Journal of UOEH
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17 巻 , 4 号
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  • 安河内 秀興, 和田 伸一, 浦崎 永一郎, 横田 晃
    原稿種別: 原著
    1995 年 17 巻 4 号 p. 229-246
    発行日: 1995/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    夜勤業務のヒトの認知機能に及ぼす影響を評価するために, 音刺激によるオドボールパラダイムを用いた事象関連電位(ERPs)P300を17人の看護婦(平均年齢27.4±6.1歳;21-41歳)に対し, 夜勤業務後, 日勤業務後と休日の3回, 12人の高年齢守衛業務者(平均年齢62.8±2.2歳;60-67歳)に対し, 深夜勤後と休日の2回記録した.すべての被験者においてERP記録前にSACL (Stress Arousal Check List)を用い, ストレス度および覚醒度の判定を行った.17人の看護婦のうち, 14人は20歳代(平均年齢24.9±2.6歳;21-29歳), 3人は20歳代を越える年齢であった(平均年齢39.0±2.6;36, 40, 41歳).この14人の看護婦を若年者群とし, すべての守衛業務者を高年齢者群とした.若年者群において, 休日に比して夜勤業務後にストレス度は有意に増加し(P<0.05), 覚醒度は有意に減少していた(P<0.01).P300成分の振幅は, これら二つの時間帯で有意な差は認めなかったが, 夜勤業務後減少する傾向にあり, 一方潜時は変化はなかった.より年輩の3人の看護婦のP300潜時は若年者群同様変化なかったが, 振幅は休日の振幅と比べ, 有意に減少していた(P<0.05).一方, 高年齢守衛業務者12人においては, 休日と夜勤後の二つの時間帯でストレス度と覚醒度に有意な変化は認められなかった.しかしながら, 夜勤業務後P300潜時が有意に延長していた(P<0.01).振幅は多くの高年齢守衛業務者で夜勤業務後に減少する傾向が認められたが, 有意な差はなかった.P300の振幅は注意力を表し, その潜時は認知過程に要する時間を反映すると考えられており, 高年齢守衛業務者では夜勤業務により認知過程が遅延することが導かれた.我々の結果として夜勤業務は若年労働者より高年齢労働者に対し大きな影響を与えることが示唆された.またP300は, 夜勤業務あるいは交替性勤務によって生じるヒトの高次脳機能の変化を評価することが可能で, 本研究の結果により労働者の年齢に基づいた交替性勤務スケジュール作成に有益な情報を提供し得ることが結論された.
  • 保利 一, 黒木 孝一, 葉山 勝美, 徳渕 久人, 馬場 快彦, 田中 勇武
    原稿種別: 原著
    1995 年 17 巻 4 号 p. 247-259
    発行日: 1995/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    福岡県内の溶接作業を行っている13社(20単位作業場所)において, 作業環境中の粉じん濃度, 個人曝露濃度および粒度分布の測定を行った.作業環境測定はデジタル粉じん計で行い, 各単位作業場所中の1箇所については, アンダーセンサンプラーおよびローボリウムエアーサンプラー(労研式TRサンプラー)を用いて併行測定を行った.個人曝露量はTR個人サンプラーおよび分粒装置付き個人サンプラーを使用した.A測定結果は幾何平均濃度で平均0.4 mg/m3(0.15-0.64 mg/m3)であり, 20中18の作業場で第1管理区分であったが, B測定結果では19の作業場で第3管理区分であった。個人曝露濃度は平均で11.3 mg/m3であった.粒径については環境粉じんの方が個人曝露粉じんより有意に大きく(P<0.001), 空気力学的平均径はそれぞれ2.41μmおよび0.80μmであった.走査型電子顕微鏡を用いて粒子を観察した結果, 大部分の粒子は球形であったが, 微小な粒子は凝集し, 二次粒子を形成していることが認められた.
  • 木下 良正, 入口 紀男, 横田 晃
    原稿種別: 原著
    1995 年 17 巻 4 号 p. 261-269
    発行日: 1995/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    自然界において粒子からなる系でみられる微視的現象として拡散現象があるが, この現象を解析することにより生体における各病態の動的・質的脳組織構造変化の解析が期待される. そこで当大学に設置された動物専用MR装置(SIS 200/400 MRI/MRS experimental system, 4.7 tesla, 400 mm bore)において拡散強調画像および拡散係数の信頼性・再現性と動物における正常値について検討した. スピンエコー法のT2強調画像の180°パルス前後に最大1.5 G/cmのmotion-probing gradient(MPG)をかけ, 拡散強調画像を撮像し拡散係数を求めた。水, アセトンや正常ラット脳の拡散係数は従来の報告と一致していた. ファントム実験では中心部の経時的変動の誤差には有意差はないが, 位置による誤差がみられ検体の固定位置に注意を払う必要があることがわかった. 幼犬を用いた測定では平均の拡散係数は, 灰白質で1.14-1.42×10-3 mm2/sec, 白質では1.17×10-3(軸索平行方向), 0.89×10-3(軸索垂直方向)mm2/sec, 内包では1.66×10-3(軸索平行方向), 0.57×10-3(軸索垂直方向)mm2/sec, 視床では0.91-0.95×10-3mm2/secであった. 拡散強調画像より拡散係数マップの作成が可能であり, MPGの方向を変えることにより水分子の拡散の異方性の定量や画像化に成功した. 拡散係数はT1緩和やT2緩和に影響されない新たな脳組織構造の評価の指標と考えられる. 今回の検討で得られた結果より, 位置による誤差を少なくすることで組織構造の変化を経時的に, 非侵襲的に定量解析でき, 今後の研究応用が期待される.
  • 加藤 貴彦
    原稿種別: 総説
    1995 年 17 巻 4 号 p. 271-278
    発行日: 1995/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    末梢白血球より, ゲノムDNAを抽出し, シトクロームP450 1A1(CYP 1A1)exon 7の遺伝子多型, グルタチオンS-トランスフェラーゼM1(GSTM1)遺伝子欠損型と肺癌, 口腔癌, 尿路上皮癌との関連性についてPolymerase chain reaction(PCR)法を用いて解析した. CYP 1A1のVal/-Val型は, 健常者群で88例中5例(5.6%)に対し, 肺癌患者群33例中1例(3.0%, [P>0.05], オッズ比0.52[Ile/Ile + Ile/Val as base line], 95%信頼区間:0.21-17.3), 口腔癌患者群32例中4例(12.4%, [P>0.05], オッズ比2.37, 95%信頼区間:0.60-9.30), 尿路上皮癌患者群85例中4例(4.8%, [ P>0.05], オッズ比0.82, 95%信頼区間:0.21-3, 16)であった. GSTM1欠損型の頻度は, 健常者群で39.8%に対し, 肺癌患者群45.5%, 口腔癌患者群50%, 尿路上皮癌患者群61.2%であった. GSTM1欠損型の頻度は, 尿路上皮癌患者群で統計学的に有意な増加(P<0.05)が認められた(オッズ比:2.38, 95%信頼区間:1.28-4.34). CYP 1A1とGSTM1の遺伝子型を組み合わせて解析した結果, CYP 1A1 Val/Val型でかつ, GSTM1欠損型のオッズ比は肺癌患者群で1.42(95%信頼区間:0.12-16.8), 口腔癌患者群3.64(95%信頼区間:0.47-27.9), 尿路上皮癌患者群1.02(95%信頼区間:0.14-7.53)であった. 今回の実験結果から, GSTM1遺伝子欠損型が, 尿路上皮癌の遺伝的背景となっている可能性が明らかとなった.
  • 松田 晋哉, 上原 新一郎
    原稿種別: 報告
    1995 年 17 巻 4 号 p. 279-285
    発行日: 1995/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    本研究では産業医養成のための教育のあり方について明らかにする目的で, 1994年度の本学医学部4年86名を対象として将来の進路の志向の決定要因をAHPを用いて分析した. その結果, 学生は卒後の進路を決定する要因として, 「やりがい」, 「収入」, 「医者らしさ」を重視しており, その結果, 将来の志向としては, これらのキーワードに対して満足度の高い外科系臨床医, 内科系臨床医が最も多いと判断された. 臨床医と産業医それぞれを志望する者の比較では, 後者で「修学資金」や「安定性」を重視する点が特徴的であった. さらに, 臨床医希望者と産業医希望者をAHPで分析した結果では, いずれの場合も外科系臨床医, 内科系臨床医の選好度が高く, 産業医希望者においても進路を決定する種々の条件を考慮すると産業医の選好度が低くなることが明らかとなった. この事実は, 本学における卒前教育を考える上で重要な検討課題を投げかけていると考えられる.
  • 大橋 浩
    原稿種別: 原著
    1995 年 17 巻 4 号 p. 287-298
    発行日: 1995/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    非特定的な読みを持つ不定名詞句と, それを先行詞とする定名詞句や代名詞との間の照応が法表現のスコープ内で生じる場合には, ある意味論的な制約が存在することが知られている. 本稿ではその制約を第一義的に人間の認知に関わる問題として把え, この現象を正しく記述する枠組みとしてG. Fauconnierによって提案・展開されているメンタル・スペース理論を取り上げる. まず主な先行研究を検討したうえで, そこで得られた知見や, 問題となりうる事実をこの枠組みでどのように扱うことができるかを論じる.
  • 産業医科大学
    原稿種別: ワークショップ
    1995 年 17 巻 4 号 p. 299-320
    発行日: 1995/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
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