従来,医薬品の研究開発は,組織的なマネジメントの問題ではなく個人能力の問題であるとみなされることが多かった.そのため既存研究では,研究開発プロセスにおける組織能力やその企業間差異については十分明らかにされていない.本稿では,日本の大手製薬企業を対象とした調査および公表データをもとにした統計分析より,医薬品の臨床開発段階においては,「go or no-goの判断能力」と「プロトコル・デザイン能力」が重要な組織能力であり企業間で差異が見られること,さらにそれらが研究開発パフォーマンスに影響を与える可能性があることを示す.