Journal of UOEH
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38 巻, 3 号
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  • イティパット アルンスラット, サウィター ルエンヨッルチャクン, クリッティン プラティープンラット, ピッタヤプーム シリパウプラディト ...
    原稿種別: [原著]
    2016 年 38 巻 3 号 p. 199-206
    発行日: 2016/09/01
    公開日: 2016/09/13
    ジャーナル フリー

    閉塞性睡眠時無呼吸は,生命の危険を伴う心血管疾患に付随する一般的疾患である.男性の被検者は,女性の被検者よりも閉塞性睡眠時無呼吸の危険性が高い.ベルリン質問票は,閉塞性睡眠時無呼吸の有益なスクリーニング法であり,14項目からなる.ベルリン質問票は,タイまたはアジアの人々用には,補正が必要である.我々はタイ男性医療従事者において,閉塞性睡眠時無呼吸の高危険群の識別に必要なベルリン質問票の項目を明らかにすることを目指した.本研究はコンケン大学医学部に勤務する35歳以上のタイ男性医療従事者について実施した.タイ版ベルリン質問票を無作為に配布した.95%の信頼値をもたらすのに必要な調査対象者は273名であった.多変量ロジスティック回帰分析を用いて,ベルリン質問票の個別項目分析を実施し,閉塞性睡眠時無呼吸の高危険の独立要因を評価した.配布した質問票273のうち,135名が質問票に回答した(49.5%回答率).回答者のうち41名(30.4%)は,閉塞性睡眠時無呼吸の高危険群と認定された.ベルリン質問票の質問項目のうち,頻回の鼾,高肥満度,高血圧症の3項目だけが閉塞性睡眠時無呼吸の独立の高危険要因であった.結論として,ベルリンアンケート質問票は,(睡眠ポリグラフ計ではなく)質問票のみによって閉塞性睡眠時無呼吸の高危険群の認定可能な簡易化が可能である.

  • 善家 雄吉, 池田 聡, 福田 文雄, 田中 正宏, 田中 秀敏, 平野 文崇, 酒井 昭典
    原稿種別: [原著]
    2016 年 38 巻 3 号 p. 207-214
    発行日: 2016/09/01
    公開日: 2016/09/13
    ジャーナル フリー

    非定型大腿骨骨折(atypical femoral fracture : AFF)は,ビスフォスフォネート(BP)製剤の長期使用,あるいは日本人高齢者における外弯した大腿骨におけるストレス骨折など幾つかの要因が関与している.しかしながら,各施設単独では,まとまった症例数を経験することができないため,当院および関連施設において過去に発生したAFF症例を多施設共同研究として集積した.本研究の目的は,そのデータを解析し,特徴を分類化することである.対象は,多施設で発生したAFF24症例34骨折(両側8例),男性1例,女性23例で,平均年齢73.0歳である.評価項目は,ビスフォスフォネート(BP)製剤使用の有無と使用期間,その他薬剤使用歴,合併症の有無,骨折部位,大腿骨外弯の有無,骨生検パラメータ,骨癒合期間などとした.結果は,BP製剤使用例は19例,投与期間は平均6.1年であった.骨折部位は,転子下16,骨幹部18であり,完全骨折22,不全骨折12であった.また大腿骨外弯ありは16例で,すべて骨幹部に発生していた.骨癒合期間は平均9.0ヶ月であり,完全骨折が平均11.3ヶ月であったのに対し,不全骨折は平均3.7ヶ月であった.全症例をBP関連型:2例,薬剤・合併症型:3例,外弯型:2例,混合型:17例に分類した.本骨折の成因は単一のみでは説明し難く,相互作用による骨質の劣化や,機械的ストレスが絡んだ多因子関与であった.

  • 櫻井 健治, 三宅 祐一, 雨谷 敬史
    原稿種別: [原著]
    2016 年 38 巻 3 号 p. 215-221
    発行日: 2016/09/01
    公開日: 2016/09/13
    ジャーナル フリー

    捕集時にポンプを使用しないパッシブサンプラーは,置いておくだけの分子拡散を利用してガス状汚染物質を捕集する装置であり,操作が簡便で電源が要らないなど有用な手法である.しかし,湿度,風などの環境条件の影響を受けるという報告があり問題となっているので,本研究では,世界で初めてパッシブサンプラー用の除湿装置を考案し,その性能を1,3-ブタジエンの捕集で検討した.1,3-ブタジエンは,自動車排出ガスに多く含まれ,また健康影響も大きい大気汚染物質であるが,分解しやすく,その捕集精度が問題となっている化合物である.除湿装置は,ステンレス製のかごに,過塩素酸マグネシウムを充填したもので,過塩素酸マグネシウムはアクティブサンプラー用の除湿剤として既に使用されている除湿剤である.この結果,除湿装置をつけたパッシブサンプラーでは,パッシブサンプラー単独の場合と比較して1.3~2.5倍の捕集量を得ることが分かった.1,3-ブタジエン以外の化合物,例えばキシレンでは,除湿装置が風防装置の役割を果たしたため,捕集量が逆に減少した.これらのことから,1,3-ブタジエンの場合,除湿装置が酸化性の物質も同時に防ぐ可能性が示された.

  • 福田 和正, 小川 みどり, 谷口 初美, 齋藤 光正
    原稿種別: [総説]
    2016 年 38 巻 3 号 p. 223-232
    発行日: 2016/09/01
    公開日: 2016/09/13
    ジャーナル フリー

    1970年代に16S rRNA遺伝子の塩基配列に基づく細菌の系統的な生物種分類法が提唱されて以来,微生物を検出するため,従来の培養法に加え,培養法に依存しない分子生物学的手法が考案されてきた.その開発と普及は微生物研究に革命的な進歩をもたらし,従来の培養法では検出できない細菌の研究に大きく寄与している.蛍光 in situ ハイブリダイゼーション法(FISH),定量PCR(Q-PCR),末端標識制限酵素断片多型分析(T-RFLP),変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法(DGGE),クローンライブラリー解析や次世代型DNAシークエンス解析などの16S rRNA遺伝子を標的とした分子生物学的手法は,さまざまな微生物研究に応用されている.特に,次世代型DNAシークエンサーを用いた多くの研究は,大規模な細菌叢解析を可能にしており,最近の多くの研究は人体のさまざまな部位や,地球上のさまざまな場所に予想以上の数と種類の細菌が生息していることを明らかにしている.これらの分子生物学的手法は,それぞれの方法で原理や特徴は異なり,標的特異性,網羅性,迅速性や経済性などにおいて,それぞれ独自の利点を有している.それゆえ,研究の目的や対象に応じて,適した手法を選択することは重要である.本稿では,細菌叢解析に用いられる16S rRNA遺伝子を標的とした手法について概説し,それぞれの手法の利点や限界について考察する.

  • 吉村 玲児, 堀 輝, 香月 あすか, 阿竹 聖和
    原稿種別: [症例報告]
    2016 年 38 巻 3 号 p. 233-236
    発行日: 2016/09/01
    公開日: 2016/09/13
    ジャーナル フリー

    メージュ症候群は,顎口腔部や顔面のジストニアを特徴とする比較的稀なジストニアである.不随意に生じる瞬目や顎の突出も伴う.舌の突出,閉眼滑舌不良あるいは広頸筋の突っ張りなどの症状が認められる事もある.症例は44歳の日本人統合失調症の患者である.初発症状は,幻聴,迫害妄想,精神運動興奮,連合弛緩,落ち着きのなさであった.何種類かの抗精神病薬が試みられた後,リスペリドンによる治療が開始され緩徐に4 mg/日まで増量された.その結果上記の症状の改善が認められた.リスペリドン4 mg/日投与開始1年後から,顎口腔部の不随運動や眼瞼痙攣,光過敏症,開口障害,顎の痛み,構音障害などの症状が出現した.これらの症状からメージュ症候群と診断された.抗精神病薬がリスペリドンからパリペリドン 6 mg/日へと変更となった.その結果,瞬目,光過敏症,顎の痛み,開口障害は徐々に改善した.しかし,構音障害は持続した.パリペリドンに変更6ヶ月後にはこの患者のメージュ症候群の症状は完全に治癒した.患者は現在パリペリドン12 mg/日で精神症状の再燃もなく統合失調症の寛解状態を維持している.本症例はリスペリドンでメージュ症候群が生じた場合には,パリペリドンへの変更により改善する可能性を示唆している.しかし,その機序に関しては不明である.

  • 鈴木 秀明, 小泉 弘樹, 北村 拓朗, 田畑 貴久, 喜瀬 祥啓, 橋田 光一
    原稿種別: [原著]
    2016 年 38 巻 3 号 p. 237-242
    発行日: 2016/09/01
    公開日: 2016/09/13
    ジャーナル フリー

    鼓膜形成術は耳科手術の基本的手技の1つであり,聴力改善のための重要な術式である.移植片には一般的に側頭筋膜が用いられるが,10~20%の症例で再穿孔が起こり,一度再穿孔を来した例では再度手術を行っても穿孔を繰り返す場合が多い.今回われわれは術後鼓膜再穿孔を来した慢性中耳炎患者7例8耳(男性3例,女性4例,13~80歳(平均53.9歳))に対する修正手術として,軟骨を移植片とする鼓膜形成術を行った.軟骨は耳珠から採取し,片面に軟骨膜を付けたまま0.3 mm厚に薄切した.大きさ・形状をトリミングした後,軟骨膜の付着面を外側にして鼓膜穿孔部にアンダーレイし,フィブリン糊で接着・固定した.前回手術の術式は,鼓室形成術Wullstein Ⅰ型が5耳,接着法による鼓膜形成術が3耳であり,移植片は7耳で側頭筋膜,1耳で皮下組織であった.術後経過観察は16~44ヶ月(平均30.0ヶ月)で,穿孔閉鎖率は87.5%であった.最終聴力成績は,術後聴力レベル≦30 dB,聴力利得≧15 dB,術後気骨導差≦15 dBのいずれかに該当するもの(日本耳科学会の基準に基づく聴力成績の成功例)は5耳(62.5%)であった.以上より軟骨は,術後再穿孔耳に対する鼓膜形成術に用いる移植片として,安定で優れた素材であると考えられた.

  • 吉井 千春, 内田 宗志, 野口 真吾, 鳥井 亮, 島袋 活子, 矢寺 和博
    原稿種別: [原著]
    2016 年 38 巻 3 号 p. 243-249
    発行日: 2016/09/01
    公開日: 2016/09/13
    ジャーナル フリー

    慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease: COPD)は喫煙者の数人に1人が罹患する疾患であるが,推計患者数に比較して極めて少ない患者しか診断されていないことが問題になっている.一方,腱板断裂の発症に喫煙が関連する報告が散見されるようになった.今回我々は腱板断裂患者における喫煙状況を調査し,さらに肺機能検査より未診断のCOPD患者の把握の可能性について検討した.対象は2011年4月から2015年6月まで当院整形外科にて腱板断裂と診断され,術前肺機能検査が行われた40歳以上の連続症例150名.性別は男性が96名,女性は54名,喫煙状況は非喫煙者が59名(39.3%),前喫煙者が62名(41.3%),喫煙者は29名(19.3%)で,喫煙率は日本人全体とほぼ同様であったが,喫煙歴のある患者では1日喫煙本数21本以上が31.9%と,日本人全体の21本以上(男性15.2%,女性5.5%)に比較して多かった.気流閉塞は150名中25名(16.7%)に認め,内訳はCOPD 7名,気管支喘息3名,気管支拡張症1名,未診断14名であった.未診断の気流閉塞は,非喫煙者が7名,前喫煙者が5名,喫煙者が2名で,COPDの病期分類Ⅰ期相当が11名, Ⅱ期相当が3名で,Ⅲ期以上はいなかった.また年代別の気流閉塞は,40代(0%),50代(8.3%),60代(20.7%),70代以上(25.6%)と,年齢が高くなるほど増加した.今回の結果から,腱板断裂患者においては,喫煙歴の有無のみならず,喫煙本数にも留意する必要性を認識できた.また術前肺機能検査のデータを共有することにより,COPDの早期発見の可能性が示唆された.

  • 廣渡 加奈子, 中村 恵美
    原稿種別: [報告]
    2016 年 38 巻 3 号 p. 251-259
    発行日: 2016/09/01
    公開日: 2016/09/13
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,学生のレディネスを踏まえた医療安全教育を行うため,小児看護学実習前の学生が認識している小児病棟における危険因子を抽出することである.小児病棟模擬病室における危険因子をA看護系大学3年生がP-mSHELLモデルを用いて抽出し,その内容を分析対象とした.学生が認識していた「患児・家族」に関する危険因子は[家族の負担],[乳児の特性],[疾患をもつ児の特徴],[家族の認識・理解度]の4つ,「環境」に関する危険因子は,[危険行動を誘発する環境],[不安全な環境],[生活空間である病室]の3つ,「学生」に関する危険因子は[学生自身の身体的・精神的状況],[小児看護実践への不安],[学習過程における看護実践],[学生自身の小児看護の理解度]の4つのカテゴリーにそれぞれ分類された.学生は患児・家族や環境においてさまざまな危険因子が存在していると認識していたが,P-mSHELLモデルを用いることで,自分自身も危険因子になりうる存在であることを認識していた.教員は学生自らが抽出した危険因子を基に小児看護学実習に向けてどのような準備が必要かを学生と共に考え,医療安全教育を行っていくことが重要である.

  • 産業医科大学学会
    原稿種別: [予報]
    2016 年 38 巻 3 号 p. 261-262
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/13
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