ストレスを前負荷した動物では, 次のストレスへの応答が「増強される場合」,「抑制される場合」, そして「同程度である場合」の3つの場合がある. 著者らは16時間拘束ストレスを負荷したラットでは, 視床下部室傍核の
c-fos mRNA/Fos 発現と血中 ACTH が一過性の上昇後前値まで戻る一方で, 血中コルチコステロン(CORT)は高いまま持続することを報告しているが, この拘束ストレス前負荷状態で新規ストレスを負荷した場合の視床下部-下垂体-副腎(HPA)の応答を検討するために, 16時間拘束中のラットに寒冷負荷を行った. この寒冷加重負荷群では, 室傍核の
c-fos mRNA/Fos は寒冷単独負荷群と同程度に再発現し, 血中 ACTH は寒冷単独負荷群より有意に高かった(増強). 血中 CORT は, 寒冷加重負荷群では軽度の上昇しか認められず, 寒冷単独負荷群の値とも有意差はなかった. これらの結果は, 長時間拘束ストレス時の寒冷ストレス加重負荷に対するストレス応答が, HPA の各レベルで異なっていることを示唆している.
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