Journal of UOEH
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1 巻, 4 号
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  • 小出 紀
    1979 年 1 巻 4 号 p. 399-407
    発行日: 1979/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    病理解剖例中に, 腎の尿細管内結晶沈着症例が多発した時期を経験し, 本結晶沈着に関する臨床病理学的検討を行った。結晶は, 偏光顕微鏡的, 組織化学的, 生化学的検索から蓚酸石灰結晶と同定された。これら蓚酸石灰結晶の集合は, 基質として中性乃至酸性粘液多糖類を有するものと考えられた。蓚酸石灰結晶沈着は, 10%キシリトール溶液の静脈内注入が盛んに行われていた時期に多発し, 非投与群との比較, 基礎疾患との関連性などの検討によっても, 明らかにキシリトール投与と関係があることが示された。しかしながら, ラット60匹を用い, 種々の条件下で過量のキシリトール腹腔内注入を行った実験では, 腎結晶沈着は認めなかった。キシリトール投与に関連した本病態の発現に関して, 文献的考察を加えた。その発生機序は明らかではないが, 高滲透圧性キシリトール溶液の大量急速注入による異常代謝過程の発現が推定された。
  • 牧 孝, 中野 正博
    1979 年 1 巻 4 号 p. 409-415
    発行日: 1979/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    1f7/2-領域の奇核の低い励起状態に対しX2フィットを行う。最初にX2フィットの方法と, そのプログラムを示した。次に得られた結果の特徴がいくつか述べられ, 考察が加えられる。これらの結果は, 型の分類の確かさと, X2フィットの有効性と, 内容の豊富さを, 示唆している。
  • 西尾 一方, 日野 由和夫
    1979 年 1 巻 4 号 p. 417-423
    発行日: 1979/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    結核の初感染は皮膚では極めて稀である。皮膚初感染徴候または原発性接種結核は, 結核未感染者の皮膚に外生感染で起こり, 外傷に続発する。接種部位に丘疹・潰瘍を生じ, 所属リンパ節症を伴う。抗結核剤の開発, BCG接種の普及, 生活環境の改善によって, 1950年代以降結核は減少の一途を辿っている。皮膚結核においても, 結核疹は多少趣きを異にするが, 真性皮膚結核はこの傾向を忠実に反映している。しかし決して撲滅されたわけではない。最近われわれは2歳10カ月の女児の本症患者を経験したので報告する。
  • 菅野 久信
    1979 年 1 巻 4 号 p. 425-429
    発行日: 1979/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    両側頭間の脳のインピーダンスと位相の変化を50KHzの高周波を用いて測定した。脳のインピーダンスは頭を下げること, 頸静脈圧迫により減少し, 内頸動脈圧迫, 深呼吸によって増加する。脳のインピーダンスの変化は脳血量と関係があると思われた。頭蓋内圧との関連, 頭皮血管の影響について述べた。
  • 杉田 篤生, 小津 堅輔, 岡村 知彦, 松下 昌人, 星 宣治, 今井 克忠, 川村 俊三
    1979 年 1 巻 4 号 p. 431-440
    発行日: 1979/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    原発性アルドステロン症37例を対象として, 副腎静脈造影法により腫瘍局在性を診断した。対象例は全て手術を施行し, 一側性腺腫例であることを確かめている。副腎静脈へのカテーテル挿入は, 左側で31例に, 右側では33例に成功したが, 静脈像上明確に腫瘍局在を判定しえたのは, 左副腎腺腫で77%, 右側の場合には70%, 全体では73%の症例であった。特に径1cm以下の腫瘍では診断が困難であった。本法の合併症としては, 37例中9例の副腎内で造影剤の血管外溢流像を認めた。内訳は両側性3例, 右側6例である。そのうちの1例は腫瘍摘除後に副腎不全を発症し, ステロイドホルモンの補充療法を必要とした。原発性アルドステロン症の副腎内静脈の破れやすいこと, 特に右側に多発していることが報告されているので, 静脈造影法による腫瘍局在性診断は, 他の診断法(副腎スキャンなど)を試みて患側か決定出来ないときに、慎重に施行すべきことが強調される。
  • 鈴木 勝己, 高橋 定雄
    1979 年 1 巻 4 号 p. 441-446
    発行日: 1979/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    1965年から1977年の間に関東労災病院に入院した骨関節結核58例を検討し, この中で, 比較的稀な, 指PIPJ関節結核, 足立方骨結核, 多発性筋炎の3症例を詳細に報告した。
  • 鈴木 勝己, 高橋 定雄, 近藤 稔, 岩谷 力, 中川 太郎
    1979 年 1 巻 4 号 p. 447-457
    発行日: 1979/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    手の腱手術に際して, 術後のゆ着を防止し, プーリー機構を再建するために, 前腕筋膜移植を利用しはじめたのは, 1964年である。
    症例の成績は必らずしも良くないが, 手の腱手術に際し, 前腕筋膜移植は限られた症例には有効な方法である。
  • -マウスMHV肝炎におけるTリンパ球の動態,とくに肝への移動について-
    田岡 賢雄, 遠藤 高由
    1979 年 1 巻 4 号 p. 459-463
    発行日: 1979/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    マウスMHVⅡ型劇症肝炎では肝炎極期にTリンパ球が肝内へ積極的に取り込まれ, この取込みの程度と肝細胞障害が並行した。このことはTリンパ球がウィルスの標的細胞である肝細胞を破壊し, ウイルスを排除する可能性を示唆するものである。
  • ―T細胞populationならびにリンパ球幼若化率に関与していると思われる血清因子―
    田岡 賢雄, 遠藤 高由
    1979 年 1 巻 4 号 p. 465-470
    発行日: 1979/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    近年, ウイルス肝炎の慢性化における細胞性免疫の関与が注目されている。われわれは慢性肝疾患34例(肝硬変症14例, 慢性肝炎活動型12例, 非活動型8例)HBs抗原のasymptomatic carrier10例, 正常例6例についてヒツジ赤血球ロゼット形成細胞(RFC)よりみたT細胞populationとPHAによるリンパ球幼若化率をしらべ, これらと血清糖タンパクとその亜分画ならびに血清シアール酸値, ヘキソサミン値などとの関連を検討した。RFCはHBs抗原の有無では差はなく, リンパ球幼若化率はHBs抗原陽性例に低下傾向を認めた。この幼若化率の低下は血清シアール酸値, α2-グロブリン, α2-マクログロブリン値と並行した。またin vitroでの血清α2グロブリン分画, 19S分画にリンパ球幼若化抑制作用のあることが認められた。すなわち, HBs抗原陽性肝疾患においては, 血清中のシアール潰含量の多いα2-糖タンパク(とくにα2-マクログロブリン)に幼若化率抑制作用のあることが示唆された。
  • 八巻 敏雄, 下条 ゑみ, 市村 浩, 西成 典子, 滑川 和子, 吉沢 公利
    1979 年 1 巻 4 号 p. 471-485
    発行日: 1979/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    代表的植物ホルモンであるインドール酢酸(IAA)は植物細胞分裂の制御因子とされている。われわれはIAAが消化器系を主としたヒトの癌組織の細胞分裂が旺盛な部分に多量に存在することを認めた。なお正常組織にもIAAが存在するので, 数種の動物につき検討した結果, 用いた材料すべてにこの存在を確認した。カイコ, マス, ニワトリの受精卵では発生の進行に伴い細胞当りの量はほぼ一定に保たせている。IAAを当初全く含まぬ純合成培地でのLP3細胞の増殖率ならびに透析でIAAを除去した血清を加えた培地での3T3細胞およびニワトリ胚フィブロブラスト等の増殖率は, これら細胞の生合成するIAA量に平行して変動することをも認めた。さらに上記培地上のフィブロブラストの増殖およびウニ卵の発生に当って, 植物生理学上認められていると同様にIAAとPCIBとの間の拮抗作用を認めた。これらからIAAは動物細胞分裂さらに癌細胞増殖に制御因子の一つとして関与していることが考えられる。
  • 吉松 博, 石倉 義弥, 村上 勝, 川原 英之
    1979 年 1 巻 4 号 p. 487-505
    発行日: 1979/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    胸腺に関する形態的, 機能的研究はこの20年間に移植免疫をはじめ細胞・組織免疫などの分野からの究明とともに著しい進歩を遂げた。しかしヒト胸腺の免疫調節機構における重要臓器の一つとしての役割や多くの免疫異常疾患との関連についてはなお解明すべき多くの問題が残されている。胸腺異常の臨床的検索法ならびに重症筋無力症をはじめとする各種自己免疫疾患の病因解明或は治療法開発のため, 胸腺剔出を行った250例につき検討し, 次の如き成績をえた。胸腺異常の形態的検査は臨床上レ線学的に縦隔充気法(気縦隔)が有用であり, 重症筋無力症例においては剔出胸腺の約75%に自己免疫疾患例で高頻度に見出されるリンパ濾胞形成が見出された。胸腺副出後1年から15年間にわたる観察で , その86%に治療上良好な成績をえていることを明らかにした。又類縁疾患群, Behçet症候群, 潰瘍性大腸炎, 全身性紅斑性狼瘡例などにおいても剔出胸腺に高頻度にリンパ濾胞形成を見出し, 胸腺剔出後, 症状の進展阻止を認め治療法の一助として有用な点も明らかにした。
  • ―その毒性を中心として―
    中村 征矢, 重松 昭生
    1979 年 1 巻 4 号 p. 507-514
    発行日: 1979/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    Sodium nitroprusside(SNP)は非常に強力な血圧降下作用を有し, かつ短時間作用性であるため低血圧麻酔時にすぐれた血圧調節性を示し, 広く用いられている。SNPの投与によって血圧低下, 脈拍増加, 心拍出量の増加ならびに冠血流量の増加などがひき起こされる。また左心室の収縮力を改善させることにより, 高血圧症の治療, 心筋梗塞や心不全の治療にも用いられている。SNPは化学的には安定した物質とされているが, 生体内では簡単に還元されてシアンが遊離し, シアン中毒を起こす危険性を含んでいる。またSNP投与によりmethemoglobinが生成されるとも言われており, シアン中毒のみなずHbの酸素運搬能の低下が起こる可能性がある。SNPの使用にあたってはanoxiaをより早く探知できる体制で使用すべきであり, その使用量を極力少なくすることと, 血中base excess測定あるいは, 血中シアン濃度の測定などが重要であると考えられる。
  • 塚本 増久
    1979 年 1 巻 4 号 p. 515-533
    発行日: 1979/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    熱帯熱を除いては, 普通ヒトマラリアでは1個の赤血球の中に多数のマラリア原虫が侵入寄生するような多重感染の現象はあまり見られない。しかし従来の記録では三日熱の異常型として最高8個のマラリア原虫が入った例などが報告されている。一方, 猿のマラリアでは多重感染は決して珍らしくない。数年前たまたま多重感染の顕著なマリラア患者の血液標本を精査した際, あるいは猿マラリアの人体感染例ではないかと疑ったことがあった。この機会に今まで知られている猿マラリアの人体感染症例を集めて総説を試み, 一覧表を作成した。これには自然感染, 研究室内感染事故, 感染実験, および他の病気の治療法としてのマラリア感染などがあり, 約25種類ほどの猿マラリアのうち10種類が人体感染例に含まれている。一般にヒトに感染した場合は, 症状が激しい場合でも血液中にマラリア原虫がほとんど検出されないか極めて少いことが多く, 診断が困難であったり誤診しやすいので注意する必要がある。また血液中に原虫が出現しても, 猿マラリアは通常の臨床検査ではヒトのマラリアとは形態だけでは鑑別が困難なものが多いので, 今まで報告されているよりも実際にははるかに多くの自然感染がおこっているものと想像される。
  • 山岸 稔, 佐藤 雄二, 小島 邦彦
    1979 年 1 巻 4 号 p. 535-548
    発行日: 1979/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    諸臓器の活動および調節は, 神経系と体液系とによって支配されるという考えは, 古くからあった。消化器について言えば, 神経系は自律神経が中心的存在であるが, 体液系に関してはほんの約10年前まで, 消化液・酵素などの外分泌についての研究は行われてきたものの, 内分泌すなわち消化管ホルモンの研究は, 置き去りにされていた感があった。1970年代に入って基礎的研究方法の確立に伴い, 各ホルモンの生理作用・薬理作用が急速に解明され, また臨床的意義について内科・外科領域では, 多数の研究が進められてきた。ようやく最近になって, 小児科領域でも研究が盛んとなり, そのうち主なものとして次の項目について達べる。1)血中ホルモン値の加令的推移, 2)先天性肥厚性幽門狭窄症の成因, 3)消化管各部の通過障害との関係, 4)ホルモン産生腫瘍の臨床像, 5)その他。
  • 土屋 健三郎
    1979 年 1 巻 4 号 p. 549-553
    発行日: 1979/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
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