Journal of UOEH
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38 巻 , 4 号
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  • 梅村 武部, 太田 浩嗣, 横田 晃, 鎗水 史朗, 西澤 茂
    2016 年 38 巻 4 号 p. 263-269
    発行日: 2016/12/01
    公開日: 2016/12/14
    ジャーナル フリー

    脳卒中後の患者は尿閉を伴うことがしばしば認められる.さまざまな神経病理学的研究や動物実験より,延髄,橋,大脳辺縁系,前頭葉が排尿コントロールを行うと言われているが,正確な領域は特定されていない.今回脳卒中を発症し尿閉を生じた症例について脳の障害部位を検討し,どの領域が尿閉に関係するかを調査した.2012年10月~2013年9月の間,当科へ脳卒中で入院した症例(脳梗塞 110例,脳出血 27例,男性 78人,女性 59人 平均年齢 73歳) を対象とし,脳の障害部位を頭部MRI,CT検査にて検討し,尿閉の有無を調査した.脳卒中後に尿閉を発症した症例は137例中12例(8.8%)(脳梗塞 7,脳出血 5,平均年齢 78.8歳)であり,12例中7例が優位半球の障害であった.1例が非優位半球であり,小脳が3例,脳幹は1例の結果であった.優位半球に脳卒中を発症した症例は,有意に尿閉と関連があり(P = 0.0314),特に島の障害は有意に尿閉を発症した結果であった(P < 0.01).優位半球の島を含めた領域の脳卒中の場合,脳卒中後尿閉を起こしやすいと考えられた.

  • トゥイー チイ グエン, 蜂須賀 徹, 卜部 理恵, 植田 多恵子, 栗田 智子, 鏡 誠治, 川越 俊典, 久岡 正典
    原稿種別: [原著]
    2016 年 38 巻 4 号 p. 271-278
    発行日: 2016/12/01
    公開日: 2016/12/14
    ジャーナル フリー

    ジェノゲストはプロゲステロン作用を有する新規経口プロゲスチン製剤であり,子宮内膜症の臨床症状を抑制する.今回卵巣子宮内膜症性嚢胞におけるジェノゲスト効果を免疫組織学的に解析した.ジェノゲストを使用した12例と,使用していない20例(対照群)の卵巣子宮内膜症性嚢胞におけるエストロゲン受容体-α,プロゲステロン受容体A,およびKi-67の発現を免疫組織学的に検討した.対照群と比較においてジェノゲスト使用例は,卵巣子宮内膜症性嚢胞の上皮細胞(P = 0.022)と間質細胞(P = 0.004)ともに有意に細胞増殖指数が低下していた.しかしながらエストロゲン受容体-αとプロゲステロン受容体Aの発現は上皮細胞,間質細胞ともに両群で有意差を示さなかった.ジェノゲスト使用にかかわらず,上皮細胞のエストロゲン受容体-α(中央値:32%)とプロゲステロン受容体A(中央値:8%)発現は低値であり,それに反して間質細胞のエストロゲン受容体-α(中央値:68%)とプロゲステロン受容体A(中央値:92%)は高値であった.対照群の中で上皮細胞,間質細胞のKi-67,エストロゲン受容体-αとプロゲステロン受容体A発現は月経周期の増殖期,分泌期において有意差を認めなかった.ホルモン受容体発現の変化なしにジェノゲスト使用によって細胞増殖を抑制されていることは,卵巣子宮内膜症性嚢胞におけるジェノゲストのプロゲステロン効果では説明できない.

  • 田中 公介
    原稿種別: [原著]
    2016 年 38 巻 4 号 p. 279-289
    発行日: 2016/12/01
    公開日: 2016/12/14
    ジャーナル フリー

    統語派生が言語表現の音声具現化と意味解釈への最適解を提供するという基本理念のもとで,近年のミニマリスト統語派生理論では,その派生単位がフェイズと呼ばれる統語的命題要素であると主張されている.この分析では,補文標識句(Complementizer Phrase: CP)を含むフェイズ投射をもとに統語派生が進むが,CP領域内で複数の談話関連要素が生起可能な事実を説明できない問題が指摘されている.この問題は,近年のミニマリスト統語論においてもう一つの影響力のある分析であるカートグラフィックCP分析を採用することによって克服されるが,文タイプ・発話効力関連句(Force Phrase: ForceP),定性関連句(Finite Phrase: FinP),話題句(Topic Phrase: TopP),焦点句 (Focus Phrase: FocP)という4種の機能投射とそのフェイズ性に関する理論的問題を呈する可能性がある.本論文では,統語派生上必要不可欠なForcePとFinPがフェイズとしてそれぞれに関連した主要部とフェイズ関係を形成する融合分析を提案する.この結果,英語の話題化構文の基本特性が説明される.また,近年の他のミニマリスト研究における観察と仮定を踏まえることにより,時・条件の副詞節中や命令文中における話題化構文の固有特性を説明できることも示す.

  • 黒住 旭, 岡田 洋右, 新生 忠司, 田中 良哉
    原稿種別: [症例報告]
    2016 年 38 巻 4 号 p. 291-296
    発行日: 2016/12/01
    公開日: 2016/12/14
    ジャーナル フリー

    甲状腺ホルモン不応症(RTH)は,これまで約140種類の甲状腺ホルモン受容体ベータ(TRβ)遺伝子変異が同定されている.今回家族歴は有さないが,繰り返す動悸を契機にRTHの診断に至った中年男性の1例を経験したので報告する.TRβ遺伝子解析の結果,第10エクソン,453番目のプロリンからアラニンへの変異を認めた.RTH はバセドウ病やTSH(thyroid stimulating hormone)産生腫瘍(TSHoma)とは治療法がまったく異なるため,RTHの家族歴を有さなくても,不適切TSH分泌症候群が持続しTSHomaが否定的な場合には,積極的に遺伝子解析を行うことが重要である.

  • 栗之丸 直朗, 善家 雄吉, 古川 佳世子, 山中 芳亮, 酒井 昭典
    原稿種別: [症例報告]
    2016 年 38 巻 4 号 p. 297-304
    発行日: 2016/12/01
    公開日: 2016/12/14
    ジャーナル フリー

    脆弱性の強い上腕骨骨幹部骨折後の偽関節に対して手術を施行した1例を報告する.上腕骨骨幹部骨折はほとんどの場合,初期治療で問題のないことが多いが,一部の症例では治療が困難であることがある.症例は61歳,男性.左上腕骨骨幹部骨折を受傷した.他院にて骨接合術を施行され,術後,疼痛なく日常生活も仕事もできていた.特に誘因なく左上腕部に疼痛および不安定感を自覚した.近医を受診して左上腕骨偽関節を指摘され,保存療法を行うも症状の改善はなく,当院へ紹介受診となった.初診時は,左上腕中央部に肘関節屈曲で前方に大きく突出する可動性の骨性隆起を触れた.しかし,明らかな感染,神経麻痺や血行障害は認めなかった.左上腕骨骨幹部骨折遅発性偽関節と診断し,偽関節手術を施行した.残存スクリューを抜釘後,近位より髄内釘を挿入した.骨接合術終了直後に髄内釘遠位端での骨折が生じた.二期的手術として,上腕骨遠位端骨折に対して骨折部のデブリードマンを行った後,骨移植と両側プレートによる骨接合術を施行した.術後8ヶ月が経過し骨癒合および可動域は良好であり,合併は認めていない.偽関節発症後に長期間が経過している症例は,骨折部の骨硬化が強いものの骨脆弱性を有しており,骨接合に難渋することが予想される.骨脆弱性の強い偽関節手術施行の際は,術中骨折の可能性も考慮し,十分な術前計画を練った上でインプラントを準備しなければならない.

  • 保利 一, 樋上 光雄, 石松 維世, 笛田 由紀子, 石田尾 徹, 高畠 伽央里, 燒山 なつみ, 山本 清司
    原稿種別: [報告]
    2016 年 38 巻 4 号 p. 305-309
    発行日: 2016/12/01
    公開日: 2016/12/14
    ジャーナル フリー

    アルミ繊維に酸化チタン光触媒とゼオライトを溶射したフィルター(光触媒フィルター)を用いて,代表的有機溶剤であるトルエンの分解特性を検討した.ステンレス製のチャンバー内にトルエン蒸気を注入し,光触媒フィルターをセットした空気清浄機を稼働させ,トルエン濃度の経時変化を観察した.チャンバー内のトルエン濃度は指数関数的に減少したが,減少速度は低濃度に比較して高濃度の方が小さくなった.この原因として,光触媒溶射時に添加したゼオライトの影響が考えられたため,ゼオライトを除いた光触媒単体溶射フィルターを用いて同様に分解特性を調べた結果,光触媒単体溶射フィルターの方が光触媒とゼオライトを溶射したフィルターよりも分解速度が大きいことがわかった.この原因として,光触媒が環境中のトルエンに加えて,ゼオライトに吸着したトルエンの分解にも関与したため,その分環境中のトルエンの分解速度が小さくなったことが考えられた.

  • 佐伯 覚, 松嶋 康之, 加藤 徳明, 伊藤 英明, 白石 純一郎
    原稿種別: [報告]
    2016 年 38 巻 4 号 p. 311-315
    発行日: 2016/12/01
    公開日: 2016/12/14
    ジャーナル フリー

    わが国の脳卒中リハビリテーションの状況は,近年,個別治療手技および診療システムの劇的な変化がみられた.すなわち,虚血性脳卒中発症率の増加,静脈注射用組織プラスミノーゲンアクチベーターの使用,病院の機能分化,回復期リハビリテーション病棟の導入,介護保険制度である.しかしながら,これらの変化が脳卒中後の職場復帰(復職)の経過に影響を与えているのかどうかは不明である.本研究では,20年以上隔てられて実施された2つのコホート研究-脳卒中後の復職の経過分析-を比較した.両研究は20年以上離れているが,初発脳卒中患者の累積復職率は両研究でほぼ同様であった.この結果は,脳卒中リハビリテーションの進歩が復職に大きな影響を与えず,むしろ傷病手当金などの社会保障システムが復職に大きな影響を及ぼすことを示唆している.

  • 大達 亮, 矢田 浩紀, 山根 俊恵
    原稿種別: [原著]
    2016 年 38 巻 4 号 p. 317-324
    発行日: 2016/12/01
    公開日: 2016/12/14
    ジャーナル フリー

    一般科看護師が対応困難と感じる精神症状に,精神障害者の入院に対する看護師の拒否感がどのように影響しているかを検討した.調査対象者はA総合病院の一般科看護師150名に質問紙調査を行い,すべての質問項目に欠損値がなかった86名を対象とした.看護師が対応困難と感じる精神症状に関する質問項目の因子分析を行った結果,「精神病様症状」と「神経症様症状」の2因子が統計的に抽出された.精神障害者の一般科入院に対する各拒否感の差に2因子を比較した結果,精神障害者の入院に対して拒否感が強いことは,精神症状に対応する困難さと関連していた.「精神病様症状」は統合失調症に加えてんかんやせん妄などが,「神経症様症状」は気分障害に加えてパーソナリティ障害やそれに合併するうつ状態などが症状の背景にあることが推察された.この2因子に起因する症状は「対応の困難さ」と「症状を判別する困難」の2つの困難さがあり,精神障害者に対してどのように対応すべきか一般科看護師は確信を持ちにくい中で看護をしていると考えられた.また「精神病様症状」によって業務量が増し,「神経症様症状」からは通常業務以上の感情労働により心的負担が大きくなることが推察され,一般科看護師への精神障害についての相談支援体制の整備・拡充が求められた.

  • 松浦 孝紀, 元嶋 尉士, 川﨑 展, 大西 英生, 酒井 昭典, 上田 陽一
    原稿種別: [総説]
    2016 年 38 巻 4 号 p. 325-334
    発行日: 2016/12/01
    公開日: 2016/12/14
    ジャーナル フリー

    下垂体後葉ホルモンの一つであるオキシトシン(oxytocin: OXT)は,視床下部室傍核(paraventricular nucleus: PVN)および視索上核(supraoptic nucleus: SON)の大細胞性神経分泌ニューロンの細胞体で産生され,下垂体後葉(posterior pituitary: PP)に投射した軸索終末より血中に分泌される.OXTの生理的役割として子宮収縮,乳汁分泌が古典的に知られてきたが,近年では社会性や信頼関係にも関与していることが明らかになってきた.また,鎮痛,抗炎症,ストレス緩和ならびに摂食抑制作用なども有することが示唆されている.なお,OXT受容体は侵害受容情報の伝達に重要な脊髄後角にも存在することが報告されている.PVNの大細胞性領域の神経分泌ニューロンで産生されたOXTはPPより血中に分泌される.一方,PVNの小細胞性領域のOXTニューロンは延髄および脊髄にもその軸索を投射しており,自律神経系や疼痛調整に関与していると考えられているが,詳細な機序については不明なところが多い.本稿では,これまでの臨床研究ならびにOXT-単量体赤色蛍光タンパク1(monomeric red fluorescent protein 1: mRFP1)トランスジェニックラットを用い,急性ならびに慢性疼痛・炎症モデルラットの視床下部神経核・PP・脊髄におけるOXT-mRFP1融合遺伝子の発現動態を可視化・定量化した自験例(動物研究)を中心に,OXTと疼痛ならびに炎症調節作用との関連について解説する.

  • 茂呂田 孝一, 盛武 敬, 孫 略, 石原 隆宏, 熊 奈津代, 村田 聡美, 山田 貴大, 岡﨑 龍史
    原稿種別: [報告]
    2016 年 38 巻 4 号 p. 335-343
    発行日: 2016/12/01
    公開日: 2016/12/14
    ジャーナル フリー

    近年の血管撮影技術の進歩は,外科手術に比べ低侵襲であり,患者に恩恵をもたらす一方,手技の高度化に起因する透視時間の延長や撮影回数の増加により,放射線皮膚障害などの確定的影響を発生する事例が多くなってきた.最近,病院内医療用画像規格(digital imaging and communication in medicine:DICOM)を用いた患者被ばく線量情報管理に関し,CT装置などでは,画像情報の保存と共に線量情報の保存も行い,個人の累積線量の管理や実効線量の推定に利用するなど報告がなされている.今回我々は血管撮影領域において,撮影条件や線量に関する詳細な情報を,DICOM radiation dose structured report(DICOM RDSR)から抽出し,患者の被ばく線量に占める透視および撮影の割合や,手技別の患者被ばく線量の傾向を評価した.結果,経過観察が必要な3Gyを超える症例が頭部領域で16.7%,心臓領域で27.3%存在したこと,透視に比べ圧倒的に撮影時の線量が高いこと,血管病変より腫瘍病変において診断と治療共に被ばく線量が高いといった一定の傾向があることが分かった.本論文ではさらに,患者被ばく線量低減へ向け,DICOM RDSR情報を根拠として具体的な撮影条件の見直しと,対策立案の可能性について考察した.

  • 原稿種別: [第38巻(1-4号) 査読者一覧]
    2016 年 38 巻 4 号 p. 345-
    発行日: 2016/12/01
    公開日: 2016/12/14
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: [第38巻(1-4号) 総目次]
    2016 年 38 巻 4 号 p. 347-356
    発行日: 2016/12/01
    公開日: 2016/12/14
    ジャーナル フリー
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