光学活性薬物のプロプラノロール(PL)代謝における光学選択性の存在と, 酵素誘導剤(PBあるいは3-MC)の影響を検討するため, 単離ラット肝細胞8×10
6cells/mlを用いて, 500μM PL(ラセミ体
RS-PL,
R(+)-RL, あるいはS(-)-PL)を37°Cで反応させ, PLの消失量, ならびにPL環水酸化体(4-, 5-, 7-OH-PL)およびPL側鎖代謝物(NDP, AcNDP, PGL, NLA, NAA)を含む8種の代謝物の生成量の経時的変化をHPLCで定量した. 3-MC-およびPB-前処理ラットより調製した単離肝細胞系では, PL消失とNDP, NLAおよびNAA生成が顕著に増加した. また, 光学選択的代謝も著しく,
R(+)-PLは
S(-)-体よりもはやく消失した. 代謝物生成に関しては,
R(+)-体からはNDP, AcNDP, およびNAAが,
S(-)-体からはNLA, PGLおよび環酸化体が主として生成した.
RS-PLからの各代謝物生成量は両エナンチオマーから生成する量の平均値を示した. 未処理, ならびに上述した3-MC-およびPB-前処理ラットの単離肝細胞系で
RS-,
R(+)-, および
S(-)-PLを37°Cで10分間それぞれ反応させたときの速度論的パラメータを算出した. 得られた見かけの
V’max/
K'm値(μl/min・8×10
6 cells)より, 3-MC-前処理肝細胞系における
R(+)-PLからのNDP生成が最も容易であることが明かとなった.
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