日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
31 巻, 4 号
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  • 味噌・醤油酵母の食塩耐性(第1報)
    東 和男, 山本 泰, 好井 久雄
    1984 年 31 巻 4 号 p. 225-230
    発行日: 1984/04/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    味噌・醤油酵母の細胞内への食塩の透過性の防壁となっていると推定される細胞壁の含量と化学組成を検討し,次の結果を得た。
    (1)耐塩性酵母は普通酵母に比べ細胞壁の含量が多く,また含塩下の培養では水分の低下がみられ,これらのことが耐塩性に関与するとも考えられた。
    (2)耐塩性酵母のグルカン含量はS.rouxiiB-2,T.versatilisでは含塩,無塩下の培養で差異はなかったが,S.rouxiiB-1は含塩下の培養で減少した。耐塩性酵母のマンナン・キチン含量は含塩下の培養で減少した。普通酵母のグルカン・マンナン含量は含塩,無塩下の培養にかかわらず少量であった。
    (3)耐塩性酵母の蛋白質含量は含塩下の培養で著しく増加した。普通酵母の蛋白質含量は含塩下の培養で増加し,また塩基性アミノ酸が含塩下の培養で著しく増加した。
  • 馬替 由美, 川嶋 浩二, 柏木 豊, 佐々木 尭
    1984 年 31 巻 4 号 p. 231-235
    発行日: 1984/04/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    Almond β-glucosidase was immobilized by a radiation-polymerization method in a frozen state. The most suitable monomers to give highest activity retention (72%) were polyvinyl alcohol and magnesium acrylate with N, N'-methylene bis acrylamide. No leakage of β-glucosidase from the polymer matrix was observed. Compared with free β-glucosidase, the immobilizen enzyme exhibited (1) improved stability at the acetate buffer concentration of 20-40mM. (2) pH optimum shifted to 4.5 from 5.2 and improved stability at lower and higher pH. (3) A similar optimum reaction temperature, 55°C, but improved thermalstability. (4) Higher apparent Km (20.8mM) for cellobiose compared with Km (5.6mM) of free enzyme.
  • 加藤 節子, 佐藤 孜郎
    1984 年 31 巻 4 号 p. 236-240
    発行日: 1984/04/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    ワカメを煮熟した場合の藻体中の不溶性アルギン酸の変化を質的および量的の両面から検討した。その結果,煮熟に伴い不溶性多糖類は順次水溶性に転化することが確認された。これらの多糖類の95%あるいはそれ以上はアルギン酸で占められ,そのうちの90%あるいはそれ以上が酸不溶性のアルギン酸であった。そして,煮熟に伴い酸可溶性のアルギン酸が増加するのが認められた。水溶性に転化したものの金属組成をみると,煮熟初期では煮熟前の水溶性画分のそれに類似し,煮熟が長くなると不溶性画分本来のパターンに接近し,残留する不溶性画分はCaが著しく増大した。
    不溶性ならびに可溶化両画分いずれも煮熟に伴い重合度が低下した。しかしながら,熱重量分析により求めた活性化エネルギーおよび,パルスNMRにより測定した結合水は煮熟前後で,それ程の変化がみられなかった。
  • 小宮山 美弘, 原川 守, 辻 政雄
    1984 年 31 巻 4 号 p. 241-247
    発行日: 1984/04/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    ソルダムスモモを20℃と30℃に貯蔵し,貯蔵中の果実内蛋白質をポリアクリルアミドゲルディスク電気泳動法を用いてそのプロテインパターンを調べ,高温(30℃)貯蔵における蛋白代謝に関する生理的意義を明らかにしようとした。
    収穫期で得られたプロテインバンドは12個であり,熟期(未熟,適熟,完熟)の差異は認められなかったが,バンドの相対的濃度は若干異なった。適熟期の果実を貯蔵した結果
    (1)20℃では一時バンド濃度は高くなるが,7日以後はほとんど消失した。
    (2)30℃では11日間同一パターンで推移し,バンド濃度は高くなる傾向が認められ,新たに出現するバンドもみられたが,15日後ではほとんどのバンドが消失した。
    (3)30℃から20℃へ貯蔵するとバンドは消失し,20℃から30℃へ貯蔵するとバンドの再成傾向がみられた。
    完熟期の果実を30℃に貯蔵した場合,4日後でバンドの消失が起こり,7日後になるとほとんど消失した。
    以上の結果から蛋白代謝と果実の貯蔵温度との間に密接な関係のあることがわかった。
  • 差スペクトルに基礎を置く分光測光法によるアスコルビン酸の定量(第4報)
    東野 哲三, 藤田 修二
    1984 年 31 巻 4 号 p. 248-253
    発行日: 1984/04/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    差スペクトルに基礎を置くアスコルビン酸酸化酵素(AAO)の活性測定法を設定するに先だち,ミカンAAO活性に及ぼす温度,pH等の影響を調べた。ミカンAAOは30~35℃において活性が高く,50℃以下では安定であったが,それ以上では不安定となり70℃で失活した。pHについては5.5附近に最高値がみられ,pH 5~9と比較的広いpH域で安定であった。これらの結果に基づき,DS法によるAAO活性の測定条件を検討した。その結果,比較的低い濃度範囲では,AAO濃度とAsAの酸化速度(ΔE243/5min)との間に直線的関係の成立することが確められ,この関係を用いてAAO活性を正確に測定しうることが認められた。この活性測定法により発育中の温州ミカンの果皮のAAO活性値を測定したところ,それは発育初期には著しく高かったが,それ以降急速に低下することが見出された。
  • モモ種子の脂質に関する研究(第3報)
    竹永 章生, 伊藤 真吾, 露木 英男
    1984 年 31 巻 4 号 p. 254-262
    発行日: 1984/04/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    未熟期と完熟期におけるモモ果実(倉方早生,大久保,山根)の種子および核から総脂質を抽出し,ケイ酸カラムクロマトグラフィー,薄層クロマトグラフィー,シンクログラフィー,ガスクロマトグラフィーを用いて,その脂質組成および脂肪酸組成を比較検討し,次のような結果を得た。
    (1)総脂質含有率は,未熟期のモモ種子(含水率70.0~82.0%)で0.1~0.2%,完熟期の種子(含水率54.0~63.0%)で5.6~10.5%であった。一方,未熟期の核(62.0~85.0%)では0.1~0.3%,完熟期の核(33.0~43.0%)では約0.1%であった。
    (2)種子の総脂質中の中性脂質区分含有量は,未熟期より完熟期で非常に多かった。一方,核では,中性脂質区分,糖脂質区分,リン脂質区分の各含有量は,完熟期より未熟期でやや多かった。
    (3)中性脂質区分を構成する脂質として,両熟期の両部位とも,トリアシルグリセロール,ステロール,1,2-ジアシルグリセロール,1,3-ジアシルグリセロール,ステロールエステル,遊離脂肪酸,モノアシルグリセロール,炭化水素の8種の脂質が同定された。これらのうち,主成分は,種子ではトリアシルグリセロールであり,とくに完熟期で非常に高い含有率を示した。一方,核中の中性脂質区分の主成分は,ステロールであり,両熟期とも高い含有率であった。
    (4)糖脂質区分を構成する脂質のうち,同定されたものは,両熟期の両部位とも,アシルステリルグルコシド,モノガラクトシルジグリセリド,ステリルグルコシド,セレブロシド,ジガラクトシルジグリセリドの5種であった。これらの脂質のうち,アシルステリルグルコシドの含有率が,両部位とも未熟期で非常に高かった。
    (5)リン脂質区分を構成する脂質のうち,同定されたものは,両熟期とも,種子でホスファチジルエタノールアミン,ホスファチジルコリン,ホスファチジルセリンの3種であり,核では前記3種の脂質のほかに,ホスファチジルイノシトールが確認,同定された。これら各脂質含有率の熟期による大きな差異はみられなかった。
    (6)総脂質,中性脂質区分,糖脂質区分およびリン脂質区分の脂肪酸組成の熟期による相違をみると,種子では,総脂質の18:1酸含有率とリン脂質区分の18:2酸含有率が完熟期に非常に高く,一方,核では,糖脂質区分の16:0酸含有率が未熟期に,同区分の18:3酸含有率が完熟期に高かった。
  • 星 祐二, 山内 文男
    1984 年 31 巻 4 号 p. 263-271
    発行日: 1984/04/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    凍結乾燥大豆タンパク質を相対湿度96%,50℃で保存して吸湿させ,更に保存後吸湿したタンパク質にリン酸緩衝液を加えることによってゲル化させることができた。
    得られたゲルのテクスチャーを機械的測定によって検討した。ゲルを調製する際にイオン強度0.5のリン酸緩衝液を用いた場合,吸湿後1日目で7Sグロブリンはゲル化し,酸沈殿タンパク質(APP)は3日目で,11Sグロブリンは5日目でゲル化した。イオン強度0.01と0.1のリン酸緩衝液を用いると,APPと7Sグロブリンのゲル化は抑制されたが,イオン強度0.1で11Sグロブリンのゲル化が促進された。吸湿法によるゲルを90℃,30分間加熱するとゲルの硬さは未加熱の4~15倍に増加し,また加熱だけによるゲルよりも硬いゲルが得られた。また吸湿によって得られたゲルの微細構造を走査型電子顕微鏡を用いて検討した。
  • 平田 孝, 石谷 孝佑, 山田 毅
    1984 年 31 巻 4 号 p. 272-277
    発行日: 1984/04/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    火入れを施こさない乾のり(水分9.1%)中のクロロフィル,アスコルビン酸は,-20℃,-50℃において良好に保持され,その貯蔵安定性は火入れ処理により水分3~5%程度に乾燥した乾のり中に存在する場合に相当することが明らかとなった。-50℃まで貯蔵温度を下げても,安定性はそれほど改善されず,-20℃で充分であった。窒素置換包装も色素の分解抑制に有効であったが,低温貯蔵下では実用的な意味はあまり認められなかった。アスコルビン酸の保持のためにも低温貯蔵が有効であったが,水分3.0%の試料を-50℃に貯蔵した場合でも,11ヵ月後に約13%の分解が認められた。30℃貯蔵区のアスコルビン酸の保持には窒素置換包装が非常に効果的であった。
  • 油脂の安定性に及ぼすアミノ化合物の影響(第10報)
    山口 直彦, 赤塚 慎一郎
    1984 年 31 巻 4 号 p. 278-280
    発行日: 1984/04/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1)無塩豆味そはトコフェロールとは著しい相乗性を示した。そのうえ,フィチン酸及びアスコルビン酸との間にも弱いながらも相乗性が認められた。
    (2)無塩豆味そ+トコフェロール系の混合製剤を調製し,その抗酸化力及び45℃,3ケ月間保存によるその効力の変化を測定した結果,トコフェロール:無塩豆味そ(2:8)区,トコフェロール:無塩豆味そ:アスコルビン酸(2:7:1)区の両者の抗酸化力は著しく強く,さらに両試料は45℃,3カ月間の保存によって抗酸化力は増大した。
  • 林 徹, 杉本 敏男, 川嶋 浩二
    1984 年 31 巻 4 号 p. 281-284
    発行日: 1984/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    馬鈴薯及び甘藷のショ糖合成酵素及びショ糖リン酸合成酵素の活性は,照射後数日間増加した後に減少した。これらの酵素の活性の高い時期と照射した馬鈴薯や甘藷においてショ糖が増加している時期が一致した。このことは,照射した馬鈴薯や甘藷において,ショ糖合成酵素とショ糖リン酸合成酵素がショ糖の増加に大きな役割を果していることを示唆している。
  • 光岡 知足
    1984 年 31 巻 4 号 p. 285-296
    発行日: 1984/04/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
  • 板垣 孝治
    1984 年 31 巻 4 号 p. 297-298
    発行日: 1984/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 1984 年 31 巻 4 号 p. A25-A31
    発行日: 1984/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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