組織科学
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27 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
特集
  • 今田 高俊
    1993 年 27 巻 1 号 p. 4-14
    発行日: 1993年
    公開日: 2022/07/15
    ジャーナル フリー
     日本的経営がゆらぎ始めている.産業のリストラクチャリングが叫ばれ,高付加価値化に対応した経営組織への脱皮が求められるなか,日本的経営は大きな転機を迎えている.本稿では,日本的経営が戦後の日本社会の状況下で形成された合理的な人材活用システムであること,しかしそれは組織の合理性を貫徹させるにはすぐれているが,従業員の合理性を犠牲にするシステムであることを論証するとともに,その中核からはずれた周辺労働力からの変革入力について考察し,「組織と個人」の新たな関係について展望する.
  • 山田 真茂留
    1993 年 27 巻 1 号 p. 15-25
    発行日: 1993年
    公開日: 2022/07/15
    ジャーナル フリー
     組織アイデンティティの存立根拠が,抽象的な自領域規定としての自己カテゴリゼーションにあるということ,そしてかかる抽象的な自己カテゴリゼーションの表現形態として,具体的な組織文化が成立しているということを,独自の基礎理論的探究から導き出した上で,組織アイデンティティの現代的様相を社会学的に考察し,現代人が原則として自律性を保ちながら,しかも組織の中に囲い込まれてしまっている状況を浮き彫りにする.
  • 守島 基博
    1993 年 27 巻 1 号 p. 26-34
    発行日: 1993年
    公開日: 2022/07/15
    ジャーナル フリー
     現在わが国では,ホワイトカラー人的資源管理システムの見直しが盛んである.本稿では,わが国大企業の人的資源管理システムをよりよく理解するために,これを組織の情報処理の観点から分析するための枠組みが提出される.その骨格は,組織が環境変動や不確実性に対処する方法が,職務上求められる情報処理機能のあり方,さらには組織構成員に必要なスキル(情報処理能力)に影響をあたえ,これが1)人材獲得・育成の方法,2)評価と処遇のあり方,3)コンフリクト対処手段に影響を及ぼす,というものである.
  • ――企業組織の歴史社会学――
    佐藤 俊樹
    1993 年 27 巻 1 号 p. 35-46
    発行日: 1993年
    公開日: 2022/07/15
    ジャーナル フリー
     個人と法人は近代資本主義社会の最も基本的な構成主体である.だが,この三者の関係はあまり明確にされていない.ここでは,まず,従来個人を主体とする資本主義論の代表と考えられてきたM. ウェーバーの議論を出発点に,そこで問題になっているのが実は,個人と近代的法人=近代組織の関係であることを示す.その上で,近代組織が産業化された市場社会と異質な存在であることを明らかにし,西欧における産業化と市場と法人の関係を歴史的に解明する.さらに,それとの対比において日本社会の個人と法人の歴史をとりあげ,最後に,その現在の位相を,近代資本主義の市場社会における個人と法人という一般的なコンテキストから位置づける.
自由論題
  • 稲葉 元吉
    1993 年 27 巻 1 号 p. 47-61
    発行日: 1993年
    公開日: 2022/07/15
    ジャーナル フリー
     「市場経済」と呼ばれる社会システムが,実際に「組織経済」とも称すべきものに転化した現在,いわゆる正統派経済学をもってそれを充分説明する事には,困難がある.
     このような事情を背景に,本稿は,経営学の中核たる現代組織論と,経済学の中核たるミクロ経済学を取り上げ,両者のかかわる領域を中心に,比較相対的にどちらがより現実的な説明を与えうるかにつき,検討をくわえようとするものである.
  • ――日本のロボット産業にみる戦略進化――
    奥村 昭博, 加納 良一
    1993 年 27 巻 1 号 p. 62-74
    発行日: 1993年
    公開日: 2022/07/15
    ジャーナル フリー
     新規事業開発は今日いかなる企業にとっても最重点課題となっている.しかし,その成功確率は必ずしも高くない.その原因はどんな戦略を選択したかによっている.本論文は,日本のロボット産業における事業創造を題材として,いかなる戦略が環境適合的かを実証分析している.方法論的には組織エコロジー論を採用して,定性的な分析を行った.その結果,産業の発展段階に応じて戦略的進化を遂げている企業が成功を収めていることが実証された.つまり,初期においては開拓型戦略をとる企業が成功を収めており,さらに成長後期においては全方位型戦略をとる企業が成功を収めていた.新事業創造にとってはまず積極的に技術および市場開拓に努めることである.その後次第に市場の成長につれてその製品市場のスコープを拡大して全方位型に移行することである.こうした戦略の進化が新規事業を生育してゆくポイントである.
  • ――秋葉原の価格形成プロセス――
    山下 裕子
    1993 年 27 巻 1 号 p. 75-86
    発行日: 1993年
    公開日: 2022/07/15
    ジャーナル フリー
     本論は,秋葉原の事例を通して,価格形成という市場プロセスを情報的相互作用という観点からとらえようとする試みである.「秋葉原価格」は,さまざまな商品の価格の差異と変動から,価格サーチや価格交渉を通して,マクロの需要,競争構造をとらえようとする個々の顧客や店の相互作用から,全体として生まれるマクロ秩序であるが,その形成プロセスには,「場」が重要な役割を果たしている.それは,「場」が,個々の価格の差異と変動とに意味を与える「関係情報」を共有させるような状況設定を提供するからである.
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