近年, ウイルス肝炎の慢性化における細胞性免疫の関与が注目されている。われわれは慢性肝疾患34例(肝硬変症14例, 慢性肝炎活動型12例, 非活動型8例)HBs抗原のasymptomatic carrier10例, 正常例6例についてヒツジ赤血球ロゼット形成細胞(RFC)よりみたT細胞populationとPHAによるリンパ球幼若化率をしらべ, これらと血清糖タンパクとその亜分画ならびに血清シアール酸値, ヘキソサミン値などとの関連を検討した。RFCはHBs抗原の有無では差はなく, リンパ球幼若化率はHBs抗原陽性例に低下傾向を認めた。この幼若化率の低下は血清シアール酸値, α
2-グロブリン, α
2-マクログロブリン値と並行した。また
in vitroでの血清α
2グロブリン分画, 19S分画にリンパ球幼若化抑制作用のあることが認められた。すなわち, HBs抗原陽性肝疾患においては, 血清中のシアール潰含量の多いα
2-糖タンパク(とくにα
2-マクログロブリン)に幼若化率抑制作用のあることが示唆された。
抄録全体を表示