Journal of UOEH
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19 巻, 4 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 村里 嘉信, 永元 康夫, 占部 武彦, 倉岡 文夫, 中島 康秀, 黒岩 昭夫
    原稿種別: 原著
    1997 年 19 巻 4 号 p. 241-254
    発行日: 1997/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    重症心筋虚血時の心室性不整脈と伝導不均一性にリドカインとジルチアゼムが及ぼす影響を検討した.成犬をA, B, Cの3群に分け, それぞれ生理食塩水, リドカイン, ジルチアゼムを虚血前より持続投与し, 虚血はretrograde blood flow法を行った.B群では, 10連発以上の期外収縮からなる心室頻拍, 心室細動の発生率がB群に比べ高頻度であったが, C群では変化を認めなかった.伝導遅延不均一性の最高値を心外膜, 心内膜, 心筋層内で検討したが, 3群間に有意差はなかった.その最高値までの到達時間は, A群と比べ, B群が心外膜, 心筋層内で短縮し, C群が心内膜で延長していた.これらの結果より, リドカインは, 急速に心外膜, 心筋層内での伝導不均一性を進行させるため, 虚血による不整脈を増悪し, ジルチアゼムは心内膜での進行を遅らせるが, 心外膜, 心筋層内では影響を及ぼさず, 不整脈の発生にも影響しないことが示唆された.
  • 南部 滋郎, 田中 晋, 南部 文子
    原稿種別: 原著
    1997 年 19 巻 4 号 p. 255-264
    発行日: 1997/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    ホモロジーに基づいてプライマーを設計し, アメリカ産アルテミア胚のcDNAを鋳型としてPCRを行い, トレハラーゼcDNAの断片を増幅した. 得られた断片は228bpで, 76個のアミノ酸からなり, ゴミムシダマシ, ウサギ, C.elegans, カイコおよび大腸菌のトレハラーゼに高い類似性(58-38%)を認めた. この断片をプローブとしてノーザンブロットしたところ, アメリカ産アルテミアでは5.0, 2.7および2.2kbの転写産物を, 中国産では前2者のみを検出した. トレハラーゼ活性と転写産物の発生における変化を両アルテミアで比較検討した結果, 5.0および2.7kbの産物がトレハラーゼの翻訳に直接または間接的に関与していると考えられた. サザンブロットの結果, 両アルテミアにハプロイドゲノムあたり2コピーの遺伝子が存在するか, またはプローブ結合部位にイントロンのある1コピーのトレハラーゼ遺伝子があると考えられた.
  • C57BL/OlaマウスとC57BL/6Jマウスとの比較
    赫 秋月, 韓 漫夫, 大西 晃生, 山本 辰紀, 村井 由之
    原稿種別: 原著
    1997 年 19 巻 4 号 p. 265-275
    発行日: 1997/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    アクリルアミド(ACR)が, 変異C57BL/Ola(Ola)マウスと正常C57BL/6J(6J)マウスにおいて, 坐骨神経挫滅後の有髄線維の変性・再生過程に及ぼす影響の差異を明らかにすることを本研究の目的とした. この結果は, ヒトの末梢神経障害における個体間の易障害性の差異の理解にも有用であると考えられる. 坐骨神経の挫滅処置14日後に, 挫滅部位近位端より5mm遠位部で, その有髄線維を組織計測学的に評価した. Olaおよび6JマウスをそれぞれACR投与群(挫滅日より隔日で計7回のACR50mg/kg皮下注射, n=6)と生理食塩水(生食)投与群(n=6)に分けた. Olaマウスでは生食およびACR投与群に共通して大径, 小径両有髄線維の著明なウォーラー変性の進行所見は認められず, 6Jマウスに比較して有髄線維の変性が遅延していた. 一方, 6Jマウスでは生食およびACR投与群に共通して大径, 小径両有髄線維の変性後に再生した小径有髄線維が認められた. Olaマウスにおいて, 組織計測学的パラメーターのいずれについても生食投与群とACR投与群の間に差が認められなかったことより, ACRはOlaマウスのウォーラー変性過程に有意な影響を及ぼさないと判断された. 一方, 6Jマウスでは, 再生小径有髄線維数がACR投与群で生食投与群より低値を示したことより, ACR投与により有髄線維の再生が抑制されたと判断された. 再生有髄線維の直径分布の検討から, この再生抑制は一部の軸索の出芽および伸長の遅延または欠如によって生じると判断された. 末梢神経有髄線維の変性および再生過程の研究では実験動物のsubstrainの差がその結果に大きな影響を及ぼすと判断される.
  • 梁 美姫, 山村 香織, 晏 穎, 深町 幸代, 平野 雄, 川本 俊弘, 東 監
    原稿種別: 原著
    1997 年 19 巻 4 号 p. 277-286
    発行日: 1997/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    3'-メチル-4-ジメチルアミノアゾベンゼン(3'-Me-DAB)長期投与により, 化学発癌耐性ラット(DRH)および感受性ラット(呑竜)の肝ミクロソームにおけるシトクロームP450の経時的変化を検討した. 呑竜ラットにおいては, 投与中肝シトクロームP450含量は, 減少の傾向を示したが, DRHラットの肝では殆ど変動を示さなかった. 次にシトクロームP450のアイソザイムであるCYP1A1, CYP1A2, およびCYP2E1夫々の活性を測定した. その結果, 特にシトクロームP450の活性の動向のみで化学発癌に対する感受性を説明し得るほどの顕著な差異は両者の間で観察されなかった. 長期投与中における呑竜ラットの肝シトクロームP450含量の減少は, 3'-Me-DABによる肝傷害のためと考えられる.
  • 松田 明美, 松原 節子, 原田 ヨシ子, 松田 晋哉
    原稿種別: 原著
    1997 年 19 巻 4 号 p. 287-295
    発行日: 1997/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    某電機工場事務室で時間分煙から喫煙室設置による空間分煙に切り替えを行った際, その前後で浮遊粉塵量測定, および従業員の自覚症状等に関するアンケートを行った. 浮遊粉塵濃度は時間分煙時の喫煙タイム時に比較し, 5分の1に減少し, 喫煙者, 非喫煙者とも分煙したことに対し満足とする意見が多かった. 空間分煙は時間分煙に較べ有効と考えられた.
  • 宮田 正和, 田中 由美, 辻 貞俊
    原稿種別: 原著
    1997 年 19 巻 4 号 p. 297-305
    発行日: 1997/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    産業ストレスを生じる要因として, 職業・職場要因, 個人的要因, 社会的要因などが考えられる. これらの要因により心身の健康障害が起こり, 心療内科を受診する患者は年々増加している. 本研究では心療内科を受診した患者796人の職業の有無, 職種, 疾患の種類, 発症因子を調べ, 有職者については産業ストレスの関連を調べた. 有職率は男62.6%, 女28.1%と男が高かった. 職種別では学生や主婦を除くと事務職, 現業・技能職, 医療職などが多かった. 疾患別では気分障害, 不安障害, 神経筋肉疾患などが多かった. 有職者の発症要因別では男は職業・職場要因が関与するものが56.3%と多く, 女では個人的要因が主の者が42.4%と最も多かった. 以上の結果から有職者の半数近くは心身症や精神疾患の原因として産業ストレスが関連していることが示唆された. これらのケースでは, 職場の上司・同僚, 産業医などと連携した心身医学的治療が重要と考えられる.
  • 阿部 利明, 山本 久夫, 欅田 尚樹, 法村 俊之
    原稿種別: 技報
    1997 年 19 巻 4 号 p. 307-312
    発行日: 1997/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    放射性物質による内部被曝に対する生物効果の研究で要求される. シミュレーション照射を行うための137Csガンマ線照射装置について照射試験を行った. まず, 線量率を測定した結果, 線源からの距離の逆2乗法則に従って減少していることが示された. 次に, シミュレーション照射を行ったところ, 積算吸収線量の測定値と計算値とは2%以内で一致し, 本装置によるシミュレーション照射は, 十分に有効であることが確認された.
  • 三宅 晋司
    原稿種別: 総説
    1997 年 19 巻 4 号 p. 313-325
    発行日: 1997/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    著者のこれまでのメンタルワークロードに関する研究結果に基づき, 作業負荷要因以外の, ワークロード評価指標に影響する要因について考察した. まず, 主観的ワークロード評価指標の例として, NASA-TLXによる実験例を取り上げ, 主観指標が直前の作業負荷に影響を受けることなどを示した. 次に, 生理指標として心拍変動性についての実験例を紹介し, 作業中に被験者が呼吸リズムを一定に保てなかった例や, 発汗反応はワークロードに感度が高いが, 低反応者もいることなどを示した. さらに, 生理反応の作業特異性とタイプAなどの個人特性に関する結果を示し, 自律神経系の交感・副交感神経の共働作用について引用し, 一見, 矛盾して見える生理指標間の反応関係の解釈を試みた. 最後に, 反応は全員異なることもある(「十人十色」)ことを述べ, 個人差に対応したデータ処理の戦略の必要性を強調した.
  • 織田 進, 八幡 勝也, 東 敏昭, 舟谷 文男
    原稿種別: 医学教育
    1997 年 19 巻 4 号 p. 327-335
    発行日: 1997/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    産業保健現場での健康管理, 職場巡視記録などや自己学習による産業医学の知識習得に対するコンピュータ活用は必須になりつつある. 今回我々は, 心電図判読自己学習システムとインターネットを活用した職場巡視・健康管理支援システムを試作し, 産業医学基本講座の健康管理の実習に応用した. 学習者の中から任意に抽出された24名より数項目(理解しやすさ, 教員の熱意など)からなる5段階評価を受けた. 各項目の総平均は4.3であった. 今後は, 教員数や時間的制約の中でより効果的な産業保健の教育を目的に, マルチメディア教材の作成に取り組みたい.
  • 1997 年 19 巻 4 号 p. 337-345
    発行日: 1997/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
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