ月前より血便があり,CTを撮影したところ,直腸S状部に径5cmの腫瘤を認め,大腸内視鏡検査にて壁外からの浸潤・出血を認めた.甲状腺癌の直腸転移と診断.多発性肺転移・右副腎転移が認められたが,ともに緩徐な増大で予後が一年近く見込まれたため,出血コントロール目的に腹腔鏡補助下直腸前方切除を行った.甲状腺乳頭癌の直腸転移は稀であり,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 西村 充孝, 岡野 圭一, 山本 尚樹, 赤本 伸太郎, 藤原 理朗, 鈴木 康之
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2269-2273
    公開日: 2015/02/28
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    膵癌や胆道癌による門脈狭窄,肝移植後の門脈吻合部狭窄などの治療に門脈ステント留置が行われることがある.近年は良性門脈狭窄に対する留置例も散見される.今回,われわれは肝内胆管癌に対する肝左葉切除術後の門脈血栓に門脈ステントを留置した1例を経験した.症例は85歳女性.健診で肝機能異常を指摘され精査した結果,肝S2の肝内胆管癌の診断で肝左葉切除を行った.また,門脈分枝(P8)が左枝から分岐し腫瘍浸潤を認めたため右枝へ吻合再建を行った.術中,門脈血栓を認め血栓除去および血管形成を併施した.術後,門脈血栓が再発し11日目に回結腸静脈から門脈内カテーテルを留置し,血栓溶解療法を行った.一度は門脈の開存を認めたが再閉塞したため門脈ステントを留置した.ステント留置後は血栓の再発なく経過し,術後69日目に軽快退院となった.門脈ステント留置については依然標準的な適応基準は定まっておらず,文献的考察を含めて報告する.
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  • 山下 洋市, 伊藤 謙作, 岡本 龍郎, 吉住 朋晴, 調 憲, 前原 喜彦
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2274-2279
    公開日: 2015/02/28
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    症例は78歳,男性.肝S4の径7cmの腫瘍に対し経皮針生検を施行し,肝細胞癌(Hepatocellular carcinoma;HCC)と診断され,拡大内側区域切除術を施行した.生検より2年9カ月後に肝切除断端S8に径2cmの腫瘤と,横隔膜・胸壁・皮膚にそれぞれ1cmの腫瘤を指摘され,肝部分切除+横隔膜腫瘤摘出+胸壁合併切除+メッシュによる胸壁再建を施行した.摘出腫瘤は全て中分化型HCCで,肝内転移および生検ルート播種と診断した.その後も繰り返す肝内再発に対して肝切除1回(計4回),リピオドリゼーション5回(計6回),ネクサバール内服などで加療し,生検後9年1カ月の生存を得た.
    ガイドラインにもある通り,HCCを疑う肝腫瘍に対する針生検は慎重を期すべきであるものの,HCCは播種巣を含め繰り返す再発巣に対する切除などの積極的な治療が長期予後に繋がる場合がある.
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  • 林 俊治, 舩越 徹, 喜納 政哉, 高田 譲二, 浜田 弘巳
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2280-2283
    公開日: 2015/02/28
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    症例は59歳の男性.3日前からの発熱,心窩部痛を主訴に近医を受診し黄疸を指摘され当院へ紹介となった.眼球結膜の黄染と血液検査で高度の炎症と閉塞性黄疸,肝胆道系酵素の上昇を認めた.腹部エコーで胆嚢の腫大が著明で結石は明らかではないが胆嚢内にdebrisが充満していた.急性胆嚢炎の診断でPTGBDを施行し血性排液を認め出血性胆嚢炎と診断し腹腔下胆嚢摘出術を施行した.術中所見では胆嚢の腫大と大網の癒着を認めたが胆嚢床の癒着は軽度だった.摘出された胆嚢内腔に充満した凝血塊と胆嚢粘膜に限局した浅い潰瘍病変を認めた.病理学的には潰瘍部に露出血管があり,胆嚢内腔側の血管壁が破綻した動脈と考えられDieulafoy潰瘍からの出血を伴う胆嚢炎と診断された.胆嚢に発生したDieulafoy潰瘍は極めて稀であるため,若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 日野 東洋, 吉田 純, 野口 純也, 古川 哲, 岡部 正之
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2284-2288
    公開日: 2015/02/28
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    気腫性胆嚢炎はガス産生菌を起因菌とするまれな疾患である.通常の急性胆嚢炎に比べて急速に重篤化し,胆嚢の壊死や穿孔の可能性が高く早期に適切な治療を行う必要がある.症例は89歳の女性.発熱と嘔吐を繰り返すため当院を受診.CT検査では胆管内に結石が存在し上流の胆管は拡張していた.また胆嚢は腫大し,胆嚢壁内・門脈内にガスを認めた.以上より,総胆管結石による急性閉塞性化膿性胆管炎および門脈内ガスを伴った気腫性胆嚢炎と診断した.高齢のため耐術困難と判断し,ドレナージを優先した.経皮経肝胆嚢ドレナージを検討したが,腹部超音波検査では,胆嚢壁内のガスの影響で胆嚢の全体像や穿刺ルートの同定が困難であり断念し,逆行性胆道ドレナージを行った.全身状態安定し,翌日に手術を施行した.急性閉塞性化膿性胆管炎や門脈内ガスを伴う気腫性胆嚢炎は極めてまれであり,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 下村 誠, 小倉 嘉文, 谷口 健太郎, 小倉 正臣, 林 香介, 三枝 庄太郎
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2289-2292
    公開日: 2015/02/28
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    患者はBody Mass Indexが41kg/m2と高度肥満症の27歳男性で,心窩部痛を主訴に来院した.肝胆道系酵素の上昇と白血球増多を認め,MRIでは著明な胆嚢腫大と壁肥厚を認め,胆嚢内に結石を認めた.急性胆嚢炎の診断にてPTGBDを施行し4週間後,腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.術中胆嚢の炎症は高度であったが,術後経過は良好で術後2日目に退院した.高度肥満症例の胆嚢炎に対しては,開腹術に比べ,腹腔鏡下胆嚢摘出術の有用性はより大きくなるが,術中術後の合併症に対する様々な対策が必要である.高度肥満による手術操作の困難性以外にも,看護面では手術台の工夫や特殊な手術器材の準備,深部静脈血栓や褥瘡の予防,術直後の患者運搬などの問題点が,また,麻酔においても気管内挿管の困難や術中術後の低酸素血症や低血圧の合併症のリスクがある.手術場看護師,麻酔科とも緊密に連携し手術計画を立てることが重要である.
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  • 花木 武彦, 坂本 照尚, 渡邉 淨司, 徳安 成郎, 本城 総一郎, 池口 正英
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2293-2299
    公開日: 2015/02/28
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    症例は55歳の男性.Drip infusion cholangiographic computed tomographyで肝門部胆管にcircuit形成を認め,副交通胆管枝(communicating accessory bile duct;CABD)を有する胆嚢結石症と術前に診断した.術中胆道造影を併用し,CABDを温存する形で腹腔鏡下胆嚢摘出術を完遂した.CABDは「重複総肝管」「重複総胆管」「重複胆嚢管」などと報告されてきたものと同様の破格であり,依然,CABD以外の名称での報告があることを加味すると,その遭遇頻度は従来考えられているよりも高いものと考えられる.CABDに限らず,胆道走行の破格は日常診療でしばしば遭遇するので,胆道の走行を把握することは胆管損傷を避ける上で必要不可欠である.また,術中胆道造影をいつでも行える体制は,胆道損傷の確実な回避と損傷時の迅速な対応に有用である.
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  • 荻野 真平, 石本 武史, 當麻 敦史, 真嵜 武, 落合 登志哉, 大辻 英吾
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2300-2306
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
    胆嚢を原発とする腺内分泌細胞癌はまれで,通常,表層に腺癌,深層に内分泌細胞癌があると報告され,予後不良とされる.今回われわれは病理組織像が通常と異なる胆嚢腺内分泌細胞癌の1例を経験した.症例は85歳男性.直腸癌術後3年6カ月のCT,EUS,MRIで胆嚢に腫瘤を認め胆嚢癌と診断した.腫瘍が肝床から距離があること,高齢であることを考慮し,開腹下に胆嚢全層切除を行ったが,No.13aリンパ節の腫大と術中迅速診でNo.13aリンパ節と胆嚢管断端に癌細胞を認め肝外胆管切除,D2郭清を付加した.病理組織学所見では表層に充実性の胞巣を形成しCD56の免疫染色で陽性を示す内分泌細胞癌を,深層に腺管を形成する腺癌を認め,腺内分泌細胞癌と診断したが,これは通常の報告とは逆の組織配列であった.本症例は腺内分泌細胞癌が,多分化能を有する前駆細胞が同時に腺癌,内分泌細胞癌に分化し発生したことを示す症例と考えられた.
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  • 渡瀬 智佳史, 清水 潤三, 村上 昌裕, 金 鏞国, 三方 彰喜, 長谷川 順一
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2307-2312
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
    症例は82歳の男性.下部胆管癌に対し膵頭十二指腸切除術を施行後,術後補助化学療法として塩酸ゲムシタビンを投与され,その後,外来フォローされていた.術後6年目に発熱と全身倦怠感が出現し,近医を受診したところ,炎症性マーカーと肝胆道系酵素の上昇を認め,CTで肝膿瘍および肝門部の嚢胞性病変を指摘された.精査加療目的に当院へ転院後,抗菌薬投与により肝膿瘍の改善を認めたが,嚢胞性病変は変化を認めなかった.膵仮性嚢胞を疑いEUS下経胃嚢胞穿刺ドレナージおよびダブルバルーン内視鏡を施行したところ,嚢胞性病変は胆管空腸吻合部の再発狭窄により拡張した挙上空腸と判明した.EUSガイド下経胃空腸穿刺によりステントを留置したところ,減黄が可能となり原病死するまでQOLを維持できた.EUSガイド下経胃空腸ステントは,膵頭十二指腸切除後の胆汁ドレナージの選択肢の一つとして有用と考えられる.
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  • 齋藤 崇宏, 鯉沼 潤吉, 蔦保 暁生, 村川 力彦, 大野 耕一, 菊地 慶介, 平野 聡
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2313-2316
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
    症例は75歳,男性.腹痛を主訴に近医を受診し,イレウスの診断で紹介となった.CTにて腹腔内に多房性巨大嚢胞を認め,腹腔内臓器が右方に圧排され一部の小腸が拡張していた.巨大嚢胞性腫瘤によるイレウスと診断し,手術を施行した.腫瘤は後腹膜に存在し,腸管を腹側に圧排していた.腫瘍は左腎を巻き込んでいたため,これを合併切除した.切除標本は30×28cmの多房性嚢胞性腫瘤であった.病理組織学的検索にてリンパ管腫と診断した.後腹膜リンパ管腫は緩徐に増大することが多いとされるが,本症例のように比較的急速に増大する場合もあり,注意深い治療選択が必要と考える.
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  • 加藤 綾, 佐伯 博行, 藤澤 順, 松川 博史, 利野 靖, 益田 宗孝
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2317-2321
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
    症例は60歳男性で,左下腹部痛を主訴に前医を受診した.左下腹部に20cm大の腫瘤を触知し,血液検査では炎症反応が上昇していた.造影CTでは,左腹部に14cm大の腹腔内腫瘤を認め,その右側に接して12cm大の後腹膜腫瘤を認めた.抗菌薬投与により炎症が改善した後,手術を施行した.術中所見では,左腹部の腫瘍は脂肪腫と思われる後腹膜腫瘍と茎で連続しており,茎が捻転していた.茎を切離して左腹部の腫瘍を摘出した後,残りの後腹膜腫瘍を可及的に切除した.左腹部の腫瘍は920gで出血壊死を伴っており,病理組織学的診断は,いずれの腫瘍も後腹膜脂肪腫だった.
    後腹膜脂肪腫は比較的まれであり,中でも有茎性に発生するものの報告はわずかである.今回,茎捻転をきたした有茎性後腹膜脂肪腫の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 稲石 貴弘, 三輪 高也, 田邊 裕, 野村 尚弘, 高瀬 恒信, 矢口 豊久
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2322-2326
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
    症例は63歳の女性.糖尿病,高血圧症にて近医通院中であったが,7カ月前より通院を自己中断していた.その後,10日ほど前より右側腹部痛を認めるようになり近医受診した.腹部造影CT検査にて巨大後腹膜膿瘍の診断で当院を紹介となった.CT検査では,右横隔膜下から骨盤内にかけて長径24cmにおよぶ後腹膜膿瘍を認めた.虫垂炎や憩室炎,膵炎の所見は認めず,腫瘍性病変も認めなかった.腹腔内に明らかな遊離ガス像は認めなかった.尿路感染症の所見も認めなかった.原発性後腹膜膿瘍と診断し,開腹アプローチによるドレナージ手術を施行した.手術所見では,後腹膜を切開して排膿し,ドレナージカテーテルを留置した.その後,抗菌剤の投与およびドレナージ治療を継続して治癒しえた.原発性巨大後腹膜膿瘍を,開腹アプローチにてドレナージしえた稀な1例を経験したので報告する.
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  • 大野 玲, 平岡 優, 吉野内 聡, 石場 俊之, 村瀬 秀明, 円城寺 恩
    75 巻 (2014) 8 号 p. 2327-2330
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
    患者は67歳,男性.左下腹部痛を主訴に受診した.約8年前に他院にて左鼠径ヘルニアに対しdirect Kugel法によるヘルニア修復術を受けた既往があった.腹部造影CTにて左腹壁内に造影効果のない腫瘤像を認めた.既往歴からガーゼ遺残と診断し腹腔鏡下手術を行った.手術所見では腹腔内に突出する腫瘤を認め,肥厚した腹膜を切開し内部のガーゼを除去摘出した.切開した腹膜は縫合閉鎖した.経過は良好で術後2病日で退院した.
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