日本接着学会誌
Online ISSN : 2187-4816
Print ISSN : 0916-4812
ISSN-L : 0916-4812
51 巻, 4 号
選択された号の論文の2件中1~2を表示しています
技術論文
  • 下嶋 康平, 嘉流 望, 宗野 孝俊, 藤原 和子, 日笠 茂樹, 藤井 秀司, 中村 吉伸, 棚橋 一郎
    2015 年 51 巻 4 号 p. 116-122
    発行日: 2015/04/01
    公開日: 2017/10/12
    ジャーナル フリー

    ポリビニルアルコール(PVA)水溶液と硝酸銀(AgNO3)水溶液を混合し,キャスト,乾燥して作製してたフィルムに紫外線を照射する光還元法でAg/PVAナノコンポジットを作製した。超薄切片の透過型電子顕微鏡観察の結果,Ag含有量20wt%程度までは,5~10nmサイズのAg微粒子がPVA中に分散し,Ag含有量が増加しても粒子の数が増えるのみで,サイズの変化はなかった。Ag含有量33.3wt%では,Ag微粒子の連続化,凝集が見られ,20~40nmのより大きな粒子が生成していた。動的粘弾性測定から,Ag/PVAナノコンポジット化によるPVAのガラス転移温度の変化は見られなかったが,一般に80℃付近に観察されるPVAのガラス転移温度が約20℃に低下していた。熱重量分析の結果から,Ag/PVAナノコンポジット化によってPVAの熱分解開始温度がより高温にシフトすることが分った。ただし,この現象は硝酸を添加したPVAでも見られた。パルス核磁気共鳴測定から,Ag微粒子によるPVA分子鎖の分子運動の拘束は観察されなかった。つまり,成分間の相互作用発現は確認できなかった。

研究論文
  • 答島 一成, 関口 泰久, 澤 俊行
    2015 年 51 巻 4 号 p. 105-115
    発行日: 2015/04/01
    公開日: 2017/10/11
    ジャーナル フリー

    三次元有限要素法(FEM)を用いて曲げモーメントを受ける同種材料中実円柱および中空円筒段付き重ね合わせ接着継手の応力分布を解析し,接着層の縦弾性係数,接着層厚さ,スカーフ角,段数が接着界面での最大主応力分布に及ぼす影響を調べた。同種材料中実円柱および中空円筒段付き重ね合わせ接着継手のどちらの場合も突合わせ部接着界面の外径端部で最大主応力が特異性を示し,荷重は重ね合わせ部より大方突合わせ部で負担されることが分かった。両継手の場合とも最大主応力の値は接着層の縦弾性係数が小さくなるほど,接着層の厚さが小さくなるほど,また段数とスカーフ角が大きくなるほど小さくなることが示され,角状段付き接着継手の特性との比較検討も行った。FEM 計算による継手強度推定値は実験結果とかなりよく一致し,本研究で扱った寸法では同種材料中実円柱継手の方が中空円筒継手よりも,やや強度が大きくなることが示された。

feedback
Top