Journal of UOEH
Online ISSN : 2187-2864
Print ISSN : 0387-821X
ISSN-L : 0387-821X
4 巻 , 3 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
  • 古賀 洋介, 西原 正照, 森井 宏幸
    原稿種別: 原著
    1982 年 4 巻 3 号 p. 227-240
    発行日: 1982/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    好アルカリ性細菌Bacillus sp. A-007の主要な極性脂質は, ホスファチジルグリセロール(PG, 67%), ホスファチジルエタノールアミン(PE, 21%), カルジオリピン(CL, 7%), ビス(モノアシルグリセ口)リン酸(BMP, 4%)であり, 非極性脂質は, ジアシルグリセロールとスクアレン類であった. 他の3株の好アルカリ性Bacillusの脂質組成もこれとよく似ていたが, 1株(A-40-2)だけはBMPを欠いていた. グラム陽性細菌に広く存在するグリセロ糖脂質, リン糖脂質は好アルカリ菌のどれにも全く検出されなかった. これら脂質の脂肪酸は, 飽和枝鎖酸を主体としており, 他のBacillus属細菌と類似していた. PG, PEの脂肪酸のグリセロール骨格上の位置分布はC-1位にC16, C17酸, C-2位にC15酸が多かった. 放射性グリセロールを用いたin vivoでの代謝実験により, PGはCLとBMPの合成の前駆体と推定された.
  • 中村 弘, 杉浦 勉
    原稿種別: 原著
    1982 年 4 巻 3 号 p. 241-253
    発行日: 1982/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    モルモット抗体の示すアナフィラキシー反応がブドウ状球菌からの蛋白A (SpA) によって阻害されることを見出した. モルモットにはIgG1およびIgG2サブクラスがあり, これらの免疫学的性質が著しく異なることが知られている. IgG1はIgEと共に自己または同種動物に対しアナフィラキシーを誘導する同種組織親和性の抗体で, IgG2は異種細胞にのみ親和性の抗体である. ウシ血清アルブミン (BSA) 免疫によって産生される抗血清から単離したIgG1およびIgG2抗体を用い, 程度は異なるがこれらがSpAと定量的に結合することを確かめ, さらにこれらの示す組織感作性が, ほぼ同重量のSpAによって完全に阻害されることを示した. IgE抗体はSpAと反応しないことから, SpAによる阻害を利用して同種組織親和性抗体を区別することができる. さらにSpAおよび細胞レセプターに対する免疫グロブリンの結合を分子ドメイン構造との関連から考察した.
  • 中村 弘, 杉浦 勉, 西村 義久
    原稿種別: 原著
    1982 年 4 巻 3 号 p. 255-271
    発行日: 1982/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    2種類のヒトミエローマ蛋白Shi (IgG1λ) およびFuk (IgG1κ) に対するヤギおよびウサギ抗血清から, 抗イディオタイプ抗体を精製し, Sepharose4Bに結合した不溶性免疫吸着体を作成した. 正常ヒトIgG中の微量成分がこれらの吸着体に特異的に結合することを確かめ, 実際に結合成分を分離して, その免疫化学的性質を検討した結果, ミエローマ蛋白と同一のL鎖タイプを持つIgG分子で, 対応するそれぞれのミエローマ蛋白とのみ交叉イディオタイプを示すことがわかった. また結合反応の阻害効果の程度が用いた正常IgGの標品によって異なることから, 遺伝的に複雑なヒト集団における正常IgGの構成分子の中に, ミエローマ蛋白と類似のイディオタイプを持つ成分の存在が示され, これらの結果について正常IgGの生理的意味と, その構造分散性の遺伝的背景との関連から考察を行った.
  • 岡村 靖
    原稿種別: 原著
    1982 年 4 巻 3 号 p. 273-277
    発行日: 1982/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    絨毛性疾患患者のfollow upに際し, 尿中HCG低単位変動を精細に検討する方法を考案し, 且つ, 卵巣の有無, 治療後月数, および, 性周期を顧慮した新しい予後判定基準と, この診断基準を指標とするone point check screening法を提起した.
  • 白木 啓三, 今田 育秀, 佐川 寿栄子, 緒方 甫, 浅山 愰, 森田 秀明
    原稿種別: 原著
    1982 年 4 巻 3 号 p. 279-288
    発行日: 1982/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    ヒトの上肢あるいは下肢が切断された時には, 体温調節の重要な役割を演じている体表の面積がかなり減少することになる. 体の一部分を喪失した患者の体温調節機序に特異性があるとすれば, リハビリテーション医学においても重要な関心事となる. 両股離断者 (BHD) では夏期に著しい多汗を示すことが観察されていたが, 実証的に裏付けがなされていなかった. 2名のBHD (体表面積の40%喪失) を26℃, 30℃および33℃の人工気候室にて安静にせしめ各々の分割体熱測定を行った. 中性温域ではBHDの呼気からの水分喪失量は正常対照者より増加したが, 皮膚からのそれは低下した. 熱負荷(33℃)によりBHDの中心部体温および皮膚温は対照者よりも上昇し, このことが汗量の増加に関係することが実証された. BHDの体温調節は中性温域ではよく保持されるが, 温熱負荷により影響を受け易いことが判った. 更にBHDでは体表面積当りでは正常者より高い産熱があること, 体中心部から被殼部への熱伝達性が高いことおよび体熱放散が様式変化することが判明した.
  • 正野 俊夫, 堀尾 政博, 塚本 増久
    原稿種別: 原著
    1982 年 4 巻 3 号 p. 289-299
    発行日: 1982/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    有機リン系殺虫剤マラチオンで選抜して抵抗性の発達したイエバエの, マラチオン抵抗性についての遺伝学的な解析は, 今まで, まったく報告されていない. そこで, 北九州市若松区内の馬小屋より採集し, 13世代にわたりマラチオンで選抜し, これ以上選抜の効果が上がらないほど, 極めて抵抗性の発達した系統(若松-m系)を用い, 遺伝学的解析を行った. マラチオン抵抗性は優性形質であることが示されたので, 可視突然変異で各染色体を標識した感受性系統を用いた戻し交雑による連鎖群解析の結果, この系統のマラチオン抵抗性の優性遺伝子は第2染色体上にのみ存在し, その他の染色体は関与していないことが明らかになった. また,その他の有機リン系殺虫剤やピレスロイド系殺虫剤に対する交差抵抗性の有無をしらべ, LD50値,抵抗性比を示した.
  • 塚本 増久
    原稿種別: 原著
    1982 年 4 巻 3 号 p. 301-311
    発行日: 1982/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    多くの動物では乳酸脱水素酵素 (LDH) のアイソザイムについての研究は数えきれないほどあるのに比べ, 蚊のLDHの電気泳動像についての報告は今迄数篇しかなく, しかも幼虫期についての研究はさらに少ない. 今般35種類の蚊の4令幼虫について, ポリアクリルアミド平板ゲルによるLDHの電気泳動像を比較したが, 一般に活性が低かったり発現が不安定な種類が多く, 中には全く活性バンドの検出できないものも存在した. 生命現象の維持に重要な役割をもつ酵素であるLDHが蚊の体内に存在しないことや活性が極めて低いことは考え難いことであるので, その原因について検討を進めた. その結果, 蚊幼虫の中腸内にはLDH活性を阻害する成分が含まれていることをつきとめたので, 虫体から消化管を除去した後に酵素標品を調整したところ, 今迄隠されていた強いLDH活性バンドを発現させることに成功した.この研究に用いた蚊の採集の一部については, 1981年度の文部省科学研究費海外学術調査費 (No.56041048) の補助を受けたのでここに明記して感謝する.
  • 田中 真悟, 北沢 右三
    原稿種別: 原著
    1982 年 4 巻 3 号 p. 313-325
    発行日: 1982/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    産業医科大学構内において, 人間による破壊から再生への遷移系列上にある各生態系型の代表として, 2ケ所の新造成裸地, 芝生, 新生草地, 植込, 二次林を選び, 対照として北九州地域の生態系遷移の極相を示す常緑広葉樹の自然林を加えた, 合計7ケ所の土壌中のトビムシ(昆虫網, 粘管目)を比較研究した. 自然林のトビムシは密度, 種数, 多様度とも高く, 二次林はこれに匹敵するかまたはより高いほどであった. これらは植込から裸地にかけて徐々に低下したが, 密度と種数は新生草地で著しく落ち込んだ. 密度の垂直変化では各地とも深さ5cmまでの表層土に大多数が見出されたが, 自然林と二次林ではかなり深い所まで分布する種もあった. 他の新造成諸地点のうち, 真砂土を客土してつくられた植込では深くまで分布するが, 他は固い粘土質で, 表層にしかいなかった. 種数の垂直変化もほぼ同様であった. 全トビムシの分布型は森林でランダム分布を示し, 芝生から裸地にかけて徐々に強い集中分布となっていた. 各地の群集はその組成の類似度から, 森林型(自然林と二次林), 草地型(新生草地と芝生), 裸地型に分けられる. 植込は森林と草地の中間型で, 裸地は周囲の影響を受けることもあるが, 特有な群集を形成する傾向がある.
  • 自見 厚郎, 堀江 昭夫, 八巻 敏雄
    原稿種別: 原著
    1982 年 4 巻 3 号 p. 327-331
    発行日: 1982/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    植物ホルモンの一つである天然オーキシンの主成分は indoleacetic acid (IAA) である. IAAは正常ヒト尿のほか消化管癌組織にも存在し, また動・植物細胞の増殖に関与する (Yamaki et al., 1979). ヒト子宮頸癌由来のHeLa細胞に対するIAAの増殖効果とその拮抗物質PCIB (parachlorophenoxy-iso-butyric acid) の増殖抑制効果をin vitroにおいて検討して, 次の結論がえられた. 1) IAAに増殖効果がみられた. 2) PCIBにIAA, FBS (fetal bovine serum, ウシ胎児血清) に対する拮抗作用がみられた. 3) FBS添加培地の方が細胞増殖作用は優れていた. HeLa細胞はヒト子宮頸癌由来の安定した細胞である. IAAが胃, 食道などの消化管癌などに多く含まれている事実を考え併せると, 癌細胞の増殖にIAAの関与することは想像に難くないと思われる. しかし, 厚い細胞壁を持つ植物細胞と持たない動物細胞に同様の増殖作用がIAAによってみられることから, その構造上の差異に関係しない共通のIAAの作用機序を考える必要がある.
  • 華表 宏有, 土井 徹
    原稿種別: 原著
    1982 年 4 巻 3 号 p. 333-342
    発行日: 1982/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    北九州市内の事業場に産業医として選任されている199人の医師会会員を対象として5地区別, A・B会員別に性, 年令, 診療科目などの属性についてなんらかの特徴があるかどうかを検討した. 今回の対象とした199人のうち, A会員は149人, B会員は50人で地区別には門司36人, 小倉65人, 若松21人, 八幡58人, 戸畑19人である. 性別にみると男195人,女4人で男が98%を占めていた. 平均年令(昭和55年末現在)は, 全体で56.7才で, A会員とB会員の間にはほとんど差はみとめられなかった. 産業医が第1番目に挙げている診療科目では, 内科が123人(全体の61.8%), ついで外科54人(27.1%)となっている. これらの2つの科目で全体の88.9%を占めている. A・B会員別にみると, A会員は149人中内科86人(57.7%), 外科48人(32.2%)である. B会員では, 50人中内科37人(74.0%), 外科6人(12.0%)と内科の占める比率が非常に高くなっていた.
  • 土井 徹, 華表 宏有
    原稿種別: 原著
    1982 年 4 巻 3 号 p. 343-356
    発行日: 1982/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    産業医を選任している北九州市の事業場(計522)を対象に, その行政区別, 従業者規模別, 産業大分類別の特徴を各種資料より検討した. 従業者規模50人以上の民営の事業場について, 産業医の選任率を見ると, 北九州市全体では39.1%であった. 産業大分類別にみると, 建設業27.3%, 製造業60.3%, 運輸, 通信業46.7%などであった. 各事業場が選任している産業医の所属地区をみると, 事業場の所在地と同じ地区から選任している場合が最も多かった. 医師会会員である199人の産業医について, 1人で担当している事業場数をみると, 1事業場のみを担当している者は126人(63.3%), また5事業場以上を担当している者が22人(11.1%)いた. 内科あるいは外科を診療科目の第1番目に挙げている産業医を選任している413事業場を従業者規模別, 産業大分類別にみると, 従業者500人以上の事業場では, 外科は少ないが, 従業者50-499人の製造業および運輸, 通信業の事業場では, 産業医がA会員の場合, 他の業種におけるよりも外科の比率が高かった.
  • 吉村 寿人
    原稿種別: 総説
    1982 年 4 巻 3 号 p. 357-377
    発行日: 1982/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    この総説は昭和54年7月11日に産業医大において行った講演の記録に若干加筆したものであって, 日本において行われた国際生物学事業IBPの「ヒトの適応能」部門の内の気候適応研究班の行った研究の成果に著者が京都府立医大在任中に季節生理総合研究班の中で行った研究成果を織りまぜてまとめたものである. その内容は先ず適応とは何かと言う問題を解説して, これに自然的適応と文化的適応のあること, また自然適応の中にも生理的適応と適応分化(遺伝的適応)の区別のあることを明らかにした. そして人間のもつ気候適応を中心としてその「しくみ」について解説し, 生理的適応にもその生まれ育った土地の気候や職業などによって適応には色々のパターンの差を生ずること, 殊に長期に渉る適応と短期の気候適応とはそのパターンがまるで違ってくることを明らかにした. そしてCoon et al.(1950)の説をもとにして人類の気候適応の結果生じたモンゴロイドの人種的特性について述べ, 彼らが寒さに強い適応能をもち, アジア大陸より, アメリカ大陸に渡ってその全土に分布して, 独特の文化を建設したことを述べた. そして最後にアメリカ大陸のモンゴロイドがコロンブスのアメリカ大陸発見によって西欧民族によって亡ぼされた中で, 同じモンゴロイドに属する日本民族のみがよく独立国家として発展し世界の先進工業国家として独自の文化を保つに到ったかの理由についてJohn Hallの歴史観を論評しつつ, 日本人の精神文化的適応性と日本の国土の立地条件等の特性を指摘して解説した.
  • 高木 輝
    原稿種別: 報告
    1982 年 4 巻 3 号 p. 379-380
    発行日: 1982/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
  • 松浦 孝行
    原稿種別: 原著
    1982 年 4 巻 3 号 p. 381-390
    発行日: 1982/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    素数および整数に関する研究の一資料として, 25億までの素数の分布について調べ, その結果を一部まとめて若干のTableを作成した. Tableは全部で5つあり, それぞれ1千万までの10万区間ごと, 1億までの100万区間ごと, 10億までの1千万区間ごと, 25億までの1億区間ごと, 特定のいくつかの10万区間に関するものである. 表の内容には, 素数の個数, 双子素数の組の個数, 最大の双子素数の組, 120m+1型素数の個数, 最大の120m+1型素数およびTable 1・Table 2ではその原始根, 連続する2つの素数が切取る最大区間, 10万区間における素数の個数の最大・最小値,10万区間における双子素数の組の個数の最大・最小値, Table 5では三つ子素数の組の個数などが含まれている.
  • Erwin NIEDERER
    原稿種別: 人間学
    1982 年 4 巻 3 号 p. 391-398
    発行日: 1982/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    人間(Homo sapiens)の自己理解は環境と関係する. この自己理解の試みは, 各時代の時代像, 世界像に反映され, かつては, 秘密や説明不可能なものは神秘のベールに包まれ, 信者達は畏怖の念を抱いて, これらの事象に接した. 発見の時代が始まり, この宗教的世界像は崩れ, プロメトイスが理想像となり, 人間は, すべてを自己と関係づけて理解しようと試み, 宗教の終焉こそ疎外の束縛からの解放であると公言した. 唯物主義者達は, 人間の進歩, 人間の自己発見は, 一切のものから神秘性, 宗教性を剥奪することによって可能となる, と述べた. この小論では, 当時の西欧諸国の状況を考察しつつ, 唯物論的疎外の意味を解説し, この疎外観を脱することが人間形成, 自己認識にいかなる作用を及ぼしたか, また, この道が, いかにして,実存的な疎外の意味につながったか, という現代的問題が検証される.
feedback
Top