六日町盆地における地下水の起源,涵養域,流動系といった水文地質学的特徴を識別するため,水質と酸素同位体比を用いて調査した.本地域の降水にみられる酸素同位体比の高度効果は,-0.25‰/100m と見積もられる.酸素同位体比からみて,地下水は天水起源であり,越後山地や魚沼丘陵から供給されている.Na-Cl 型の地熱水の涵養域は越後山地の高所である.地下水の水質は, Ca-HCO
3, Ca-Na-HCO
3, Na-Ca-HCO
3, Ca-HCO
3-Cl, Na-Cl-HCO
3, Ca-Na-Cl and Cl
--rich Na-Ca-HCO
3 型に分類される.Ca-HCO
3 型と低濃度Ca-Na-HCO
3 型地下水は,盆地の東側に分布し,その他は西側に分布する.Ca-HCO
3 型は始原的な水質で,水-岩石相互作用の進行に伴って,全濃度並びにCa
2+濃度に比してNa
+濃度の増加が起こり,水質が変化する.Cl
-に富む地下水は断層系が存在する盆地の西縁にのみ見出される.これらは浅層の地下水と,深部から上昇してくる地熱水の混合によって形成される.この混合作用は,本地域の地下水の化学的進化における特徴の1つである.
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