組織科学
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33 巻, 4 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
特集
  • James G. March, 西脇 暢子, 桑田 耕太郎
    2000 年 33 巻 4 号 p. 4-8
    発行日: 2000年
    公開日: 2022/07/27
    ジャーナル フリー
     組織に関する研究には,新しいアイディアの創造とそれらを粘り強く展開していく執着とが必要である.そのためには,未来に対する長期的時間展望をもつ必要がある.未来に対する長期的展望は,過去と未来が連続性と何らかの意味での進歩によって,結びつけられているという考え方によって促進される.このような信念をもって,組織研究の歴史に貢献する長期的展望をもった研究を展開することこそ,人類の知識の発展にかかわる我々の責務なのである.
  • 岸田 民樹
    2000 年 33 巻 4 号 p. 9-18
    発行日: 2000年
    公開日: 2022/07/27
    ジャーナル フリー
     1960年代に始まり,1970年代から1980年代にかけて,環境と組織の適合が高業績をもたらすと主張する状況適合理論(Contingency Theory)が,展開された.本稿は,この状況適合理論を体系的に整理し,理論的評価と位置づけを行う.状況適合理論は,環境→組織→人間という,環境決定論的な因果関係をもつOpen&合理的モデルである.ここでは環境・戦略・組織構造・組織過程の多元的適合を達成した組織が高業績を上げると考えられた.さらに,多元的適合は,漸進的・連続的進化ではなく,不連続で段階的な発展を前提することになる.状況適合理論は,OrganizingとOrganizedからなる組織(Organization)のOrganizedの側面を分析する理論である.
  • ――NPOの商業化とNPO的企業――
    谷本 寛治
    2000 年 33 巻 4 号 p. 19-31
    発行日: 2000年
    公開日: 2022/07/27
    ジャーナル フリー
     NPOの商業化・市場化の拡大,NPO的なミッションをもった社会志向型企業の台頭,コミュニティ・ビジネスなどの進展によって,NPOと企業を区分していた境界線を超える新しい現象が広がっている.社会的ミッションとビジネスを結びつけるソーシャル・イノベーションを実践している新しいスタィルの組織は,これからの社会経済システムをつくっていく主体のモデルとして位置づけ,理解することができる.
  • 沼上 幹
    2000 年 33 巻 4 号 p. 32-44
    発行日: 2000年
    公開日: 2022/07/27
    ジャーナル フリー
     本稿はまず合理主義と経験主義の対立を明らかにし,本来,その両者が相互に影響を及ぼしあって社会システムに関する認識の地平が拡大していくことを主張する.その上で近年の経営学的研究の見取り図を作成し,〈極端な実証主義〉的バイアスの位置づけを明確にする.さらに,そのバイアスの源泉あるいは促進要因として,①経営学研究に関する存在論・認識論的な見取り図の欠如,②文献研究否定運動,③経済学者の経営学領域への侵入,④大学院大学化が指摘される.
自由論題
  • 竹田 陽子
    2000 年 33 巻 4 号 p. 45-58
    発行日: 2000年
    公開日: 2022/07/27
    ジャーナル フリー
     本稿では,製品開発において3次元CADなどの情報技術を,あらかじめ定められた前提に従ってコード化,伝送,加工,蓄積するプロセッサーとしてだけでなく,人々のコミュニケーションのメディアとして活用する導入戦略が,製品開発パフォーマンスにいかなる影響を与えるかを検討した.
     機械系企業に対する質問紙郵送調査の分析結果から,3次元情報技術の利用量を単に増やしただけでは製品開発パフォーマンスは向上せず,情報技術の特性を引き出す意識・無意識の行動パターンである導入戦略こそがパフォーマンスに影響を与えるということが確認された.
  • 藤田 英樹
    2000 年 33 巻 4 号 p. 59-75
    発行日: 2000年
    公開日: 2022/07/27
    ジャーナル フリー
     この論文では,従業員の仕事に対する意欲をもりたてるという動機づけの問題を,従業員が自分の仕事や会社に対して抱く「誇り」の気持ちを鍵概念として考察する.既存研究において誇りは自尊感情(self-esteem)として概念化されているが,これは人間の個性の一側面であり,個性だけで動機づけの程度が決まると考えるのは自然ではない.そこで自尊感情とは別個に「仕事・会社への誇り」という概念を内発的動機づけの枠組みに導入し,質問票調査による実証分析を行った.この結果「誇り」は内発的動機づけ要因である自己決定の感覚に対する情報入力として有効であるとともに,状況によっては直接的に動機づけ要因として作用することも明らかになった.
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