タールウレタン樹脂系重防食塗料の鋼板接着性におけるコールタール成分の配合効果を調べるため:モデルコールタール成分として多環芳香族化合物を配合した硬化樹脂塗膜を鋼板上に形成し,常態接着力およびその塩水噴霧環境下での経時変化を測定した。ナフタレン,2-ナフトール,フェナントレン各配合系に常態接着力向上性を認めが,塩水噴霧環境下の接着力経時耐久性では,2-ナフトール配合系にのみ優れた効果が認められた。その機構を調べるため,2-ナフトールおよび対照試料としてフェナントレンを配合した硬化塗膜の温度分散下の動的粘弾性を測定した結果,2-ナフトール配合系は,貯蔵弾性率の減少幅が大きく急激で,かつtan5ピークの低温シフト性も大きいことがわかった。2-ナフトールが,NCO基の一部に付加反応して硬化系にペンダントされ優れた反応性可塑剤として作用し,硬化収縮によって発生する内部応力をより良く緩和したため,と考察した。
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