妊帰および下垂体腺種患者血清のPRLのheterogeneity, とくにmacromolecular PRLの存在について検討した. 妊婦血清のゲル濾過では, immunoreactive PRLの主なpeakのmonomeric PRLの溶出部位に認められ, さらに小さなpeakをvoid volume附近 (peak 1) およびvoid volumeとmonomeric PRLの間 (peak 2) に認めた. 妊婦ではこのpeak 1, peak 2の占める割合は, それぞれ全免疫活性の8-12%, 4-9%であった. これに対し下垂体腺腫患者ではpeak 1, peak 2の占める割合は18-40%, 5-17%でpeak 1の著明な増加を認めた. 上記peak 1を6M塩酸グアニジン, 0.02M dithiothreitolの蛋白変性条件下で再溶出させると妊婦, 下垂体腺腫患者とも
α-fetoproteinとoval bumineの問にpeakが出現し, その推定分子量は約54,000であった. 以上のことから, このpeak 1はmonomeric PRLのnoncovalent aggregationまたはdisulfide bridgeによる産物ではなくmacromolecular PRLである可能性が示唆された.
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