Journal of UOEH
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7 巻, 2 号
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  • ―医師, 家族, 社会のための倫理的指針を求めて―
    チャンドラー McC. ブルックス
    原稿種別: 講演
    1985 年 7 巻 2 号 p. 139-150
    発行日: 1985/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    医学の進歩によって過去にはなかった倫理的諸問題が生じて来た. 生命維持装置の発達は, 死の判定と脳死患者の処置についての論争をまきおこしている. この問題について米国内の多くの委員会が見解を発表しているが, 一般世論を等しく納得させるには至っていない. 臓器移植の普及はこの論争に新たな火種を投じた. 大衆の意見の両極端として「生きる権利」を守る運動と「死ぬ権利」を守る運動とが対立しており, いずれにも一利一害がある. 著者の見解では, 脳死においては個人の生の本質的部分がすでに失われており, その臨終を妨げないことは倫理に反しない. 一方, 自発呼吸を有する植物状態の生はあくまで援助すべきである. 地球上で基本的生存すら脅かされている多くの人々がいるというのに, 豊かな国々で脳死体の維持に莫大な浪費を行っているのは如何なものだろうか.
    (1984年11月14日 産業医科大学教員研究会における講演内容にもとづく.)
  • 神野 展光, 伊藤 秀三, 北沢 右三, 八巻 敏雄
    原稿種別: 原著
    1985 年 7 巻 2 号 p. 151-173
    発行日: 1985/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    北九州市北西部および近隣地の森林植生82スタンドを調査した. それらは種組成上, i)マサキ-トベラ群集, ii)オニヤブソテツ-ハマビワ群集, iii)ムクノキ群落, iv)ムサシアブミータブ群集, v)ミミズバイ-スダジイ群集, vi)イヌシデ-スタジイ群落. vii)イスノキ-ウラジロガシ群集, viii)ミヤマシキミ-アカガシ群集, ix)シイ萌芽林, x)クロマツ植林, xi)コナラ群落, xii)スギ・ヒノキ植林, xiii)モウソウチク植林に区分された. 北九州市付近のムサシアブミ-タブ群集, ミミズバイ-スダジイ群集は, 西九州地方の同群集に比べ標徴種が少なく, 群集の単純化現象がみられた. 1:50.000現存植生図を描いた. 調査地の約56%は宅地・工場であり, 森林植生は約24%(自然林は1%未満)で, 都市化が著しい.
  • 真喜屋 清, 田口 五弘, 彭城 郁子
    原稿種別: 原著
    1985 年 7 巻 2 号 p. 175-183
    発行日: 1985/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    蚊の体内で日本脳炎ウィルスが越冬するかという可能性との関連で, 越冬中のアカイエカ雌集団を高温(24℃)・長日(明:暗14:10時間)および低温(16℃)・短日(明:暗10:14時間)の2つの条件下におき, 生存率に対する影響を調べた. マウスを吸血させた後高温・長日で飼育した場合には, 吸血群と未吸血群との問に生存日数の上で有意な差は見られなかった. 吸血群を低温・短日で飼うと, 高温・長日下に比べて生存日数は約2倍であった. 吸血群・未吸血群の翅長を計測して解析した結果, 吸血群がほぼ長翅型の均一な集団であること, および短翅型の蚊の大多数が未吸血群の中に含まれることが明らかになった. 短翅型集団は夏の吸血活動期の残存蚊と考えられ日脳ウィルスの取りこみと越冬の点からより重要であるが, このように吸血能力の低いことから越冬中または越冬後の生存率が低いものと推定された.
  • 大浪 俊平, 江藤 澄哉
    原稿種別: 原著
    1985 年 7 巻 2 号 p. 185-192
    発行日: 1985/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    妊帰および下垂体腺種患者血清のPRLのheterogeneity, とくにmacromolecular PRLの存在について検討した. 妊婦血清のゲル濾過では, immunoreactive PRLの主なpeakのmonomeric PRLの溶出部位に認められ, さらに小さなpeakをvoid volume附近 (peak 1) およびvoid volumeとmonomeric PRLの間 (peak 2) に認めた. 妊婦ではこのpeak 1, peak 2の占める割合は, それぞれ全免疫活性の8-12%, 4-9%であった. これに対し下垂体腺腫患者ではpeak 1, peak 2の占める割合は18-40%, 5-17%でpeak 1の著明な増加を認めた. 上記peak 1を6M塩酸グアニジン, 0.02M dithiothreitolの蛋白変性条件下で再溶出させると妊婦, 下垂体腺腫患者ともα-fetoproteinとoval bumineの問にpeakが出現し, その推定分子量は約54,000であった. 以上のことから, このpeak 1はmonomeric PRLのnoncovalent aggregationまたはdisulfide bridgeによる産物ではなくmacromolecular PRLである可能性が示唆された.
  • 木本 龍也, 中田 肇, 田口 雅海
    原稿種別: 原著
    1985 年 7 巻 2 号 p. 193-200
    発行日: 1985/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    130症例の乳腺疾患133病変(癌50, 良性83) を対象に主として乳癌に関するX線乳房撮影の所見, 診断能を検討し次の結果を得た. (1)乳癌のX線形態については通常の癌の主病変および二次性変化とされるものの殆どがこの50病変に含まれていた. また, 頻度を別にすればこれらの癌のX線所見のすべてが良性疾患にもみとめられた. (2)対象となった乳房の81%が乳腺実質の多い型であり, 病変が実質に重なりX線診断を困難にし易い. 良性であるとの判定には慎重でなければならない. (3)50病変における癌の検出率は94%, X線診断の癌陽性正診率は72%であった.
  • 大西 晃生, 石橋 寛, 大谷 邦彦, 松永 薫, 山本 辰紀
    原稿種別: 原著
    1985 年 7 巻 2 号 p. 201-205
    発行日: 1985/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    近年, 米国で大二のビタミンB6の服用により惹起されたと判断される感覚性末梢神経障害例が報告されている.本邦におけるビタミンB6の常用量, 極量ならびに内服および注射薬の規格単位あたりのビタミンB6の含有量を調査し, 本邦における通常のビタミンB6投与量を推定した. その結果, 本邦では米国でみられたようなビタミンB6大量投与による末梢神経障害はきわめて発生し難いと判断された. ラットに10回にわたり総投与量14,000mg/kgのpyridoxine hydrochlorideを腹腔内投与し, 後肢の失調性歩行および腰部第一次感覚二ューロン細胞体およびその末梢性軸索突起の変性の出現を確認した. 本邦ではビタミンB6の大量投与による末梢神経障害例は報告されていないが, 原因不明のニユーロパチー例, ビタミンB6の長期大量投与例では, ビタミンB6による末梢神経障害発生の可能性を考慮する必要がある.
  • 田中 勇武, 秋山 高
    原稿種別: 原著
    1985 年 7 巻 2 号 p. 207-211
    発行日: 1985/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    作業環境中の気中有害物質を評価する方法として, 作業場の環境状態を知るためのArea Samplingと労働者への曝露量の評価をするためのPersonal Samplingの2法がある. このため, これら両者の相関性や, いかなる条件下で大きく変動するかということを知ることは重要である. 本報告では, 曝露濃度と環境濃度とを並行測定した既往のデータに基づいて相関性を調べ, そのばらつきが大きいことを認めた. この原因として, その作業場の有害物発生源形式や作業者の行動, 姿勢によるものと, 両測定に用いた機器の相異に起因するものがあると考え, 同一測定機器を用いて両者を同時測定した結果だけを抽出して調べた. その結果, これらの値は, 一致する傾向があることを見出し, ある種の作業場においては, 一方の測定値から他方を推測し得る可能性があることを示した.
  • 土屋 武彦, 法村 俊之, 須藤 清二, 橋本 哲明
    原稿種別: 原著
    1985 年 7 巻 2 号 p. 213-220
    発行日: 1985/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    原子力関連事業所は一般的に市街地と遠く離れた場所に立地しており, また施設的にも放射線防護の関係から他と隔絶された作業環境となっている. そこでこのような特殊な環境で作業している原子力関連事業所の放射線作業従事者がどのような健康意識をもっているかについて, CMI健康調査表を用いて調査した. その結果, 原子力関連事業所の放射線作業従事者は他の一般工場勤務者あるいは医学関係研究者ならびに診療放射線技師の放射線作業従事者と比較して, 特に問題となる事象を示すようなものは認められなかった.
  • 平岡 克己, 堀江 昭夫, 久米 文弘
    原稿種別: 症例報告
    1985 年 7 巻 2 号 p. 221-228
    発行日: 1985/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    40才女性の右乳腺に発生したspindle cell carcinomaの1例を報告した. この腫瘍は極めて稀であり, 本邦では「いわゆる癌肉腫」の一型に分類されている. 組織学的に胞巣状の扁平上皮成分は境界不鮮明となって, 錯走する問質組織内に混入している. 電顕的には紡錘形腫瘍細胞と筋線維芽細胞に類似した腫瘍細胞が見られ. spindle cell carcinomaの発生には筋上皮細胞の関与も推測される. 予後は他の典型的な乳癌と大差はないとされているが, 本例は肉眼的に境界鮮明であり, 組織学的にも予後良好と考えられる.
  • 平岡 克己, 堀江 昭夫, 国崎 真
    原稿種別: 症例報告
    1985 年 7 巻 2 号 p. 229-235
    発行日: 1985/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    60才女性の大陰唇に発生した皮角様腫瘍の1例を報告した. この患者は成人T細胞性白血病 (ATL) の疑いで入院中に本腫瘍の摘出を受けた. 本腫瘍は従来の老人性角化症に類似する病変であるが, 発生部位が紫外線の暴露を受ける露出部ではない. また, 腫瘍細胞にBowen病に匹敵する程の多形性, 分裂像, 極性の部分的消矢が認められた. これらの組織所見とともに毛包様分化が認められることより, 本腫瘍は最近注目されている前癌性毛包腫瘍に相当すると考え, 他の類似病変との異同について考察を加えた.
  • 松井 清, 大津 ミキ, 小田 ひづる, 小畑 礼子
    原稿種別: 技報
    1985 年 7 巻 2 号 p. 237-249
    発行日: 1985/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    資料は色々な形式で作られる. しかし, 通常入力データはケース順に矩形に構成するのを仮定されていることが多い. したがって, 実際にはもとの生の資料も, この構造に適さねばならない. ここでは, 最初から計算機入力および統計学的解析を念頭に置いたアンケート調査について考察する.
  • 伊藤 幸郎
    原稿種別: 報告
    1985 年 7 巻 2 号 p. 251-256
    発行日: 1985/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
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