先に,理論的考察をもとにして,形成後に一定時間が経過した集団には,パラドキシカルに硬直現象が発生することを指摘した(古川,1988a).本論文では,2つの実証研究によって,まず集団の硬直・衰弱現象の存在を確認し,次いで集団の硬直にとって「集団年齢」のみならず,職場集団内のコミュニケーション特性(とりわけ上司―部下間)が強い影響を及ぼしていることを明らかにする.そして「ネットワーク退化」とでも呼べる症状の発生が集団硬直をもたらすことを示す.これらの知見をもとに,“組織おこし” の基本方策についても言及する.
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